42 沖縄に行ってきました。 (2008年10月30日 執筆  11月7日掲載)  

 わずか2泊3日でしたが、25日(土)から沖縄に行ってきました。同行はベ平連以来の仲間、原田隆二さん、小沢遼子さん、遠藤洋一さんで、4人のグループ。主要な目的は、昨年、連れ合い、祐子の散骨をした慶良間諸島の沖合を再訪することでした。
 今度も昨年同様、宜野湾マリーナの港長、詩人の真久田正さんの好意で、13メートルもある大きなヨットを出してもらえました(右の写真)。私たち以外に、ヨット仲間6人(うち、幼い子どもが1人いましたが)が、操舵や帆を上げ下ろしする作業のために乗り組んでくれました。昨年と全く同じになったのですが、海に出た26日(日)だけは、沖に出ると空は晴れ上がり、風も強くなく、実に快適なクルーズになりました。翌日になったら雨も風も出てきたのも去年同様で、天候にもまったくめぐまれました。
 海のきれいさは言うまでもなし。若ければ、アクアラングをつけて底の美しいサンゴ礁など、見たい思いでした。慶良間の沖では、花束やあんパン、どら焼きなどを海に入れました (左の写真)。墓ではないのですから、どういう意味があるなどということでもなく、何となく、そうしたかったというだけ。 帰路には、この大型ヨットの「操舵」(?)もちょっとさせてもらいました(右の写真)。仲間たちや、沖縄の人びとへの感謝でいっぱいです。
 真久田さんの詩集の中には『真帆船のうむい』というウチナーグチ(沖縄語)で書いた詩集があるのですが、漢字を使ってあれば、目で見て、意味はかなりわかります。しかし、発音だけで書かれてあると、全く理解できません。(この真久田さんの詩集などについては、本欄の
29 散骨のための沖縄旅行をごらんください。 那覇の書店で『ウチナーグチに強くなる本』というのを買ったのですが、これは収録語数が少なくてあまり役に立ちませんでした。帰京後、AMAZONで調べて、高良勉『ウチナーグチ(沖縄語)練習帳』(日本放送出版協会) (左の写真)、内間直仁・野原三義編著『沖縄語辞典』(研究社)、そして西岡敏・仲原穣著『沖縄語の入門』(白水社)の3冊を買い直しました。これは役に立ちそうです。どこまでできるかわかりませんが、高良さんの本で沖縄語の勉強もポチポチ始めたいと思っています。
 ところで、真久田さんは、この高良勉さんや目取真俊さんほかの人びとともに、「21世紀同人会」というグループを作っており、琉球弧の自立・独立論争誌『うるまネシア』 (右の写真)を発行しています。
 ちょうど、私たちが沖縄を訪れた日、その第9号(10月30日付)が発行されたばかりで、その編集・執筆仲間が集まって合評会をやっており、私たちも、その会場の居酒屋「LE キオス」に呼ばれました。その居酒屋の経営者、河合民子さんは『うるまネシア』の 同人とかなりメンバーが重なる詩と批評の雑誌『KANA』(左の写真)の同人で、『KANA』も第16号が出たばかりでした。合評会は、あるいは『KANA』のほうも兼ねていたのかもしれませんが、その辺はよくわかりませんでした。この店の入り口には那覇九条の会の集会案内などが沢山張られていました。
 合評会の間は、私たちは隣の別のテーブルで飲んでいたのですが、終わってからはテーブルをくっつけて、一同の紹介、懇談となりました (右の写真は真久田さんと小生)
 そこへやはりベ平連時代からの知り合いで、今、沖縄でマンゴー園を経営している平良良昭さんも原田さんに呼ばれて加わってきました。ところが、そのうち、平良さんと、『うるまネシア』のメンバーのうちの一人とで、沖縄差別と沖縄自立をめぐって議論となりました。そのやり取りの激しいこと! ほかにもう客はいなかったのですが、その居酒屋中鳴り響くような大きな声での激論です。私も少し口を挟もうとしたのですが、たちまち弾き飛ばされました。こんな論争は、60年代末期から70年代にかけては、東京の飲み屋でもよく展開されたのですが、最近ではすっかり姿を消していました。それだけに、この那覇での論争をわきで聞いていて、久しぶりにその熱気に打たれ、感無量、 こういう議論ができるのを、少しうらやましく思いながら、ひたすら聞き入っていました。
 この「特集・ちゃーすが沖縄」(「ちゃーすが」は、買ったばかりの『沖縄語辞典』によれば、「どうするのか」という意味とのこと)の『うるまネシア』に載っている文章のほとんどは、深く考えさせる問題提起を含んだものばかりでした。その中には、一昨年、藤原書店から刊行され、かなり話題となった松島泰勝著『琉球の「自治」』をとりあげた26ページもの 長文書評(宮良長起 筆)が載っていました。帰京後、藤原書店の藤原社長と電話で話した際、そのことを伝えますと、ぜひ読みたいというので、2冊もらったうちの1冊を今日、郵送し たところです。
 那覇では、琉球織の小袋と、線彫魚紋のコーヒーカップ(右の写真)を買いました。この魚紋のカップは前からほしかったものでした。人間国宝、金城次郎一門の金城敏幸の作ということで、結構な値段でしたが……。
 先週の山中湖でに続いて、今度は慶良間沖へのヨット行。ちょっと贅沢な半月を経験できました。