ガザ Q&A
2009年1月16日
スティーブン・シャーローム
ZNet原文


2008年12月27日、イスラエルはガザに対する非人道的な攻撃、キャスト・リード作戦を開始しました。本記事の目的は、頻繁に出る質問を一カ所にまとめ、回答と情報源を提示することにあります。全体を読んでもいいですし(ただし、長い!)、節と質問の一覧を見て、関心のある部分だけ読むこともできるようになっています。




1.イスラエルは自国および自国民をロケット攻撃から守る権利を有するのではないでしょうか?

イスラエルの民間人を標的としたガザからのロケット攻撃は国際法違反です。

けれども、イスラエル軍の行動が法にかなった自衛であるかどうかを考えるためには、より広い状況を考慮し、また均衡性の問題を考慮しなくてはなりません。

前提となる状況は、イスラエルによるパレスチナ領土の占領は不法であり不正でるという点にあり、したがって、その占領を終わらせるためにパレスチナ人が合法的な手段で闘うことに対してイスラエル側の行為は「自衛」を主張できないというものです(第二次世界大戦中、日本軍が占領していた中国やフィリピンで日本軍がゲリラから攻撃を受けたとき自衛を主張できない、というのと同様です)。

パレスチナ側からの抵抗に対するイスラエルの適切な対応は「自衛」ではなく、占領している地域から全面撤退することです。


ガザ

2.侵略戦争による征服が不法なのは明らかですが、イスラエルが西岸とガザを取得したのは、周辺のアラブ諸国が起こした戦争に対する自衛戦争の結果ではなかったでしょうか?

ヨルダン川西岸(東エルサレムを含む)とガザ、そしてシナイとゴラン高原をイスラエルが征服したのは1967年6月の戦争のときで、このとき最初に攻撃に出たのはイスラエルです。イスラエルを擁護する人々は、確かに第一弾を撃ったのはイスラエルだが、アラブ諸国の軍隊がイスラエル国境に集結し、凶悪なレトリックを使っていたのだから、イスラエルが先手を打ったのは予防戦争として正当化される、と言います。当時アラブ諸国が使った言葉は確かに恐ろしいもので、世界中で多くの人がイスラエルの安全を憂慮しました。けれども、テルアビブとペンタゴンの軍事状況を理解していた人たちは、仮にアラブ側が先手に出たとしても、イスラエルが勝つことをはっきり認識していました。エジプトの指導者は出口を求め、副大統領をワシントンに送って交渉を行いました。交渉が成果を上げる前にイスラエルは攻撃を始めたのです。これは、イスラエルが交渉を拒絶し、エジプトの体面を保つような妥協を認めなかったからです。このときの戦争そしてイスラエルによるそのほかの戦争を熱狂的に支持したメナヘム・ベギンは、攻撃を加える必要がある、とあからさまに述べていました。1967年6月、彼は、イスラエルには「選択肢があった」と語っています。エジプト軍の集結はナセルが攻撃を開始しようとしていたことを証明するものではありませんでした。「正直に言おう。我々の方からナセルを攻撃しようと決断したのだ」[1]。

ところで、仮に1967年戦争がイスラエルにとって完全に自衛戦争だったとしても、パレスチナ人に対する支配を続けることは正当化できません。近隣諸国の政府が戦争を起こしたからといって、ある民族の自決権が失われるわけではありません。ヨルダンを懲らしめて西岸をヨルダンに返還しない(といってもそもそもヨルダンに西岸の支配権はありませんでした。国連の1947年分割案で予定されていたパレスチナ国家の実現を阻み分断するために、ヨルダンはイスラエルと共謀したのです)とか、ガザをエジプトの統治権下に返還しない、というのはわかります。けれども、パレスチナの人々を外国の軍事占領下に服従させ、パレスチナの人々に懲罰を加える根拠はまったくありません。

イスラエルはすぐさま、占領した東エルサレムをイスラエルの領土に組み込み、エルサレムはイスラエルにとって分割できない不滅の首都であると宣言しました。イスラエルはまた、占領勢力が占領地に自国民を入植させることを禁じるジュネーヴ条約に違反し、占領地に入植地の建設を始めました。当時のイスラエル政府法律顧問であり著名な法律家のシオドア・メロンは、入植はすべて不法なものになると警告しましたが[2]、彼の意見は無視されました。

また、国際司法裁判所は意見書の一部で、米国の判事を含む全判事の一致した意見として、占領地での入植はすべて不法であるとの裁定を下しています[3]。

3.イスラエルはガザから撤退し、占領を終わらせたのではなかったでしょうか?

イスラエルの撤退は占領を終わらせていません。2006年、当時のパレスチナ被占領地に関する国連特別報告者ジョン・ダガードは次のように述べています:

撤退によりガザ占領は集結したというイスラエル政府の宣言ははなはだしく不正確である。シャリト伍長が拘束されたあとで始められたサマー・レインズ作戦[ガザ侵攻]の前も、実質上ガザはイスラエルの支配下に置かれ続けていた。この支配は何通りもの手段で実現されていた。イスラエルはガザの領空、領海、国境を制圧し続けていた。エジプトと接する国境のラファは特別な扱いとなりEUスタッフの監視下に置かれたが、それ以外の越境地点はすべてほとんど閉鎖されたままだった・・・・・・。ガザに対するIDF(イスラエル軍)の行為から、最新テクノロジーを用いれば、軍が占領地に駐留しなくてもある地域を占領者が実質的に支配できることがはっきりとわかる[4]。
2008年11月20日、ヒューマンライツ・ウォッチはイスラエルのエフード・オルメルト首相に書いた手紙の中で、以下のように書いています:
「2005年にイスラエルがガザから常駐軍と入植者を撤退させたとはいえ、国際法に依拠するならば、依然としてイスラエルはガザを占領し続けている。というのも、イスラエルはガザでの生活のの重要な諸側面に関して日々の支配を実質的に続けているからである」[5]。
ガザが海路や空路で他の国々と貿易を行うことを禁止し、ガザから海路や空路で人々が出入りすることを妨害し、イスラエルがガザ領空を飛行し領海をパトロールし、ガザ領内に「立ち入り禁止区域」を宣言している限り、イスラエルがガザから本当に撤退したなどとは言えません。イスラエルはまた、ガザの住民登録をコントロールし、ガザに輸入を認めた物品に対する輸入完全を徴収しています[6]。

4.法的に言って占領が続いているかどうかに関わらず、とにかくイスラエルはガザの入植地と軍基地を放棄したのではなかったでしょうか?

イスラエルのガザ「撤退」は一方的な行動で、パレスチナ側の指導者との間で検討されたものではまったくありません。イスラエルの入植者はガザからは撤退しましたが、2005年、ガザから撤退したよりも多くの入植者が西岸に入植し、ガザで放棄した土地よりも広い土地をイスラエルは西岸で奪取しています[7]。この「撤退」が、パレスチナ国家の実現へ向けたステップなどではなく、イスラエルによる西岸の支配を確立し、パレスチナの人々の独立した存在を全面的に否定するための一歩であることは多くの人の目に明らかです。アリエル・シャロンの主席補佐官ドヴ・ワイスグラスがイスラエルの新聞に対するインタビューで述べたように、この撤退計画の意義は
「政治的プロセスの凍結にある。政治プロセスを凍結すれば、パレスチナ国家の樹立を阻止することができ、難民・国境・エルサレムをめぐる議論を避けることができる。これにより、実質上、パレスチナ国家という言葉で呼ばれるものはすべて一まとめにして、それが含意するものも含め、我々のアジェンダから永久に追放されたことになる」[8]。
5.ガザとの国境を開き、電力や燃料をガザに送る義務をどうしてイスラエルが追わなくてはならないのでしょうか? 自らの意向に従って自国の国境を閉鎖する主権がイスラエルにはないのでしょうか?

ある国がある地域を40年間にわたって占領し、占領国が、その地域が独立に機能するために必要な基盤構築や開発をすべて禁じてきたとき、占領国は義務を負います。さらに、占領国がその地域の空路や海路での貿易を禁じているならば、占領国は陸路の越境を禁ずる権利を主張することはできません。

6.ガザはエジプトと陸を接しています。それなのにどうして、ガザの国境を封鎖したとして、イスラエルが非難されるのでしょうか?

イスラエルがガザから「撤退」したとき、ラファ----エジプトへの陸路----をパレスチナ人に返還しませんでした。その代わり、ラファの越境地点は、米国の後押しの中、パレスチナ自治政府とイスラエルとの間で2005年に交わされた「移動とアクセスに関する協定」(AMA)のもとで、EUのスタッフが監視することになったのです。この協定によると、ラファを通して誰が出入りするかについてイスラエルは拒否権を持つことになっています(イスラエルは越境地点に人員を配置していませんが、リアルタイムのビデオ情報は受け取っており、また、越境を望む人についての事前通知を受け取っています)。

イスラエルの人権団体ギシャが指摘しているように、「旅行者が携行する個人の所持品を除いて、ラファ----イスラエルが直接支配していない唯一の越境地点----を通した輸入は認められていない」のです[9]。

もちろん、エジプトはAMAを無視して国境を開放することができます。そしてそうすべきなのです。また、EUと米国の諸政府は、イスラエルの封鎖を無視して、ガザの財政的絞殺を阻止することができるし、阻止するべきなのであり、また海路でガザに物資を運ぶことができるし、運ぶべきなのです。というのも恐らくイスラエルは、EUや米国の船は沈めないでしょうから。EU諸国や米国政府のふるまいは非難されてしかるべきものです。


ハマス

7.ハマスは、イスラエルのガザからの「撤退」を機会に、イスラエルが挑発していないにもかかわらず、ロケットを発射したのではないでしょうか?

ハマスによるロケット攻撃はイスラエルの「撤退」後、減っています。2004年にはイスラエルに向けて281発のロケットが発射されましたが、2005年には179発です。「撤退」が完了したのは2005年9月です。2005年10月から2006年1月までの4カ月について言うと、発射されたトケットは40発だけでした[10]。

9月の後半に、ガザのジャバリヤ難民キャンプでハマスの武装部隊が勝利パレードを行っているときに爆発があって死者が出てから、にわかにガザから発射されるロケット数は増えました。パレスチナ自治政府(当時ハマスと内紛を起こしていました)を含め、ほとんどのオブザーバが、この爆発はハマスの起こした事故だと言いましたが、ハマスはイスラエルがやったと主張しました。実際のところがどうであったにせよ、イスラエル諜報・軍当局と密接に関係しているイスラエルのシンクタンク、諜報テロリズム情報センターによると[11]:
「後に、ファタハの派閥とPIJ(パレスチナ・イスラミック・ジハード)がより多くのロケットを発射した。ハマスは、まずパレスチナ人民間人に危害が加わるという内外の批判を受けて、さらに後には政府任務を献身的に行い始めたため、ロケット発射に直接関与することをやめた」[12]。
他のパレスチナ人グループもロケットを発射しています。2005年10月にも、ロケット発射が一時的に増えました。けれどもこれは孤立した出来事ではなく、暴力とそれに対する報復暴力の中で誰がそれを「始めた」のかを決めるのは困難です。2005年10月23日、イスラエル軍が西岸でイスラミック・ジハードのメンバーを2人殺しました。それを受けてロケットがガザから発射されましたが、怪我人は出ていません。次いでイスラエルは国境の越境地点を封鎖し、イスラエル軍機がガザ領空を低空飛行して轟音を轟かせ空対地ミサイルを発射し5人を負傷させています。西岸からの自爆攻撃がイスラエルの町で爆発し5人が死亡、イスラエルはガザへの空襲と爆撃をさらに強化し、3人の子どもを含む8人を殺害[13]。数日後に事態は沈静化し、2006年1月末にハマスが選挙で勝利するまで、ある程度の平穏な状態が訪れていました。

8.選挙でのハマスの勝利に対してイスラエルと西洋諸国はどのように反応したのでしょうか?

2006年1月、ハマスは(それまでの棄権という方針を転回して)パレスチナの議会選挙に参加し、過半数の票を得ました。国際監視団は、選挙が公正に行われたことを確証しており[14]、実際、選挙で当選した政治指導者たちは、アラブ世界の中では例外的に民主的な選挙で選ばれたのでした。米国政府は、2006年の選挙実施を認めるようイスラエルに圧力をかけていました。そしてハマスの勝利は(ハマスを含め)誰にとっても驚きでした。

皮肉なことに、それ以前に、米国とイスラエルは、PLOの非宗教的なリーダーシップを弱体化させようとしてハマスに支持を与えていました。

アナリストのほとんどは、有権者はハマスの宗教的立場に支持を表明したというよりも、むしろ腐敗したファタハの臆病なリーダーシップを拒絶したのだと結論付けました。ファタハのもとで、永年が経つにもかかわらず、パレスチナの人々は自分たちの国を実現するところにまったく近づいていないためです。

ハマスが政府に参加したことは、ハマスの立場を穏健化する機会と捉えることもできましたが、イスラエルと米国そしてEUは、ハマス政権を粉砕することにしました。イスラエルはパレスチナの税収の引き渡しを拒否し、国境を封鎖して、パレスチナに深刻な経済的苦境を引き起こしました。国際支援国とりわけ米国とEUは資金を抑制し、また米国政府はさらに一歩進んで厳しい規程を設けました。西洋政治の本流に属する「国際危機グループ」が説明するように、
「人道救援活動に従事していたNGOはどれも、米国財務省の異例なまでに厳しい規制のために大きな障害に直面することになった。例えば、米国の組織は寄付の際に事前の承認が必要となり、その寄付も現金ではなく現物でなくてはならなくなった」。

「そうした制約は開発援助----2005年には4億5000万ドルだった----にとってはさらに大きな障害となった。というのも、開発援助には、しばしばパレスチナ自治政府との直接契約が伴ったからである。NGOはプロジェクト全体を中断せざるを得なかった。国際援助組織のCAREは、それまでUSAIDの緊急医療支援プログラムの助成を受けて保健省の医薬品の30%を提供していたが、USAIDが承認しなくなったために定期的な供給を停止した」[16]。
9.どうしてハマスが平和のパートナーになれるというのでしょうか? ハマスは米国=イスラエルの3条件すなわち、イスラエルの承認、暴力の放棄、それ以前にパレスチナ自治政府が受け入れた全合意の受け入れ、を拒否したのではなかったでしょうか?

確かにハマスはその3条件を拒否してきましたが、イスラエルと米国もそれと同等以上にパレスチナ側の条件を拒否してきました。

ハマスはイスラエルを承認してきませんでしたが、イスラエルと米国は独立パレスチナ国家を認めてきませんでした。

2008年12月18日に採択された国連総会決議第63/165号を考えてみましょう。この決議は、独立パレスチナ国家を持つ権利を含むパレスチナ人の自決権を再確認するもので、パレスチナの人々が自決権を速やかに行使できるよう支持と支援を与えることをすべての国および国連組織に求めていました。この決議は賛成173、反対5、棄権7の圧倒的多数の支持により採択されたものです。反対票を投じた5カ国は、米国とイスラエル、そして米国に依存している太平洋の小さな島国3つです[17]。

もちろん、イスラエルはパレスチナ国家を認める準備があると言うかもしれません。ただし1967年の国境でではなく、生活できないように分断された地域にパレスチナ人が閉じ込められている限りにおいてだが、と。一方、ハマスがその好意に応えて、イスラエルを喜んで認めようではないか、ただしイスラエルがテルアビブとその周辺に閉じ込められる限りにおいてだが、と言うなら、イスラエルと米国がそれは素敵な将来像だと言うなどとは、誰も想像しないのではないでしょうか。

暴力の行使については、確かにハマスが暴力の行使を放棄するのは素敵なことでしょう。しかしながら、この点について米国やイスラエルが説教するのは本末転倒です(1956年のシナイ、1982年のレバノン、2003年のイラクを考えるとわかります)。さらに、イスラエルで占領軍としての兵役を拒否することで実際に暴力を拒否したイスラエルの人々が、イスラエルで投獄されている点も指摘できます[18]。

これまでの合意に同意する件についてですが、米国政府が弾道弾迎撃ミサイル制限条約から撤退したこと、包括的核実験禁止条約の「署名を取り下げた」こと、ニカラグアをめぐる国際司法裁判所の裁定を無視したことはとりあえず脇に置いて、国際司法裁判所が、イスラエルが占領下の西岸で壁を建築しているのはジュネーヴ第四条約(イスラエルは締約国です)に違反すると判断したことについてだけ考えてみるとよいでしょう[19]。国連総会も賛成150、反対6、棄権10で国際司法裁判所の意見を確認しています[20]。イスラエルはその判断に従うことを拒否し、米国はイスラエルの立場を支持しました。これらから、イスラエルと米国にとっては、厳粛に受け入れたはずの条約など単なる紙切れに過ぎないことがわかります。

1993年のオスロ協定----1999年までにパレスチナ国家の樹立を約束したものです----に署名したパレスチナ人にとって、パレスチナ国家はおろかイスラエル入植地の大規模な拡大が進むだけの状況で[21]、ハマスが協定に従うべきだとイスラエルが主張するのは残酷な冗談としか思えないものです。

10.ハマスはイスラエルという存在の受け入れを断固として拒否してきたのではないでしょうか?

イスラエル首相エフード・オルメルトが2006年、米国の上下両院合同会議で演説したとき、彼は「この土地全体に対する永遠かつ歴史的な権利を我が民族が有する」ことを今も信じていると宣言しました[22]。けれども、妥協の必要はわかる、と。ハマスも似通った立場を取っています。ハマスはパレスチナ全体をムスリムの聖地と考えていますが、それでも繰り返し、妥協する用意はあり、1967年の国境に従って、東エルサレムをパレスチナ国家の首都とし、20年か30年、50年あるいは無期限に続きうる停戦協定をもって、二国家解決を受け入れると述べています[23]。

しかしながら、イスラエルと米国はハマスの提案を拒否し、ハマスとの対話を拒否しています。イスラエル人の大多数[24]そしてイスラエル諜報サービスであるモサドの元長官エフレイム・ハレビーなどの保守派アナリストたちが対話を支持しているにもかかわらず、です。

11.ハマスはイスラム原理主義と反ユダヤ主義を支持しているのではないですか?

残念ながら、中東全土でこの2、30年にわたり、非宗教的な民族主義運動や進歩的運動に代わって原理主義が強まっています。民族主義運動や左派運動に加えられたすさまじい弾圧と、これら運動自体が抱えていた弱さの結果でした。反ユダヤ主義も中東全土で姿を現していますが、パレスチナの人々が、自らを「ユダヤ人国家」と称する政府から受けている身の毛がよだつ蛮行を考えるならば、これは驚くことではありません(それに、イスラエルを擁護する者たちが、イスラエルに対する批判はすべて正にその事実によって反ユダヤ主義だと宣言するため、中東の人々は細かい区別をするよう促されていないのです)。私たちが反ユダヤ主義や原理主義者の退行的社会観を拒絶すべきなのは明らかです。

ハマスは、エジプトのムスリム同胞団を起源に持ち、イスラム原理主義的な背景から姿を現した組織です。けれども起源だけから現在のふるまいを決めることはできません。西洋本流の「国際危機グループ」が2008年3月に出した現在のハマスのふるまいに対する評価は複雑な状況を描き出しています。ハマスは、
「イスラム主義を強制的に押し付ける意図はまったくないと述べている。治安サービスを統括する地位や司法を切り盛りする地位にハマス外の人物を指名した。法廷や学校でイスラム化を示す目立った兆候はない。当局はパレスチナ自治政府の学校カリキュラムも、法律も憲法も変更しなかった。2008年1月、パレスチナ自治政府の慣行に合致するかたちで、ただしイスラム的伝統には反するかたちで、ハマスは女性判事を指名し、また別の女性判事を控訴裁判所長に昇任させた。さらに特筆すべきことに、2007年8月以来、ハマスは、テレビやラジオ、モスクを通して女性警察官を募集し、人員不足を埋めるために女性警察官を採用した。100名以上の女性が応募した。あるハマス高官は次のように言う:『ラマラーの人々はハマスに過激派の烙印を押そうとしている。けれども、ガザにイスラム首長国が現れることはない」。

「ただし、過去の実績は将来のふるまいを保証しないし、市民権グループやハマス以外を支持する人々は相変わらず憂慮しており、とりわけ間接的な社会的圧力があると指摘する。ハマス内部では、強硬派の聖職者グループがもっと大きな役割をシャーリア(イスラム法)に持たせるべきだと主張している・・・・・・」

「ある地位の高いハマスの法律家の回答は曖昧だった:『法廷がシャーリア法を摘要することを望んではいるが、人々に強制はできない』。けれども、場合によっては強制が起きている・・・・・・」

「さらに、ガザの孤立が深まり西洋人が撤退する中で、社会道徳はますます保守的かつ家父長的になっている。これは、とりわけ治安部隊内部にいる熱狂的なハマスのミリタントたちが奨励している傾向である。学校で宗教教育に費やされる時間は増え、ヴェールをかぶっていないとして女子生徒を罰する先生が現れている。女性はヴェールをかぶらずに路上を歩いており、政府関係者も服装について規定はないと語るが、ハマスの急進的な者たちが女性にスカーフをかぶるよう命じた例も知られている。同様に、ハマスは女性をその不品行から殺すことを抑制してきたが、車にいた未婚のカップルが殴られ拘束された事例もある。どうやらハマスではない者たちによるようだが、[2007年6月の]ハマスによるガザ制圧に続くちょっとした平穏のあと、インターネット・カフェへの攻撃も増えており、またガザのキリスト教徒たちは、3000人からなる自分たちのコミュニティに対する攻撃が激増したときそれを阻止するためにハマスはほとんど何もしなかったし、したときでも遅すぎたと、ハマスを批判している。これはハマス幹部の中で急進的なイスラム主義の影響力が強まっていることを示す証拠だという者もいる」[26]。
残念ながら、イスラエルによる残虐行為が続き、パレスチナ人がどうしようもない状況に置かれ続けると、ハマスの中で最悪の部分が強まる可能性は高いでしょう。

一方、イスラエルでは、ユダヤ教原理主義者が政治力を持ち、連立政権の一部を構成しています。米国国務省は、イスラエル「政府は非正統派ユダヤ教徒を不平等に扱っている。その一つとして、政府は正統派の宗教勢力のみにユダヤ人に関する個人的および市民権上の問題を扱うことを認めている。政府の予算割り当ても正統派(正統派のModern and National Religious streamsを含む)と超正統派(「ハレディ」と呼ばれることもある)のグループと組織を優遇している」と述べています[27]。

ハマスの1988年憲章はシオン賢者の議定書を引用しています[28]が、この憲章は多くの点で古いものになっています[29]。けれども、ハマスは現在も反ユダヤ主義のレトリックに訴えることがあります[30]。

しかしながら、ハマスがそのような見解を持っているからといって、和平交渉の相手としての資格を失うわけではありません。これは、南アジアのヒンドゥー教徒とイスラム教徒がお互いに人種差別的見解を持っているからといって交渉の場につけないわけではないのと同様です。さらに、多くのイスラエル人がパレスチナ人に対して人種差別主義的見解を持っていることは確実です[31](オバマが新たに主任補佐官に任命したラーム・エマニュエルの父親が、アラブ人にふさわしいのはせいぜい床磨きだと述べたことを思い起こしましょう[32])。

パレスチナの宗教指導者の中には下劣な反ユダヤ主義のレトリックを使う者もいます。けれども、同じようにイスラエルのラビたちの中にもおぞましい言葉をパレスチナ人について使う者がいます。例えば、イスラエルのセファルディの元主席ラビは2007年、宗教裁定を宣言したとき、「ロケット攻撃を止めることを目的としてガザに大規模な軍事攻撃を加える際、民間人の無差別殺戮に対する道徳的な禁止などまったく存在しない」、それというのも、「個人の不道徳なふるまいに対しては町全体が集団的責任を追うからだ」と述べています。ツファットの主席ラビであるその息子は次のように言っています:「100人を殺してもロケット発射をやめないならば、1000人殺さなくてはならない。1000人殺してもやめないなら1万人だ。それでもやめないなら10万人殺そう。100万人殺してもよい。やめさせるためなら何人でも」[33]。

人種差別主義には反対しなくてはなりませんが、人種差別主義をなくすまで和平交渉の相手として認めないということに意味はありません。

12.ハマスはテロ組織ですか?

ハマスがアルカーイダのようなテロ組織だったことはありません。アルカーイダと違い、ハマスは大衆基盤と社会福祉政策を持っており、現在では、選挙で支持者もいます。

ハマスはテロ行為に関与してきました。とりわけ、民間人を意図的に標的とする自爆爆弾です。

米国陸軍士官学校戦略研究所のイスラム・地域研究科の研究教授シェリファ・ズフールは、次のように書いています:
「ハマスの工作員が最初に自爆攻撃を行ったのは、1994年、米国生まれのイスラエル人入植者バールーフ・ゴールドシュテインが、2月25日にヘブロンのアル=ハラーム・アル=イブラヒム・モスクにいた武器を持たない礼拝者に向かって発砲して手榴弾を投げつけ、29人を殺したあとのことだった。ゴールドシュテインがモスクに入れたのはイスラエル軍の手助けがあったからだと思われたのである。そのときまで、ハマスはイスラエル軍だけを標的としていた。1995年にハマスは、他のパレスチナ人から批判を浴びていた自爆攻撃をやめたが、ハマスの指導者ヤヒヤ・アヤシュが「狙い撃ちで殺された」あと、再びこの攻撃を採用した」[34]。
ズフールはさらに次のように指摘しています。
「ハマスは、3年間の自爆攻撃停止を遵守し、さらにこれは1年延長されたが、2008年1月のディモーナ攻撃でそれを破ったのかもしれない。この攻撃はハマスがやったのかもしれないし、別の実行者がいたのかもしれない」[35]。
また、ときおり、ハマスは民間人居住地域にロケットを発射しましたが、これもテロリズムの一形態です。

この記録からわかるのは、ハマスがテロリズムを行っていたこと、それを拒絶していなかったこと、けれども適切な状況ではテロリズムを控える対応をしてきたことです。どんな状況であれテロリズムは悪しきことですからハマスの過去は非難されるべきですが、イスラエルのテロ行為も同様に批判されなくてはなりません。

13.イスラエルは意図的に民間人を殺しているわけではないですし、自らが引き起こした民間人の死はすべて残念な事故だと言っているのに、どうしてイスラエルをテロリズムで非難できるのでしょうか?

テロリズムに関する米国の公式の定義は次のようなものです:「非戦闘員の標的に加えられる計画的かつ政治的動機を持つ暴力」[36]。ここでは3つの点を指摘しなくてはなりません。

第一に、政治的な目的で民間人に苦痛を与えることは、はるか以前からイスラエルの公式政策でした。2006年6月にハマスがイスラエル軍兵士を拘束したとき、イスラエルは報復としてガザ唯一の発電所を破壊し、膨大な人々に苦しみを与えました[37]。イスラエルの指導者達はあけすけに、ハマスへの支持を堀崩すためにガザの経済を麻痺させるつもりだと述べています(この政策が馬鹿げているからといって不道徳さが減るわけではありません。米国とEU、エジプトがこの政策に共謀していることで不道徳さが減るわけでもありません)。イスラエルが国境を封鎖し、燃料と電力の供給を遮断し、ガザの人々の税をガザの人々に渡さないことで、ガザでは貧困と失業が急増し、保健福祉が衰微しました。いくつかの人権団体[38]も国連職員[39]も、この経済的絞殺政策を「集団的懲罰」と見なして非難しています。

ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、トマス・L・フリードマンが、イスラエルがガザで「ガザの民間人に大きな苦痛を」与えるような戦略を追求することを望む、と書いたとき、彼は上で引用した米国政府のテロリズムに関する公式の定義と区別できない政策を支持していたのです[40]。

第二に、これまで永年にわたり、イスラエルは意図的に民間人を殺してきました。例えば、イスラエルは、重大な脅威でも何でもないデモ参加者に向けて致死的な発砲で対処してきました[41]。イスラエルは医療関係者やジャーナリストを標的として殺してきました[42]。さらに、今やイスラエルはガザで、文民警察と文民政府関係者を標的とし殺しています(これについては以下で論じます)。

第三に、特に民間人を標的としていない場合でも、イスラエルは民間人の安全を意図的に無視し、多くの民間人を殺してきました。それらは「不幸な事故」ではなく、意図的で犯罪的な過失です。確かに、国内法では故殺と過失致死を区別し、前者を後者よりもはるかに重大な犯罪と見なします。けれども国内法はまた、ときによって犯罪的過失は故意と同様に重大なものと見なすことがあります。パレスチナの人権団体アル=ハクが正しく指摘しているように、「標的地域の選び方、攻撃方法、民間人死者と負傷者の数から、民間人の生命に対する認識ある過失は故意と同義であることがわかる」[43]のです。

イスラエルによる現在のガザ攻撃以前の記録を考えてみます。イスラエルの人権団体ベツレムの統計によると、2000年9月29日に第二次インティファーダが始まってから2008年11月30日までに、ガザでは2990人のパレスチナ人がイスラエル軍に殺されています。そのうち1382人は、敵対行為に参加していたことが確認されていない人々です[44](その同じ7年間に、ガザから発射されたパレスチナ側のロケットと迫撃砲で殺されたイスラエルの民間人は総計22人です[45])。これらのパレスチナ側のロケットがテロリズムと戦争犯罪にあたるのならば----確かにそうなのですが----イスラエル政府の犯罪はそれよりはるかに大きいものということになります。

そしてこの点は、イスラエル政府関係者がかたちの上で遺憾の意を述べようと、あるいは2002年3月にアリエル・シャロン首相が行ったように、「パレスチナ人に打撃を加えなくてはならない。痛烈な打撃を。大きな犠牲を実感できるように損害を与え犠牲者を作らなくてはならない」[46]と断言しようと、変わりません。

14.ハマスが不正確なロケットを発射しているのは、国際人道法違反ではないでしょうか?

はいそうです。ただし、イスラエルの武器はハマスのよりもはるかに精確だとはいえ、周辺の民間人に大規模な損害を与えずに軍事標的を攻撃するほど精確ではありません。また、海空からの爆撃、大砲の砲弾、戦車砲は、ガザのような人口密集地域で民間人に当たらないようにできるほど精確ではありません。

15.イスラエルが民間人を殺してきたことは、パレスチナ人による民間人の攻撃を正当化するのでしょうか?

国際法によると、敵の犯罪によりそれに対する報復犯罪が正当化されることはないことは明らかです。これはパレスチナ人に適用されますが、同様に(そして力の不均衡を考えるならばとりわけ)イスラエルに適用されます。

パレスチナ側がイスラエル民間人をロケットや自爆攻撃で攻撃するのは不道徳ですし逆効果を招き、イスラエル社会で最も反動的な勢力を勢い付けます。けれども、攻撃は驚くべきことではありません。1999年、現イスラエル国防相のエフード・バラクはインタビューの中で、もし自分がパレスチナ人に生まれていたらおそらくテロ組織に参加していただろうと告白しています[47]。また、イスラエルの元政治家ヨシ・サリッドは2009年1月2日、次のように書いています:
「今週、私は学生たちとガザの戦争について、国家安全保障の授業の枠組みで話した。どちらかというと保守的な一般的な論----少し右寄りの論----を表明したある学生が、私を驚かせた。私が挑発したわけでもないのに、彼は心情を吐露し、次のように言ったのである。「もし自分がパレスチナ人青年だったら、ユダヤ人と激しく戦うだろう、テロを使ってでも。これと違うことを言う奴がいたとしたら、嘘をついているんだ」[48]。
ガザのパレスチナ人は20年にわたりエジプトの統治下で暮らしてきました。彼ら彼女らは40年以上にわたり残忍で消耗するイスラエルの占領下で苦しんできました。イスラエル人の歴史家アヴィ・シュライムは次のように述べています:
「1948年に発生した難民の多くが僅かな土地に押し込められ、インフラも天然資源もないガザでは、将来の見込みは明るくない。しかしながら、ガザの事態は単なる経済的低開発ではなく、類例のないほど残忍な、未開発状態への意図的な逆行である。聖書の文言を使うならば、イスラエルはガザの人々を、薪を切り水を汲む人々、安い労働力の供給源、イスラエル製品の専属市場に仕立てあげた。パレスチナ人がイスラエルへの従属を終わらせることができないように、また真の政治的独立に必要不可欠な経済的基盤の確立ができないように、地場産業の開発は積極的に妨害された」[49]。
ガザの人々の生活状況は底知れなくひどいものです。人権団体や援助団体は2008年3月、「1967年にイスラエルによる軍事占領が始まって以来、ガザに暮らすパレスチナ人の状況は最悪である」[50]と宣言しています。ガザに暮らすパレスチナ人の大多数は、もともとガザ出身の人々の子孫ではありません。彼ら彼女らは、今日イスラエルとなっている地域で暮らしていた人々の子孫で、1948年に故郷を追放されて難民として暮らすことになった人々の子孫なのです。そして、ガザの人々が悲惨な生活状況の中でまわりを見ると、すぐ近くに、かつてはパレスチナの村だった土地にイスラエル人コミュニティが建設されているのを目にします[51]。ガザの中には、そうしたイスラエルの町にロケットを発射する人もいるのです。ロケットがパレスチナ人の大義を推し進めることにはなりませんが、ロケットが発射されるのは驚くことではありません。

16.ハマスはイスラエル軍兵士ギラド・シャリットを誘拐したのではないですか?

シャリットは兵士で軍務中に拘束されました。これを誘拐と考えるべきかどうかははっきりしません。国際法はこの点で少し曖昧です。拘束した兵士を人質とすることは不法で、すべての捕虜は人道的な扱いを受ける権利を持っていますが、敵軍兵士を拘束することも捕虜交換を行うことも不法ではありません。しかしながら、いずれにせよ、1万1000人のパレスチナ人がイスラエルに占領された地域からイスラエルにより拘束されイスラエルの刑務所にいることをパレスチナの人々は指摘しています[52]。これらの中には戦争犯罪で有罪の人もいるかもしれませんが、敵対する戦闘部隊のメンバーであるだけの人もいるでしょう。けれども、そのうち何百人も(シャリットが拘束されたときには750人、2008年11月には約570人)は、起訴もされないままに拘束され続けています[53]。すなわち、最低でも、数百人のパレスチナ人が何の罪で有罪になったわけでもないのに、シャリットと同様、自らの意志に反して拘束されているのです。シャリットが拘束されるちょうど一日前に、イスラエルの奇襲部隊がガザの民間人二人、オサマ・ムアマルとムスタファ・ムアマルを拘束しました。イスラエルはその9カ月前にガザから「撤退」したはずなのですが。「誘拐」という言葉はこのケースに使う方がより正確かもしれません[54]。

イスラエルはシャリット拘束に対してガザに軍事侵攻を仕掛け、執拗に砲撃と爆撃を行いました。イスラエルの人権団体ベツレムによると、6月26日から11月15日の間に、イスラエル軍は387人のパレスチナ人を殺したのですが、そのうち半分以上の206人は「殺されたとき戦闘行為に関与しておらず、その中の81人は未成年で45人は女性」でした[55]。ガザの発電所は破壊され、国境は封鎖され、ハマスの閣僚8人とパレスチナ立法評議会に選挙で選ばれた26人が、他の政府高官とともに拘束されました。パレスチナ被占領地に関する国連特別報告者ジョン・ダガードが要約して述べているように、
「実際、パレスチナ人は経済制裁を受けている----被占領下の人々がそのような扱いを受けるのは歴史上始めてのことだ・・・・・・。現代におけるおそらくはもっとも過酷な国際経済制裁の被害を被っているのはパレスチナ自治政府ではなくパレスチナの人々である」[56]。
17.ハマスはガザで、ファタハとパレスチナ自治政府に対して軍事クーデターを行ったのではないですか?

証拠からはっきりわかることは、ハマスのガザ制圧が、ファタハのガザ治安部隊長ムハンメド・ダハランと米国高官が共謀して、選挙で選ばれたハマス政府を軍事的に追放しようと仕組んだ陰謀に対する先制の行動だったことです。調査型ジャーナリストのデヴィッド・ローズは、文書とインタビューに基づいて「秘密計画が裏目に出た・・・・・・敵を権力の座から追放するかわりに、米国の支援を受けたファタハの戦士たちは不注意にもハマスを挑発してハマスがガザを全面的に支配する結果となった」[57]と結論しています。

18.ハマスはイランの手駒に過ぎないのではないでしょうか?

ハマスとイランは同盟関係にあり、共通の利害もありますが、それと、イラン政府がハマスの政策を指示しているというのとは違います。イスラエル政府やその支持者たちは、ハマスはイランの指示に従っているだけだと述べることがありますが、そのような主張はいくつかの点で検証に耐えません。

第一に、イランがハマスを使ってイスラエルによるイランの核施設への攻撃をそらせようとしているとすると、タイミングが意味を持ちません。イスラエル、あるいは米国とイスラエルが共同でイランを攻撃すると思われた時期がありました。けれども、その時期はイスラエルとハマスの間に小休止があった時期に一致します。2008年12月には、真面目なアナリストは誰も、イスラエルによるイラン攻撃が差し迫っているとは言っていませんでした。

第二に、イランがハマスをイスラエルとの戦争に向かわせることができたのならば、どうしてヒズボラーにも同じことをさせなかったのでしょうか(そうすればハマスへの圧力は明らかに軽減していたでしょう)? 結局のところ、ハマスがイランとどのような関係にあるにせよ、イランとヒズボラーの関係の方が強いのですから(ヒズボラーはイランと同様シーア派で、イデオロギー的起源もイランに関係しており[58]、シリアを通してイランの武器を簡単に供給できます。一方ハマスはスンニ派で、イランの武器を持ち込むことは困難です)。けれども、イランがヒズボラーに自らの利益に反した行動を取らせることができないなら、ハマスに同様の行動を取らせることができると考える理由はどこにもありません。

イランはハマスに資金を提供しており、それは国際援助が中断されたためにますます重要なものになっています。また、どうやらハマス戦士の中にはイランで訓練を受けた者もいるようですが、1万から2万人の武装兵士を要する組織の中にイランで訓練を受けた者が数百人いたとしてもそれは決定的な影響力ではありません。イランはハマスに影響力がありますが、ハマスがイラン政府の命令に黙々と従っていると考える理由はありません[59]。ハマスがイランに依存しているよりも、おそらく軍事と外交の支援面でイスラエルが米国に依存している度合いの方が大きいでしょう。


小康期

19.2008年6月のイスラエルとの停戦はどのような条件だったのでしょうか?

2008年6月、一年近くにわたった武力衝突およびイスラエルによる壊滅的なガザ封鎖ののち、ハマスとイスラエルは停戦----休戦あるいは小康期、凪などとも呼ばれています----に合意しました。双方が直接対話することはなかったため、エジプトを仲介とした合意でしたが、その条件は公式に書面に書かれませんでした。AP通信社は、条件を以下のように報じています:
「休戦は木曜日の午前6時(東部標準時午後11時)に発効する[6月19日の]」

「ガザ=イスラエル間の暴力はすべて停止する。3日後、イスラエルはガザ封鎖を和らげ、より多くの必需物資搬入を認める」

「一週間後、イスラエルはさらに積荷の搬入制限を和らげる」

「最終段階として、ガザとエジプトのラファ越境地点の開放および、捕虜交換の交渉を行い、ハマスと関係するグループが2年にわたり拘束しているギラド・シャリット伍長を解放する」[60]。
さらに、2008年12月、イスラエルは停戦は無期限のものと主張しようとしましたが[61]、(2008年6月時点のイスラエル政府を含め)誰もがこの停戦は6カ月の有効期間を持つものと考えていました。ただし、さらなる延長が期待されるものとして[62]。ハマスは停戦をガザと西岸の双方に適用することを望みましたが、イスラエルは拒絶しました[63]。

ハマス以外のパレスチナの様々な武装グループは停戦に疑いを抱いていましたが、それでも停戦を尊重しました。しかしながら、イスラミック・ジハードは、停戦を遵守するつもりではあるが、自分たちは西岸とガザを不可分なものと見なしているので、西岸にいるメンバーに攻撃が加えられたときにはガザから報復する権利を留保すると述べていました。

20.武器の密輸について停戦条件は何といっているのですか?

上述のように、停戦の条件は書面にならなかったため、論争の対象になっています。

イスラエル政府に近いシンクタンクのテロリズム情報センターの情報によると、
「停戦によりハマスおよびガザで活動する他のテロリスト・グループは武器密輸をやめ、軍備をやめるというのがイスラエルの見解である」[64]。
一方、ハマスもそのほかのパレスチナ人グループも、そのような約束はしていません[65]。イスラエルの指導者たちは、一方でハマスに軍備をやめさせながら自分たちは軍備増強するというふるまいについて何ら矛盾を感じていないようです。イスラエル総理府のある高官は、停戦の間に「停戦が崩壊したときのために、ガザで軍事行動を起こす準備をイスラエル軍は続けるだろう・・・・・・」と述べています。また、「参謀長のガビ・アシュケナジ将軍は、IDFは停戦を守るが、同時に戦闘準備はしておく」と述べています[66]。

ハマスが停戦期に武器を密輸したのは確実ですが、イスラエルはと言えば、停戦期を利用して、はるかに強力で致命的な武器をおびたたしく大量に、公然と輸入していたのです。

21.停戦期間にどんなことが起きたのでしょうか?

停戦は最初から前途多難でした。イスラミック・ジハードは、西岸で自分たちの幹部戦士の一人がイスラエルにより殺されたことに対してガザからロケットを数発発射しました。けれども、ハマスは概ね、ほかのパレスチナ人グループに停戦を遵守するよう説得することに成功しました。停戦前の5カ月半でガザからは1072発のロケットと1199発の迫撃砲が発射されました。停戦が発効してから11月4日までの4カ月半のあいだに発射されたロケットは20発、迫撃砲は18発です[68]。6月半ばから11月4日までの間に、ガザから発射されたロケットや迫撃砲、狙撃、即席爆発物で殺されたイスラエル人はいません。

この時期の散発的な発砲について、イスラエル諜報とテロリズム情報センターは次のように書いています:
「・・・・・・ハマスは注意深く停戦を守っており、ハマスの戦闘員はロケット攻撃に関与していない。同時に、ハマスは他のテロリスト組織にも停戦の条件を守り違反しないよう求めている。ハマスは停戦に違反した組織に対していくつもの手段を取っているが、それは限定されたもので、短期的な交流と武器の没収に止まっている・・・・・・。しかしながら、ハマスは、イスラエルと共謀し「レジスタンス」に危害を加えていると非難されないよう、できるかぎり無法組織(とりわけPIJ:パレスチナ・イスラミック・ジハード)との直接衝突を避けようとしている。それゆえハマスは、パレスチナ人組織に停戦を維持させるために政治面から説得しようとし、ガザの世論の支持を求めている(その一つとして、ハマスの活動家が停戦により達成された成果について声明を発表している)」[70]。
国境の越境地点についてはイスラエルは封鎖を緩めたものの、輸入は2005年12月(ハマスが立法評議会選挙に勝利する前)あるいは2007年5月(ハマスがガザを制圧する前)の規模に回復するには程遠いものでした。停戦が始まったあとの2008年7月のまる一カ月間について、国連は「ガザへの輸入が認められた日用品の量は実際の需要をはるかに下回るため、ガザの人々は6月19日に停戦が発効してから具体的な利益をほとんど感じていない」と述べています[71]。輸入量は2005年12月の半分以下でした。それでも、翌8月、輸入が30パーセント減って2008年3月----このとき援助団体と人権団体は「人道的破局」を警告していました----と同等の規模に落ち込んだときよりは多かったのです。9月には15パーセント増えましたが、10月にはまた30パーセント落ち込みました(表を参照してください)。さらに、停戦期を通し、イスラエルは一貫してガザからの輸出をすべて禁じてきたため[72]、ガザの経済は機能不全に陥りました。2008年10月、世界銀行は、ガザの産業施設のうち依然として操業しているのは約2パーセントに過ぎず、産業部門の雇用は2005年の3万5000人から840人に落ち込み、農業部門の4万人の仕事が失われたと報じています[73]。

ガザに入った積荷(トラック数)[74]
トラック数
2005年12月
13,430
2007年5月
10,921
2008年3月
3,399
2008年4月
1,991
2008年5月
1,821
2008年6月
2,103
2008年7月
5,028
2008年8月
3,565
2008年9月
4,069
2008年10月
2,823
2008年11月
579


停戦の第二期は、2008年11月4日に始まりました。この日、イスラエルは停戦に違反し、ガザに兵士を送り込んだのです。英国ガーディアン紙は次のように報じています。
「イスラエル軍は、侵入攻撃の標的は、トンネルから250メートル離れたところの国境フェンスに詰めるイスラエル軍兵士を捕らえようとハマスが目論んでいる----これはイスラエルの見解である----そのトンネルであると述べている・・・・・・。ハマスの戦闘員一人が殺され、パレスチナ側はイスラエル軍に迫撃砲を一斉射撃した。イスラエルは空爆を加え、さらにハマスの戦士5人が死亡した」[75]。
ハマスはこれに対してロケットを発射することで応え、停戦は危機に陥りました。そのとき以来、双方とも、停戦以前ほどの規模ではないにせよ、軍事行動に関与しました。イスラエルは国境を封鎖したため、11月は1カ月でわずか579台のトラックしかガザに入れませんでした(表を参照)。150万人の人々の生活を支えるために579台です。さらに、国連によると、
「11月を通して国際NGOのスタッフも支援もガザ入りを阻止された。さらに、イスラエルによるガザ封鎖が厳しくなったため、UNRWAは11月に5日間、食料配給を停止しなくてはならなくなった。また、ガザへの現金輸送が制限されたため、現金支援プログラムも停止した」[76]。
ユニセフによると、燃料と電力、部品の不足によりガザの水道供給が中断されました。ガザ市では人口の半分が週にわずか数時間しか水道を利用できず、30パーセントは週に4日間、20パーセントは週に3日間しか水道を利用できない状況でした。ガザの他の地域でも、平均して二日に一度しか水を使えませんでした[77]。

この期間(2005年11月5日から12月19日)にガザから発射された武器で殺されたイスラエル人はいません。イスラエル軍兵士13人(8人は迫撃砲で、5人はガザ内で)と民間人1人か2人が負傷しました。パレスチナ側では、10人から14人の戦闘員と3、4人の民間人が殺され、20人弱ほどの人が負傷しました[79]。

22.誘拐計画のために使われていたトンネルを破壊するためにイスラエル軍がガザに侵攻するのは合法的なことではないでしょうか?

トンネルの目的についてイスラエルの主張を確認することができる独立の証拠はありません(ジミー・カーターはトンネルを「ガザを取り囲む壁の内部にハマスが掘った防衛目的のトンネル」と述べています[80])。仮にトンネルの目的がイスラエルが主張するようなものだったとしても、あるイスラエル軍高官が匿名で言ったような「時限トンネル」[81]すなわち軍事行動が必要となるような差し迫った脅威からは程遠いものでした。そうした脅威から身を守るためにイスラエルが採ることのできる非軍事的な手段はたくさんあります。

23.停戦が延長されなかったのはどうしてですか?

ハマスが停戦の延長を拒否したという主張は誤っています。ハマスが拒否したのは、イスラエルが封鎖を解除するという義務を破りつづけるような状況のもとでの停戦延長でした。ハーリド・ミシャルが述べるように、「この守られなかった停戦期間が終りに近づいたとき、我々は、ガザ封鎖の解除とラファを含むガザの越境地点すべての開放を条件に新たな包括的停戦に合意する用意があることを表明した。その呼びかけは無視された」。それが実際にハマスの立場だったことについては、停戦が失効する前に出された様々な声明がはっきりと示しています[82]。ジミー・カーターは自らの仲介努力について、次のように述べています:
「最重要課題がガザへの越境地点を開放することにあることは明らかだった。カーター・センターの代表がエルサレムを訪問し、イスラエル政府高官と面会し、ロケット発射を止めるかわりに越境地点を開放することが可能かどうか訊ねた。イスラエル政府は非公式に、まずハマスが48時間にわたってロケット発射をすべてやめるならば、通常レベルの物資供給の15パーセントは可能だと提案した。これはハマスにとって受け入れがたかったため、交戦が始まってしまった」[83]。
通常供給レベルの15パーセントというのは、不十分だった7月の規模よりも少ないものです[84]。ハマスがそのような協定に関心を示さなかったことはまったく驚くに値しません。

24.ハマスが停戦と休戦を破らないと信じることができるのでしょうか?

様々な専門家の意見を見てみましょう。米国陸軍士官学校が出版したばかりの研究の中で、米国におけるハマス研究の専門家シェリファ・ズフールは次のように書いています:
「2002年と2003年、そうした攻撃を終わらせるためにアラステア・クルックが手はずを整えたタヒディヤ(沈静化)宣言がなされた。クルックは、EU上級代表ハビエル・ソラナの元安全保障顧問だった。クルックは現在、ハマスとの交渉を提唱する『紛争フォーラム』の代表である。2005年3月に再び沈静化が実施されたが、最初の二度は、イスラエルがハマスの指導者を暗殺したために破られた」[85]。
また、「国際危機グループ」とのインタビューの中で、元EUの治安担当官は次のように指摘しています:
「イスラエルが暗殺と殺害を続けているために、事態沈静化の真面目な試みが完全に損なわれている。イスラエルの対応はまず予言をし、自らそれを実施するようなものである。イスラエルは停戦が失敗すると予期し、確実に失敗するような行動を取る・・・・・・挑発を続け、見下げるような態度をとり、信頼を醸成するための方策を採らず、無用の声明を発表する。イスラエルの国防相は公に、ハマスは改組を進めており、イスラエル軍は大規模攻撃の準備をしなくてはならないと語る。ハマスはそれを聞いて万一の状況に対する準備を始める。イスラエルは、それをイスラエル側のもともとの主張を確証するものと見なし、開戦の理由とする。イスラエルは攻撃を加え、ハマスが応戦し、イスラエル軍は自分の正しさが立証されたと感じて、フドゥナ[休戦]は過去のものとなる」[86]。
25.12月19日に停戦が終了したのちガザから立て続けにロケットが発射されたことを考えると、イスラエルには軍事攻撃以外の選択肢はなかったのではないでしょうか?

もちろん選択肢はありました。封鎖を解除することに合意して、停戦を延長すればよかったのです(いずれにせよ道徳的な観点からイスラエルは封鎖を解除すべきでした)。

さらに、アラブ平和イニシアチブを受け入れることでイスラエル=パレスチナ紛争をより包括的に終わらせるステップを採ることもできたのです。このイニシアチブは、イスラエルが1967年の境界まで撤退し、西岸とガザに東エルサレムを首都とするパレスチナ国家を樹立することを呼びかけるものです。この計画は、そうすればイスラエルを承認するというすべてのアラブ国家が支持しています[87]。さらに、既に述べたように、ハマスさえこの計画を支持することを示唆しています[88]。パレスチナ人の約3分の2がこの計画を支持しているのです[89]。

パレスチナにおける根本的問題は次の点にあります。すなわち、イスラエルがパレスチナ人の土地を占領しており、パレスチナ人の土地のうちで最上の部分をつかんで離さない決意でおり、パレスチナ人には、実行可能な独立の国家を樹立することのできない土地の断片しか残していないという点です。イスラエルが不法入植地を維持する限り、パレスチナ人はバンツスタンに閉じ込められ続けることになります。

この基本的な現実が変わらない限り、イスラエルによるパレスチナ占領が終わらない限り、パレスチナに平和は実現しません。

26.停戦が延長されていたならば、ハマスはより長距離のロケットを密輸していたのではないでしょうか? テルアビブまで攻撃されかねないような? これを考えると、新たな停戦はどんなものであれ武器の密輸を阻止する条件を含まなくてはならず、それはハマスにとって受け入れられないものだったのではないでしょうか?

テルアビブがハマスのロケットの脅威のもとに暮らしたくはないというのは理解できます。けれども、それならば同時に、ガザの人々がイスラエルのF−16戦闘機の脅威のもとに暮らしたくないことも理解しなくてはなりません。両者の違いは、ガザの人々が直面している脅威は想像上のものでも単なる脅威にとどまるでもない、という点です。このことは、これまでの数週間ではっきり示されています。

実際問題として、エジプト国境を通して密輸できるものには限界があります。国境の両側の当局が密輸をしたいとき、それを阻止することは困難です。ガザについて言えば、エジプト政府は強硬にハマスに反対しており、ハマスに兵器が送られることを知って見逃すことはありません。

カーターがイスラエルとハマスの停戦延長および国境の開放を求めたとき、イスラエルは、武器密輸を阻止するよりよい手段があるならば国境を開放しよう、とは言いませんでした。イスラエルは単に、国境の全面解放を拒んだのです。ですから、ハマスがそんな条件を受け入れたかどうかはわかりません。相手に要求もせずに戦争を起こすことが、正当な戦争に必要な「最終手段」という基準に反することは確実です。

さらに、国境を開放すれば実際には武器密輸は減るかもしれないことに注意しましょう。明らかに、武器はイスラエルとの国境やEUスタッフが詰めるラファの越境地点から持ち込まれるものではありません。けれども、トンネルを掘る誘因は恐らく減るでしょう。というのも、越境地点が閉鎖されている限り、食料をはじめとする必需品を入手するために、どれだけ危険であれ、トンネルを掘らざるを得ないからです。


キャスト・リード作戦におけるイスラエルのふるまい

27.イスラエルは均衡性を保って応戦すべきだったというのはどういう意味でしょうか?

仮に戦争を起こす正当な原因があるとしても、均衡性の原則に則らなくてはなりません。イスラエルは占領勢力であり、その占領を維持しようとしていますし、また、封鎖を解除して停戦を延長することに合意すればロケット発射を止めることができた可能性が高いのですから、戦争を起こす正当な大義を有していません。したがって、イスラエルが戦争でどのようにふるまおうと、イスラエルの戦争は不正です。

けれども、イスラエルには正当な大義があると(誤って)信じている人のために言っておくと、戦争において均衡性の原則に則らないならば、いずれにせよ戦争は正当なものとはなりません。

国際法のもとでは、目標の価値よりも重大な民間人の声明の喪失や民間人財産や自然環境への損害が、軍事目標を攻撃することにより引き起こされるとき、均衡性の原則によって、その軍事目標を攻撃することは禁じられています。ここでの「重大さ」には、自国の市民がそこから被害を受けるかもしれない軍事目標を破壊するのに正確にどれだけの民間人を殺してよいかをめぐり、主観的な要素が入ります。けれども、この主観性は無制限なものではありません。7年間で22人の死をもたらした(そして2008年6月5日以来一人の死者ももたらしていない)兵器の発射能力を破壊するために、イスラエルがやったように何百人もの民間人を殺すことは均衡性の原則に従っているとは決して言えません[90]。

イスラエルは本当に、ガザでやっていることが均衡していると思っているでしょうか? そうは思えません。実際、イスラエル政府高官もシンクタンクのアナリストたちも、不均衡な力で攻撃することを、あからさまに提唱しています[91]。パレスチナ人そしてより一般にアラブ人に対する処し方が、何らかの外交的解決を求めることではなく脅迫と恫喝によるものである場合、自分の抑止力がどれだけ強いかに関心を払うこと、すなわち均衡性ではなく残忍さに価値を置くことは、驚きではありません。

28.ハマスは軍事施設を民間人地域に置き、したがって民間人を人間の盾として使っているのですから、民間人が被った被害はすべてハマスの責任ではないでしょうか?

国際人道法は軍事施設を民間人地区に置くことを禁じています。しかしながら、それだからといって攻撃者がそれらの施設を攻撃する無際限の権利を有するわけではありません。攻撃者は依然として軍事的なメリットと民間人に対する損害の重さを測らなくてはなりません。ヒューマンライツ・ウォッチが説明するように:
「・・・・・・攻撃する側は、攻撃を受ける側が合法的な軍事標的を民間人が住む地域の中あるいはその近くに置いたと見なしたからといって、民間人への危険を考慮する責任を逃れられるわけではない。すなわち、人口密集地域にハマスの司令官や軍事施設があるからといって、民間人への脅威を考慮せずにその地域を攻撃することが正当化されるわけではない」[92]。
さらに、イスラエルの標的リストにはハマス指導者たちの自宅も含まれていますから、ハマスには民間人と軍事標的が混ざるのを避けることなどできませんでした。

元米国海兵隊員のコメントがこの点に関連します。イラクにおける実際の米国の方針がどうだったかについての彼の考えに疑問はありますが、それでも彼のコメントは参考になります:
「私は最近米国海兵隊を引退したが、イラクでの軍務は見てきた。現在のガザの状況にも妥当する軍事的問題について多少は知っている」

「私は、米国政治家たちや識者たちが『米国がメキシコやカナダからロケット攻撃を受けたら我々はイスラエルと同様に対応する』という旨のことを言っているのに失望している。それは米兵への大きな侮辱である。確言するが、我々はイスラエルのようには対応しない。事実、米軍兵士と軍属文民はイラクでもアフガニスタンでも、ハマスよりはるかによく武装し、訓練を受け、致命的なグループからずっと攻撃を受け続けている・・・・・・。イスラエルは確かにハマスのロケット砲で少数の犠牲者を出した(2001年以来約20人が殺されている)が、我々はイラクとアフガニスタンで何千人もの犠牲者を出しており、それには文民要員も多数含まれている。間接照準射撃、しばしば迫撃砲により、何百人もの米国人犠牲者が出た。とりわけこれはバグダードのグリーンゾーン内とその近くで激しい。発砲が人口の密集した地区からなされることもしばしばである」。

「米軍はこうした攻撃に対し無差別に報復したりはしない。繰り返すが決してしない。『無差別』とういのはつまり、仮に発砲源を正確に同定できたとしても(それはとても難しいが)、民間人犠牲者を出すことがわかっていれば応戦しないということだ。我々は常に、応戦の前に民間人への脅威を評価するが、都市部では民間人に被害が出る可能性は極めて高い。米軍兵士がこの交戦規則に反して民間人に損害を与えたとき、事態を調査し、逮捕状が出るなら罰を与えることに最善を尽くす」[93]。
【訳注:残念ながら米軍はイラクで民間人を無差別に殺しています。ラフール・マハジャン他『ファルージャ2004年4月』(現代企画室・2004年)に米軍の行為が現地からの証言として紹介されています】

あと2点指摘しておかなくてはなりません。

第一に、イスラエル軍もまた、パレスチナ人民間人を人間の盾に使っていることです。アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ・プログラム代表マルコム・スマートによると、「ガザにいる我々の情報源は、イスラエル軍兵士は多くのパレスチナ人住宅に入って陣取り、住人家族を一階の部屋に集めて自分たちはその家の他の部分を軍事拠点および狙撃ポジションとして使っていると報じている」。スマートによると、これが「パレスチナ人家族の危険を高めることは明らかであり、実質上こうした家族の人々は人間の盾として使われている」[94]。

第二に、イスラエル軍の兵士も、イスラエルの民間人に混ざっていることです。イスラエル政府に近いシンクタンクの報告を見てみましょう:
「1月8日:ロケットの集中砲火がイスラエル北西部の村ネゲブに発射された。イスラエル軍兵士が7人負傷した。一人は重体、もう一人は重傷、そして5人は軽傷」[95]。
29.イスラエルは攻撃を予定している家に電話をかけ、またリーフレットを投下して、軍事標的から離れるよう民間人に警告しています。ですから、イスラエル軍は民間人を保護する義務を果たしているのではないでしょうか?

キャスト・リード作戦を開始したとき、イスラエルは警告をまったく発していません。攻撃は午前11時半、ガザの街中の人手がもっとも多く、学校で授業を受ける子供たちが交代しているときです[96]。

イスラエルがその後にかけた電話や、配布したリーフレットは、いくつかの理由で、民間人を保護する義務を果たしていることにはなりません。

第一に、イスラエルは実際に攻撃するよりも多くの家に電話をかけています。アムネスティ・イナーナショナルが指摘するように:
「イスラエルの爆撃が引き起こした恐怖に加えて、イスラエル軍はガザの多くの住民にどうやら手当たり次第に電話をかけ、自宅に対する空爆が差し迫っているから家から避難するよう告げた。そうしたメッセージを数階建てのアパートの住人が受け取り、電話を受けた人だけでなくアパート住人全体にパニックを引き起こす・・・・・・。こうした脅迫電話は、どうやら民間人の間に恐怖を引き起こすためになされているらしい。というのも、ほとんどの場合、警告を受けた建物に対する空襲はなされないのだから。それがイスラエルの目的だとすると、これは効果的な警告を与えるのとは程遠く、国際法に違反した行為であって即刻やめなくてはならない」[97]。
第二に、人口の密集した都市部では、ある場所から別の場所に移動したとしても安全は保証されません[98]。

第三に、イスラエルが個人を標的とするとき、警告は標的だけが逃げる時間だけを与えるときもあれば、遅すぎることもあり、いずれにせよ標的以外の人々を救うことにはなりません[99]。

仮にハマスがイスラエル南部の全イスラエル人に対し、軍事施設の近くにいるから自宅から避難するようアナウンスしたと想像してみましょう。そうすればハマスは、自らの攻撃がもたらした民間人の死に責任を追わなくてよいことになるのでしょうか?

30.イスラエルは意図的にガザで民間人を標的にしているのですか?

少なくとも、イスラエルは確実に、国際法が標的とすることを禁じている類の人々や建物を標的としました。

イスラエル軍は警察を標的としました。国際法は、戦闘行為に従事する警察と文民機能を果たす警察(武装か非武装かは問いません)とを区別しています[100]。最初の総攻撃で、イスラエルは(イスラエルの人権団体ベツレムの言葉では)「ガザの重要な警察署を」爆撃し、「報じられるところによると警察の訓練科にいて爆撃当時隊列を組んでいたパレスチナ人42人を殺した。この訓練コースに参加していた人々は、応急手当、騒乱への対処、人権、公衆安全訓練などなどを学んでいるところだった。このコースを受けたのち、警官たちはガザの警察の様々な部門に配置され、公共秩序の維持にあたる予定だった」[101]。

もちろん、こうして訓練を受けた警官の中からのちにハマスの戦士になる人が出るかもしれません。けれども、イスラエルにおける予備兵の数を考えるならば、イスラエル人民間人を標的とした攻撃が、のちに兵役に就くことになる者を殺すことになるというのも事実です。犠牲者が予備兵の立場にあったことを指摘してバスでの自爆を正当化するのはグロテスクです。パレスチナ人警察官の殺害を正当化するのも同様にグロテスクです。

イスラエルはまた、政府建物やハマスに関係するあらゆる人を、戦争に関与していたかどうかにかかわらず、標的としてきました。そしてイスラエル政府高官は、そうした攻撃は意図的なものであり、標的となった建物や人物が軍事行動に関係していたかどうかを示す必要など微塵も感じていない、と述べています。ある上級イスラエル軍士官は、ワシントン・ポスト紙に、「ハマスは多面的であり、我々はそれらすべての面を攻撃しようとしている。というのも、すべてが関連しておりすべてがイスラエルに対するテロリズムを支持しているからだ」と語っています。イスラエル軍報道官のアヴィタル・レイボヴィッチ少佐は、「ハマスに関係するものはすべて合法的な標的だ」と述べています[102]。ダン・ハレル准将は次のように宣言しています:
「我々はテロリストとランチャーだけでなく、ハマス政府全体とその全部門を攻撃している・・・・・・。我々は政府建物を攻撃している・・・・・・。この作戦が終わったとき、ガザで残っているハマスの建物は一つもないだろう」[103]。
それからイスラエルは、議会、外務省、労働・建設・住宅省をはじめ多数の政府機関建物を爆撃しました。ハマスの資金を遮断する手段として、外貨両替所も爆破しました[104]。「『ハマスの文民インフラは極めて重要な標的だ。圧力をかけたいなら、こうすればよい』とイスラエルの国内治安サービスの元最高顧問でイスラム主義組織の専門家であるマッティ・シュタインベルクは言った」[105]。1月13日、ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところでは、イスラエル諜報関係者は、ハマスの軍事部門はほとんど被害を受けていないが、(タイムズ紙の文言では)「ハマスのガザに対する行政力にはより大きなダメージが加えられた。イスラエル軍の作戦により多数の政府機関建物が破壊されたのである」[106]。

イスラエル政府に近いシンクタンク、諜報テロリズム情報センターは、ガザの人道状況が悪化していることについて、次のように説明しています:
「最近、戦闘とハマス政府の機能不全により、ガザの人道問題は悪化した。送電線の崩壊により大停電がガザ全域で起きたという。パレスチナ・エネルギー局の副局長カナーン・アバイドは、危険が伴うため、停電を復旧するためにチームを送ることは不可能だと述べている・・・・・・。地元当局は機能していないと伝えられており、ゴミは収集されず、基本インフラも修理されていない。さらに、イスラエル軍がトンネルを爆破したため、通常はエジプトから持ち込まれる物資も不足している」[107]。
ところで、もちろん、ハマス政権が機能不全に陥っているのは、イスラエルがハマス行政を攻撃しているからです。また、ガザの人々が生き延びるためにトンネル----それをイスラエルは今爆撃しています----を通してエジプトから持ち込んだ物資に依存しているのは、イスラエルがガザを封鎖しているためです。

その翌日、同じイスラエルのシンクタンクは、ガザの人道危機は一部には「ハマス行政府の機能不全によるものである。ハマスは地下に潜り、ガザの人々が直面する困難に解決を提供することができないことを露呈した」[108]と述べました。ガザの人々が直面する困難を解決するためにハマスが必要とされているのに、地下に潜るなんて、なんとハマスは無責任なんだろう! というわけです。

31.イスラエルにより殺された大多数は民間人ではなくてテロリストではないでしょうか?

大目に見てもまったく違います。イスラエルの攻撃が続いている中で、殺された人の身元と行動を一人一人につき確認するのは困難です。そのため、人権団体や援助団体によっては、殺された女性と子どもの数をもって、殺された民間人の最低人数としているところもあります。けれども、そうした団体が明言しているように[109]、それが民間人犠牲者の全数であると示唆しているわけでもなければ、殺された成人男性が皆戦闘員であると示唆しているのでもありません。

1月14日、パレスチナ保健省は死者1013人と報じ、その40パーセントが女性と子どもであると言いました[110]。男性民間人の殺害も多く記録されています。警官や政府関係者に加え、反ハマス派の判事(彼はヒューマンライツ・ウォッチのコンサルタントの父でもありました)、医療スタッフ、運転手をはじめ多くの民間人男性が殺されています[111]。

1月14日の時点で、4500人以上の人が負傷したと報じられています。その半分は女生と子どもです[112]。さらに、迅速かつ十分な医療措置を得られないために怪我人の多くが死ぬでしょう。ガザの病院は患者であふれ、電力供給は当てにならず物資も不足しており、救急車は出動を恐れ、イスラエルは救急医療車両のアクセスを妨害しています[113]。ヒューマンライツ・ウォッチによると、「紛争開始以来、重体の患者のうちイスラエルに運ばれたのはわずか4人」で、その理由の一つは、負傷したパレスチナ人の治療費用についてイスラエルが支払い保証を求めているからです。1月3日に地上侵攻が始まってから、イスラエルへの負傷者移送は途切れました[114]。

32.まだまだ私たちの知らないことがたくさんあるのではないでしょうか? 事実関係がすべて明らかになるまで判断は保留したほうがよいのでは?

私たちがまだ知らない事実はたくさんあるでしょうが、新たな事実が現れたからといってイスラエルの攻撃が正当なものになることはないでしょう。瓦礫から遺体が発掘されれば、ガザの民間人死者数は確実に増えるでしょうし、遺体安置所に眠る遺体がのちに生き返ることはありえないでしょう。イスラエルのプロパガンダにとって有利になることはイスラエルがすでに公表していると考えられますし、一方でイスラエル政府の主張を傷つけるような事実の多くはまだ知られていないでしょう。というのも、イスラエルは記者や人権監視団の現地入りを制限しているからです[115]。

海外通信協会はガザへのアクセスを求めて訴え、イスラエル最高裁はイスラエル軍は代表取材記者に制限付きで現場入りを認めるべきだとの裁定を下しました。けれどもイスラエル軍は現在までその裁定に従っていません[116]。イスラエル政府広報局の長官ダニー・シーマンはニューヨーク・タイムズ紙に、「ガザに入った記者は誰もがハマスというテロ組織の隠れ蓑、前線になるのだから、それを手助けする理由はない」[117]と述べています。

ニューヨーク・タイムズ紙は次のように報じています:
「記者団がガザへのアクセスを制限されているときに、イスラエル政府は公共メッセージをかたちづくるための新たな機構を創生し、政府の主要部門の報道担当が毎日会合を開いてあらゆるメッセージが統一的なものであることを保証するようにした」

「我々は我々のやっていることに関するイメージと内容についてすべてを調整し、閣僚や教授や元外交官など、誰が放送で話そうと、何を言っているか確実に自らわかっているように調整した」と外務省のメディア担当補佐官アヴィヴ・シールオンは述べています。「我々が話の種を提供し、我々のイメージと考えを広めようとしている」[118]。
イスラエルのプロパガンダ・マシンには「イスラエル・プロジェクト」のような米国の組織もあります。「イスラエル・プロジェクト」は、どれほど突飛なものであれ、イスラエルの主張をすべて繰り返す組織です。例えば、1月2日、イスラエル・プロジェクトは次のように確言しています:
「国際援助団体によると、ガザの倉庫は満杯だった・・・・・・。世界食料計画はイスラエルに、ガザの倉庫は満杯で2週間分に十分な食料があるため、ガザへの食料供給をやめると通報した」(この情報源はイスラエル外務省の声明でした[119])
真実は次のようなものでした:
12月18日:「危機状況が続き、ガザの小麦粉が不足する中で国境のアクセスが不安定なため、UNRWAは倉庫の小麦粉貯蔵すべてを使い果たしてしまった。12月9日から10日にガザに到着する予定だった小麦の供給はロケット砲のためにガザに入れず、製粉場には小麦粉がなくなたっため、UNRWAは食料配給の停止を余儀なくされた」[120]。

12月23日:「国境封鎖が続くため、暴力が激化したときの国連人道組織による支援提供能力は大幅に落ち込んでいる。生活必需品数種類について国連人道支援計画のストックは底を突き、定常プログラムの実施が極めて困難になっている。UNRWAには配布する小麦粉も紙幣もなく、支援を受ける人々数千人に影響が生じている。WFPは備蓄を準備できずにいる。緊急事態が発生すると、ガザには手に入る食料がない」[121]。

12月28日:「ガザで小麦が枯渇しているため、ガザの製粉所はすべて閉鎖せざるを得なくなった。まだ営業しているパン屋には人々が長い列を作っているという。UNRWAの小麦備蓄は依然としてゼロである」[122]。

1月3日:「12月27日以来、WFPは(実行パートナーを通して)手に入る1350トンのうちほんの一部を配給したのみである。現在配給している食料は10月から12月のサイクルで配給されるべきものだった。UNRWAは、12月18日に停止した7つの配給センターからの食料配給を1月1日に再開した。配給は本日も続いている」[123]

1月12日:「基本的な食品の多くが----幼児や栄養失調の子どものための食料を含め----もはや手に入らなくなっている」[124]。
33.イスラエルの人々は例外なくイスラエル政府の政策を支持しているのですか?

米国でと同様、イスラエルの人々は、政府と政府に従うメディアに流されがちです。2009年1月1日、包括的地上戦に進むことを支持していたのは人口の5分の1以下でしたが[125]、政治指導者が地上戦を開始すると、イスラエルの人々はそれを支持しました。

1月15日に発表された世論調査では、イスラエル人の82パーセントがイスラエルが「やりすぎた」とは考えていません。つまり、イスラエルにおけるユダヤ人人口のほぼ全員が戦争を支持しているということです[126]。ほぼ全員。イスラエルでも多くの反戦行動がなされました。多くはアラブ人居住地域でですが、ユダヤ人とパレスチナ人イスラエル市民がともに参加することもありました。1月3日にはテルアビブで数千人が参加した反戦デモがありました[127]。ガザでのイスラエル軍の作戦を終わらせハマスとの停戦を更新するよう求める請願には、スデロットの住人500人が書名しています。スレドットはガザ国境にあるイスラエルの町で、多数のロケットが被弾している場所です[128]。

けれども戦争への熱狂がイスラエルを席巻していることは確実です。イスラエルの中央選挙委員会は次の議会選挙ではイスラエルのアラブ系政党の参加を禁止しました。最高裁がこの決定を覆すとしても、右派政党に加えて政権の主要政党であるカディマと労働党がともに禁止を支持したことにはぞっとさせられます[129]。


アメリカ合衆国

34.米国の役割はどのようなものだったのでしょうか?

米国は少なくとも40年にわたってイスラエルの政策を実現する人としてふるまってきました。米国議会調査部によると:
「イスラエルは、第二次世界大戦以降、米国の海外援助の最大の受け取り手である。1976年から2004年までに、イスラエルは年単位でもずっと米国の海外援助の最大の受け取り手だった。最近、イラクがイスラエルに取って代わった。1985年以来、米国は毎年30億ドル近くの援助をイスラエルに提供している」[130]。
イスラエルは世界の富裕国トップ50に入っているので、経済援助の必要性は低いのですが、経済援助が減少するにつれて軍事援助が増加してきました。さらに、イスラエルが米国政府から受けている財政上の利益はそれにとどまりません:
「イスラエルは、米国の研究開発およびイスラエル製品の軍事購入先として米軍の援助を利用できる。さらに、イスラエル向けの米国対外支援はすべて、会計年度が始まって30日以内に提供される。ほとんどの被援助国は、援助を分割払いで受け取るのが普通である。米国議会はまた、米=イスラエル・ミサイル防衛計画に予算を割り当てている」[131]。
さらに:
「米国の軍事援助によりイスラエルは世界でも最も技術的に洗練された軍隊を持つことになった。イスラエルに対する米国の軍事援助は近隣諸国の軍に対してイスラエルが質的な優位を保つことができるよう計画されている・・・・・・。米国の軍事援助は----その一部はイスラエルの防衛産業からの調達として使われる----はまた、イスラエル国内の防衛産業の育成を助けた。イスラエルの防衛産業は、現在、世界中の武器提供のトップテンに入っている」[132]。
米国がイスラエルに提供した武器として、ガザ攻撃に使われているFー16戦闘機とアパッチ・ヘリがあります。アナリストのフィリス・ベニスによると、「2001年から2006年の間に、米国政府はイスラエルにF−16戦隊の部品として2億ドル相当を提供している。昨年1年だけで、米国は、イスラエルに数千のTOW、ヘルファイヤー、バンカーバスター・ミサイルを提供するという130億ドルの契約をレイセオン社と結んだ」。ベニスは、「つまり、今日イスラエルがガザに加えている致命的な攻撃は、米国からの軍事援助なしにはできなかった」と結論しています[133]。

米国はまた、イスラエルに決定的な外交的支援を与えています。国連安保理の拒否権を使って、米国政府はイスラエルに批判的すぎると見なしたあらゆる決議の採択を阻止してきました。1967年から2008年までに、米国はイスラエルを守るために42回拒否権を行使してきました(これはあらゆる話題を含めて米国が行使した拒否権の半分以上を占め、またすべての常任理事国があらゆる議題を含めて行使した拒否権の約8分の3に相当します)[134]。けれども、この記録だけでは、米国の拒否権がイスラエルに与えた利益の大きさを言い尽くせません:米国政府が拒否権を行使するだろうと予測されたためにそもそも議決段階まで至らなかったイスラエルへの批判も無数にあるのです。

イスラエルがキャスト・リード作戦を開始してすぐに、停戦を求める国際的な世論が高まりました。けれども、米国は安保理決議のかたちでそれが発効することをすべて妨害しました[135]。ついに、1月8日、イスラエルが攻撃を開始してから12日後、虐殺があまりに酷くなったとき、米国は停戦決議に拒否権を発動する代わりに棄権しました(決議は賛成14反対0棄権1で採択されました)。けれども、イスラエルはすぐさま、決議を無視すると発表しました[136]。安保理には、安保理決議に従うことを拒否した国に対して制裁----経済的あるいは軍事的な----を加える権限がありますが、そうした強制行動がイスラエルに対して発動されないよう米国政府が動くことは、誰の目にも明らかでした(米国の棄権がそのようなメッセージを送っています)。

もちろん、それは米国の人々がどう行動するかに依存しています。世論調査はイスラエルに対しての支持はささやかであることを示していますが[137]、これは、米国の主要メディアがイスラエル寄りであることを考えると驚くべきことです。イスラエル・ロビーは膨大な資金と巨大な政治的影響力を有していますが、ユダヤ系アメリカ人の中にはそれと意見を異にする人が増えています。「親イスラエル・親平和」運動の政治部門を自称するJ・ストリートは、米国議会に一定の影響力を持っています[138]。

けれども、平和と正義に関心を持つ人々は、イスラエルに対する米国政府の白紙小切手提供をやめさせる運動を起こし、イスラエルの侵略を抑制するために力を注がなくてはなりません。イスラエルに米国の後ろ盾がある限り、イスラエルはパレスチナの人々に対してずっと続けてきた抑圧をやめないでしょう。けれども、私たちが十分な圧力をかけることができれば、米国の政策を変えられるかもしれません。そうすることによってのみ、私たちはイスラエルによるこの残虐行為の爆発を止め、またそれにとどまらず、パレスチナの人々の基本的人権を否定してずっと続けられてきた占領を終わらせることができるでしょう。


日本語版追加

35.イスラエルは一方的停戦を宣言しました(その後ハマスも停戦を宣言したはずです)。イスラエルの停戦宣言で平和が戻るので、よかったのではないでしょうか?

問25の答えでも述べられているように、パレスチナにおける根本的問題は次の点にあります。すなわち、イスラエルがパレスチナ人の土地を占領しており、パレスチナ人の土地のうちで最上の部分をつかんで離さない決意でおり、パレスチナ人には、実行可能な独立の国家を樹立することのできない土地の断片しか残していないという点です。イスラエルが不法入植地を維持する限り、パレスチナ人はバンツスタンに閉じ込められ続けることになります。イスラエルがパレスチナ人の民族自決を認めない限り、そして占領と封鎖を続ける限り、あからさまな軍事攻撃を加えていないとしても、その行為は国際法の定める「民間人に対する攻撃」に相当します。

これについては、m_debuggerさんが、
「出口のない流血」という欺瞞で、ショッキングなまでの喩えにより、状況をこれ以上ないほど明晰に説明していますので、ぜひご覧ください。

ですから、ガザ封鎖の解除を求める書名は依然としてとても大切です(「年越し派遣村」以降、根本問題である派遣法と社会保障の切り捨てに継続して対処することが大切なのと似ています)。どうか他の様々なことに加えて、ご協力下さい。


スティーヴン・R・シャーロームはニュージャージー州ウィリアム・パターソン大学で政治学を教えている。彼はニュー・ポリティクスの理事でZNetに文章を書いている。バシル・アブ=マネー、ジルバート・アーチャー、ジョアンヌ・ランディ、ジャスティン・ポドゥールの有益なコメントに感謝する。ただし、本文章の意見も誤りも私の責任である。



質問一覧



.イスラエルは自国および自国民をロケット攻撃から守る権利を有するのではないでしょうか?

ガザ

.侵略戦争による征服が不法なのは明らかですが、イスラエルが西岸とガザを取得したのは、周辺のアラブ諸国が起こした戦争に対する自衛戦争の結果ではなかったでしょうか?

.イスラエルはガザから撤退し、占領を終わらせたのではなかったでしょうか?

.法的に言って占領が続いているかどうかに関わらず、とにかくイスラエルはガザの入植地と軍基地を放棄したのではなかったでしょうか?

.ガザとの国境を開き、電力や燃料をガザに送る義務をどうしてイスラエルが追わなくてはならないのでしょうか? 自らの意向に従って自国の国境を閉鎖する主権がイスラエルにはないのでしょうか?

.ガザはエジプトと陸を接しています。それなのにどうして、ガザの国境を封鎖したとして、イスラエルが非難されるのでしょうか?

ハマス

.ハマスは、イスラエルのガザからの「撤退」を機会に、イスラエルが挑発していないにもかかわらずロケットを発射したのではないでしょうか?

.選挙でのハマスの勝利に対してイスラエルと西洋諸国はどのように反応したのでしょうか?

.ハマスが平和のパートナーにどうしてなれるというのでしょうか? ハマスは米国=イスラエルの3条件すなわち、イスラエルの承認、暴力の放棄、それ以前にパレスチナ自治政府が受け入れた全合意の受け入れ、を拒否したのではなかったでしょうか?

10.ハマスはイスラエルという存在の受け入れを断固として拒否してきたのではないでしょうか?

11.ハマスはイスラム原理主義と反ユダヤ主義を支持しているのではないですか?

12.ハマスはテロ組織ですか?

13.イスラエルは意図的に民間人を殺しているわけではないですし、自らが引き起こした民間人の死はすべて残念な事故だと言っているのに、どうしてイスラエルをテロリズムで非難できるのでしょうか?

14.ハマスが不正確なロケットを発射しているのは、国際人道法違反ではないでしょうか?

15.イスラエルが民間人を殺してきたことは、パレスチナ人による民間人の攻撃を正当化するのでしょうか?

16.ハマスはイスラエル軍兵士ギラド・シャリットを誘拐したのではないですか?

17.ハマスはガザで、ファタハとパレスチナ自治政府に対して軍事クーデターを行ったのではないですか?

18.ハマスはイランの手駒に過ぎないのではないでしょうか?

小康期

19.2008年6月のイスラエルとの停戦はどのような条件だったのでしょうか?

20.武器の密輸について停戦条件は何といっているのですか?

21.停戦期間にどんなことが起きたのでしょうか?

22.誘拐計画のために使われていたトンネルを破壊するためにイスラエル軍がガザに侵攻するのは合法的なことではないでしょうか?

23.停戦が延長されなかったのはどうしてですか?

24.ハマスが停戦と休戦を破らないと信じることができるのでしょうか?

25.12月19日に停戦が終了したのちガザから立て続けにロケットが発射されたことを考えると、イスラエルには軍事攻撃以外の選択肢はなかったのではないでしょうか?

26.停戦が延長されていたならば、ハマスはより長距離のロケットを密輸していたのではないでしょうか? テルアビブまで攻撃されかねないような? これを考えると、新たな停戦はどんなものであれ武器の密輸を阻止する条件を含まなくてはならず、それはハマスにとって受け入れられないものだったのではないでしょうか?

キャスト・リード作戦のふるまい

27.イスラエルは均衡性を保って応戦すべきだったというのはどういう意味でしょうか?

28.ハマスは軍事施設を民間人地域に置き、したがって民間人を人間の盾として使っているのですから、民間人が被った被害はすべてハマスの責任ではないでしょうか?

29.イスラエルは攻撃を予定している家に電話をかけ、またリールレットを投下して、軍事標的から離れるよう民間人に警告しています。ですから、イスラエル軍は民間人を保護する義務を果たしているのではないでしょうか?

30.イスラエルは意図的にガザで民間人を標的にしているのですか?

31.イスラエルにより殺された大多数は民間人ではなくてテロリストではないでしょうか?

32.まだまだ私たちの知らないことがたくさんあるのではないでしょうか? 事実関係がすべて明らかになるまで判断は保留したほうがよいのでは?

33.イスラエルの人々は例外なくイスラエル政府の政策を支持しているのですか?

アメリカ合衆国

34.米国の役割はどのようなものだったのでしょうか?

日本語版追加

35.イスラエルは一方的停戦を宣言しました(その後ハマスも停戦を宣言したはずです)。イスラエルの停戦宣言で平和が戻るので、よかったのではないでしょうか?



注(日本語訳すべき部分もありますが英語のままです)
 
[1] "Excerpts from Begin Speech at National Defense College," New York Times, Aug. 21, 1982.
 
[2] Donald Macintyre, "Secret memo shows Israel knew Six Day War was illegal," The Independent, May 26, 2007.
 
[3] International Court of Justice, Legal Consequences of the Construction of a Wall in the Occupied Palestinian Territory, Advisory Opinion, July 9, 2004; Declaration of Judge Buergenthal (agreeing that the Israeli settlements violate Article 49, paragraph 6, of the Fourth Geneva Convention and thus violate international humanitarian law).
 
[4] John Dugard, Special Rapporteur on the situation of human rights in the Palestinian territories occupied since 1967, report transmitted by the Secretary General, "Situation of human rights in the Palestinian territories occupied since 1967," UN General Assembly doc. A/61/470, Sept. 27, 2006.
 
[5] Human Rights Watch, "Letter to Olmert: Stop the Blockade of Gaza," Nov. 20, 2008.
 
[6] Sari Bashi and Kenneth Mann, Disengaged Occupiers: The Legal Status of Gaza, Tel Aviv: Gisha: Legal Center for Freedom of Movement, Jan. 2007.
 
[7] Chris McGreal, "Israel redraws the roadmap, building quietly and quickly; Settler population grows as Sharon grabs more West Bank land than he returned in Gaza," Guardian, Oct. 18, 2005.
 
[8] Avi Shavit, "The big freeze," Haaretz, Oct. 8, 2004.
 
[9] Bashi and Mann, Disengaged Occupiers, p. 41.
 
[10] Intelligence and Terrorism Information Center (ITIC), Rocket threat from the Gaza Strip, 2000-2007, Dec. 2007, pp. 38, 41. Other sources give different counts, perhaps counting firings instead of hits in Israel.
 
[11] The Intelligence and Terrorism Information Center is part of the Israel Intelligence Heritage & Commemoration Center (IICC), an NGO dedicated to the memory of the fallen of the Israeli Intelligence Community. It is run by former Israeli intelligence personnel, has a collection of captured Palestinian materials, is routinely cited on the Israeli Ministry of Foreign Affairs website, and, to my knowledge, has never published a critical word about Israel or taken a position that differs from that of the Israeli government.
 
[13] United Nations, Office for the Coordinator of Humanitarian Affairs (OCHA), "Gaza Strip Situation Report," Oct. 31, 2005; OCHA, "Protection of Civilians - Weekly Briefing Notes," Oct. 19-25, 2005; OCHA, "Protection of Civilians - Weekly Briefing Notes," Oct. 26-Nov. 1, 2005.
 
[14] National Democratic Institute, Final Report on the Palestinian Legislative Council Elections, January 25, 2006 (Washington, DC: 2006).
 
[15] See Stephen Zunes, "America's Hidden Role in Hamas's Rise to Power," ZNet, Jan. 5, 2009.
 
[16] International Crisis Group (ICG), Palestinians, Israel and the Quartet: Pulling Back from the Brink, Crisis Group Middle East Report No. 54, June 13, 2006, p. 23.
 
[17] United Nations, Department of Public Information, "General Assembly Adopts 52 Resolutions, 6 Decisions Recommended By Third Committee on Wide Range of Human Rights, Social, Humanitarian Issues," GA/10801, Sixty-third General Assembly, Dec. 18, 2008.
 
[18] See the website maintained by Jewish Voices for Peace, december18th.org (accessed 1/7/09).
 
[19] See note 3.
 
[21] See the data collected by Foundation for Middle East Peace, "Comprehensive Settlement Population, 1972-2007."
 
[22] U.S. Congressional Record, May 24, 2006, p. 3144.
 
[23] See, for example, Ismail Haniya, "A just peace or no peace," Guardian, Mar. 31, 2006 ("a total Israeli withdrawal from all the land occupied in 1967, including East Jerusalem"); Danny Rubinstein, "Haniya tells Haaretz: Withdrawal to 1967 borders will lead to peace," Haaretz, May 23, 2006 (summary here); Ismail Haniyeh, "Aggression Under False Pretenses," Washington Post, July 11, 2006 ("statehood for the West Bank and Gaza, a capital in Arab East Jerusalem, and resolving the 1948 Palestinian refugee issue fairly."); Ahmed Yousef, "What Hamas Wants," New York Times, Nov. 1, 2006 ("offered a 10-year cease-fire with the Israelis to try to create an atmosphere of calm in which we resolve our differences"); Khalid Mish'al, "Our unity can now pave the way for peace and justice," Guardian, Feb. 13, 2007; Amira Hass, "Haniyeh: Hamas willing to accept Palestinian state with 1967 borders," Haaretz, Nov. 9, 2008. See also Jennifer Loewenstein, "Setting the Record Straight on Hamas," CounterPunch, June 12, 2006; Khalid Mish'al interviewed by Ibrahim Humaydi, Damascus, October 10, 2006, published in al-Hayat, October 12, 2006, quoted in Sherifa Zuhur, Hamas and Israel: Conflicting Strategies of Group-Based Politics (Carlisle, PA: Strategic Studies Institute, U.S. Army War College, Dec. 2008), pp. 45-46 ("The movement accepts a state within the 1967 borders and a truce."); ICG, Palestinians, Israel and the Quartet: Pulling Back from the Brink, p. 3 ("I say unambiguously: Hamas does not and never will recognise Israel. Recognition is an act conferred by states, not movements or governments, and Palestine is not a state. Nevertheless, the government's program calls for the end of the occupation, not the destruction of Israel, and Hamas has proposed ending the occupation and a long-term truce (hudna) to bring peace to this region. That is Hamas's own position. The government has also recognised President Abbas's right to conduct political negotiations with Israel. If he were to produce a peace agreement, and if this agreement was endorsed by our national institutions and a popular referendum, then - even if it includes Palestinian recognition of Israel - we would of course accept their verdict. Because respecting the will of the people and their democratic choice is also one of our principles." Crisis Group interview with Riad Mustafa, a Hamas parliamentarian, Ramallah, May 2006).
 
[24] Kevin Peraino, "'We'll Have to Talk'; In spite of escalating violence, a growing chorus of Israelis have begun calling for negotiations with Hamas," Newsweek Web Exclusive, Mar. 7, 2008.
 
[25] Laura Rozen, "Shalom, Hamas," Mother Jones, July-Aug. 2008.
 
[26] ICG, Ruling Palestine I: Gaza Under Hamas, Middle East Report No. 73, Mar. 19, 2008, pp. 15-16.
 
[27] U.S. Dept. of State, Bureau of Democracy, Human Rights, and Labor, "Israel and the occupied territories," in International Religious Freedom Report 2008, Sept. 19, 2008.
 
[28]Hamas Charter, 1988, article 32.
 
[29] See ICG, Dealing With Hamas, Middle East Report No. 21, Jan. 26, 2004, p. 13 ("many observers have concluded that attempts to understand Hamas today by reference to a fifteen-year old founding document is of limited value. Indeed, a closer examination of its current operating environment, institutional interests, organisational agendas, political objectives and alliances and rivalries yields a more nuanced picture.").
 
[30] See, e.g., Steven Erlanger, "In Gaza, Hamas's Insults to Jews Complicate PeaceApril 1, 2008; and, generally, Meir Litvak, "The Anti-Semitism of Hamas," Palestine-Israel Journal, vol. 12, no. 2&3, 2005.," New York Times,
 
[31]Yuval Yoaz and Jack Khoury, "Civil rights group: Israel has reached new heights of racism," Haaretz, Dec. 16, 2007; Avirama Golan, "Study: Israeli Jews becoming increasingly racist toward Arabs," Haaretz, March 19, 2008; Maureen Meehan, "Israeli Textbooks and Children's Literature Promote Racism and Hatred Toward Palestinians and Arabs," Washington Report on Middle East Affairs, Sept. 1999, pp. 19-20.
 
[32] Reuters, "Rahm Emanuel apologizes for father's disparaging remarks about Arabs," Haaretz, Nov. 14, 2008 ("Obviously, [my son] will influence the president to be pro-Israel. Why wouldn't he? What is he, an Arab? He's not going to clean the floors of the White House.")
[33] Matthew Wagner, "Eliyahu advocates carpet bombing Gaza," Jerusalem Post, May 30, 2007.
 
[35] Zuhur, Hamas and Israel: Conflicting Strategies of Group-Based Politics, pp. 54-55. Actually the Dimona attack was on Feb. 4, 2008.
 
[36] U.S. Department of State, Patterns of Global Terrorism: 2001, May 2002.
 
[37] See the report by the Israeli human rights organization, B'Tselem, Act of Vengeance: Israel's Bombing of the Gaza Power Plant and its Effects, Status Report,Sept. 2006.
 
[38] For a few examples, see Gisha (Legal Center for Freedom Movement), Gaza Closure Defined: Collective Punishment: Position Paper on the International Law Definition of Israeli Restrictions on Movement in and out of the Gaza Strip, Tel Aviv: Dec. 2008; B'Tselem, "27 Nov. '08: Gaza: Power and water cuts and bread shortage" ("Not allowing the entry of goods into Gaza in response to the rocket fire constitutes unlawful collective punishment imposed on one and a half million civilians."); Human Rights Watch, "Letter to Olmert: Stop the Blockade of Gaza," Nov. 20, 2008 ("We are writing to express our deep concern about Israel's continuing blockade of the Gaza Strip, a measure that is depriving its population of food, fuel, and basic services, and constitutes a form of collective punishment."); Amnesty International, "Trapped -- collective punishment in Gaza," Aug. 27, 2008; Amnesty International UK, CARE International UK, CAFOD, Christian Aid, Médecins du Monde UK, Oxfam, Save The Children UK and Trócaire, The Gaza Strip: A Humanitarian Implosion, Mar. 6, 2008, p. 5 ("The blockade has effectively dismantled the economy and impoverished the population of Gaza. Israel's policy affects the civilian population of Gaza indiscriminately and constitutes a collective punishment against ordinary men, women and children.") Human Rights Watch further notes that "Israeli officials have implicitly acknowledged that the blockade of Gaza amounts to collective punishment. 'There is no justification for demanding we allow residents of Gaza to live normal lives while shells and rockets are fired from their streets and courtyards at Sderot and other communities in the south,' Prime Minister Ehud Olmert said on January 23, 2008. Israeli Defense Ministry spokesman Shlomo Dror said on January 18, 2008: 'If Palestinians don't stop the violence, I have a feeling the life of people in Gaza is not going to be easy.'" (Human Rights Watch, "Deprived and Endangered: Humanitarian Crisis in the Gaza Strip," Jan. 13, 2009.)
 
[39] John Dugard, "Report of the Special Rapporteur on the situation of human rights in the Palestinian territories occupied since 1967," UN Human Rights Committee, A/HRC/7/17, Jan. 21, 2008, paragraph 26 ("Above all, the Government of Israel has violated the prohibition on collective punishment of an occupied people contained in article 33 of the Fourth Geneva Convention."); John Dugard, "Expert on Human Rights In Occupied Palestinian Territories Says Urgent Security Council Action Needed on Situation In Gaza," UN Press Release, Nov. 8 2006 ("This brutal collective punishment of a people, not a government, has passed largely unnoticed by the international community."); Richard Falk, "Report of the Special Rapporteur on the situation of human rights in the Palestinian territories occupied by Israel since 1967," Aug. 25, 2008, A/63/326, paragraph 43 ("The whole approach taken towards Gaza by Israel and by the United States of America and the European Union, since the Hamas electoral victory in January 2006, involves a massive and unlawful systematic violation of article 33 of the Fourth Geneva Convention, which unconditionally prohibits collective punishment..."); Robert Serry, the UN Special Coordinator for the Middle East Peace Process and Personal Representative of the UN Secretary General, referred to "The collective punishment of the population of Gaza, which has been instituted for months now..." (quoted in Amnesty International, "Trapped -- collective punishment in Gaza," Aug. 27, 2008).
 
[40] Thomas L. Friedman, "Israel's Goals in Gaza," New York Times, Jan. 13, 2009. See the discussion in Glenn Greenwald, "Tom Friedman offers a perfect definition of 'terrorism'," Salon, Jan. 14, 2009.
 
[41] Amnesty International, Statement before the UN Commission on Human Rights, Mar. 26, 2002, MDE 15/027/2002 ("Israeli forces have consistently carried out killings when no lives were in danger.").
 
[42] Amnesty International, "Israel and the Occupied Territories: The Heavy Price of Israeli Incursions," MDE 15/042/2002, April 2002, p. 1 ("they ... killed and targeted medical personnel and journalists").
 
 
[44] B'Tselem, "Statistics: Fatalities, 29.9.2000 - 30.11.2008," accessed 1/6/09. 1,221 of the 2,990 Gazans killed were participating in hostilities and for the remaining 387 it was unknown whether they were participating in hostilities.
 
[45] ITIC, Rocket threat from the Gaza Strip, 2000-2007, Dec. 2007, pp. 72, 74, 101-02 (two additional mortar victims were soldiers); ITIC, Summary of rocket fire and mortar shelling in 2008, Jan. 1, 2009, p. 3.
 
[46] Sharon cited in Amnesty International, "Israel and the Occupied Territories: The Heavy Price of Israeli Incursions," MDE 15/042/2002, April 2002, p. 1.
 
[47] Charles D. Smith, Palestine and the Arab-Israeli Conflict, 4th ed. (Boston: Bedford/St. Martin's, 2001), p. 490.
 
[48] Yossi Sarid, "If you (or I) were Palestinian," Haaretz, Jan. 2, 2009.
 
[50] Amnesty International UK, CARE International UK, CAFOD, Christian Aid, Médecins du Monde UK, Oxfam, Save The Children UK and Trócaire, The Gaza Strip: A Humanitarian Implosion, March 6, 2008, p. 4.
 
[51] "Gaza City," and "Welcome to Najd, District of Gaza," accessed 1/6/09.
 
[52] Tomer Zarchin and Haaretz Service, "Abbas: Israel must free all 11,000 Palestinian prisoners," Haaretz, Dec. 15, 2008.
 
[53] B'Tselem, "Statistics on Administrative Detention," accessed 1/7/09.
 
[54] See Josh Brannon, "IDF commandos enter Gaza capture two Hamas terrorists. More calls for sustained ground offensive as Kassams continue," Jerusalem Post, June 25, 2006, p. 1. Israel claimed that the two were terrorists. In fact, Israel later claimed the pair was involved in the planning of the Shalit operation, to which, it said, Mustafa Muammar confessed under torture (which, having taken place after Shalit was captured, violated even Israel's generous "ticking time bomb" allowance for torture). See Amos Harel, "The 24 hours that could have saved Gilad Shalit," Haaretz, Oct. 12, 2008 ("Only on Sunday -- after the abduction had already occurred, and after the Shin Bet had applied 'exceptional interrogation methods' -- did he break down and reveal the critical details.").
 
[55] B'Tselem, "Prime Minister Olmert, is every Palestinian in the Gaza Strip a terrorist on the death list?" Dec. 7, 2006. B'Tselem, noting that Prime Minister Olmert referred to all the dead Palestinians as terrorists, points out that, "The prime minister's comments indicate that Israel now relates to every Palestinian in the Gaza Strip as a terrorist, and as such is sentenced to death."
 
[56] General Assembly doc. A/61/470, Sept. 27, 2006.
 
[57] David Rose, "The Gaza Bombshell," Vanity Fair, April 2008.
 
[58] For background on Hezbollah, see Gilbert Achcar with Michel Warschawski, The 33-Day War: Israel's War on Hezbollah in Lebanon and Its Consequences, Boulder: Paradigm Publishers, 2007, pp. 17-31.
 
[59] See generally, William O. Beeman, "Hamas is Not Iran's Puppet," New American Media, Dec. 31, 2008.
 
[60] AP, "Details of Israel-Hamas Truce," June 17, 2008. See also the report of the Israeli-government linked think tank ITIC:
 
"From what can be gleaned from Palestinian, Egyptian and Israeli media reports, the lull will be implemented in three stages:
 
"i) Stage One: Three days after the lull goes into effect, Israel will open the Karni and Sufa crossings and allow the passage of basic commodities from Israel into the Gaza Strip.
 
"ii) Stage Two: One week later Israel will permit the passage of most commodities into the Gaza Strip with the exception of those used in the manufacture of weapons.
 
"iii) Stage Three: One week after that talks will be held about opening the Rafah crossing."
 
(ITIC, "The arrangement for a lull in the fighting" [Updated to 6 p.m., June 18, 2008], paragraph 3.)
 
[61] ITIC, "Intensive rocket fire attacks against western Negev population centers and the Ashqelon region after Hamas announces the end of the lull arrangement," Dec. 21, 2008, p. 2 ("At 0600 hours on the morning of December 19 the lull arrangement ended, six months after it began, according to a unilateral announcement made by Hamas and the other Palestinian terrorist organizations. Israel's position was that the lull was unlimited in time" [emphasis in original]).
 
[62] E.g., Israel, Ministry of Foreign Affairs, "One Month of Calm Along the Israel-Gaza Border," July 27, 2008 ("The lull in the fighting is valid for six months and only in the Gaza Strip"); ITIC, "The arrangement for a lull in the fighting" (Updated to 6 p.m., June 18, 2008), paragraph 2 ("The lull, which was formulated by Egypt , will be in effect in the Gaza Strip for a period of six months, at the end of which it is likely to be extended to Judea and Samaria."); Ethan Bronner, "Israel in the Season of Dread," New York Times, June 22, 2008 ("a six-month cease-fire"); Ilene R. Prusher, "Hamas, Israel truce greeted with skepticism and hope," Christian Science Monitor, June 19, 2008 ("The truce, intended to last six months").
 
[63] ITIC, "The arrangement for a lull in the fighting" (Updated to 6 p.m., June 18, 2008), paragraphs 7-8. Palestinian public opinion overwhelmingly was in favor of a ceasefire, but wanted it to include both the West Bank and Gaza, and to guarantee the opening of the Rafah crossing to Egypt. See Palestinian Center for Policy and Survey Research, Survey Research Unit, Poll No. 28, June 5-7, 2008.
 
[64] ITIC, "The arrangement for a lull in the fighting" (Updated to 6 p.m., June 18, 2008), paragraph 11.
 
[65] According to Sa'id Siyam, the interior minister in the deposed Hamas government, "The need to stop bringing weapons to the Gaza Strip was one of the conditions placed by the occupation [i.e. Israel] for reaching the agreement on a calming period. We rejected this demand completely. Weapons were smuggled even when the Israeli occupation was in control of the border strip between the Gaza Strip and Egypt. We are in a state of war, and we have the right to defend ourselves." ("Hamas minister views truce agreement, prisoner exchange with Israel," text of report by privately-owned, pro-Fatah Palestinian daily newspaper Al-Quds on June 22, 2008, BBC Monitoring Middle East - Political, June 24, 2008 [Lexis Nexis].)
 
[66] ITIC, "The arrangement for a lull in the fighting" (Updated to 6 p.m., June 18, 2008), paragraphs 13-14.
 
[67] Avi Issacharoff and The Associated Press, "Gaza truce shaken as four Qassams slam into west Negev," Haaretz, June 24, 2006. A Hamas militant was also killed on the West Bank, but Hamas's military wing responded on the West Bank, attacking some settlers. See BBC Monitoring Middle East - Political, "Hamas claims post-truce drive-by attack on Israeli settlers," June 24, 2008 (Lexis Nexis).
 
[68] ITIC, "Summary of rocket fire and mortar shelling in 2008," Jan. 1, 2009, p. 7. The source gives three contradictory sets of statistics for July-October (cf. pp. 6, 8), but these are the most consistent figures. Three of these rockets and five of the mortar shells landed within Gaza.
 
[69] See the listing of Israeli casualties at Israeli Ministry of Foreign Affairs, "Victims of Palestinian Violence and Terrorism since September 2000," accessed 1/9/09.
 
[70] ITIC, Six Months of the Lull Arrangement, Dec. 2008, p. 7.
 
[71] OCHA, "Humanitarian Monitor," No. 27, July 2008, p. 4.
 
[72] OCHA, "Humanitarian Monitor," No. 31, Nov. 2008, p. 4.
 
[73] Cited in Human Rights Watch, "Deprived and Endangered: Humanitarian Crisis in the Gaza Strip," Jan. 13, 2009.
 
[74]Source: OCHA, "Humanitarian Monitor," no. 24, Apr. 2008 (for March and April); no. 26, June 2008 (for May and June 2008); no. 28, Aug. 2008 (for July and August); no. 30, Oct. 2008 (for September and October); and no. 31, Nov. 2008 (for December 2005, May 2007, and November 2008).
 
[75] Rory McCarthy, "Gaza truce broken as Israeli raid kills six Hamas gunmen," Guardian, Nov. 5, 2008.
 
[76] OCHA, "Humanitarian Monitor," no. 31, Nov. 2008, p. 4.
 
[77] OCHA, "Humanitarian Monitor," no. 31, Nov. 2008, p. 8.
 
[78] Israeli Ministry of Foreign Affairs, "Victims of Palestinian Violence and Terrorism since September 2000," accessed 1/11/09. In fact the last Israeli deaths from Gaza before December 27, 2008, occurred before the lull began on June 5, 2008.
 
[79] Data from OCHA, Protection of Civilian Weekly Report, no. 285, Nov. 5-Nov. 11; no. 286, Nov. 12-18; no. 287, Nov. 19-25; no. 288, Nov. 26-Dec. 2; no. 289, Dec. 3-16; no. 290, Dec. 17-23. The uncertainties are because the sources don't always distinguish whether injured are combatants or civilians, and because the last item doesn't make clear whether the casualties were before or after the expiration of the ceasefire. This tally excludes the casualties from the Nov. 4 operation and its aftermath (that continued into Nov. 5): 6 Palestinian militants killed, 5 injured, 2 Palestinian civilians injured, and 4 Israeli soldiers injured (in Gaza). I have excluded the Palestinian civilian injured by a Palestinian-fired rocket and Palestinian deaths that occurred due to tunnel collapses (most of what was smuggled in through the tunnels to Egypt was food and other necessities; these tunnels were extremely precarious and often collapsing, causing deaths), denial of medical service, and the health consequences of the blockade. (According to the UN, up to 30 percent of Gazans have micro-nutrient deficiencies, and 61 percent of Palestinian children and 26 percent of pregnant Palestinian women suffer from anemia. See Human Rights Watch, "Deprived and Endangered: Humanitarian Crisis in the Gaza Strip," Jan. 13, 2009, footnote 2.)
[80] Jimmy Carter, "The Unnecessary War," Washington Post, Jan. 8, 2009, p. A15.
 
[81] ITIC, "Escalation in the Gaza Strip," Nov. 5, 2008, p. 2n1.
 
[82] See the quotes collected by ITIC:
 
"In the early afternoon of December 17, Izz al-Din al-Qassam Brigades spokesman Abu Ubeida said that '...we cannot extend the lull while the Palestinian people are under siege.'...
 
"Ziyad al-Nahleh, deputy PIJ secretary in Damascus, said there was no real justification for continuing the lull arrangement, and that as long as the Gaza Strip crossings remained closed and Israel did not meet its commitments, the Palestinian organizations would reserve the right to find other ways of breaking the siege as part of the 'resistance'...
 
"Palestinian organizations in Gaza agreed that 'the lull will not be renewed unless the terms are improved. Renewing it with the current terms is unacceptable.' One source added that the most important condition would be the opening of the Gaza Strip crossings into Israel and the Rafah crossing, and the receipt of assurances that Israel would not close the crossings as it had during the current lull...."
 
ITIC, Escalation in attacks from the Gaza Strip as Hamas announces the end of the lull arrangement, Dec. 18, 2008, pp. 4-5,
 
[83] Jimmy Carter, "The Unnecessary War," Washington Post, Jan. 8, 2009, p. A15.
 
[84] Converting monthly to daily figures is not so simple because sometimes daily figures are the monthly figures divided by the number of days the crossings were potentially open -- that is, excluding the Sabbath and holidays. But in any event, Carter refers to the first period of the lull reaching only 20 percent of the normal level, so 15 percent would be lower than even the highest month of the lull.
 
[86] ICG, Dealing With Hamas, p. 56.
 
 
[88] See, in addition to the sources cited in note 30 above, Robert Plotkin, "Hamas would accept Saudi peace plan, spokesman says," San Francisco Chronicle, Apr. 28, 2002.
 
[89] Palestinian Center for Policy and Survey Research, Survey Research Unit, "Joint Israeli Palestinian Poll, September 2008," Palestinian - Israeli Joint Press Release, Sept. 8, 2008.
 
[90] It is true that Hamas's weaponry has been constantly improving. But note that though they had longer range rockets in their arsenal, they did not use these until after Israel began Operation Cast Lead.
 
[91] Reuters, "Israel warns Hezbollah war would invite destruction," Oct. 3, 2008; Gabriel Siboni, "Disproportionate Force: Israel's Concept of Response in Light of the Second Lebanon War," INSS Insight No. 74, Oct. 2, 2008 ("With an outbreak of hostilities, the IDF will need to act immediately, decisively, and with force that is disproportionate to the enemy's actions and the threat it poses. Such a response aims at inflicting damage and meting out punishment to an extent that will demand long and expensive reconstruction processes. The strike must be carried out as quickly as possible, and must prioritize damaging assets over seeking out each and every launcher.") During the 2006 Lebanon war, Israel's ambassador to the United Nations responded to charges that Israel was using disproportionate force, saying "You're damn right we are." (Steven Erlanger, "With Israeli Use of Force, Debate Over Proportion," New York Times, July 19, 2006.) See also Ben White, "Israel: Wedded to War?" Guardian, Oct. 7, 2008.
 
[92]Human Rights Watch, "Q & A on Hostilities between Israel and Hamas," Dec. 31, 2008.
 
[93] JDS from North Carolina, blog entry on the New York Times website, Jan. 8, 2009, accessed 1/12/09. I was led to this source by Juan Cole's invaluable Informed Comment blog.
 
[94] Amnesty International, "Gaza civilians endangered by the military tactics of both sides," Jan. 8, 2009.
 
[95] ITIC, "Operation Cast Lead, Update No. 10," Jan. 8, 2009.
 
[97] Amnesty International, "End unlawful attacks and meet Gaza's emergency needs," Dec. 29, 2008. See also OCHA, "Gaza Humanitarian Situation Report," Jan. 2, 2009, ("Additional people received similar warnings that did not materialize, thus leaving families in a state of panic and uncertainty."); and OCHA, "Protection of Civilians Weekly Report," no. 291, Dec. 25-Dec. 31, 2008, p. 1 ("Telephone calls from IDF personnel, or leaflets dropped by airplanes to people throughout Gaza ordering evacuation from their homes prior to bombings were widely reported. While in some cases homes were bombed immediately after the calls were made, others were not. Nevertheless, given the high population density in Gaza and the close proximity between homes, this has caused considerable panic and uncertainty among those receiving phone calls, as well as neighboring houses. People have been evacuating their homes and staying in streets for long hours exposed to further danger, or staying with relatives.").
 
[98] Taghreed El-Khodary and Isabel Kershner, "Warnings Not Enough for Gaza Families," New York Times, Jan. 6, 2009, p. A10.
 
[99] This point is made by Adi Ophir, "Reflections on Gaza from Tel Aviv," ZNet, Jan. 12, 2009.
 
[100] Human Rights Watch, "Israel/Hamas: Civilians Must Not Be Targets; Disregard for Civilians Underlies Current Escalation," Dec. 30, 2008 ("Under the laws of war, police and police stations are presumptively civilian unless the police are Hamas fighters or taking a direct part in the hostilities, or police stations are being used for military purposes."); Human Rights Watch, "Q & A on Hostilities between Israel and Hamas," Dec. 31, 2008 ("Under international humanitarian law, police are presumed to be civilian - and thus immune from attack - unless formally incorporated into the armed forces of a party to a conflict or directly participating in the hostilities. Thus, police only engaged in ordinary police roles, such as regulating traffic or ordinary law enforcement, would not be subject to lawful attack, while those who are Hamas fighters can be targeted. Police who engage in both ordinary law enforcement and at times in fighting would, like other civilians, be subject to attack whenever and for such time as they were actively participating in the hostilities."); Palestinian Centre for Human Rights, "On the Bloodiest Day in the History of Occupation, Hundreds of Palestinian Civilian Deaths and Casualties in an Israeli Aerial Offensive against the Gaza Strip," Dec. 27, 2008 ("police stations, police officers and law enforcement officials are classified under the international law as civilians, and targeting them as such while they were not engaged in military action constitutes a violation of the international law.")
 
[103] Tova Dadon, "Deputy chief of staff: Worst still ahead," Ynet, Dec. 29, 2008.
 
[104] Ethan Bronner, "Israel Rejects Cease-Fire, but Offers Gaza Aid," Jan. 1, 2009.
 
[106] Steven Erlanger and Michael Slackman, "Israel Says Hamas Is Damaged, Not Destroyed," New York Times, Jan. 13, 2009.
 
[107] ITIC, "Operation Cast Lead - Update No. 8," Jan. 6, 2009.
 
[108] ITIC, "Operation Cast Lead - Update No. 9," Jan. 8, 2009.
 
[109] See UN, Dept. of Public Information, "Press Conference on Situation in Gaza," Dec. 29, 2008:
 
"Responding to numerous questions about why only women and children were counted as civilian casualties, Mr. [John] Holmes [Under-Secretary-General for Humanitarian Affairs and Emergency Relief Coordinator] said the UNRWA figure of civilian casualties had been given to avoid accusations of exaggeration or unclearness about civilians, or others who might be Hamas militants. It was meant to give a credible, minimum figure. He knew that there were civilian men who had been killed, including one UNRWA staff. It was not meant to be 'super considerate' of Israel, as one correspondent suggested. There were civilians killed who were men, but women and children were the only ones one could reasonably be sure were civilians. The given number was not based on a methodology, he said. Neither did he mean to say that all men killed were Hamas.
 
"Ms. [Karen] AbuZayd [Commissioner-General of UNRWA] confirmed that the account was correct. The Emergency Coordinator based in Jerusalem had come up with the tally, and she had questioned it immediately. The director of her office, a lawyer, immediately had said that the numbers should not be used, because they were not legitimate and made no sense. She agreed with that, saying that the numbers had to be looked at again. Her emergency food distributor, who had been killed, was a civilian and a man."
 
[110] OCHA, "Field Update on Gaza from the Humanitarian Coordinator," Jan. 14, 2009, 1700 hours, p. 1.
 
[112] OCHA, "Field Update on Gaza from the Humanitarian Coordinator," Jan. 14, 2009, 1700 hours, p. 1.
 
[113] Human Rights Watch, "Deprived and Endangered: Humanitarian Crisis in the Gaza Strip," Jan. 13, 2009. See also International Committee of the Red Cross, "Gaza: wounded people dying while waiting for ambulances," Jan. 5, 2009.
 
[114] Human Rights Watch, "Deprived and Endangered: Humanitarian Crisis in the Gaza Strip," Jan. 13, 2009.
 
[115] See Joel Simon, Executive Director, Committee to Protect Journalists, "CPJ urges Israel to open Gaza to international reporters" (letter to Ehud Barak), Jan. 6, 2009,.
 
[116] Foreign Press Association of Israel, Statements 2009 (Jan. 7: "The FPA strongly protests the Israeli government's decision to continue the ban on international journalists entering Gaza despite the Supreme Court ruling requiring it to allow access."). See also Human Rights Watch, "Israel/OPT: Immediate access to humanitarian workers and observers essential," Dec. 31, 2008; Rory McCarthy, "Foreign journalists demand Gaza access," Guardian, Dec. 30, 2008; Toni O'Loughlin, "Israel ordered to let international media into GazaDec. 31, 2008. ," Guardian,
 
[117] Ethan Bronner, "Israel Puts Media Clamp on Gaza," New York Times, Jan. 7, 2009.
 
[118] Ethan Bronner, "Israel Puts Media Clamp on Gaza," New York Times, Jan. 7, 2009.
 
[119] The Israel Project, "Fiction vs. Fact: Israel and the Situation in Gaza: 6 Common Fabrications." The Israel Project's Board of Advisors consists of 22 members of the U.S. Congress (from both parties) and actor Ron Silver. See here, accessed 1/13/09.
 
[120] UNRWA, "UNRWA suspends food distribution in Gaza," Press Release
Dec. 18, 2008
.
 
 
[122] OCHA, "Gaza Humanitarian Situation Report," Dec. 28, 2008.
 
[123] OCHA, "Gaza Humanitarian Situation Report," Jan. 3, 2009.
 
[125]Yossi Verter, "Poll: Most Israelis support continuing Gaza military op,"
Haaretz, Jan. 1, 2009.
 
[126] Yossi Verter, "Poll shows most Israelis back IDF action in Gaza," Haaretz, Jan. 15, 2009.
 
[127] See, Gush Shalom, "Mass Demonstration Against the War and Continuing Protest," accessed Jan. 14, 2009, and video.
 
[128] Daniel Edelson, "Sderot, Gaza residents call for renewal of truce," Ynet, Dec. 29, 2008.
 
[129] Shahar Ilan and Roni Singer-Heruti, "Israel bans Arab parties from running in upcoming elections," Haaretz, Jan. 13, 2009.
 
[130] Congressional Research Service, Foreign Affairs, Defense, and Trade Division, U.S. Foreign Aid to Israel, Updated January 2, 2008, Summary.
 
[131] Congressional Research Service, Foreign Affairs, Defense, and Trade Division, U.S. Foreign Aid to Israel, Updated January 2, 2008, Summary.
 
[132] Congressional Research Service, Foreign Affairs, Defense, and Trade Division, U.S. Foreign Aid to Israel, Updated January 2, 2008, p. 1.
 
[133] Phyllis Bennis, "Gaza Crisis: Israeli Violations & U.S. Complicity," Dec. 28, 2008.
 
[134] See Global Policy Forum, "Subjects of UN Security Council Vetoes," accessed 1/14/09.
 
[136] Barak Ravid and Shlomo Shamir, "Israel rejects UN truce resolution, says Gaza operation to continue," Haaretz, Jan. 10, 2009. Hamas later rejected the ceasefire as well.
[138] See here.

益岡賢 2009年1月20日

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