編集長の辛口時評 2005年9月・10月 から分離

苦々しき靖国参拝の政治的「右往左往

2005年10月19日(2019.8.15分離)

 小泉「不純」一郎が10月17日に「靖国参拝」を強行した。

「右往左往」の政治的議論が、大手マスメディアから電網(インターネット)掲示板に至るまで、ところ狭しと溢れている。

 10月18日の『日本経済新聞』の一面の上段の真ん中の記事の見出しは、「靖国参拝」、外相、訪中延期も、中国外相「強く抗議」である。(関連記事、2,3,8面に)となっている。4面にわたる長大な扱いである。

 一面の左上には、「本社コラムニスト」の肩書きの「田勢康弘」の署名記事があり、その見出しは、「関係悪化を食い止めよ」である。

 二面の右上の社説の見出しは、これが「適切に判断」した結果なのか、である。「宗教法人」云々の議論ではなく、まったくの政治的議論でしかない

 昨年の時評の記憶があるので、以下の検索をした。


亜空間通信、靖国 の検索結果 約 11,600 件中 1 - 100 件目 (0.31 秒)


かなり多くの論者が、この旧稿を引いている。以下、その主要部分を再録する。


http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku850.html
http://www.asyura2.com/0406/war58/msg/299.html
『亜空間通信』850号(2004/08/08)
【8/15は敗戦記念か終戦か政府首脳の靖国公式参拝の背後に控える薄汚い経済的基礎の算術事始め】

 [中略]
 旧軍人・軍属と遺族の会そのものの経済的基礎は、旧軍人・軍属・軍属とその遺族の恩給である。遺族には戦死者の遺族もある。

 わが個人的立場は、父系の祖父以来、恩給とはまったく縁のない民間人である。母系にも直系では軍人はいない。

 わが亡父は、セメント会社の技術者で、徴兵はされず、その代わりに、北京郊外の北支那開発公社の工場に出向になった。一家も北京に引っ越した。敗戦後、引き揚げる時には、わが一家は、手で持てる荷物だけしか持ち帰れなかった。いわば「着の身、着のまま」、九州の佐世保港に着いた時に、引き上げの途中の収容所で生まれた赤ん坊も含めて、一人に新円の千円札1枚が支給されただけである。公社は国策会社だが、公務員でも軍属でもなかった。だから、恩給には、まったく縁がないのである。

 日本国には膨大な貸しがあるだけで、何の恩義もない。私自身は、防衛大学校に半年だけ行って、「税金泥棒」してきたが、一応は準公務員として「勤務」したことになっているから、何の遠慮もする必要はない。しかも、その経験の実感は、ちゃんと生かして、自衛隊の憲法違反、安保条約反対の運動で、一般国民に、「恩返し」している。

「靖国の英霊」は、いわゆる「右」の御輿だが、この「右」の経済的基礎は、旧軍人・軍属と遺族の恩給である。財源は税金である。しかも、旧軍人の大多数は、降伏が決まったポツダム宣言の受託後に、急遽、2階級特進したりして、恩給の計算の基礎額を増やしたのである。

 職業軍人の場合には、本来ならば、むしろ、その商売の売り込みの失敗、敗戦の責任で、一般国民から賠償請求されるべき立場、応じなければ詐欺罪の犯罪者である。身ぐるみ剥いで、重労働の刑に処しても、しかるべきところである。

 わが家は、税金を納める、いやさ、ふんだくられる立場であり続けた。わが実に乏しき年金は、基本的には、自分が、または雇用主が、積み立てた財源から支給されるものである。

 一部の日本人が、軍人・軍属になったのは、戦前から戦争中の偶々の事情によるだけで、戦後も最早、来年で60年にもなろうとするのに、何で相も変わらず、民間人が、経済的な差別を我慢し続けなければならないのか。納得できるわけはないから、今年はついに、実情調査の開始に踏み切った。

 軍人・軍属の恩給の電網検索結果は、実にややこしくて、まるで分からないので、総務省恩給局に電話で聞くと、返事は非常に遅かった。

 やっとのことで聞き出したのだが、現在、旧軍人・軍属の本人または遺族、124万3千人が、1年の総額で、1兆と232億円を、受け取っている。票田としても巨大である。

 1人当たりの平均額は、1年で82万3千円余、月額で6万8千6百円になる。比較のために電網検索すると、「現在の国民年金の平均受給額は4万6000円」と出た。

 これだけでも、旧軍人・軍属の本人または遺族が受け取る恩給は、国民年金よりも平均して5割程度多い、ほぼ150パーセントである。普通の表現では、5割増しである。

 戦死者の遺族は、恩給局ではなくて、厚生労働省の管轄で、約3万人が、560億円、年平均で86万6千7百円、月額で7万2千2百円余である。「国民年金の平均受給額」の157パーセントである。5割増し以上である。

 他の年金と重複支給されているとも聞いたので、これまた、実にややこしい電網検索結果を、以下の部分だけ紹介する。

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http://www.soumu.go.jp/jinji/onkyu_qa.htm#q1

Q21 恩給と年金は両方もらえますか?

(A) 恩給はもともと公務員(旧軍人を含む)(資料1)とその遺族を対象にして発足した国家補償の性格を有する年金制度でしたが、戦後は公務員の年金制度の改革に伴い、国鉄・専売・電電の三公社の職員を対象にした公共企業体職員等共済組合、国家公務員を対象にした国家公務員共済組合、地方公務員を対象にした地方公務員等共済組合の3つの共済組合制度に順次移行しました(資料2)。

 このように恩給制度と共済組合制度は、その対象範囲は必ずしも一致しないものの、基本的にはどちらも公務員を対象にした年金制度であることから、恩給制度を引き継いだ共済年金を決定する際に不利益を生じないように恩給期間と共済組合期間は原則として通算することになっています。

 次に、恩給と共済組合制度以外の公的年金制度との関係を見てみますと、恩給は公務員を対象にしているのに対して、厚生年金は民間会社に雇用されている人、また国民年金は自営業者の人を主に対象にしており、その対象者を異にしています。このように恩給と厚生年金・国民年金とは、基本的な枠組みが相違しており、まったく別個の制度として発足したことから、恩給期間と厚生年金期間(または国民年金期間)が通算されることはありません。

 このような観点から、恩給受給者が他の公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)も受けられる場合、その両方を受給できるかどうかは、基本的には次のように考えることができます。

(1)厚生年金(又は国民年金)も受けられる場合

 上記のとおり恩給期間と厚生年金期間(又は国民年金期間)とは通算されませんので、恩給を受給している方が民間会社を退職して老齢厚生年金を受給したり、あるいは自営業者の方が国民年金を受給することになっても、恩給は打ち切られることなく引き続き支給されます(資料3(PDF))。

 また、私立学校共済組合年金の場合も同じ扱いで併給されます。

(2)共済年金(国家公務員または地方公務員)も受けられる場合

 この場合は、原則として恩給期間を有している方が共済組合制度施行後に公務員を退職した場合、恩給期間は共済組合期間に通算され、共済組合から年金が支給されることになります。したがって恩給は支給されません。ただし、共済組合制度施行前に、既に恩給を受給しているような場合は、例外的に恩給と共済年金を併給されることもあります(資料4(PDF))。
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 こりゃあ、しがみつくのは当然である。欲と道連れ、婦女暴行逮捕歴があろうとなかろうと、「公式参拝」する奴なら、首相にして置くことになる。

 これ以上は、私一人では、疲れてしまうから、広く情報を公開して、あと一週間、8/15までの間、大方の議論、追跡調査に委ねる。

「靖国神社」とか「英霊」とかは、私にとっては、最も忌まわしい差別と、それを維持する暴力の象徴でしかないのである。

 以上。


 ところが、この「薄汚い」「右」の反対側の「左」にも、実に苦々しい馬鹿どもがいる。何を勘違いしたものか、本日、私個人宛に、「靖国参拝賛成」のメールを送ってきた馬鹿までがいる。「中国や韓国に遠慮するな」という趣旨なのだが、この種の民族主義とやらが、「右」と共通することに気付かぬのか。呆れたので、個人宛メールの送信拒否を言い渡した。

 以上。