自治労音協通信

   2面 NO32号/99.3.15発行

わがまま音楽紀行 (連続第二回)

大阪市職労 宮本雄一郎/メールアドレス miyamotoyuichi@webtv.ne.jp

写真/ナガルコットへの途中、トイレ休憩 真ん中が宮本さん

世界最高峰へ

冬は寒いのでどうしても室内で過ごす機会が多くなりますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。私はこの冬、四年前に阪神大震災で壊れてしまった我が家の古いオーディオ装置をようやく復元して、LPの音を再生してみました。LPの山の中からイーグルスやクリスタル・ゲイル(古くてすみません)などを探し出し、ターンテーブルの上に乗せてアームを落とします。CDとは違う荒々しく太い歌声がスピーカーから流れでてきます。ワープロを打ちながら古いLP盤から流れ出る音楽を聞いていると、いつのまにか文章を打つ手が止まってしまい、音楽を聞くことに心が集中していってしまうのです。

ところで、前回は聖なるヒマラヤの山々を見るためにネパールの田舎町ポカラに着いたところまででした。

場所は同じネパールですが、カトマンドゥから東に向かうと世界最高峰のチョモランマ(エベレスト山)の方角になります。この方向にあるナガルコットは、カトマンドゥ郊外のヒマラヤ展望台といわれる丘です(丘といっても高度は二千百メートルです)。私達は世界最高峰を見るためにカトマンドゥからバスで東をめざすことにしました。

ナガルコットの丘へ行くバスは、カトマンドゥから離れて山道をゴトゴトと登っていきます。道路事情がよくないので、距離はそんなに遠くなくても時間がかかります。カトマンドゥを出ておよそ二時間、バスは山道の途中で小休止のために突然ボロンと停車します。山道の横に小さな売店が一軒あります。バスが止まると地元の小学生が山羊を連れてワイワイと集まってきます

 恐怖の長距離バス

ところで何の自慢にもならないことですが、実は私はトイレが近いのです。普段から近い方なのですが、特にバスに乗るのが恐怖です。「バスに乗る↓トイレがない↓我慢しないといけない↓恐怖↓ちびりそうになる」という悪循環モードに陥ってしまいます。日本ならおおよその常識的な休憩時間というものがあるので、それほど恐慌状態にはならずに済むものの、はじめての国の長距離バスが一番恐いのです。「気にしたらあかんねんでえ、トイレのことは忘れて景色を見よう、他のことに集中しよう」と自分に言い聞かすものの、すでに潜在意識が「バスに乗る↓トイレがない↓我慢しないといけない↓恐怖↓ちびりそうになる」とインプットされているのでどうしようもありません。

というわけで、音協会員の方がもし見知らぬ国の長距離バスに乗ることになったら、万全の対策をされることをおすすめします。

私の乗ったバスがとある山道に停まったとき、私は思わずバスから飛び降りて「トイレはドコデスカ?」と片言でたずねていました。バスの下で待っていた売店のおやじさんは私の顔を覗きこんで、「トイレット?」と確かめると、バスの周囲 三百六十度の草むらを指差して「オールトイレット」といってグワハハハと笑っています。バスから降りてきた世界各地の旅行者も「オールトイレット オーイェイ」とかなんとかいって同じように笑っています。仕方がないので私も「オールトイレット グハハハ」と笑ってから、草むらある方角へのそのそと歩いていって用を足したのでした。

この小休止で余裕を取り戻した私がバスに戻ろうとすると、地元の小学生が集まってきます。ネパールの人はフレンドリーです。特に人なつこいのはこどもたちです。バスがとまると走ってきて、好奇心いっぱいのキラキラ光る瞳で乗客を見つめて笑っています。「何歳?」「学校は?」「お兄ちゃんは?」などと知っている限りのネパール語を使って子供たちと会話をします。「この子、四歳、僕、八歳」「学校、あそこにあるよ」「兄弟いるよ」と子供たちは律義に答えてくれます。こどもをひとりひとり抱き上げ、山羊と一緒に写真を撮るともう時間がなくなりました。あわててお茶を飲んでこどもたちにさようならをいってバスに飛び乗ります。バスは再びゴトゴトと山道を登り始めます。谷間の小さな村が遠く小さくなっていきます。

路地裏の竹笛売り

ところで、ネパールの音楽について私はまったくの素人なのですが、旅から帰ってきてからもなぜか頭の中に印象的に残っているのが竹笛の音色です。カトマンドゥの狭い路地を歩いていると、すれ違う物売りが声をかけてきます。かれらが売っているものはあまり役に立ちそうにもないガラクタ類が多いのですが、物売りの中に竹笛売りがいます。笛の名前を何と呼ぶかはわからないが、竹筒四本を組み合わせて作った手のひらに乗る程の小さな笛で、吹くと「ピロローピロロー…」と、素朴な和音(長音階のよう)が出るようになっています。その和音をメロディアスに奏でながら、街中を売り歩く笛売りというものはいかにもネパールらしい雰囲気がします。

土地で聞くのが最高!

アジア各地にはそれぞれの土地に特有の音楽があります。そうした音楽はやはりそれぞれその音楽の生まれた土地で聞くのが最高だと思います。最近、日本にやってくるアジアの民族音楽の演奏に触れる機会が増えましたが、舞台も演出も演奏も申し分のない出来なのに、何かもの足りなさを感じます。アジアの音楽は、その音楽の生まれた土地の匂い、土地の気候、人々の生活、風のざわめきや星のまたたきの中にあったほうが、やはり何といっても素晴らしい、そんな気がする旅のひとときでした。(つづく)

写真はネパールで撮影

   仏教寺院に住んでいる猿「私が主人でご猿」という風格               ネパール王宮前を歩く人々

”Baby★新聞第700号突破記念ライブ”開催!

さる2月20日(土)7:10p.m.『豆屋』で開催された”Baby★新聞第700号突破記念ライブ”の記事

(Baby★新聞第702号)の一部を転載します。

Baby★新聞にリンク

第7回自治労音協総会案内

音楽祭初日終了後、自治労音協総会を開催いたします!

■日時 1999年5月22日*音楽祭終了後

    16:30〜17:30予定

■場所 日本染色会館(自治労東京都本部会議室予定)

*近くに場所があれば変更予定。

●会費を未納の方は納入してください!

 郵便振替の場合 00110-8-571236 

 名義=自治労音楽協議会

訃 報

日音協岩手県支部副会長の林 重典さんが、去る3月8日日音協セミナーで帰宅途中自宅近くで雲膜下出血により倒れられ、10日急逝されました。享年48才でした。

一昨年開催された、岩手県での第30回はたらくものの音楽祭では、中心的メンバーとして音楽祭を成功に導きました。また全電通音楽サークル協議会での活動では、音響や舞台コーディネートで活躍されていました。

重典さんの誰にも負けない、前向きの人生に心よりエールを贈り、御冥福をお祈り申し上げます。

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