第二十三回2002年9月
“森に触れて
人に触れて”
樵(きこり)の会
報告: 代表:遠藤真知子
樵の会は、自然が大好きで、「豊かな森林」が私達の地域や地球のために必要だと考えている人の集まりです。山の環境の問題を市民の立場で考えるために“樵”つまり山で仕事をしている人が居なくなる事にスポットを当たいという想いから、“樵の会”という名前にしています。
私は、義父の林業経営に対する疑問から山に関心を持つようになりました。まずは仲間づくりを進め、1999年3月に樵の会を立ち上げました。静岡県藤枝市と岡部町を中心とする、瀬戸川流域の個人や地域が持つ森林を活動地域としています。
人工林での活動が中心
樵の会は月1回の定例会で、植樹、草刈、竹の駆除、間伐を行っています。
春の植樹は、最初の時から地元の町内会行事として、なるべく一般参加を呼びかけて活動を広めていきました。植えたところの下草刈も毎年の定例行事となりました。3年前に岡部の山に植えたスギは人の背丈ほどに成長していますが、周囲の草もそれを上回る勢いで伸びており、毎年下草刈りを続けています。
今年の夏(9月8日)には、昨年も行った「近くの森林のこと体験ツアー」を行います。今回は樵の会の提案として、山を見た後にスギの木をふんだんに使って建ったばかりの家と、築80年のしっかりした家を見る予定です。そのことによって、一般の方と設計士、建築関係者、素材生産者といろんな立場の方が、“木を使う事”というテーマで、お話合いが出来るツアーにしたいと考えています。
今秋には間伐技術講習も
そして待望の秋、今年は榛原郡中川根町の森林に2回行けることになりそうです。10月に定例合宿、11月には、森づくりフォーラム実践講座の地元協力隊として、樵の会がお手伝いすることになったからです。
実践講座では、鋸谷式間伐法についてその考案者の講義を森づくりフォーラムが開いて下さることになっています。このようなお話を地元で聴けるなんて、こんなに有難いことはありません。活動する場所も、中川根の「ロッジおろくぼ」からすぐの山で、とてもよい所です。もっともこの新しい間伐法は、いままでの価値感と頭を切り替えなければいけない山の所有者や、林業関係者が取り入れるべきものだと思われますが。
そのほかにも、藤枝市企画調整課主催「21世紀の森づくり」に植樹指導者として会員が協力したり、竹林対策検討会議の委員を1年、県では中部流域活性化センターの委員を2年目と、だんだん活動以外の会合に呼ばれる事も多くなりました。
昨年は樵の会定例会と協力行事の活動を合わせると22回。私自身が出席したのと、会員スタッフに協力して出てもらった会合も、合わせて22回。また、樵の会会員の竹炭プロジェクトでは、炭窯造りからはじめて春から秋まで45日、延べ267人が参加しました。
森に触れてみて分かったこと
私の場合、特に環境問題に関心があったわけではありませんでしたが、森に触れてみたら、その活動そのものに夢中になってしまいました。目標をもって、共にひとつの事を成し遂げる。その汗を流すことそのものが楽しいという感覚の発見でした。
しかし、そんな私達が活動を続ける中で残念に思うことがあります。それは共にひとつの事をするのは町から来た人ばかりで、その中に山主さんはいなかったということです。私達は地域の方と共に活動を行って、その交流から生まれてくるものに期待していたのですが、山主さんの中には自分で山にも入らず、私の義父のような素材生産者に任せっきりの人もいるようで、まず期待は裏切られました。それと、自分がやれない山に他人が入ることは山主さんのプライドを傷つけることになったりと、とにかくコミュニケーションが難しいことが分かりました。まだまだ他人の山に手を貸すこと自体が、山主さんには考えられないことのようです。
手を入れたい山は、いくらでもあります。私達は同じ山仕事をやるなら、見にも来ないし「勝手にやれば」と言う山主さんのところよりも、山のこれからを考えてくれる見識ある人のところならば、少しくらい遠くても、どんどん出掛けようと思います。
どっぷりと樵の生活。おかげで、メールも出来るようになりました。今後も、皆さんに力をお借りしながら、樵の会を育てていきたいと思っております。
樵の会
●代表者名 遠藤真知子
●活動地域 静岡県藤枝市と岡部町 が中心
●会員 50人
●会費 年3,000円
●連絡先 〒426-0078 静岡県藤枝市南駿河台4−13−1
TEL:054-643-6062
http://www003.upp.so-net.ne.jp/kikorinokai/
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