イラク、占領下の子どもたち

〜明日を夢見る自由を〜写真展

事務局よりの呼びかけ

 イラク戦争開戦から2年7ヶ月が経過しました。あの時、アメリカは世界の反戦世論を押し切ってイラク戦争を始めました。そして、日本も、紛争・戦闘状態にある外国へ戦後初めて自衛隊を派兵したのです。アメリカをはじめとする派兵国兵士の犠牲も多大なものとなっています。

 そして、忘れてならぬことは、今日に至るまでイラク人死者は12万人以上を数え、今なお、その犠牲者が増え続けているという事実です。

 開戦当時、世界のマスコミは悲惨な映像も含め多くの戦争報道を行いました。しかし、先のアフガニスタン戦争と同様、時の流れとともにイラクの人々の現実は世界に配信されなくなりつつあります。イラク政権樹立の過程、占領軍・爆弾テロによる犠牲者の数は報道されても、その数によって後景に押しやられているイラクの人々の生活や社会再建に向けた取り組みが私たちには見えません。

 生き残った子どもたちは、今、どうしているのでしょう。
 この度、企画する『写真展』は、『イラク自由会議(IFC)』『イラク子ども保護センター』のアザド・アフマドさんの協力で開催します。

 現在イラクでは、政権発足に向けアメリカをはじめとする占領軍が「掃討作戦」を展開してます。「治安回復」を目的に作戦を展開していますが、実際にはイラク民衆の殺戮に繋がっています。そして、これに抗するイスラム政治勢力による爆弾攻撃は、日々、イラクの人々の生活と命を奪う結果となりました。

 このような中で、占領軍の即時撤退とイスラム政治勢力の爆弾攻撃に反対し、民主的なイラク社会の再建・政教分離の政府をつくることをめざす『イラク自由会議(IFC)』の運動が、多くの市民、女性、労働者、地域の住民の参加で広がっています。

 私たちは、『イラク自由会議』のメンバーで『イラク子ども保護センター』に働く、アザド・アフマドさんを、今年の7月末から8月初旬に日本に招きました。

 彼は、「バグダッドは電気が1日4時間しかこない。失業率は60%を超え治安も悪くほとんどの子ども達が学校へ行けない。バグダッド市内だけでも7000名を超える子どもが麻薬に犯されている。戦争と占領で家を失い多くの子どもがストリートチルドレンになっている。売春がはびこり子どもの人身売買さえ起こっている。イラクの国作りにとって子どもたちを守りそだてることが緊急の課題。手をさしのべなくてはならない子があふれている。ぜひ支援をお願いしたい。」と『イラク子ども保護センター』への支援を強く訴えられました。

 『イラク子ども保護センター』は、バクダッド、キルクーク、スレイマニアでの活動を行っています。現在、幼児から高校生まで1000人以上の子どもたちを対称にしているとの事でした。

 その後、アザドさんよりイラクの子ども達の日常を撮影した写真が届けられています。現在届けられた写真は今年の9月13日と26日に撮影されたもの約40点。10月23日前後に撮影されたもの約40点(動画を含む)です。幼い子どもが働いている場面、下水があふれた廃墟に暮らす家族、家さえなく道にダンボールを引いてうずくまる母と子どもの姿。子どもに焦点を当てた「占領下の今」を写し撮っています。今後、更に写真70点。そして、子どもたちが実際に描いた絵画が150点あまり届けられる予定になっています。

 私たちは、『イラク、占領下のこどもたち〜明日を夢見る自由を〜』絵画&写真展を全国で開催することにしました。その願いは、イラクの現実を一人でも多くの人々に伝え、イラクの民衆による民主的なイラク社会の再建の取り組みに連帯すること。米軍・自衛隊など外国軍による占領を終わらせることです。

 2006年3月20日(開戦後3年)までに全国で1万人以上の鑑賞者を迎え、『イラク子ども保護センター』運営の寄付・カンパを募ります。多くのみなさんのご協力、お力添えをお願いいたします。

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