団体紹介

 

第三回  国際環境NGO 地球の友ジャパン  2000年9月号 

      報告:加藤恵子

 

◆はじめまして!

  「国際環境NGO 地球の友ジャパン」と申します。私たちは、世界60ヶ国にネットワークを持ち、世界3大環境保護団体と言われている「Friends of the Earth」グループのメンバーです。これまで、地球温暖化防止、途上国に対する開発援助の問題、シベリアの森林保護など、国際的な環境問題に取り組んできました。

◆森づくりフォーラムの会員です。

  私たちは、これまで国内の森林については活動していなかったのですが、地球環境問題の解決には、日本の「森づくり」が果たす役割が非常に大きいことに気付き、今年「森づくりフォーラム」の会員になりました。

  「地球環境問題の解決」と「日本の森づくり」の関係とは? 次の3つがキーワードになります。

1、 地球温暖化と森林

2、 木材輸入大国・日本

3、    国産材の需要拡大

 

◆深刻な地球環境問題〜地球温暖化〜

  地球環境問題の中でも、最も重要なテーマの1つが「地球温暖化」です。現在のペースで温暖化ガスが増えつづけると、50〜100年後には地球の平均気温が2〜3度上昇し、海面が50〜100cm上昇、40カ国の国土の大半が水没し(日本では50cmの海面上昇で約7割の砂浜が失われる)、農業生産に大きな打撃があると言われています。その他にも、気候の変化により、森が消え、貴重な植物や動物が絶滅したり、気象の変化により、雨が多くなって洪水が発生しやすくなる地域や、逆に雨が減って砂漠化する地域が出てくるようになることが予想されます。

  地球温暖化を防止するためには、温暖化の原因となる温室効果ガス(主にCO2)の排出量を削減するしかありません。

 

◆地球温暖化と森林

  森林は、地球温暖化の防止に大きな影響を与えます。森林が光合成によりCO2を吸収・固定してくれるからです。森林総合研究所が示したデータによると、1995年現在、日本国内の森林が毎年蓄積するCO2の量は0.266億トンで、1990年に日本中で排出されたCO2の量(3.34億トン)の約8%に匹敵します。

  また、同データによると、日本の森林が貯蔵しているCO2の量は、約11〜14億トン、森林の土壌中にも約50〜60億トンが貯蔵されているそうです。この総量は、1990年に日本中で排出されたCO2の量(3.34億トン)の18倍〜22倍にあたります。森林を失ったときには、ここに蓄積されているCO2も放出されてしまうわけですから、そういう意味でも森林の影響力は巨大です。

 

◆失われ続ける貴重な森

  しかしながら、世界は、こんなにも重要である森林を失い続けています。地球白書1998〜1999(レスター・R・ブラウン著によると、「世界は、この一世紀の間に、原生林の半分近くを失った」と言い、世界食糧農業機関は、「1990年から1995年のほんの5年間だけでも、5635万ha(日本の国土の約1.5倍)もの森林面積を失った」というデータを発表しています。特に森林減少率が高いのは熱帯地域ですが、カナダやオーストラリアのような先進国でも、貴重な原生林が伐採されていますし、ロシア、特に極東シベリア地域での違法伐採・乱伐も止まらない状況です。

  減少の原因は、過度の焼畑耕作、薪や炭にするための伐採の他、先進国の商業伐採、工業用・リゾート用・プランテーション用の用地としての大規模開発などが挙げられます。先進国がこれからも大量に木材や紙を使い続け、さらに、開発途上国の経済活動水準も上昇していけば、これまで以上のペースで森林面積が減少していくことになるでしょう。そして、森林の減少が地球温暖化を加速させることは明白です。

 

◆加害者・日本

では、そんなに森林を破壊してまで木材を使っているのは誰なのでしょうか? 日本林業調査会のデータによると、1995年の木材消費量は、アメリカ、中国に次いで、日本が世界第3位です。そして、木材輸入量いたっては、日本が第1位です。日本の国内自給率が20%と低いためです。地球白書は「世界で流通するありとあらゆる木材の37%が日本に行き着いている」と記しています。

輸入先の国の森林が持続可能な形で管理されていれば、木材貿易はお互いの国にとってメリットがあるかもしれません。しかし、実際に、世界の森林面積が年々減少している現実を考えると、その輸入量を減らす必要があると言わざるを得ません。

 

輸入量は減らせるのか?

  木材輸入量を減らすためには、木材消費量を減らすか、自給率を向上させるしか方法はありません。大量消費・大量廃棄は、様々な地球環境問題の元凶とも言えるものですから、ムダな木材消費は減らす必要があるでしょう。しかし、木材消費量を1/5に減らすことは容易ではありません。

  一方、自給率の向上ですが、これは大いに可能性があります。日本は国土の7割近くが森林で、そのうち4割が人工林です。その潜在生産力は約7000万m3/年と言われており、現在の木材生産量の3倍以上なのです。「木質バイオマス発電への期待(筑波大学名誉教授 熊崎實著)」

よりデータ「各国利用可能林の木材生産力比較(1995年)」を示します。ここからも、日本の森林が持っている潜在能力の高さがわかります。

◆地球の友ジャパンは応援します

とはいえ、木材価格の暴落と林業就労者の減少が日本の林業を衰退させていること、みなさんもご存知のとおりです。しかし、この現状を放置すれば、世界の森林を切り尽くすことにもなりかねません。また、国内の林業を見殺しにすることは、日本国内の環境悪化にもつながります。

地球の友ジャパンは、「木材貿易の拡大に歯止めをかけること」、「若者にとって林業を魅力的なものにすること」が重要だと考え、次のような活動を展開しています。

*木材輸出国のNGO等と協力して伐採を抑制する

*木材をたくさん使う企業・業界と意見交換する

*林産物貿易が自由化されないよう政策提言する

*森林認証制度の導入を支援する

*森林の重要性を多くの人に知ってもらう

*地球規模の環境に興味がある人に、日本の森のことも知ってもらう(体験してもらう)

*国産材を使った長寿命住宅のメリットを宣伝する

特に、木材輸出国との関係では、極東シベリア地域に焦点をあてています。なぜ、この地域なのか?これはまた別の機会にお話しましょう。

 

DATA

「国際環境NGO 地球の友ジャパン」

連絡先

〒171-0031 東京都豊島区目白3-17-24-2F

TEL: 03-3951-1081

FAX: 03-3951-1084

●活動している場所

日本国内および全世界(特に極東ロシア、フィリピンなど)

●活動を始めた時期と経過

著名な環境活動家であるディビッド・ブラウワーの提唱によりアメリカで生まれ、その後、ヨーロッパに誕生した組織が集結し、1971年には国際環境保護ネットワークである「Friends of the Earth(地球の友)」の基礎が誕生した。80年代以降は世界的な環境悪化を背景として発展途上国や旧共産圏からの参加が相次ぎ、「先進国に偏らないネットワーク」という地球の友の基本理念が確立された。現在は、アムステルダムの本部を中心に、世界60カ国、100万人近い支援者、500人以上の専従スタッフを有するまでに成長し、WWF、グリーンピースと並んで、世界三大環境保護団体と称されている。

地球の友ジャパンは、このネットワークの一員として、1980年に誕生し、国内の他のNGOに先駆けて国際的な環境問題に取り組んできた。

●活動の目的・趣旨

国境を超えた視点をもって、人間活動によって引き起こされた環境問題を解決し、現在と将来の世代のために、生態的・環境的に持続可能であり、民主的で公平かつ公正な社会を実現することを目指し、その移行を促進する。

●活動の内容

地球環境問題の中でも特に、地球温暖化、開発援助が引き起こす環境や人権の問題の他、世界(特に極東シベリア)の森林破壊に焦点を当て、情報の収集および分析、問題解決のための戦略づくり、政府・企業などに対する提案・要請、国際ネットワークおよび国内の他団体との連携、普及啓蒙を目的とした講演、出版、その他情報提供などを行う。

●活動の課題

より多くの人々に問題を知ってもらい、支援者となってもらうこと。

●今後の予定

森林の分野では、世界の森林問題と国内の林業の問題をリンクさせ、両方を同時に解決するための戦略を推し進める予定。

●会費と通信

年会費…正会員、賛助会員とも、一般:5000円、学生:3000円、団体:10000円

通信…年4回のニュースレターの他、今年8月からは月1回を目標にメールマガジンも発行しています。

 

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