沖縄県収用委員会審理記録

阿波根昌秀弁護士(土地所有者代理人)


○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 地主代理人の阿波根でございます。申請理由の最後の表をごらんいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 その中で、嘉手納弾薬庫の部分がございます。嘉手納弾薬庫の施設及び区域の使用の方法及び期間についての記載なんですけれども、嘉手納弾薬庫地区には、沖縄市、読谷村、嘉手納町、三つにまたがる土地が記載されておりますけれども、その中で使用の方法として、弾薬地区はすべて日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の弾薬庫保安用地として使用するとあります。弾薬庫の保安用地です。弾薬庫そのものの用地ではなくて、保安用地とこの中では書かれております。この保安用地というのは一体何だろうかと。

 ちなみに、嘉手納飛行場の使用方法の中で、保安緩衝地帯用地という言葉があるんですけれども、まずその保安用地というのはどういうことなのか。

 保安緩衝用地との違いは何なのか、ご説明いただきたいと思います。

○当山会長代理

 はい、施設局どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 嘉手納弾薬庫について、保安用地とあるが、保安緩衝地帯用地との違いは何か等の事項について回答いたします。

 嘉手納弾薬庫地区に所在する各土地の用地は、すべて弾薬庫保安用地であり、保安緩衝地帯用地は存在いたしません。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 存在しないということじゃなくて、その言葉の意味を聞いているわけです。保安緩衝地帯用地と保安用地の言葉の意味の違いを聞いているわけです。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 米軍は、弾薬庫に貯蔵する弾薬の種類及び貯蔵量に基づき、有人建物または公道等までの保安距離を定めていると承知しております。この安全確保の観点から、確保されるべき地域を弾薬庫保安用地としていると聞いております。

○当山会長代理

 質問は、保安用地と保安緩衝地帯用地とどう違うかという質問のようですけど。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 では、今保安用地をお答えいたしましたので、次に嘉手納飛行場の部分で答えようと思ったんですが。

 米軍の飛行場設計基準の中で、滑走路及び着陸帯以外に、航空機の飛行上の安全を図るのに必要なクリアゾーン及び転移表面化に位置する土地等、及び航空機の騒音の軽減のため必要な区域を総称して保安援衝地帯用地としていると聞いております。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 ただいまのお答えですと、保安用地というものは弾薬庫からの安全の必要な距離、それを確保して、必要な範囲内の土地がその保安用地だというような説明があったと思うんですけれども。保安用地を、例えば嘉手納弾薬庫の施設の中には、フェンスで囲まれた部分もありますし、あるいはそのフェンス外の土地もあるんです。弾薬庫を直接貯蔵するためのその用地として、そのフェンス内の土地もあるし、フェンス外の土地もあるんですけれども、そのフェンス外の土地もフェンス内の土地も、いずれもその弾薬庫の保安用地と見てよろしいんでしょうか。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 そうでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 分かりました。

            (場内より発言する者多数あり)

○当山会長代理

 ちょっと静かにお願いします。質問も答えも聞こえませんので。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そうすると、私が質問したい趣旨は、要するに保安用地として必要な部分はどこまでかと、区域的な範囲はどこまでが必要かという基準があるかないかということを聞きたいわけです。それで、嘉手納弾薬庫として使用される土地の中で、すべてが使用目的は保安用地と規定されています。その保安用地の範囲内、その位置的に範囲を決める基準があるのかどうか、それをお聞きしたいです。どうぞお答え願います。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 米軍は、弾薬庫に貯蔵する弾薬の種類及び貯蔵量に基づき、有人建物または公道等までの保安距離を定めていると承知しています。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 具体的に、防衛施設局が、申請するのは防衛施設局なんです。どこまでが必要なのかというその基準、それは防衛施設局、国はお持ちなんでしょうか。

○当山会長代理

 今の質問は施設局独自に基準があるかという質問ですか。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そういうことです。米軍は基準はあると言っています。施設局はもっていますかということなんです。

○当山会長代理

 施設局、どうぞ。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 施設局はございません。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そうすると、施設局は全くないというわけでしょう。申請しているのは、それは申請しているのは防衛施設局なんです。何を判断基準にして、使用認定、この区域が米軍用地として必要だという、その範囲を、区域を決める、それは防衛施設局は独自でその判断はなさらないんですか。

○当山会長代理

 どうぞ、施設局。基準についての質問だと思いますが。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 先ほどお答えいたしましたけれど、米側には基準がございますが、日本側にはございません。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 それは全くでたらめな、無責任な回答だと思います。嘉手納弾薬庫の中には現在劣化ウランがあるんです。復帰前には、いわゆる毒ガスもありました。マスタードガスも、サリンもありました。核兵器もありました。そういうような危険な施設なんです。その危険な施設、その施設として確保すべき保安地帯としての範囲は、おのずから日本政府独自でそれを持っていなくてはいけないはずなんです。全く持ってないということ、これは理解できません。全く米軍の言いなりにやっているんですか、その範囲は。

○当山会長代理

 あとは意見になりそうなんですが。事実上……。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 範囲を決める基準をもっているはずだと言っているわけです。それを聞いているわけです。

○当山会長代理

 もってないと答えているんですが。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そんなことはありませんよ。

○当山会長代理

 また聞きますか。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 また聞きます。

 例えば、嘉手納弾薬庫の土地の中には、これは沖縄市に1筆、読谷村に7筆、嘉手納町に1筆ありますね。その土地の中には、弾薬庫のすぐ側にある土地もあるんです。ところが、58号線のすぐ側にある土地もあるんです。どうしてその58号線の側の土地まで保安用地として必要なのかどうか。

 これは、まさに強制使用の必要性との関連でお聞きしているわけです。何らかの基準があって初めて、それは強制使用の申請はできるわけでしょう。全くその基準がなくて、アメリカの基準があるでしょうということで申請したと。全く合理的説明はないわけです。

 そういうことでお聞きしているんですけど、どうでしょうか。それでも全くないというんですか。

○当山会長代理

 施設局、何かそれについてさらに説明ありますか。あるのか、ないのかでも結溝です。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 前回お答えしたとおりでございます。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 防衛施設局がなければ、国の基準としてありますか、施設局がなくても。国の基準としてありますか。合同委員会で決めるわけでしょう、区域の範囲は。その国の基準として持っておりますか。

○当山会長代理

 防衛施設局以外の今質問ですね。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 そうです、施設局はなくても。

○当山会長代理

 答えられるんだったら、じゃ答えてみてください。基準の問題ですから。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 (回答なし)

○当山会長代理

 阿波根先生、要するに答えられないということじゃないですか。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 黙秘しているものですから。今、黙秘権はないはずですよ、ここでは。黙秘権はありませんよ、ここでは。

○当山会長代理

 ですから、それをずっと続けていきますかということです。

○土地所有者代理人(弁護士 阿波根昌秀)

 次の方が待っていますので、それほどできませんけど、答えることはできないのか、ないのかだけ、1点。そこで終わりたいと思います。

○当山会長代理

 では施設局、お願いします。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 米軍には基準がありますが、日本側にはございません。

○当山会長代理

 次、河内謙策さん、お願いします。


 出典:沖縄県収用委員会 公開審理議事録
    違憲共闘会議提供、テキスト化は仲田

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