団体紹介

 

第二回   信州フォレストワーク  2000年8月号 

報告:中島佐代子

 

 みなさん、こんにちは。

 全国各地で森林ボランティア活動が大変盛んに行われているのはうれしい限りです。遅れ馳せながら長野県を中心に活動する森林ボランティア団体として98年夏に発足しました「信州フォレストワーク」をご紹介いたします。

 

● 長野と聞くとどんなイメージをお持ちですか?

 オリンピックのあの感動が忘れられない、信州信濃の山国、第2の故郷、アルプスと水と緑ときれいな空気・・、誰もが思うのは信州の豊かな自然でしょう。もちろん信州人もそれを誇りに思っています。

 ところが現実はどうでしょうか?地方発展の名のもとに自然は破壊され、河川はごみ捨て場と化し、高齢化も伴って山間農地は荒れ、かつての美しい里山は手入れがされず、つるが巻きつき荒廃しています。

 そんな現実を目の当りにし、自然を気遣う仲間が自分達の手で豊かで美しい自然を取り戻そうと「信州フォレストワーク」は立ち上がりました。

 

● 前置きが長くなりましたが「信州フォレストワーク」の具体的な活動をいくつかご紹介します。

 まず真田町赤井のけやきの森。かつて炭焼きが行われていた里山で、けやきを主体にクヌギやクリなどの広葉樹の森です。ここで炭焼き窯の復元に取組みました。炭窯造りと炭焼きの方法は地元の老人に指導を受けながら、会員が協力して窯造りと炭焼きを行い、その余熱で窯焼きピザを作り大好評でした。

 できた白炭は、自分達で編んだ小さな炭俵に詰め、消臭・空気清浄、インテリア用としてフリーマケットで販売しています。

 また、四季おりおりに自然観察会やつる細工教室、草木染め、キノコがりなど森の恵みを楽しみ自然とのふれあいを大切にしています。

 今年は炭窯の近くにログハウスを建造中です。これも基礎工事から全て会員の手作業で、チェーンソーワークを勉強しながらログを1段づつ積み上げています。来年には完成する予定で、会員の集まりや勉強会・作業場などとして大いに活用することが期待されています。

 

● 豪雨災害で崖崩れのあった小谷村中土地籍で3年前から一般にも公募し植樹を行い、「信州フォレストワーク交流の森」として森造りを行っています。

 2年間に渡ってミズナラ、キハダ、ヤマハンノキ、ブナを植樹し、そのあと毎年下草刈りを行てきました。今年の6月には下草刈りのあと近くの小谷温泉で山菜料理を囲み参加者との交流会を行い、汗を流した後に至福のひとときを過ごしました。

 

● もう一ヵ所の活動拠点として明科町の南陸郷の森があります。ここは赤松林と雑木林の里山で、高齢化で手入れがされないままで暗くやせ細った森となっています。ここでは地主さんといっしょに除間伐などの森林整備を行っています。

 普段、山に入らなくなった地主さんもこの時はお元気で、私達に昔の山仕事の話しなどをとてもうれしそうに語ってくれます。地元の人もいっしょになって活動するというフォレストワークの理念に近い活動となっています。松葉を掻いて地肌をきれいにし、かつてのキノコ山を取り戻すのが目標ですが、今は間伐材にナメコ、クリタク、ヒラタケを植菌し秋の収穫を楽しみに待っているところです。

 

● 今年はさらに国定公園の一角であり美ヶ原高原へ通じる林道に沿った美鈴湖東岸の広葉樹林の整備を任されました。ここはほとんど原生林に近く大径木もあり、植生も豊かな場所ですが、しばらく手入れがされていないため、つるがからみ太い桜の木がほとんど枯れてしまっているほど荒れた山となっておりました。

 6月末に自転車の全国大会「美ヶ原ロードレース」があるというので、それまでに荒れたままでは信州の名がすたるとばかり意気も上がりました。連日の整備活動により見違えるようになった森をみて、「ボランティア団体がここまでやるとは…」と驚かれたしだいです。

 急な斜面もあり、危険性も伴いましたが無事やり終えて一安心です。来年は桜の植樹を行う計画で、美しい自然と人々が共有できる森をめざして活動を続けていくつもりです。

 

● その他の活動としては、美林見学や里山ウォークなどを行っています。今年は木曾の赤沢自然休養林の見学を行い、美しい森林を満喫してきました。

 また夏にはフリーマーケットに出展し会員の手作りした木工品や竹細工、炭俵など自然素材を活かした素朴な品々を販売し楽しんでおります。

 

● 年間を通し月2回程度の活動を行っていますが、活動拠点が広い長野県内に点在し、会員は県外も含め広く散らばっており、なかなか大勢が集まることはできませんが、毎月発行しているニュースレターが活動予定の連絡や会員相互の意思疎通のための生命線になっています。

 課題としましては地元住民の自然に対する意識を向上させることと、もっと若い人を中心により多くの人々に参加していただき、自分達の自然は自分達の手で守るんだという森林ボランティアの輪を広げていきたいと思います。

 みなさんからのご意見・ご感想をお待ちしております。

 

 DATA 

● 本部(事務局)

〒381-2246

長野市丹波島1-725-5 中島 佐代子

TEL&FAX:026-285-2573

E-mail:mnaka@janis.or.jp

http://www.geocities.co.jp/NatureLand/1616

● 活動場所

長野県下全域

● 活動を始めた時期と経過

平成9年8月森林を気遣う有志5名により発足し、平成10年会則を定め団体として活動している。 平成12年6月現在

正会員63名(内県外5名),賛助会員3法人の会員から成り立っている。

● 活動の目的

森林と深く関わることにより、森林に対する理解を深め、森林づくりを進め、森林で学んだことを多くの人に伝え、健全な森林を次世代へ引き継ぐことを目的とする。

● 活動内容

 @「信州フォレストワークの森」の造成及び保育

 A森林とのふれあい活動

 B森林ボランティア活動

 C他団体との交流

 D通信の発行などによる広報活動

 E目的達成のための収益事業の実施

 Fその他 目的達成のために必要な事業の実施

● 今後の予定

間伐講習と交流会、炭焼きイベント、森の学校技術習得プログラムの企画及び実施、ログハウス造りなど

● 会費と通信

      年会費 正会員    5,000円

     家族会員  7,000円(1家族)

     賛助会員 10,000円(1口)

・通信 月1回発行

 

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