自治労音協通信514

自治労音協通信
　4面　　NO51号／2003.10.1発行

道楽道：連載その４　４０回目のタイ９回目のラオス訪問編（１）

白石　孝（荒川区職労書記長)　

◆１年ぶりの訪問

今回は、１年ぶりで訪問したタイ、ラオスのおはなしです。１９８８年に初めて訪問して以来１６年、毎年２回平均ですから、タイへは４０回ほど行っていることになります。ラオスへは１９９７年から９回を数えます。「そんなに行っていてよく飽きないですね」といった質問もしばしば受けます。仕事の合間を縫って、決まって４泊５日、世界各国を順ぐりで訪問している知人がいます。年３～４回のようですから、多分４０カ国以上は行っているのではないでしょうか。一方ではそういった訪問の仕方もあります。あなたはどちらのパターンでしょうか。　私の旅はほとんどの場合、目的というか用事があってのものですから、必然的に付き合いのある国に繰り返し行くことになるのです。韓国にはこの数年、住基ネットがらみで出かけているので、これもまた繰り返しの訪問です。ただ、タイやラオスは私にとって極めて魅力に富んだ国であることも事実です。その筆頭が食べ物。我が家の日常生活でもタイの醤油「ナムプラー」が欠かせなくなっていて、ゴーヤ炒めもキンピラもひじきもお吸いものもベースに使っているくらいです。で、タイへは久々の休養を目的に出かけました。バンコクからバスで３～４時間カンボジア方向へ走ったところに「バンペー」という港町があり、そこから小さな船に乗って１時間。半日かけて到着するのが「サメット島」です。島全体が国立公園ということもあり、開発が抑制され、大きなホテルやコンドミニアムはなく、いわゆるバンガローやコテージのみが散在している、のんびりした島です。プーケットやサムイなど外国人観光客専用の島と異なり、週末にはタイ人が多く訪れるのも特徴かもしれません。その島で家族３人、何もしないで４日間過ごしました。ダイビング向きでもなく、すごい秘島でもありませんから、余り注目されない島ですが、我が家族にとってはオアシスみたいな所です。

◆メインはアジア子どもの家訪問

さて、今回の旅のメインは自治労が８年間財政支援をしてきた「アジア子どもの家」を訪ねることでした。バンコクで区職労の仲間、それに荒川区図書館非常勤職員労働組合の委員長ら３名と合流し、飛行機で１時間のビエンチャンを訪問しました。「アジア子どもの家」は、自治労が支援を開始した１９９５年にラオス全土で４ヶ所しかありませんでしたが、現在では開設準備中のものも含め２３ヶ所になっています。そのセンター的存在がビエンチャン子どもの家です。事業内容は、伝統文化、読書推進、児童教育が中心で、地域によって多少対象年齢は異なりますが、おおむね就学前から中学生までの子どもが窒ﾁています。ラオスには海がなく、周囲を中国、ビルマ（ミャンマー）、タイ、カンボジア、ベトナムに囲まれ、近年は中国とタイから大翌ﾌ物資や文化が流入、民族の主体性が生活の根底から覆される状況になっています。社会主義国であるにもかかわらず、朝晩、テレビからタイ国歌が流れ、タイ国王の肖像が画魔ﾉ大きく映し出されるのが日常の光景です。子どもたちのラオ語にはどんどんタイ語が混じり込んでいるのです。そこで、政府は伝統文化の保存・普及に力を入れる政策をとっています。子どもの家事業はまさに国家政策です。　読書推進と児童教育は、子どもたちに勉強することや学校へ行くことの楽しさを感じてもらう役割が大きく、不登校や中途退学を防止する効奄烽�りまﾜす。次代を担う人材育成なのです。これらの事業の発展に自治労は大きく貢献してきました。とり閧墲ｯ、ビエンチャンの子どもの家を支援することで、人材育成がはかられ、各地への拡大につながっています。しかし、２００３年３月、本部からの支援は一気に途絶えました。年間数百万円を支援していたのが、ゼロになったのです。代わりにＳＶＡ＝シャンティ国際ボランティア会が独自に財政措置していますが、公的援助もなく、他の団体からの援助も見込めない状況ですから、あと数年がやっとと思われます。このまﾜま放っておけば、子どもの家は崩壊することになります。というのも、ラオスの国家財政は極めて逼迫しており、歳入予算に対する決算が何と３０％台とのことで、公務員の給料遅配は日常茶飯事です。その給料も月額１０ドル（ＵＳ）程度。首都ビエンチャンで平均的家族が生活するためには月１００ドルが必要、と言われていますから、公務員が内職するのは当たり前で、勤務時間中のアルバイトもざらです。そこでﾅ、事業継続のために中央本部に代わって、地連、県本部、単組で支援してもらいたい、というのが本部の言い分で、今のところ、ビエンチャン子どもの家を直接支援しようという組合はありません。佐賀県本部が世界遺産の町ルアンパバーン子どもの家を、自治労名古屋を中心とする愛知県本部・東海地連が地方都市サバナケートに県立図書館建設を進めています。アジアA子どもの家事業支援のきっかけを作り、おそらく自治労では一番多く訪問・交流している私としては、何としてでも子どもの家事業の継続・発展を実現したい、という一念で取り組んでいます。という､ことで、今回は単なる訪問だけでなく、ＳＶＡビエンチャン事務所および子どもの家のラオス人責任者との打ち合わせが最大の目的でした。本来、A支援というのは当事者の自立をサポートすることであり、金銭や物品をずっと与え続けることではありません。援助頼みや援助慣れは決していい結奄�矍�ｽらさないからです。また、単にカネ、モノを与える政府ＯＤＡ型援助よりは、人材育成やＮＧＯ支援を主体とすることが大切と考えています。ただ、ラオスに関しては、余りにも国家財政がなさ過ぎます。そこで、子どもの家が、全国のモデル事業、つまりセンターの機能を奄ｽしていること、人材支援を中心とすること、などから支援を継続することが重要ではないか、と判断しました。（つづく）

Ｅメール：shiratlk@jcom.home.ne.jp

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