軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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第138号(2002年7月28日発行)

久しぶりの編集後記

 「テロ国家」による人殺しが続いている。

 米軍は七月一日、アフガン南部で結婚披露宴の式場を爆撃し、住民四八人が死亡、百人以上が負傷した。米国は地上攻撃に対する反撃だったと主張しているが、英紙・タイムズは、現場から対空兵器の破片は発見されなかったうえ、米兵らが被害の証拠を隠滅した可能性を指摘している。七月二一日付ニューヨーク・タイムズは米軍のアフガン攻撃で民間人の死者が四百人にのぼると報道した。米・ニューハンプシャー大のM.W.Herold教授の調査では、米軍のアフガン空爆での一般市民の犠牲者は三千〜三千四百人にのぼるという。イスラエルは、七月二三日、F16戦闘機でガザ市内を空爆し、一五人を殺害し、死傷者は百六十人にのぼっている。その後も報復が報復をよび、連日殺戮が続いている。

 七月二九日の普天間代替施設協で、新基地の基本計画案なるものが決まった。辺野古沖のリーフを埋め立て、二千五百メートルの滑走路を持つ基地を建設するというもの。六年前、日米で合意した「撤去可能で、長さ千五百メートルの海上基地」に比べても、遙かに環境に与える影響は大きい。「成長神話」を反省し、「持続可能な発展」を世界中が模索している今日、テロ国家・米国の軍隊のために、貴重な環境を破壊する。何という時代錯誤。「ちゅら海」を差し出すだけでなく、建設費も維持費も日本持ちだ。稲嶺が合意したのはわからぬではないが、岸本建男までも合意している。彼は、かつて「逆格差論」を説いた男だ。たかだか年百億の端金のために、リーフを埋め立てる米軍基地を認めるとは、とんだ「逆格差論」のなれの果て。

 関東ブロックの学習会では来間泰男氏をお招きして沖縄の経済についてわかりやすく解説していただいた(付録に講演全文を掲載)。「軍事基地は絶対悪であるから無くすべき」という。まことにしかり。しかし、「経済問題としての基地は、カネを撒くという意味でプラスといわざるをえず、基地の撤去は経済的にはマイナスなのである。マイナスであっても基地は無くすべき」という。そうだろうか。「富」とは単なる金ではない。環境資源は、通常市場価格こそ存在しないが、生活や生産に多大な便益を与えている。「グリーンGNP」は環境上の「富」の増加や減少をも含めた真の経済的な福祉の大きさを表す指標である。「経済的にはマイナスであっても基地は無くすべき」では、人々を納得させることはできないだろう。大田が稲嶺にあっさりと負けたことでもわかる。残念ながら、一般の人々は反戦地主のように高潔ではない。基地はいや、でも金は欲しい。それはしかたがないことだ。基地撤去は経済的にも「ペイする」ことを示さなければ、人々の総意に基づく基地撤去は不可能だ。経済学者にはそれが求められている。「土地は万年。金は一時(阿波根昌鴻、二頁参照)」          (ま)