イラク、占領下の子どもたち〜明日を夢見る自由を〜

WEB写真展

バクダッドイラク子ども保護センターにて
2005年9月9日
(中央にいる男性がアサド・アフメドさん)
『チルドレンファースト』・『イラク子ども保護センター』について

 『イラク子ども保護センター』は『チルドレン・ファースト』とい国際NGOの運動の中で作られました。
 前湾岸戦争から10数年間の経済制裁と、2年半のイラク占領の下で進行する子どもの生活破壊や虐待が進んでいるイラクの中で子供の人権ははなはだしく侵害されています。

 国中の子どもが路上生活や児童労働を強制され、麻薬や誘拐や人身売買の被害にあっているという状況の中で、調査・援助を行い、子どもを守るシェルター運営などの活動を進めています。
 「社会が子どもを取り扱うあり様はその社会の人間性と自由を最も明瞭に物語る」と設立の宣言にうたい、イラク国内では北部のスレイマニアやキルクークを中心に活動を進めてきました。

 現在、『イラク自由会議(IFC)』のアザド・アフメドさんたちが中心になり、バクダッドや他の都市・地域に活動を広げ、運営のための支援を精力的に進めています。
『子どもの権利のための国際キャンペーン 設立文書』

ソラヤ・シャハビ、マンスール・ヘクマット 1999年11月13日

T.チルドレン・ファースト(CF)は、全世界で子どもの市民的権利と人権を守り子どもの生活条件と社会的地位の改善を求めて闘うために設立された、自発的な独立した団体である。チルドレン・ファーストは、全ての子どもの肉体的、精神的幸福と福利と自由な成長があらゆる環境の下で最優先されるものであると考え、子どもの立場がどんな社会や文化の価値をも測る根本的な基準であると見なす。社会が子どもを取り扱うあり様はその社会の人間性と自由を最も明瞭に物語る。どんな民族的、経済的、政治的、思想的、宗教的、文化的な意見や利害よりも、子どもたちが最初に来なければならない。

U.チルドレン・ファーストはその展望と活動の範囲の両方において国際的な運動である。我々は子どもたちの権利を擁護して、いかなる地理的、政治的、国民的、民族的、文化的及び宗教的な障害物や境界線を認めない。我々は子どもの権利は普遍的なものであると見ている。チルドレン・ファーストは可能な限り多数の国や居住地域にその活動を広げるように努める。

V.チルドレン・ファーストは市民の運動、すなわち関心を持つ全ての市民に訴える非政府組織である。社会の子どもたちの運命に関心を持つ全ての人がCFの会員ないし活動家になることができる。

W.CFは、子どもの権利と福祉を求めて闘うために、対議会の圧力団体として活動することから、民衆による大衆集会やデモや直接行動を動員することまで、自らの決定であらゆる合法的な手段を取る。CFはまた、社会の中の子どもの状況についての社会的な意識と感性を高めるための運動を継続して取り組む。

X.CFはまず何よりも、関心を共有する民衆の支援と貢献に依拠する。しかしCFはCFの活動を支援したがっている政府組織及び非政府組織のいかなる支援も歓迎する。

Y.CFは非営利団体である。原則として、限定された人数の専従職員を除いて、CFの活動家は無償を基本にして活動する。
路上で物売りをする少年たち
バクダッド ショルージャ地区 2005年9月26日
ストリートチルドレン
バクダッド ショルージャ地区 2005年9月26日
ホームレスの親子
バクダッド ショルージャ地区 2005.9.26
ガスタンクと少年
アルビルとキルクークをむすぶ路上 2005.9.13
生活の糧をあさる
アルビルとキルクークをむすぶ路上 2005.9.13
 イラク子ども保護センターは、1000名を超える子どもを対象にケアを進めている。
 9月、赤新月社(赤十字委員会)と協力し、子どもたちに鉛筆やクレヨン・靴などを手渡す取り組みを行った。
アザド・アフマド(IFC・イラク子ども保護センター職員)の手紙

 『イラク市民レジスタンス連帯委員会』からの500ドルのカンパを受け取りました。それはファルージャの子どもたちの靴や服の支援に使いました。キルクーク子どもセンターで対象にしている子どもは、幼児から高校生まで1000人以上。これから、日本の『イラク市民レジスタンス連帯委員会』と連携し、イラクの子ども絵画展など企画していきたいと考えています。

 絵画写真展についての私の考えは以下の通りです。
 私たちは、あと150枚の写真を持っています。私たちは絵を分類して、たとえば子どもと労働とか、ホームレスの子どもとか、貧困な子どもなどといった分類で展示をします。

 1週間前に送った写真は、商業地区であるバグダッドの中心部のショールジャ地区で写真を撮りました。ショールジャ地区では、さらに多くの子どもを見ることができます−5歳から15歳の年齢で、毎日厳しい労働をしているのです。

 家屋の中で撮られた写真は、バグダッドの中心部のショールジャ地区に近いアル・マイダン地区で撮られました。
 それから、一人のイラクの子どもの生活をおった短編ビデオ・フィルムについて制作したいと考えています。現在このフィルムはできていませんが、私の考えでは、30分かそれより短い短編フィルムを作ります−近々作る予定です−しかし私は大変忙しいのでそれが問題です。

2005年10月18日 スレイマニア
廃墟で暮らす
汚水があふれる廃墟
バクダッド アルマイダン地区 2005.9.26
放置されたゴミの山
バクダッド アルマイダン地区 2005.9.26
ゴミが街中に放置されたままである。
イラクの夏は摂氏50度にもなる。
弾痕の残る家で
バクダッド ムジャマアッサラーム地区 2005.9.26
病気の妹を抱く少女
バクダッド アルフセイニア地区 2005.9.26
病気の赤ん坊を見守る家族。
薬が不足し、十分な治療を施せない。
破壊された街の中で遊ぶ子どもたち
バクダッド アルフセイニア地区 2005.9.13
瓦礫にたたずむ少年たち
バクダッド アルフセイニア地区 2005.9.26
米軍による爆撃で腹部に傷を受けた少年
バクダッド アルマイダン地区 2005.9.26
アザド・アフマド(IFC・イラク子ども保護センター職員)の手紙(続き)

現在、私はドゥニヤ・クデール・カリル(Dnya Khder Khalil)という名前の女の子の写真を持っています。彼女は3歳半で、スレイマニヤ政府のカラドザ市で暮らしています。彼女の母親は1年前に自らの身を焼いて亡くなりました。その理由は、彼女の夫−ドゥニヤの父親です−が彼女に対してとてもひどい扱いをしたからです。

 そしてドゥニヤの父親のドゥニヤに対する扱いは非常にひどいもので非人間的なものです。
 例えば、1ヶ月前、正確には2005年9月15日に、ドゥニヤの父親は彼女の腕と足と背中を焼きました。−私たちはその写真を持っています。

 こちらでドゥニヤについての知らせを聞いたとき、私たちはドゥニヤを助けるためにカラドザ市を 訪れました。現在、彼女の父親は警察署に入っています。ドゥニヤは私たちが保護しています。私たちは彼女のためにお金や衣服を提供し、彼女は普通の生活をし、家族と共に暮らしています。そしてまた、この家族は私たちの仲間となっています。

 ドゥニヤの写真を送ります。
ドゥニア・クディール・ケリル(3歳半の少女)
イラク子ども保護センターのアサド・アフマド(左)とサカール・サエド(右)が彼女を救うために訪問した。 2005.10.5
父親に焼かれたドゥニアの腕と足。
スレイマニア カラドザ市 2005.10.5
ドゥニヤ・クディール・ケリル(写真の少女)について

 ドゥニヤ・クディール・ケリルは3歳半の少女で、バクダッドの北方500km・スレイマニア近くのガラザド市に住んでいます。彼女の父親は家族にひどい暴力を振るう人物で、耐えられなくなった彼女の母親は1年前に自分の身を焼いて亡くなってしまいました。さらに父親はドゥニヤを虐待しました。2005年9月15日、彼女の腕と足と背中を焼いたのです。

 この知らせを聞いた『イラク子ども保護センター』のアザド・アフメドさんたちが弁護士とも相談しながらドゥニヤを救い出し、子ども保護センター職員の家族の中で安心して暮らせるようにしました。

 アメリカ軍によるイラク占領、市民生活の破壊が進行する中で、特に女性や子どもにこのような犠牲が押しつけられています。そして2005年10月15日に投票された「イラク憲法」では、イスラム教を国家の公的な宗教にして「イスラム教の支配に反するいかなる法律も承認されない」と規定しています。
 1400年前につくられたコーランの規定を実行させるシャリア法(イスラム法)を人々に押しつけるのです。その下では女性は全く権利を認められません。ベールの着用を義務づけられ、名誉のための殺人(家族の意に添わない結婚をしたりレイプされた場合家族に殺される)が合法化される。占領以来すでに数千人の女性がその犠牲になっているのです。子どもの養育権もありません。

 占領下、シャリア法を強制する「イラク憲法草案」が押しつけられようとしているイラクの中で、子どもの置かれている状況の典型的な事例として、アザド・アフメドさんから紹介された事例が、3歳半の少女ドゥニヤちゃんなのです。ドゥニヤちゃんの母親もそうした状況の中での犠牲者でした。母親の命を奪われ、自らも父親によって身体に火を付けられるという耐えがたい被害を受けているのです。

 このような子どもに対する虐待に対して立ち上がり、ドゥニヤちゃんを保護したのが『イラク子ども保護センター』です。『子ども保護センター』には1000人以上の子どもが集まり、子ども、母親の生活や人権を守る取り組みを進めています。民主主義を取り戻し、豊かで自由な社会生活再建をすすめる取り組みこそが、アメリカ軍をはじめとする外国軍による軍事占領支配と、イスラム政治勢力による無差別爆弾攻撃、そして人権を否定する「憲法草案」に対する『イラク自由会議(IFC)』の対案です。

 人間を宗教、宗派や民族、部族によって分断するのではなく、人間として認めていく社会を作ることが『イラク自由会議(IFC)』の目的なのです。この様な背景の中で『イラク子ども保護センター』は子どもの人権回復と生活提供を社会の最優先事項にするために設立されました。
テニア・クディール・ケリル(ドゥニアのの兄、4歳半)
現在カラドザで母親も妹もいない中、悪い父親と共に暮らしている。 2005.10.5
イラク子ども保護センターの活動
子どもたちにクレヨンとお菓子を配布 2005.10.26
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