団体紹介

 

第七回  2001年3月  A SEED JAPAN

(青年による環境と開発と協力と平等のための国際行動)

                          報告:峰 亜紀

 A SEED JAPAN(青年による環境と開発と協力と平等のための国際行動)は、1992年の地球サミット(リオ・サミット)において、未来世代の青年の声を反映させようという「A SEED 国際キャンペーン」をきっかけに発足した国際環境青年NGOです。

 現在は、「森林」、「エネルギー」、「ODA」、「ごみ・リサイクル」、「食と農業」などのテーマでチームを編成し、約50名の会員が、常時プロジェクトの企画運営をしています。

 現在、約500名の会員によって、活動が支えられています。会員の約7割を大学生がしめ、残りの約3割が高校生または30歳未満の社会人が占めている青年を主体とした団体です。

 そしてA SEED JAPANは、国境をこえた環境問題とその中に含まれる社会的不公正に注目し、より持続可能で公正な社会を目指しています。そのため、現在の大量生産・大量消費・大量廃棄のパターンの変更と南北間、地域間、世代間の不平等の格差を小さくしていくことが必要だと考えます。この問題解決の手段として、具体的な行動を青年の視点で考え、実行しています。

情報発信と参加型プログラム

 例えば、世界で有数の紙消費国・日本に住んでいると、自分たちが消費している膨大な紙がどこから運ばれ、どのように廃棄されているのかを考える機会もないのが現 実ではないでしょうか。その問題意識を広く伝え、実際の紙消費について考え、現在の消費パターンを変更する行動へ移行してもらいたいというおもいから、A SEED JAPANの森林チームが中心となって本を出版します。これから青年が購入するであろう住宅、家具などを題材にメンバーが独自に取材し、具体的な購入のアドバイスや、情報を掲載しています。また、どのような森林問題、環境問題が紙消費には内在しているのか、わたしたちはどのような選択をすればよいのかなどについても、取り上げています。

 一方で、実際に森林に入り、日本の山は今どのような状況にあるのか、またどんな問題を抱えているのかを体験するツアーを企画しています。同様に、体験型プログラムとしては、食の生産の現場である農業を考える一環で、有機農法を実施している山形へ田植えや草取りなどをお手伝いする援農プログラムを継続的に実施しています。都会生活では感じることのできないこのような機会を提供することで、少しでも多くのひとが、問題を考えるきっかけになればと考えています。

開発問題とODA

 また、A SEED JAPANでは世界でも有数の債権国である日本の開発の現場であるODA(政府開発援助)を考えるチームも活動をしています。ODAというとひどく難しい、またはよくわからないという分野にとられがちです。そこで、ODAチームでは基礎の基礎を理解するための冊子(「わかる!ODA」)をこの3月に出版します。また、劇やワークショップを通じてODAの現状を垣間見ることのできるプログラムも同時に実施しています。

 さらに、今年の3月には日本のODAが導入されているタイの現場を訪れるスタディツアーを行います。現地では何が起こっているのか、また日本のODAを通して現地住民NGO・政府・企業がどのような状況におかれているのか、実際に現地を訪れてお話しをうかがいます。

 グローバル化が加速度的に進む中で、日本はそして世界はどう動いているのでしょうか。富むものがより富を得、貧しいものがより貧しさを極める構造的な問題を、私たちがどのようにとらえ、どう行動して変えていけるのでしょうか。その問いに対する答えを具体的なかたちにかえられるように、私たちは活動へと繋げています。

世界の仲間とのネットワーキング

 A SEED JAPANはこうした国内及び海外の活動と同時に、国際的ネットワーキングを促進する活動にも取り組んでいます。前述のように国際キャンペーンをきっかけに発足した経緯から、A SEEDの仲間たちが世界中で活動を展開しています。

 昨年の11月にオランダのハーグで開催されたCOP6(気候変動枠組み条約第6回締約国会議)では、A SEED EuropeA SEED KoreaなどとともにA SEED JAPANのメンバーも現地のキャンペーンに参加しました。残念ながら、会議自体は決裂するという結果になってしまいました。しかし、会期中には全世界から集まったNGOや活動家たちが声を一つにして、一刻も早い気候変動問題解決への具体案の発行を求めました。

 こうした国境をこえた仲間とのやりとりすることで、日本で活動している時に感じる孤独感や無力感を彼ら彼女らが払拭させてくれると同時に、世界でも自分たちと志を同じくして活動している仲間がいるのだと勇気づけられます。

変えていくための行動

 21世紀はNGOの時代だといわれています。各メディアでも数多く取り上げられ、その役割を期待する声が日増しに大きくなっています。しかし、NGOの社会的役割とは一体なんなのでしょうか。今まさに「企業」「行政」とならんで「市民/NGO」というアクターが社会の中の構成員として大きな意味を持ちはじめています。20世紀に「企業」や「行政」が構造的に解決できずに内包してしまった膿が、「環境問題」となって吹き出しています。「環境にやさしい」を目指して様々な技術が急激に開発されています。しかし、どんな技術を持ってしてもこの地球をつくりだすことなどできないのです。私たちは、真の意味で持続可能な未来を考えるチャンスを与えられた世代なのかもしれません。

 私たちのひとつひとつの行動は、時に小さく、自分たちの非力さに打ちひしがれる時が多々あります。しかし、社会を変えていけることを信じて、問題解決への行動をとり続け、あきらめないことが重要だとわたしは思います。日本における市民社会は、今やっと立ち上がりつつあります。その動きが大きなうねりとなりつつある胎動を感じ、A SEED JAPANは、今後も活動を続けていきます。

DATA

連絡先

 〒160-0022 東京都新宿区新宿5-4-23 峰 亜紀

03-5366-7484 fax 03-3341-6030

 mail asj@jca.apc.org

●活動場所

 主に関東圏(しかし、スタディツアーやイベントなど日本各地をフィールドに活動しています)

活動の目的

 国境をこえた環境問題とその中に含まれる社会的な不公正に注目し、より持続可能で公正な社会を目指しています。そのために、大量生産・大量消費・大量廃棄のパターンの変更と、南北間・地域間・世代 間の格差をなくしていくことが必要だと考え、青年自らがその社会の実現のために行動を起こしていくことを目的としています。

●活動の内容

 「森林」「エネルギー」「ODA」「食と農業」「ごみ・リサイクル」の各分野ごとにプロジェクトを企画運営実行しています。

●組織

 運営:事務局会議を1/週、事務局スタッフ間で行います。

 理事会は1/月、現在理事は17名(うち、大学生10名)

 会員:約520名(約7割が大学生)

 法人化:NPO法人化に関しては検討中。

 ★ ★毎月一回、新人オリエンテーションを開催しています。ご興味のあるかたは事務局にご一報ください。

 ★会員募集中!!会員(学生;3000/年、一般;5000/年)の方には、10/年のニュースレターをお届けするのと同時に、様々なイベント紹介やイベント参加費割引特典などがあります。是非、お問い合わせを!!

 

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