団体紹介

 

第二十四回2002年10月 “森と出会う・林業を旅する”


                  未来樹2001

報告: 代表:大内正伸

東京だけの活動だけでなく、地方に旅して森や林業のことを学ぼう、新しい視点で市民林業(森林ボランティア)を表現しよう。未来樹2001はそんな目的で始められた会です。1997年の発足以来、北は北海道から南は九州まで、全国を旅しています。その活動の中からたくさんの人との繋がりが生まれ、また派生していった活動もあります。福井の鋸谷茂さんの「新たな間伐法」の啓蒙活動を行い、新たな森づくりの拠点「桜山きづきの森」も立ち上げました。

活動の軌跡
 森林ボランティアグループというと、活動拠点を持ち定例活動を行うというのが普通のスタイルですが、未来樹2001は拠点を持たず、会員制でもなく、会費もありません。林業に関わる「旅」を主催するグループだからです。
 コアメンバー3名は、週末どこかの森林ボランティアグループで活動し、旅のときだけ集まって計画・地元との折衝や人集めをする。そのようなスタイルで、97年の発足当初から年平均2〜3回のペースで地方での林地見学や施設見学、体験林業などのイベントを行ってきました。
 飛騨高山での木工を学ぶ学生たちとの下刈り('97〜'99年/3回)。近郊林業地である栃木県矢板市での間伐・枝打ち体験と製材所見学('97〜'98年/2回)。岩手大学演習林と木造建築の見学('98〜'00年/3回)。九州宮崎の林研グループとの交流や様々な施設・林地の見学('99年)。北海道津別町での紙芝居公演と森と施設見学('00年)。この間、林業入門のイラストブック『むささびタマリンの森林づくり入門』(未来樹2001編/絵:大内正伸)を発行。私個人としては『むささびタマリン森のおはなし』という子供向けの紙芝居をつくって各地の旅の合間に演じたりしています。'01年には香川県のどんぐりネットワーク主催第7回『秋の文化祭』に未来樹2001として紙芝居で出演し、多くの子供たちや現地のスタッフと交流をはかりました。
 未来樹2001の旅の参加者は毎回数名から30名近くに及ぶこともあり、すべて泊まり込みの旅ですから得るものも多く、考え方も深化します。また私たちの活動は、参加者やスタッフが地方の林業を学ぶというだけでなく、地方にとっては東京からの新しい風を感じる場になっていると思います。

鋸谷式間伐との出合い
 第5回『森林と市民を結ぶ全国の集い』(高知県)の中で、新たな発想のもとに間伐指導をする鋸谷茂さんと出合い、'00年2月の岩手県造林協のボランティア視察と「奥多摩山しごとの会」他との間伐技術交流会を未来樹2001がコーディネートした際に、その鋸谷さんにも奥多摩に足を運んでいただきました。それを機に未来樹のメンバーで福井の鋸谷さんの元を訪れ、間伐現場を見、間伐法を習得。その内容を『新・間伐マニュアル』としてまとめ、未来樹2001のホームページに流すことを始めました。

 鋸谷さんの技術をわかりやすく翻訳し、森林ボランティアのみならず一般の山林所有者、林業家にアピールする試みでしたが、これを見た群馬の山主さんが山林を提供してくださることになり、未来樹2001と森づくりフォーラムとの共同主催で、'01年2月に群馬県鬼石町で鋸谷講師を迎えた「新しい間伐と森づくり講習会」を開催することが出来ました。
 鋸谷さんの講議と間伐実習は画期的なもので、これをきっかけに林業技術雑誌『林業新知識』に間伐や育林の技術紹介の連載が始まり、各地で鋸谷さんの間伐講習会が盛んに行われるようになりました。未来樹2001の広範な視察と交流の活動の中で辿り着いた「新たな間伐法」は、いま全国に大きな反響を巻き起こしています。

新たな会「桜山きづきの森」
 定例活動の場所を持たない未来樹2001でしたが、鬼石での間伐イベントの現場を引き継ぐことになり、山主さんのご好意で昨年の4月から月2回ほど森林整備活動に通わせてもらっています。いわば鋸谷式間伐法の見本林づくりですが、そこに広場をつくり、ハーブ畑や果樹を植え、間伐材で小屋をつくったり、ピザ窯をつくって間伐材でピザを焼いたり、広場で音楽会をしたり紙芝居を楽しんだり、というようなイベントも行っています。
 この活動は、今年の春からは「桜山きづきの森」という新たな会として、未来樹2001から独立して運営されることになりました(現在、会員数14名)。毎月第1第3日曜日が活動日で、ホームページで毎回の活動報告を発信し、掲示板での情報のやりとりなども盛んです。地元の方々との交流も深まり、現在は鬼石町の町内に事務所をおき、そこに宿泊することも出来ます。
 最近は鋸谷式見本林としての見学者も多く、県外からの参加者も増えています。荒廃した人工林の再生と楽しみ方に新たな切り口を見せられる場所として「桜山きづきの森」は今後とも重要な活動拠点になっていくことと思います。

今後の未来樹2001
 森林ボランティアもようやく社会的知名度を得て、活動も成熟してきた感があります。森づくりフォーラムでもリーダー養成などの他に「スタディ・ツアー」を行うようになりましたが、これは勉強と全国交流を進めるためにも大変有意義なことです。このようなツアーは今後さらに一般的なものになっていくと思われます。
 未来樹2001では大きな組織では運営しにくい特化した旅の主催、あるいは今までの全国的な活動から生まれた独自のネットワークの展開を行い、新たな林業の創造を発信しながら、今後も森づくりフォーラムの一翼を担っていきたいと考えています。

未来樹2001
●代表者名 大内正伸
●活動地域 全国
●会員 コアメンバー3名
●会費 なし
●連絡先

 〒190-0181 東京都西多摩郡 日の出町大久野1623-6
 TEL&FAX:042-597-7927
 E-mail:dharma@ny.tokai.or.jp
 未来樹2001と大内正伸のホームページ 
http://www2.tokai.or.jp/miraiju2001/
 
 桜山きづきの森のホームページ
http://tamarin.cside21.com/kizuki0.html