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第十七回 2002年3月
“漆の森づくりで伝統文化の保存”
報告:編集担当理事 赤平一枝
きっとどなたでも、日本の古社寺の建築に施された彩色や仏像の肌の美しさ、また蒔絵の箱のまばゆい金色や青く光る貝の細工に目を見張った経験をお持ちのことと思います。これらは日本産の漆の優れた特徴を利用して編み出された技術なのです。いうまでもなく、このような文化財はこれから先も我々が守り継がなければならない、かけがえの無い日本の財産です。 日本文化財漆協会の会員は、重要無形文化財保持者の大場松魚会長をはじめとした工芸作家、修理技術者が主たる構成員となっています。また協会の趣旨に賛同する漆関連材料、道具製作者や会社、店舗、研究者等も会員として事業に協力をしています。 漆は神秘の液 漆液は、漆の樹幹に傷をつけ、木がその傷をふさいで保護しようとして出す液を採取したものです。1回に掻き採る量はほんの耳掻き一杯ほどで、掻き採る人はそれを木から木へと集めて回ります。ですから使う人は皆大切に大切に、感謝しながら漆を使っています。 漆試験林で会員の研修を 漆の木は、苗を植えてから15年前後で液が採れるようになります。協会が岩手県浄法寺町に昭和51年に植林した木は、平成2年から掻き採りが始まっています。良質の漆液を生産しており、順調に成果を上げています。 精製した漆は会員に配布 秋までに掻き採られた漆液は、その年に精製します。この作業も会員から広く研修生を募集して、岩手県の浄法寺町と茨城県の東京芸大取手校との2カ所で、講師の指導のもとに研修をしています。芸大の研修は2日間で、短期間で体験することが可能です。一方岩手県の研修は3泊する長丁場となりますが、講師や会員相互の間に連帯感が生れ貴重な交流の場にもなっています。 会員漆芸展で漆を普及 協会では文化的事業として、隔年で日本橋のデパートで「漆・うるし」展と銘打った会員漆芸展を行っています。会員展の特徴は、各地の漆芸技法が一堂に展示されることです。会場では作品解説もあり、漆芸について知って頂く良い機会になっています。 日本文化財漆協会 ●会長 大場松魚 ●理事長 大西慶憲 ●会員数 約500名 ●会の構成員 漆芸家、漆芸関係の方や団体 漆芸に理解のある方及び団体 ●年会費 正会員(漆芸に従事されている方) 9000円 賛助会員(協会の趣旨に賛同の方) 一口 10000円 ●連絡先 東京都港区赤坂1−1−17 細川ビル 511号 電話 03−3586−0428 FAX 03−3586−0438 |