編集長の随時日誌 2007年6月 から分離

アメリカのCIAが「拷問を外部委託」と批判する書評が日経に載った

2007.06.24(2019.9.6分離)

 日曜日の日経の書評欄が、朝日新聞社発行の本の書評を載せている。

 以下は、インターネット書店、アマゾンの紹介の抜粋である。


CIA秘密飛行便―テロ容疑者移送工作の全貌 (単行本)
スティーヴン・グレイ (著), 平賀 秀明 (翻訳)
発行元:朝日新聞社

カスタマーレビュー

善良なシリア系カナダ人マヘルは突然ニューヨークの空港でテロ容疑者として逮捕され、CIAによってシリアに移送され、拷問によって全く身に覚えのない罪を自白させられ、6ヶ月間拷問、劣悪な環境に拘束される。

ようやくシリアから釈放されマヘルは悲しげに「さあ、これが私です。私は人の父親で、人の夫です。私は通信技師で、起業家です。警察ともめ事を起こしたことはただの一度もなく、常によき市民でした。だから私は、私にどうしてこんなことが起こったのか、私の人生のキャリアがいかにして破壊されたのか、いまだ信じられないのです」と記者会見の席上言います。CIAが移送した容疑者の中には、かなり無実の人々も含まれているようです。

528ページと分厚い本書にはCIAがテロ容疑者をシリア、エジプト、アフガニスタン、ウズベキスタンなど拷問が容認されている国にビジネスジェット機で移送する工作の全体像を、多数の具体的事例とともに描いています。

秘密工作が世界規模なために、こうした事実を取材するのは並大抵の努力ではないと思いますが、著書はある日、航空マニアが飛行場に飛来する航空機を監視し、webサイトで公開していることを知り、CIAが所有、レンタルした航空機の飛行記録を入手したところから、CIAの世界的な工作の全貌を把握することに成功します。

それらの飛行記録は、無実の罪で拘束された人々の証言と見事に符合........

9.11テロ以降、アメリカの変貌ぶりを如実に表すエピソード、証言多数。この本を読んでアメリカを批判するのは簡単ですが、今後テロリズムの威嚇をどのように取り除くべきか、考える材料としても1級の資料だと思います。

後半では、こうした工作の法律上の解釈や対テロ戦争の手法として有効かという点も考察され、日本の対テロ政策にも重要な示唆を与えてくれているのではないかと思います。