イラクの政治的位置 予備知識なき報道

イラクの政治的位置 なぜイラクなのか? その政治力学の解明

その1:予備知識なき報道

イスラエルにとってイラクは「目の上のたんこぶ」

1998.3.8.初入力。

 昨晩、わが武蔵野市の東端に位する武蔵野公会堂まで、(春は名のみの)寒風を突いてチャリンコを飛ばし、隣の三鷹市在住で湾岸戦争以来の平和訴訟の仲間であり、イラクの子供の救援に、なんと、これまでに40回も救援物資を運び、現地で長期間の救援活動を続けてきた元保母さん、伊藤政子の話を聞きに行った。

 何度も見た「経済制裁」による栄養失調の赤ん坊のスライド、などなど、辛い話だ。

 終わってから、参加者たちや彼女と話してみると、「なぜイラクなのか?」という疑問が、まだまだ十分に皆の胸に落ちていないことに、改めて気付いた。その状態の基本的原因は、予備知識の不足にあり、当然のことながら、それ以前に、偉そうに報道したり解説したりする自称ジャーナリスト、実はマスコミ業者や、自称専門教授、研究者、実はアカデミー業者たち自身の予備知識の決定的不足にある。

 そこで急遽、旧著と最終校正中の新訳書の一部を抜粋し、とりあえず入力する。

 簡単に言うと、石油資源に恵まれ、反イスラエル、その結果として反米を貫くアラブ人の独立国は、リビアとイラクだけである

 クウェイトとサウディの傀儡政権については多言無用。リビアは人口が 200万そこそこでイスラエルからは遠い。

 イラクは人口約1700万人で、今は同じイスラム教国だがペルシャ語圏のイランに接するために、昔から東端の守りを固めていた尚武の国柄である。日本でいえば防人の国、九州のような位置付けである。

 だから、当然、アラブ圏に無理やり割り込んだ「偽」イスラエルにとっては、「目の上のたんこぶ」なのである。

 なお、以下を抜粋する際、これも改めて気付いたのだが、アメリカ議会の議事録とシオニスト機構の機関誌の2つ証拠文書の中で、軍事的な評価が加えられているのは、イラクとシリアだけだった。

 いわく「イラクの総合戦力」

 いわく「シリアとイラクの[中略]両国の軍事力の破壊」


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