第二十二回2002年8月
“森林NPOとしての第3の道”
NPO法人 花咲き村
報告: 代表:園田安男
以前、森づくりフォーラムのニュースに花咲き村の団体紹介をしてから、もうどれくらいになるでしょうか。
6年くらいは経っているでしょう。では、この時間の流れの中で何が変わった?
ボランティアグループからNPO法人に
花咲き村は東京の日の出町、あきる野市で活動して
きた地域ボランティアグループでした。もともと福祉のボランティア活動が中心。そのうち地域の様々な問題と関わりが広がり、
森林のことや田んぼのことなどもやるようになったのです。公式的説明では、新たな関わりを「広げた」ということになっていますが、
実感としては「広がった」感じでした。つまり時の流れというやつです。
ボランティアという形で社会的課題に参加しようとしてきましたし、発言もしてきました。ある種の社会的な責任が果たせてこそ、
この種の活動も広がりを持つのです。そして、そう主張もしてきました。「だったら、やらんかい!」という声が後ろのほうで
したので、70年7月にNPO法人化しました。
ボランティアとしての森林整備活動
ここ数年、事態は私達の目に見えること以上にずっと進展しています。
明白なことは、年ごとに森林に
関心を持つ所有者が減っているということです。ボランティア活動といっても森林整備の方向をもたねば時代に応えられないところまで
来ています。私達はもう少し戦略的になろう、目標を持っての活動へと舵をきろうとしてきました。
これまで花咲き村が取り組んできたフィールドは、対象森林を選んでやってきたのではありません。「やってくれ、やらせてあげる」
という所有者がいて、その人の森林をフィールドとして整備してきました。ここでもまず「人」がいて、そしてその人に伴う対象森林が
あったわけです。花咲き村は今ここにきて、対象森林を先に選択してその所有者と交渉するという、ある種、組織としては画期的な
転換をしようとしています。つまり、この一帯を整備の対象にしようという全体的なイメージがあって、それにそって所有者と交渉
しようというわけです。
これまではそうしたくても出来ませんでした。なぜなら花咲き村の活動が認知されていなかったから。結果、これまでは花咲き村が
やって来た場所はあっちこっちに点在する、いわゆる「点」でした。が、今後、「面」として追求するのです。そして、その対象と
なる場所はこのところ中心的にやっている「裏山」です。裏山という言い方が適当かどうかはまったくもって定かではありませんが、
集落の裏にあって場所的な近さということで裏山ということにしています。丘陵地の里山のようには農業にリンクしていません。
こういったところの特徴は所有が小規模で、数十年も放置されていいること、そして、可能性としては「近い」ということで森林に通い、
楽しむ「資源」として活用方法が多様になりうるということです。日常的に活用してきた身近な森林という歴史を活かすのです。
うまくすれば、森林所有者と作業したり活用したりの利用者(森林ボランティアも含めて)が協議して、地域の森林をどうするかを
共通の意志を持って関われるかもしれません。
森林事業体を目指して
もうひとつ、重要な問題に直面してきています。森林を守る働き手がいなくなるのです。花咲き村が主たる
フィールドにしている日の出町では、このままの状態だとあと5年もすれば誰もいなくなってしまいます。地域との関係が深まるに
つれて見えるものが見てきて、推量ではなく実感として、です。作業員の確保ということだけであれば、まだ方法はあります。しかし、
問題は地域の森林のことを知っている人がいなくなるということなのです。 そうだからこそ、森林ボランティアで終わらず、
きちんと森林を管理できるように準備することです。森づくり計画を立て、施業計画をつくり、林業作業が出来る人材を養成するの
です。そして、森林に関心を持つ人達の多くをその維持管理に参加してもらうシステム、森林所有者しか関わりえない森林組合とは
違ったスタイルをつくりあげるということなのです。そのために、いくらかの長期的な計画を練り、準備を重ねることを始めています。
もう一歩、より深く関わりたいと思っている人はぜひに、この新しいプロジェクトに参加してもらいたいです。仕事として
森林作業をしたいということでもいいし、仕組みづくりをやってみたいということでもいいし、森林から生まれる事業を起業して
みようということでもいいのです。
そして、明日から
気づいたこともあります。ボランティア活動で山は守れませんが、林業でも山は守れません。ここに
森林NPOとしての第3の道があるのではないでしょうか。花咲き村は森林事業体としての機能をもったNPOになるぞ!と、
とりあえずは言っておきましょう。山で働いてみようと思う人は、1度、花咲き村を訪ねてごらん。自分で切り開こうという意志が
あれば、5年前よりははるかに条件はあります。 今回は花咲き村がこんな事をしてきたというより、こうしたいと思っている
ということを書いてみました。今、どんな活動を日常でやっているかはホームページをご覧あれ。
特定非営利活動法人
花咲き村
●代表者名 園田安男
●活動内容 森林整備活動(現在7カ所 4ha)の他に、地域ボランティア活動として福祉施設へのボランティアや谷津田 を復田を行い、田んぼを活かしていく活動もしている。
●活動地域 東京都日の出町
あきる野市
●会員 120人
●会費 年3,000円
●連絡先 〒190-0181
東京都西多摩郡日の出町大久野1486
TEL:042-597-6242
FAX:042-597- 6453
E-mail:hanasaki@lt.sakura.ne.jp http://lt.sakura.ne.jp/~hanasaki/
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