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全国環境教育ネットワーク

ご紹介

1:全国環境教育ネットワーク設立の経過
「全国環境教育ネットワーク」は、1996年2月に行われた日教組全国教研(於・大阪府)の第17分科会「環境と公害・食教育」に参加した有志約40人で結成した、ゆるやかなネットワーク組職です。
「あとがき」にもあるように、同分科会では、それまでも毎年のように環境教育の視点や方向性にかかわる問題が議論されてきました。たとえば、環境と美化、環境と個人の倫理(こころがけ)、社会構造の問題と個人の努力の限界、リサイクル万能論の問題点、原発と環境、公害問題と環境問題の違い、加害者でもあり被害者でもあるという論理の問題点、市民運動と教育内容のつながり方、環境教育を通して私たちが子どもたちに伝えたいことは何なのか、etc.……。
 しかし、正直いって議論がかみ合わないことも少なくなく、全国集会でありながら議論がなかなか進展しないという状況が続いていました。また、全国津々浦々の教室でも、そうした問題が整理されないままに授業実践が行われているという現実と教職員の苦悩が、個々がもち寄るレポートのなかにも色濃く出ていました。
 毎年同じような議論が繰り返される問題は、教研(教育研究集会)という場で議論するということそのものの限界を意味していました。教研とは、互
いの教育実践をもち寄って相互学習する場であり、議論の土台は参加者がもち寄る個々のレポートです。
 参加者は各単位組合(以下、単組と略)から選ばれ、多くの単組でその顔ぶれは毎年変わります。したがって、全国教研で学んだことを還流集会などで報告したとしても、一分科会の議論の中身を全組合員に伝え、それをさらに共通認識にまで高めることは、集会の性格上、とうてい不可能なわけです(けっして教研を批判しているわけではありません)。
 一方で、「学校の環境教育を何とかしたい」「環境教育を広げていきたい」という熟い思いをもって全国から集まってきた参加者は、議論を開きながら「このままではいけない、いいっぱなしで終わってしまってはまた同じことが繰り返される」というジレンマや焦りを感じていました。
 そうした状況のなか、共同研究者(当時)であった黒田洋一さんが「環境教育をすすめていくための視点づくりが日教組として必要である」とまとめられ、参加者の多くがそのまとめに賛同しました。
 当初、日教組にその作業をする組識をつくるよう働きかけることも考えましたが、現実問題としてさまざまな課題があることもわかってきました。そこで、環境教育の視点を私たち現場教職員で積み上げていくためには、全国で実践している仲間が日常的に交流できるネットワーク的な組織を、私たちでつくっていく方がいいのではないかという認識に至りました。そして「全図環境教育ネットワーク」(略称:環境ネット)の発足を見たわけです。

2.活動目的と活動内容
 設立当初、私たちは当面の活動として、次のような内容を確認しました。
 @当面年4回程度の会報の作成を中心とし、その会報に自分たちのレポートや単組の近況を寄せることで、互いの情報交換や学習を行っていく。
 A設立の経過から、今後も日教組に対して環境教育に関する提言を行い、日教組がリップサービスでなく真剣な態度で環境教育に取り組むよう働きかけていく。
 B大阪大会で議論のあった「環境教育をすすめていくための視点」を明確にしていく努力をする。
 C参加者は環境教育に関心のある全国の教職員、さらに上記の内容に賛同する人とする。
 さらに、会員の交流と現地学習を目的として、1998年から毎年夏に3泊4日程度の学習会を実施することとし、毎回25人程度の参加を得ながら、これまで水俣(98年)、沖縄(99年)、北海道:道央(2000年)、関東:東海村・日ノ出町・横浜(01年)と開催してきました。
 この本の作成は上記の目的のうち、とくにABを具体化するものとして、また、あとがきに記したような教研参加者からの要望を受ける形で、共同研究者と司会者、さらに環境ネットのメンバーも加わって、その執筆が始まりました。

3:現在の活動
 40人でスタートしたこの環境ネットも、毎年の全国教研での呼びかけやロコミで少しずつ会員が増え、現在は100人ほどになりました。世話役も、最初の広島高教組(代表世話人:竹本伸・96年〜99年)から岩手教組(同:遠藤令子・99年〜2002年)へ、そして、2002年春からは神奈川高教組(同:根岸富男)と輪番制が定着しつつあり、少しずつですが軌道に乗り始めています。
 また、単組によっては組織内に環境教育推進委員会等を設け、組織的に環境教育をすすめていくという態勢が確立されているところもあります。今後も情報交換しながら、そうした組織の広がりを模索していくとともに、各単組の委員会をつなぐ全国組織ができるよう働きかけもしていきたいと考えています。
 同時に、この本の執筆者でもあり環境ネットの理論的支柱である宇井純さんが、環境教育に関する国際シンポジウムの開催、全国教研該当分科会のこれまでのレポートをデータベース化すること等を日教組に働きかけておられますが、環境ネットとしてもそれらが一刻も早く実現できるよう協力していきたいと考えています。
 この本をお読みいただいた方々のなかで、私たちの活動に関心をもち共感いただけるという方は、ぜひ会員になっていただき、日本の環境教育を堆進していくために手をつないでいただければと願っています。
          「環境教育はじめの一歩」より 竹本 伸 (広島高教組)

連絡先
全国環境教育ネットワーク事務局
神奈川新しい環境学習を作るネットワーク
           根岸富男
tel:045−852−6899 e−mai=neg@jca.apc.org

「環境教育はじめの一歩」
監 修:宇井純、西尾漠、丸谷宣子
 編著:全国環境教育ネットワーク
 出版:アドバンテージサーバー
       定価 1,250+税
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