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死の影の谷間から
<死の影の谷間から>
ムミア・アブ=ジャマール/著
今井恭平/訳
現代人文社/刊
ニューヨーク取材日誌

ワイングラス氏の活動

今井恭平


明日からロシアに行く

 ワイングラス氏の著書Race for Justiceの著者紹介には、数多くの政治的事件や公民権関連、死刑などの重大事件を扱ってきた経歴とともに、アジア、ヨーロッパ、南アメリカで裁判のofficial observerとして活躍してきたことが記されている。これはどういう仕事なのかを尋ねてみた。
 彼は、フィリピン、台湾、ベトナム、ロシアなど数多くの国々で、人権問題の調査や、裁判の傍聴を行ったりしてきたとのこと。ベトナム戦争中に、当時の北ベトナム政府に招かれたり、台湾では国民党政府に対する反対勢力から招待されたり、日本にも、三里塚闘争の弁護団から招かれて10年以上前になるが、来たことがあるとのこと。訪問される国の政権があまり喜んで受け入れそうには思えないのだが、元司法長官で、現在はムミアの支援にも加わり(2/26のタウンホールの集会でも発言した)アメリカのイラン爆撃や湾岸戦争での劣化ウラン弾使用などにも調査団を送り、活発な平和・人権擁護活動をしているラムゼイ・クラーク氏の率いる人権調査団の一員として訪問することが多いようだ。

 今度の土曜日から、またロシアに裁判のウオッチに行くとのこと。ロシアは、ソ連邦解体前から何度も訪ねている、ということなので、ソ連邦解体前と後で何が一番変わったと思いますか?と尋ねた。悪い意味での物質主義がはびこっている、誰もが金儲けに血眼で、誇りを失っている、というのが氏の答え。もともとロシア人は誇り高い人たちなのに、それが忘れられようとしている、ことに若い世代が蝕まれている、と語ってくれた。

メディア報道

 最近になって調べたことなのだが、1981年の事件当時、フィラデルフィアの地元新聞では、ムミアが逮捕された直後から「元ブラックパンサーのジャーナリストが警官殺害で逮捕」と書き、後に検察が思想的背景を陪審誘導に利用して極刑に導いたことの露払いのような報道がされていた。メディアの報道の仕方については、最近のRage against the Machine のムミア・チャリティ・コンサートに対するネガティブキャンペーンなども耳新しく、たいへんに気になっていることだ。このことを質問すると、「ネガティブ」と吐き捨てるように語ったのがきわめて印象的だった。なんだか、メディアのことは語りたくもない、というような雰囲気。
 コップキラー(警官殺し)という扇情的なフレーズがいまだにメディアに登場する。これだけ警察の暴力支配への憤りが席巻し、ニューヨークのケーブルテレビでは一日に警官による暴力事件の報道が3つも4つもつづいてオンエアされるような情況でありながら、一方ではそうした暴力や差別ともっとも先鋭にたたかいつづけているムミアに対して、こうしたネガティブ・キャンペーンがなされうる背景も存在しているのが、今のアメリカ社会なのだと思うしかないのだろうか。

 ワイングラス氏のオフィス近くで挨拶して別れようとしたら、ずいぶん疲れている様子が見てとれるのに、僕がタクシーを拾えるのを確認するまで一緒にいようとする。大丈夫ですから、と言って無理矢理に先に帰ってもらった。タクシーを拾って後部座席に身体を埋めたら、時差ボケも手伝って、僕自身もかなり疲労を感じ始めていた。

以下つづく