米国の攻撃にもイスラム共和国にも反対する
イランの左派反体制活動家アザル・マジェディはどちらも拒否すると述べた
リポスト・ライク
WW4報告原文


アザール・マジェディはイラン女性自由機構(Organization of Women's Freedom)の創設者で、まずはシャーの独裁体制に、次いでイスラム共和国の独裁に対して闘ってきた筋金入りの人物である。1982年に亡命を余儀なくされたマジェディは、ヨーロッパに亡命しながら活動を続けてきた。現在は、イランへの放送を行っている独立系衛星放送ニューチャネルTV----インターネットで見ることができる----でペルシャ語と英語の番組を制作している。「政治的なイスラム主義に反対」というのが世俗主義と女性の権利を求める声である。彼女は「レフレクションズ」という雑誌も刊行しており、イラン労働者共産党の中心的党員でもある。彼女は3人の子どもとともに英国に暮らしている。このインタビューは、最初、フランスの進歩派誌リポスト・ライクに掲載された。

インタビューが発表されたのは、英国モスク・イマム全国諮問会議(MINAB)が「市民的責任」および英国のムスリムに対する寛容のための「行動規範」を作成したときだった。ムスリム・コミュニティの反対派は、MINAB----2005年にロンドン地下鉄攻撃があったあと英国内務省の過激主義に関するタスクフォースから生まれたものである----は男性が支配する組織で、女性の権利と尊厳を十分に扱っていないと述べる。リポスト・ライクは、「多文化主義(マルチカルチャリズム)」と「寛容」は、非常にしばしば、弾圧を隠蔽し特権を擁護するために用いられていると考える。同時に、イスラム嫌いの文化が逆説的にもイスラム主義者の反動を引き起こしていると批判する。彼女たちは、この重要な区別をしていない点について、とりわけ英国左派の一部----そこには「ストップ・ザ・ウォー連合」の中心勢力の一つである英国社会主義労働者党も含まれる----に対して批判的である。

質問:ロンドンでテロ攻撃が起きてから、英国の人々は「多文化主義者」の危険に気付いたと思いますか?

アザール・マジェディ:英国の世論を評価するのは困難です。世論を作り上げるのは通常、メディアなのですから。英国の公共圏についていうと、いいえと答えるでしょう。変化はない、と。英国政府はいわゆる「ムスリム指導者」たち、私に言わせると勝手にそう名乗っているだけですが、に対する融和政策を続けています。「ムスリム・コミュニティの気持ちを掴む」ためにそうした宗教指導者の男たちに相談するのが英国政府の主な政策なのです。

残念ながら、いわゆるムスリム・コミュニティと一般の人々との間に不信感が広まっています。ムスリム・コミュニティは孤立し差別されていると感じています。汚名を着せられていると。現在の緊張が生んだ負の効果です。一部の人にとって、ムスリムは誰であれ、イスラム主義に結びついていると考えたり、「ムスリム」をテロ容疑者と見なしたりしています。この態度が社会の緊張と不和を高め、既存の分断をさらに深くしています。

左派には、恐らく善意から、人種差別とムスリム・コミュニティに汚名を着せることへの反対として、イスラム主義運動を支持するような雰囲気があります。ヴェールやジェンダー・アパルトヘイトをはじめ、反動的で差別的で女嫌いにもとづくイスラム主義の価値観です。これはひどく間違っています。実際上、「ムスリム」においてはジェンダー・アパルトヘイトと差別はOKだという人種差別主義になるのです。これは二重基準です。

私たちは何よりもまず、「ふつうのムスリム」とイスラム主義運動とを区別しなくてはなりません。第二に、どんな宗教やイデオロギー、信念を持つ市民も必要なら批判できるのと同じようにイスラムも自由に批判できなくてはなりません。けれども、左派の一部には、それらを区別せず、自薦自称のムスリム指導者たちの宣言を受け容れてしまう人がいます。イスラム主義運動はムスリムを代表するものではなく、パレスチナの人々や悲しみに暮れたイラクの人々を代表するものではありません。この点は強調しておかなくてはなりません。

健全な議論が必要だと思います。イスラム主義とイスラム主義運動を批判するとともに人種差別主義やイスラムに汚名を着せることに反対し、個人の権利を擁護しなくてはなりません。2001年9月11日に起きた悲劇的な事件以来、この社会では、安全の名の下に、市民的自由の多くがなし崩し的に剥奪されました。この傾向を押し返し逆転する必要があります。

質問:トロツキストの社会主義労働者党(SWP)はイスラム原理主義者から距離を置いているのですか? それともロンドンで開催された2005年の欧州社会フォーラムでのように公然と仲良くしているのですか?

アザール・マジェディ:この党のふるまいを詳しくは見てこなかったのです。私が知る限り、SWPはイスラム主義者への政策を変えていません。SWPは今もこの反動的なテロリスト運動を支持しています。

質問:[ロンドン市長]ケン・リヴィングストンの巨大モスク計画についてはどう思いますか?

アザール・マジェディ:全面的に反対です。これ以上モスクは必要ではありません。すでにたくさんありすぎるのです。必要なのは、ムスリム・コミュニティの子どもと若者のためのより環境のよい学校をもっとたくさんつくることです。よりよい、資金も豊富な教育と多くのレジャー・センター、スポーツ施設です。社会環境を改善するためにムスリムのコミュニティにもっと多くの予算を振り向ける必要があります。モスクは子どもたちと若者を洗脳する場所です。恵まれない人々や周辺化された人々がこうしたモスクに行くようになり、憎悪、反動的、女嫌いの価値観を教え込まれるのです。モスクの中には、フィンズベリーのように、テロリストの考えを教え込むものもあります。さらに、サウジアラビアやイランなどのイスラム主義政府がそうした大規模なプロジェクトの背後にあることを意識しなくてはなりません。そうしたモニュメントを建てることの目的がそこからわかります。

質問:あなたはイランのアヤトーラたちと対立しています。[フランスの外相ベルナール]クシュネルが伝えた脅迫についてはどういう立場ですか?

アザール・マジェディ:確かに私はイランのイスラム主義政権の天敵です。10万人以上の人を処刑してきた残忍な政権で、人々を弾圧し、女性を骨の髄から嫌う残酷な独裁体制ですから。私はこの政権が権力を握った日からこれと闘ってきました。

さて、そう言った上で、私はさらに、戦争には全面的に反対すると言わなくてはなりません。この戦争の結果、苦しむのは、イランと周辺地域の人々です。これは、言わせてもらえば、テロリストたちの戦争です。二極のテロリズムがあるのです。国家テロとイスラム主義テロ。それがこの戦争で闘うのです。そんな戦争が、人道にとって、平和にとって、イランと中東地域の人々にとって、良い結果を生むことはあり得ません。

戦争になれば、イスラム政権の勢力が強くなります。イラク戦争がイスラム主義者とイランのイスラム政権の勢力を強め、レバノンの戦争がヒズボラーとイスラム主義運動を強めたようにです。戦争の脅威が差し迫ったものになるやいなや、イスラム政権は人々をもっと拘束するでしょう。不満が少しでもあればそれを残忍に鎮圧し、人々をさらに冷酷に処刑するでしょう。

戦争は環境の破滅となるでしょう。核施設を攻撃すれば地域は核の地獄になります。私は戦争に100%完全に反対です。この戦争を止めなくてはなりません。イラン攻撃は混沌状態を引き起こし、不吉なシナリオで、テロリズムを生み出す源になるだけです。アフガニスタン、イラク、レバノンを見てください。戦争になれば、イランの将来もそれ以上破滅的にはならないとしても同じくらいひどい破局になります。

イランの政治的に緊迫した状態を考慮しなくてはなりません。イランの人々はイスラム主義政権に抵抗しているのです。イランの労働者、女性の権利活動家、若者たちの運動など、大きな抗議運動があり、イスラム主義の制約に反対し文化的自由を求めています。イランには大きな世俗主義運動があるのです。戦争はそうした、大衆の進歩的運動に破滅的影響を与えます。私たちは「戦争に反対、イスラム主義政権に反対!」というスローガンを掲げなくてはなりません。

国際的な左派と進歩派の運動は、イランのそうした運動を支援すべきです。また、アメリカの好戦プロパガンダも暴かなくてはなりません。イスラム主義政権の核プログラムを解体するというのはイラン攻撃の目的を完全に歪曲しています。イラクで大量破壊兵器プロパガンダが完全に嘘だったのと同じです。世界のガキ大将の立場をアメリカが取り戻すために、アメリカにはもう一つ別の戦争が必要なのです。イラクで実際に勝利したのはイスラム主義勢力です。イランを攻撃することで、米国は世界に米国がイスラム主義勢力と戦う力を持っていることを示そうとしているのです。その点では、どこでも、都合次第でどこでもいいのです。

質問:ボージュの出来事を聞いたときはどう思いましたか? [イベット「ファニー」トルチェルーに対し、ボージュのホステル支配人が、二人のムスリム女性の宿泊者に対し、施設内の公共の場所ではスカーフを取るよう求めたことで8000ユーロの罰金を命ぜられた出来事。]ヨーロッパ中で、スカーフを全面的に禁止することがスカーフをめぐる問題を解決するにあたって最善のことでしょうか?

アザール・マジェディ:複雑な問題です。最初に、私自身はヴェールに反対だと言っておかなくてはなりません。ヴェールは女性抑圧と奴隷化の道具であり象徴だと思っています。さらに、最近では、イスラム主義運動のシンボルになっています。西洋でも中東でも北アフリカでも多くの女性が政治的ジェスチャーとしてヴェールを身につけます。アメリカの侵略、イラクとレバノンで起こした戦争、パレスチナ人に対してイスラエルを全面支持するアメリカの態度から、若い女性が米国と西洋諸国の政策に対する抗議としてヴェールを身につけます。

私はヴェールに反対する闘いをしてきました。その性格を暴こうとしてきたのです。さらに、未成年の少女たちにヴェールを禁ずることには賛成です。子どもたちに無理矢理ヴェールをかぶせるべきではありません。子どもたちには宗教はないのです。親の宗教が強制されるだけです。ヴェールは子どもの心身発達を大きく制限しますから、禁止すべきです。ブルカはどんな状況でも禁止することに賛成です。

けれども、それ以外のヴェールを大人の女性に禁ずるべきではありません。フランスの法が指定するように公共機関や学校では別ですが。ヴェールの禁止は、市民の服装と宗教に対する権利を制限することになると思います。

ヴェールの全面禁止は正の影響よりも負の効果が大きく、自由で世俗的な社会を作り、女性の自由と平等を実現するという私たちの目的を阻害するような反動を作り出すと思います。ヴェールを全面的に禁止するのではなく、ヴェール、イスラム主義運動、アメリカの侵略攻撃に強硬に反対するキャンペーンを展開すべきです。政治的意思表明として「自ら」ヴェールを選んだ女性の目と心を開くために、テロリズムの二極をどちらも暴かなくてはなりません。イスラム主義運動は自らを中東の人々、パレスチナ人、イラク人を解放する勢力と見せようとしています。大嘘です。それは暴かなくてはなりません。イデオロギー的にも政治的にも、イスラム主義者とヴェールというそのシンボルに反対しなくてはなりません。

関連情報源

Azar Majedi
http://www.azarmajedi.com/

Organization for Women's Liberation in Iran (OWLI)
http://azadizan.com/

New Channel TV
http://www.newchannel.tv/

Worker-communist Party of Iran
http://www.wpiran.org/

Riposte Laique
http://www.ripostelaique.com

参照情報

France renews threats against Iran
Press TV, Iran, Nov. 18, 2007
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=31590&sectionid=351020104

The battle over mosque reform
BBC, Nov 29, 2007
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/7118503.stm

Watchdog for UK mosques launches
BBC, June 27, 2006
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/5120338.stm

その他の情報

IRAN: STATE STILL STONES WOMEN
by Assieh Amini, Stop Stoning Forever Campaign
WW4 REPORT, August 2007
http://ww4report.com/node/4281

WW4Reportのブログより

Free women activists in Iran
WW4 REPORT, Nov. 20, 2007
http://ww4report.com/node/4686

UK Class War bashes "leftist" Hezbollah cheerleaders
WW4 REPORT, Sept. 2, 2006
http://ww4report.com/node/2407


■ 越冬行動

フリーター全般労働組合を参照してください。

■ 戦争加担反対1月11日国会前行動

日時 1月11日(木)12:00〜13:00
場所 衆院第2議員会館前
  (地下鉄永田町駅または国会議事堂前駅下車)
呼びかけ 憲法を生かす会、平和を実現するキリスト者ネット、
  平和をつくり出す宗教者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会
  (03−3221−468)

■ 辺野古

どうか、辺野古からの緊急情報辺野古からの緊急情報(携帯版)基地建設阻止(毎日更新)基地建設阻止(毎日更新携帯版)高江の現状をご覧下さい。

カンパ振込先
振込先 郵便振替口座 01700-7-66142
加入者名  ヘリ基地反対協議会

市民憲法講座 「憲法25条と現代の貧困」

お話:湯浅誠さん
  (「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」事務局長)
日 時:2008年1月19日(土)6時半開始
場 所:文京区民センター 3D会議室
参加費:800円
主催◆許すな!憲法改悪・市民連絡会
   東京都千代田区三崎町2−21−6−301
   03-3221-4668 Fax03-3221-2558
   http://www.annie.ne.jp/~kenpou/
益岡賢 2007年12月26日

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