沖縄県収用委員会審理記録

松島暁弁護士(土地所有者代理人)


○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 地主代理人の弁護士の松島です。

 私は、求釈明事項の五の4以降について求釈明を行います。

 まず、楚辺通信所及び瀬名波通信所について、平成13年3月31日まで、この期間をもって起業者は申請を行っております。そこでお尋ねいたします。

 平成13年3月31日までには、対象土地を確実に返還することを土地所有者に確約することができるのか否か。この点についてお答えいただきたいと思います。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 大変申しわけございませんが、これも平成9年3月10日付で県収用委員会に対しまして、本審理になじまない旨、回答してございます。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 平成9年3月10日付の求釈明申立書の送付について、回答と言われる書面、確かにこれではなじまない事項という回答がなされております。しかし、申請理由の中で、国はあえて平成13年3月31日までに使用期間を変更したわけであります。それ以降もこれを基地として使う必要性があるのであれば、その他の施設と同様、10年間の申請でもよかったはずであります。それをあえて3月31日まで変更されたわけであります。この期間まで土地を使えればいいということを意味するというふうに私は考えるのですが、それでも、返さない返すということについて、これはなじまないんだというふうにおっしゃるんでしようか。その点だけお答えいただきたい。

○当山会長代理 

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 ただいま、お答えしたとおりでございます。

○当山会長代理

 今、ちょっと質問ですけれども、確実に返還できるかというのが主体なのか、変更理由を聞きたいのが主体なのか。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 変更理由は申請書を読みますと、SACOの最終報告との関係で政治的な調整をとられたのではないかと、私どもは想像しておりますけれども、期間を変更されたのであれば、それは、その期間まで使えればいいと。それ以降については、また使う必要が出てきたら改めてそこで強制使用の手続きをされると、そういう見通しでやっておられるんでしょうか。

 SACOの最終報告を本当に尊重されるということであれば、ここで13年の3月31日がきたらばその土地は確実にお返ししますという答えをいただいても、何ら私は無理なお願いをしているとは思えないわけです。ところが、なじまないということで、回答を拒否されるわけです。そうすると、やはりその後も、この期間がきても、そのまま必要であれば引き続き使うと、国が必要と判断すれば、その後も引き続き使うつもりだというふうに思っていると、邪推かもしれませんが、思わざるを得ません。

 そういう私たちの邪推がないように、そこは明確にお答えいただきたいというのが、私の希望であります。いかがでしょうか。

○当山会長代理

 いかがですか。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 先ほどお答えしたとおりでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 時間もないですので、続いて楚辺通信所と瀬名波通信所以外の施設について、求釈明事項五の5についてお尋ねいたします。

 使用期間を10年とした根拠は何か、米軍と交渉した上で決めたのか、交渉したのであればその内容、経緯を各施設ごとに明らかにしていただきたいということであります。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 楚辺通信所及び瀬名波通信所以外の施設について、使用期間を10年とした根拠は何か、米軍と交渉した上で決めたのか、交渉したのであればその内容、経緯を明らかされたいとの事項について、回答いたします。

 当局は、今回の裁決申請にあたり、日米安全保障体制は我が国の存立と繁栄にとって不可欠であるのみならず、極東の平和と安全の維持にも貢献しており、日米安全保障体制の維持は、今後とも国政の基本としていくことの方針が確認されていること、在日米軍の駐留は日米安全保障体制の核心であり、我が国は地位協定に基づき、施設及び区域を駐留軍に提供する義務を負っていること、このことから、我が国として引き続き日米安全保障体制の効果的運用を図るため、施設及び区域の円滑かつ長期にわたる安定的使用を確保する必要があること。一方、貴収用委員会は今回の手続対象土地の大部分、約8割を対象とした昭和62年の裁決において、使用期間を10年としたこと等の事情を考慮し、使用期間を10年としたものであります。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 関連して、今のお答えを踏まえて1点だけお聞きいたします。

 そうしますと、使用の期間を10年とした根拠は、収用委員会がかつて10年とした例が多かったから、10年を申請したんだというふうにお聞きしてよろしいでしょうか。

○当山会長代理

 どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 それも一つでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 それも一つというと、ほかにあるかのように聞こえるわけですけれども、10年という期間を防衛施設局のほうで区切って申請されている以上は、何らかの基準、根拠、これがあるはずです。もし、ないとするんであれば、私が先ほど指摘したように、収用委員会が過去に10年だから適当に10年としておこうかという、いいかげんな申請になってくるわけです。いやしくも防衛施設局が、そのようないい加減なことをやっているとはとても思えません。その基準がないのかあるのか、あるとしたら、それはどういう基準に基づいて10年としたのか、この点をお聞かせいただきたいということであります。

○当山会長代理

 防衛施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 我が国として、引き続き日米安全保障体制の効果的運用を図るため、施設及び区域の円滑、かつ長期にわたる安定的使用を確保する必要があるということでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 それでは、最後に求釈明事項五の6についてお尋ねいたします。各施設について、その使用方法についてお尋ねいたします。

 何を根拠にして使用の方法を決めたのか、その使用方法について、米軍と交渉して決めたのかどうか。交渉して決めたのであれば、その内容、経緯を各施設ごとに明らかにしていただきたい。お願いいたします。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 使用方法について、何を根拠にして使用の方法を決めたのか、米軍と交渉して決めたのであれば、その内容、経緯を明らかにされたいとの事項について回答いたします。

 本件土地は、従来から駐留軍が使用してきている土地でありますが、駐留軍から使用方法を変更するということについて、何ら提案がないことを踏まえ、当局は駐留軍用地特措法の手続きをとるに際して、各対象土地の使用実態を調査し、実態に即した使用方法としたところであります。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 1点だけ確認いたします。

 そうしますと、この使用方法については、起業者として独自の調査に基づいて施設局の判断として決めたというふうに聞いてよろしいんですか。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 (回答なし)

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 お答え聞いてますと、米軍が従前どおりに使っているから、それをそのまま認めるように聞こえるんですが、これは米軍が使っているのであれば、そのとおりに使わなければいけないというふうに国で考えているというふうにも聞こえますので、起業者としての判断としてこの使用方法を決めたというのか否か、この点についてお答えいただきたい。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 先ほど回答したとおりでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 防衛施設局として決めたというふうにお聞きしてよろしいですね。いかがでしょうか。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 先ほど回答したとおりでございます。

○当山会長代理

 それでは、先ほどの回答をちゃんと文書にしますので、後で検討してみてください。

○土地所有者代理人(弁護士 松島暁)

 以上であります。

○当山会長代理

 それでは、引き続きまして、新垣勉さん。よろしくお願いします。


 出典:沖縄県収用委員会 公開審理議事録
    違憲共闘会議提供、テキスト化は仲田

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