団体紹介

 

第六回    山仕事くらぶ        2001年2月号

                          報告:笹村 忠佑

 

◆岩手の森から今日は、「山仕事くらぶ」です。                          

 当くらぶはH11年2月に設立し、2年間の活動を経験したところです。くらぶ結成総会には16名が参加して発足、現在は会員57名と増加しております。全国的にも有数の森林県岩手ですが、ご多分にもれず山林は手入れ不足になっていて荒れ放題の里山がそこにもここにもと目に余る状況があります。

 H10年秋、岩手県地方振興局主催の1泊2日の林業関係イベントで同憂の士が出会い行政の主催するイベントに物足りなさを感じ、また緑を守れの掛け声は巷に溢れているが掛け声だけでは駄目だ、素人でも出来る事から先ずやってみようと意見が一致しました。早速その年の12月に新聞の催し物案内欄で結成を呼びかけたところ16名のメンバーが集まり、発足となりました。

 設立総会には森づくりフオ―ラム理事で岩手大学農学部演習林の山本信次先生も駆けつけて下さいました。更に先生のご配慮で第1回の例会は岩手大学滝沢演習林で実技研修会を行い、26名の参加を得て順調にスタートを切る事が出来ました。

◇ 活動のフイ―ルドは

 当会の活動目的として荒れた里山の中でも“民間の小規模人工林”が最も緊急性に迫られているのではないかと言う観点から、そのような山林所有者に働きかけることから始める事としました。しかし、そのようなオーナーがどこにいるのか判りません。勿論、森林組合や県や市の農地林務課、林業公社等等広く情報を集め、また周辺市町村の広報紙にもフイ―ルド提供を求める記事を掲載していただきました。

 これらの準備活動の結果、フイ―ルド提供の申し込みがわんさと来た場合には調整に苦労するのではないかと心配していましたがこれは全くの杞憂でした。

 なんでもお金が優先するこの時代に、タダで森林の手入れをしてくれるとは何か裏があるのでは…?、宗教か政治がらみでは?…などの不信感があったり、また他方では頼もうにも何年も山に入っていないので自分の山の境界が判っきりしない、どうせ素人の気まぐれで何が出来るのか等等の理由からか、依頼はポツリポツリとしか入りませんでした。

◇ この2年間の活動実態

 以上の結果、初年度は作業日数10回のうち、民有林の現場は半分の5個所だけであとの5個所は盛岡市の森林公園での作業と県や市主催のイベントへの参加となりました。2年後のH12年は合計14日の作業実施日数のうち、13回が民有林(8人のオーナー)での作業となりましたが、山仕事くらぶの実像がオーナーからオーナーへと口コミで伝わりはじめている結果であり3年目の今年は作業技術と作業結果の総合的なレベルアップを図ることで地域社会からの認知度と評価をアップさせていきたいものと考えております。

 山仕事くらぶの例会の標準的な時間割は次の通りです。

 午前8時半集合、9時現場到着・ミーテング(点呼、オーナー挨拶、作業内容説明、蜂等安全性の確認、準備体操等)、9時15分作業開始、10時50分小休憩、12時・昼休憩、 午後1時・作業開始、14時 小休憩、15時作業終了・ミーテング(点呼、体操、作業結果の振り返り等)、15 時15分解散

 この時間割でも判るように我が山仕事くらぶの特徴として、例会では只ひたすらに森林作業にのみ打ち込んでいることです。単に山仕事だけでなく自然観察会や山菜とり等を取り入れて欲しいという声も有りますが、その様な行事は行政等で主催するイベントがあり、自然についての勉強や啓発を主目的にしている団体も他にありますので、そちらを紹介するようにしております。

◇“くらぶ”内クラブ活動

 第2年度の昨年は、あるオーナーから耕作放棄され何年もたつ畑地を借りる事が出来たので“くらぶ”内クラブとしてソバ・クラブが出来、例会とは別スケジュールで開墾、種まきから始まり収穫祭まで楽しい経験をしました。これに刺激されて、第3年度の今年は間伐材を利用して椎茸作りを呼びかける人が出ており、二つ目の“くらぶ”内クラブが出来るところです。また例会の他に新年会(1月)、お花見(5月)、ビヤパテイー(8月)を開いております。

◇ 初年度及び第2年度の活動詳細

・H11年度は作業実施日数10日(3月〜12月)

 延べ194名参加、作業面積10ha

・H12年度は作業実施日数14日(4月〜12月)

 延べ274名参加、作業面積8.8ha

・H12年中はこの外に下記の行政関系主催行事に参加し ました。

  1 刈払機安全作業講習(3月4日)16名参加、

  2 伐木等作業安全講習会(チエンソー含む)

      (3月14日〜15日)12名参加

  3 森林管理技術等現場研修(岩手大学演習林にて)

    (3月11日)13名参加

  以上はいずれも岩手県林業技術センター主催

  4 グリーンカレッジ(8月4日〜8日)静岡県にて

   1名参加

  5 東北・北海道地区グリーンボランテイア研修

   (10月19日〜21日)青森県にて2名参加

  以上4、5は国土緑化推進機構主催

◇ 健康な森林づくりのお手伝いで自分もモット健康に

 我が“山仕事くらぶ”は自己責任で、楽しく、安全に…をモットーにしてこの2年間夢中でやって参りました。この間ウルシかぶれが出た(8月12日、18名参加中8名罹患)他には、大きな事故発生させずに経過出来たことは誠に幸いでした。

 最近は県内では初めての専業的な森林ボランテイア団体としていろいろなメデアに取り上げられることも増え知名度もアップしそれなりのメリットも期待出来るのではないかと思はれますが、名前だけが先行し実質が伴わない団体にならぬよう、あくまでも安全第一に、ステップバイステップで継続性のある活動を心掛けてまいります。

 折りから新世紀です、森林ボランテイア活動は“21世紀のレクレーション”…

 健康な森づくりのお手伝いをして皆んなでモットモット健康になりたいと思います。

  

DATA

●連絡先

 〒020-0831       岩手県盛岡市三本柳23-9-42      笹村 忠佑(代表幹事)  TEL:019-637-2901

●活動場所

 盛岡市、岩手郡、紫波郡内の里山

 特定の場所を限定せず森林手入れ作業の申し込みがあれば所有者と現場確認を行い作業内容の打ち合わせ

 合意の上、随時スケジュールに組み込み実施する。

 平成13年は民有林の他、学校林と盛岡市の森林公園での作業も予定しております。

●活動の目的

 森林の荒廃は目に余るものがある。自然が豊かな岩手 も例外ではありません。“くらぶ員”は山への理解を深 め、山仕事の実践活動を楽しみながら、結果として、森 林の荒廃にストップを掛けます。

●活動の内容

 作業  大径木の間伐を除く全ての育林作業。

 会員はそれぞれの技能に会った範囲で作業を行い決して無理はしません。安全第一を心掛けます。

 事故 “くらぶ”として保険は掛けますが、原則として事故は当該者の“自己責任”とします。

●組織

 運営: 活動日は毎月第二土曜と第三日曜日とし会員は自由に選択できます。現場までの交通手段はお互いに

 自家用車を利用します。

 幹事は6人とし任期は一年で再任を妨げません。

 互選で代表幹事を決め、事務局は代表幹事宅に置く

 費用:会費は年間三千円とします。 

 会員:H12年12月末現在会員数57名(男43、女14)

 年齢は20代〜70代迄、職業は多岐にわたりますが大学生林業関係者も居ります。

 道具:H12年では高枝用ノコ10丁を県庁緑化推進課から、チェンソー1台と刈払機2台を緑化推進委員会 から借用した。また、国土緑化推進機構の助成金を導入した。

 法人化:NPO法人化については現在検討中でいずれ事務局を強化の上、近々、申請する予定です。

 

 団体紹介・目次   団体紹介・01年3月   団体紹介・00年12月