禁断の極秘文書・日本放送労働組合 放送系列
『原点からの告発 ~番組制作白書'66~』30

メルマガ Vol.30 (2008.04.24)

おわりに

 我々は語り続け書き続けてきた。

 何ものかを捉えるために。

 PDの声に記者が応えた。資料マンの声にカメラマンが応えた。国際放
送の声が応えた。

 白鳥座やサソリ座を形づくる無数の原点からの声が捉え得たものは何か。

 最後に二つの引用を掲げこの「告発」の終章とする。

―― 「そんなに深刻に考える必要ないよ。ここしばらく我慢をすれば、また揺り戻しがくるよ。」という声もある。確かにこのまま今の傾向が進められていってはたまらない。そうあって欲しいものだ。しかし、そうなるためには、やはり、我々の主体的努力にかかる部分がかなりある。まさにそのための努力の一環として、このような「制作白書運動」が出てきたのであろう。主体的努力とは、一人一人が全く新しい放送文化の創造を目指すという主体的努力のみならず、少しでもそのような体制を作ってゆくという組織的努力を伴わないと個々の主体的努力は遊撃的方法論(無論必要であるが)にとどまり、優れて組織的な遊撃の思想までには高まらずして、自家中毒に堕してしまう危険が多いことは経験的に立証されているではないか。(教4)――

―― 地方のED局で働く我々の仲間たちは、我々以上に厳しい労働条件の中で懸命に働き続けている。ある日上京した1人の仲間はさらにこの運動が発展して、全国的な規模で討議が重ねられ、放送系列としてのではなく放送労働者としての白書づくりをやりたいと語った。

―― 今回の番組制作白書運動を足がかりとして全国的な運動が展開されることを期待したい。(業3)――

PS

10月17日(月)
 系列書記局会議室の机上にうず高く積まれた各分会の報告を前にして、10人の編集委員が「ウーム」とため息をついた日。

11月8日(火)いや9日(水)の朝か?
 20畳もある旅館の大広間で、散乱した紙クズ、吸い差しを山に築いた灰皿の間で、系執全員が、「ウーンできた」といって真っ赤な目を閉じて、仰向けにひっくり返った日。

 この20日の間に11回の編集委員会が開かれました。 そしてこの1冊ができあがりました。

 精一杯の努力をしたことは確かです。しかし全ての原点からの声を網羅できたか、正しく位置付け得たか、細かいニュアンスを十分生かすことができたか、それは大いに疑問だと感じています。ただ一つゼロに戻らない、蒸発してしまわない白書運動の導火線になりうるであろうことだけは信じたいと思いました。

番組制作白書 編集委員長

資料I

 8月30日の放送系列全分会長会議で組織討議された1966年度放送系列活動方針「組織の前進のために」の中で次のような番組制作白書運動の提案がなされ、これに基づいて分会の運動が始められた。

番組制作白書運動の推進

――新放送構造論活動を中心として――

A 運動の展開

1 分会放対部長会議  9月3日
運動の進め方についての討議。

2 分会討議 9月3日~9月25日
 各分会の放対部長は分会の討議を組織し、その討議内容を系列執行部に報告する。

3 全体討議 9月26日~10月10日
 系列の編集委員会(系列執行部と若干名の編集委員により構成)は各分会の報告を分析、検討する。

4 編  集 10月11日~10月20日
 全体討議の結論により白書の編集を行う。

5 組織アピール
 11月上旬に開催を予想される臨時中央大会までに組織配布を済ませ、臨時中央大会において特別報告を行う。

B 運動の内容

 番組制作白書の内容は

1 どんな番組をつくりたいか。
2 制作条件はどうあるべきか。
3 番組の制作機構はどうあるべきか。
4 労働条件はどうあるべきか。

 以上の4項目を基本的な問題提起として、各分会ごとに組織討議を行う。

1 どんな番組をつくりたいか。

イ 我々は日常の仕事の中で「良い番組」についてどんな具体的なイメージを考えているのか。

 それぞれの担当番組について例えばフィルム・ドキュメンタリー番組、ニュース取材においてどんな内容をどんな角度から取り上げたいのか。そしてそれらの番組は視聴者にどんな働きかけを果たすべきものなのか。

ロ その裏返しとして、我々はどんな番組をつくらされているのか。

 本当に「作りたい番組」と現状とのギャップは何か。

2 制作条件はどうあるべきか。

イ 1で考えられたような番組の制作を可能とする制作条件はどうあるべきか。

 ドラマにおいて、講座番組において、それぞれの理想とする放送内容を実現するために、人員は、施設機材は、番組予算は、制作パターンは、制作スケジュールはどうあるべきか。

ロ 現在与えられている制作条件はどうなっているのか。その劣悪さが番組の内容、我々の労働条件を具体的にどうゆがめているのか。

3 番組の制作機構はどうあるべきか。

イ 我々のめざす番組内容、制作条件を実現し活用するために最も適した機構はどうあるべきか。

 企画、制作の責任は組織的にどうあるべきなのか。人事管理、評価の体制はどうあるべきか。これらについて現行の機構の欠陥はどういう形で現われているか。

ロ あるべき制作の機構に応じて、我々の担務はどうあるべきなのか。

 PD、カメラマン、アナウンサー、記者、技術要員……などの現行の担務に問題はないか。

4 労働条件はどうあるべきか。

 以上の1、2、3の問題提起との関係において我々の労働条件は究極的にどんなものであるべきか。

 現行の労働条件の中で絶対に改善しなければならない点は何か。

 また有利な条件として守らなければならない点は何か。

 以上が4項目の基本的な問題提起の内容についての簡略な説明であるが、この4項目の扱いに関してはそれぞれの分会における業務の内容に応じて極めてフレキシブルに考えられなければならないし、また討議の方法についてもバラエティを必要とすることが予想される。したがって以上についてはあくまでもプロトタイプとして理解されたい。

C 組織討議上の要点

1 各分会では可能ならば番組ごとに、あるいはタイプ別にいくつかの番組群をつくって討論する。1~4を考えるに当たっての具体的なアプローチの例としていくつかのテーマの立て方を例示してみる〔次項(D)参照〕

2 討論に当たっては単に一般的抽象論、概念論議に終らぬよう例えば「国民のための放送」というスローガンを論ずる際、それはドラマの場合、学校放送の場合、具体的にどういう内容と形をとるべきかという方向で論じられなければならない。

3 また過去の実態をとりあげるに当たっても、漠然とした不平、不満の表出に終らないで、過去の実態を実証的に追跡的に洗い出し、その体質を整理、検証する必要とする。

4 番組制作以外の職場ではアナウンサー、カメラマン資料担当者……等、それぞれに応じて「どんな仕事をしたいのか」「そのための機構、担務はどうあるべきなのか」……というように読み替えて討議されたい。

5 組織討議に当たって、あるいは個人名や具体例をあげることが必ずしも適切と思われないようなケースについては、十分考慮されなければならないが、そのために討議が深まらないような結果になっては失敗である。

  白書としてまとめる際には十分編集上必要な考慮をするので、各分会報告にはできるだけ詳細な内容を期待したい。

D テーマの立て方(参考例)

1 合理化のあとを振り返る(問題提起1、2関連)

イ ここ数年来の番組制作をめぐる合理化のステップをあとづけてみる。これらは一つ一つを切り離してみるとその時その時の特殊事情がからみまたそれぞれに一時的なプラス面もあることなどからその評価、位置づけが必ずしも的確になされていなかったうらみがある。今その一こま一こまを洗い直しつなぎあわせることによって一貫した底流と各ステップごとの意味を明確につかむことができ、そこから将来への対処の手がかりが見出されるのではないだろうか。

ロ 例えば、(a)数次にわたる機構改革が制作の体制、我々の担務をどう変えたか。(b)進行、フィルム編集、効果等の要員の解消、PD化の意味とその後。(c)番組単価、制作パターン制度の強化は番組をどう変えたか。(d)制作・送出の機械化、自動化、PD収録スタジオの出現等は番組内容と我々の担務をどう変えたか。etc

ハ とくに昨年来の予算管理はどう行われたか、それが番組内容、労働条件を著しく歪めたことはなかったか。また、今年度の管理にどう影響しているか。

2 提案制度をめぐって(問題提起1、3関連)

イ 番組提案をめぐっては様々な不平不満がある。そこには協会の編成方針なり制作体制なりの弱点が如実に現れている。それを漠然とした不平や不満に終らせないで、番組提案をめぐって様々な問題を具体的に追跡的に取り上げ記録してみよう。

ロ とくに新番組または特集などの制作にあたり提案はどんな形でなされたか。番組編成方針全体と個々の提案との関係はどう提示されたか。
 提案にあたり労働条件、制作条件についてはどのような勘案がなされたか。

ハ 提案から放送までに具体的にどんな関門があったか。その過程を経て内容、テーマの取上げ方、タイトル等はどう扱われどう変容したか。

ニ 特定のテーマ、例えば憲法特集、終戦特集等について過去数年の変遷をたどり、(a)提案の傾向、(b)取り上げられたものの傾向、(c)評価はどうであったかなどを跡付けてみる。ホ 天下り押し付け番組の実態は? 天下り企画はどこから? 我々はそれにどう取り組んだか。

3 番組内容への規制の実態をめぐって(問題提起1、3関連)

イ 番組内容に関するチェック(自己規制をも含めて)はその震源も態様も極めて多様で、しかも漠としてつかみにくいのが特色である。そして問題なのはこの場合それに対する制作側の責任体制が甚だ曖昧なことである。その震源、態様を実証的に取り上げてみよう。

ロ 進行中の番組に対してどんな外的要因から内容への規制、干渉が生じるか具体的に洗い出してみよう。例えば
(a)政治、社会情勢の変化が番組内容を規制した事実はないか
(b)視聴率の高低はどう作用するか
(c)局内外の“えらい人”の発言がどう伝えられどう作用するか
(d)モニター、投書、ジャーナリズム評等はどう扱われるか

ハ 特に考査室の考査内容について、また権限について、不満や疑問の声が最近高い。考査室の番組企画、制作への不当介入の具体的な例証はないか。

 以上の参考例についても番組制作部門を中心に示してあるが、(c)の4にも記したように、他の部門では、それぞれの業務に合った読み替え作業を行うことをお願いしたい。

 要は、現実の業務への不満の分析、整理を行うことと、あるべき業務への各人の日頃の問題意識の明確化とを常に絡み合わせて追求していけるようなテーマを考え出してほしいということである。

資料II

放送系列組織表

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┃総1┃総局第一分会┃総局、計画管理               ┃
┃総2┃ 〃 二 〃┃総局、編成、番組広報            ┃
┣━━╋━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃教1┃教育第一分会┃教育局 学校放送部             ┃
┃教2┃ 〃 二 〃┃ 〃  通信教育部             ┃
┃教3┃ 〃 三 〃┃ 〃  科学産業部             ┃
┃教4┃ 〃 四 〃┃ 〃  青少年部              ┃
┃教5┃ 〃 五 〃┃ 〃  教養部               ┃
┃教6┃ 〃 六 〃┃ 〃  農事部               ┃
┃教7┃ 〃 七 〃┃ 〃  総務部(デザイナーを含む)     ┃
┣━━╋━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃芸1┃芸能第一分会┃芸能局 第一制作部             ┃
┃芸2┃ 〃 二 〃┃ 〃  第二制作部             ┃
┃芸3┃ 〃 三 〃┃ 〃  企画部、演出室、総務部       ┃
┃報1┃教育第一分会┃報道局 編集部               ┃
┃報2┃ 〃 二 〃┃ 〃  政経部               ┃
┃報3┃ 〃 三 〃┃ 〃  社会部               ┃
┃報4┃ 〃 四 〃┃ 〃  外信部、外国放送受信部       ┃
┃報5┃ 〃 五 〃┃ 〃  テレビニュース部          ┃
┃報6┃ 〃 六 〃┃ 〃  運動部               ┃
┃報7┃ 〃 七 〃┃ 〃  社会番組部             ┃
┃報8┃ 〃 八 〃┃ 〃  政経番組部             ┃
┃報9┃ 〃 九 〃┃ 〃  通信部               ┃
┃報10┃ 〃 十 〃┃ 〃  総務部、解説室           ┃
┣━━╋━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃国1┃国際第一分会┃国際局 編成部、渉外部、総務部       ┃
┃国2┃ 〃 二 〃┃ 〃  アジア部、欧米部          ┃
┃国3┃ 〃 三 〃┃ 〃  報道部               ┃
┣━━╋━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃業1┃業務第一分会┃放送業務局 事業部、著作権部        ┃
┃業2┃ 〃 二 〃┃  〃   事業部、著作権部        ┃
┃業3┃ 〃 二 〃┃  〃   アナウンス室          ┃
┃業4┃ 〃 三 〃┃  〃   映画部(映画課、撮影課、写真課)┃
┃業5┃ 〃 四 〃┃  〃   資料部(放送資料室、音楽資料室、┃
┃  ┃      ┃          フィルム資料課、図書課)┃
┣━━╋━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃文研┃文研分会  ┃総合放送文化研究所             ┃
┃世論┃世論分会  ┃放送世論調査所               ┃
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