現代企画室

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セレクトブック

「セレクトブック」のコーナーでは、現代企画室の本をひとつのテーマのもとにジャンルを横断してご紹介します。現在約400タイトルに及ぶ現代企画室の本をさまざまなテーマで結び合わせてみると、新たな世界が見えてくるかもしれません。

第4回 「65年目の夏に——分断の「戦後」を振りかえる」

現代企画室では2010年の前半、20世紀後半の歴史的事件、とくに第2次世界大戦終戦前後のできごとに深くかかわる本を立てつづけに刊行しました。
それぞれの本を見れば、南アW杯の開催、緊迫するパレスチナ情勢、普天間問題など世の中の動きに刺激され、息せき切ってつくってきたのですが、いま立ち止まって考えてみると、今年これらの本が集中して出たことには何か理由があるようにも思えます。
冷戦が終わり、90年代、00年代をへても一向に霧が晴れず混迷を深める世界。解きがたいさまざまな矛盾を形づくった1940年代、50年代に、改めて目を向けようという機運が高まっているのかもしれません。当時をよく知る人たちの生の声がきける最後のチャンスでもあれば、戦後半世紀がたって入手が可能となった新史料の存在もあるのでしょう。
現代企画室ではこれまでにも、大国に翻弄され分断された民族や国家の問題をあつかう本を数多く出版してきました。これらを読むと、分断と抑圧の悲惨さもさることながら、そこから新しい秩序を回復するのにも非常な苦しみをともなうことがわかります。同時に、困難だからこそ未来に希望をもつことが大切なことや、あるべき世界を構想するためのさまざまなヒントにも気づかせてくれます。
終戦から65年目をむかえるこの夏におすすめのセレクトブックです。

カントリー・オブ・マイ・スカル

南アフリカ真実和解委員会〈虹の国〉の苦悩

アンキー・クロッホ/著

定価2800円+税

人種とはなにか?    国民とはなにか?    そして「真実」とは?    南アフリカの白人である著者が、深刻な暴力と分断を克服する「和解」のプロセスに向き合い、幾多の傷口から生まれた言葉で世界言葉で世界に問いかける。

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〈鏡〉としてのパレスチナ

ナクバから同時代を問う

ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉/編

定価2400円+税

イスラエル建国にともなうパレスチナ人の大災厄として、ナクバを固定化させてはならない。ナショナリズムと排外主義に満ちたこの時代が、いまパレスチナという〈鏡〉に映し出される。

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地のなかの革命

沖縄戦後史における存在の解放

森  宣雄/著

定価3000円+税

沖縄と奄美、世界をつなぐ「消尽する革命」の大地。新史料と哲学によって明らかにされた新たなる世界史!  占領下に生まれた「存在の解放」の思想とは?

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開戦前夜の「グッバイ・ジャパン」

あなたはスパイだったのですか?

伊藤三郎/著

定価2200円+税

スパイとは何か、ジャーナリストとは何か?  日米開戦をめぐり情勢が緊迫した1940年代初頭、歴史的スクープを連発した駆け出しの米国人記者、ジョセフ・ニューマンの謎に迫る。

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子どもたちと話す    天皇ってなに?

池田浩士/著

定価1200円+税

「天皇」は、私たちの生活とは縁遠いもの?    祝祭日はどこからきたのか。戦争を経て、「天皇」のあり方はどのように変わったのか。おじいちゃんと孫たちは、世代を超えて自由な意見を交わす。

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娘と映画をみて話す    民族問題ってなに?

山中速人/著

定価1300円+税

さまざまな「民族問題」にあふれる世界。でも、民族って一体なに?「クラッシュ」「ライフ・イズ・ミラクル」など、数かずの話題の映画を観て、民族問題の背景を知る。

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アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない、恥辱のあまり崩れ落ちたのだ

モフセン・マフマルバフ/著

定価1300円+税

映画『カンダハール』で世界的な注目を集めるイラン映画の巨匠が、苦しみにある隣人のために綴り、アフガニスタンへの世界の無知に差し出したメッセージ。

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失われた記憶を求めて

狂気の時代を考える

文富軾/著

定価2500円+税

1980年代に韓国社会を覆った暴力の記憶はどこへ消えたのか。当時「反米・民主化運動の闘士」として投獄された著者による、まだ癒えぬ傷痕から生まれた「暴力論」。

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金日成・金正日体制と東アジア

渥美文夫/著

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北朝鮮の金父子体制の批判的分析もないままに有効性なき旧来の理論にしがみつく日本進歩派と左翼の理論的停滞を内側から撃ち、来るべき東アジアの未来を展望する。

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アメリカの「人道的」軍事主義

コソボからの教訓

ノーム・チョムスキー/著

定価2800円+税

「民族浄化を阻止するための人道的な」軍事介入。ユーゴ爆撃に際して米国が使ったこのレトリックの本質は何か。舌鋒鋭く米国の対外政策のごまかしを批判する。

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東西冷戦・狂気の浪費

核兵器蓄積競争の出発点をめぐって

足立壽美/著

定価2200円+税

核兵器備蓄競争の道をひた走り始める、1945年直後の米ソの姿を、新資料を駆使して、米国側の動きから探る。核兵器の問題に取り組み続ける著者の第三作。

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