『亜空間通信』166号(2002/02/20) 阿修羅投稿を再録

穿った観測:9.11.テロの背後にユダヤ人の影&シャロンの戦略はパレスチナ封殺

送信日時 : 2002 年 2 月 20 日 22:44:30:

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『亜空間通信』166号(2002/02/20)
【穿った観測:9.11.テロの背後にユダヤ人の影&シャロンの戦略はパレスチナ封殺】

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 本日(2002/02/20)、某大企業の某大先輩から分厚い封書が届いた。「拝啓、春寒の候、益々御健勝のことと拝察します」で始まる丁重な手紙と一緒に同封されていた英文と和文の記事は、ともに9.11.アメリカ攻撃関係の「インサイダー・レポート」的なものである。

 和文の方は、『ニュー・アメリカン・ビュー』(2001.1.25)の抜粋である。この種の郵送配付情報は高価だから、私は時折、複写を受け取ることはあっても、自分で購入したりはしない。なかなかに穿った観測であるから、紹介する。

 なお、以下にそのままスキャナー読み込みで紹介する文中、「誰が考えてみても、あの十九人のイスラム・テロリストたちが四機の航空機をハイジャックしたことから起きたことは明らかである」とする部分には異義があるが、おおむね、私が情報を収集しつつ推理した通りの筋書きを描いている。

 以下、前後の記事を省いたため、「メガ・グループ」の人名に関しては文脈が不明となるが、理解できると思うので、そのまま紹介する。

9.11.テロの背後、ユダヤ人の影

 当誌編集部に元中央情報局(CIA)の人物から非常に重要な、驚くべき情報がもたらざれた。

 9.11テロは今も世界の多くの人々に大きな衝撃を与え続けている。実はこれとの関係でイスラエルのユダヤ人たちが何かをしでかしたのではないか、それがアメリカの国家利益を損ねたのではないか……という内容だったのである。

 今後もこの驚くべき、そして恐るべき情報を追及し続けていかなければならない。

 ここにその一部を披露させて頂く。

 そもそもブッシュ政権、アメリカ議会、さらには大手のニュース・メディアは、アメリカにおける新たなるイスラエルのスパイ・スキャンダルが明らかになることを恐れており、その結果、彼らはお互いに協力して、それを闇に葬ろうとしている。

 なぜ彼らはこのような愚かとしか思えないことをするのだろうか。その第一の理由は、アメリカ国内にはユダヤ人による親イスラエル・ロビーという強力なパワーが存在しているからである。彼らの機嫌を損ねると、アメリカ政治が大変な混乱に見舞われると考えているからである。

 第二はアメリカ軍は十月七日、今回のテロの報復としてアフガニスタン攻撃を開始した。アメリカ国民が余計なところに目を注ぐことなく、一致してアメリカ軍の行動に注意を集中させたいと考えているからである。

 イスラエルからスパイたち

 しかし、その元CIAトップクラスの人物は当誌に次のような警告を語った。

 二○○一年の初め、すなわち今から約一年前に、イスラエルではアリエル・シャロンが新しい首相に就任したが、そのすぐ後から、いくつかのイスラエルのユダヤ人スパイ特別チームがアメリカに送り込まれていたというのである。そこで、アメリカ政府は密かに司法省や情報機関に命じて、事実関係の収集に当たらせていた。

 九月十一日にあの同時多発テロが起きたが、実は連邦捜査局(FBI)は目立たない形ではあったが、「不審な行動ゆえに」五人のイスラエルのユダヤ人を拘留したのである。その後の調査によって、この五人はイスラエルから送られたスパイ・チームのメンバーであったことが判明した。

 さらに、それ以降、約六十人のイスラエルのユダヤ人がアメリカ当局によって拘留された。そのすべてというわけではないが、その内の何人かはモサドからではなく、イスラエル軍事情報部から送り込まれていた。

 アメリカ政府はこのようなイスラエルに関するスパイ・スキャンダルをできるだけ隠そうとしたが、時間が経つうちに漏れ出してしまったのである。

 コリン・パウエル国務長官が昨年十二月中旬に記者会見を行った時、アメリカ政府はその問題についてイスラエル政府と話し合いをしたことがあるのかと尋ねられた。

 パウエルはこの質問に対して、驚くべき事実を述べたのだった。

 彼はそれらのイスラエル人スパイが、世界貿易センタービル及びペンタゴンに対するイスラム・テロリストの攻撃に関係していたものと思われると述べたのだった。さらに、パウエルは次のようにも言った。

「私は何人かのイスラエル人が拘留されていることを知っている。そして彼らが拘留されていることについて、私がイスラエル政府に対して事実関係の連絡をしたことも事実である。私は彼らがアメリカにいるイスラエルの外交官と面談する権利を持っていることをも確認している。彼らがどういう容疑で拘留されているのか、彼らがイスラエルの情報機関に属しているのかなどに関する質問について、私はその回答を法務省とFBIに委ねなければならない。なぜならば、私が扱うことのできるのは外交に関することであって、情報機関や法の執行の分野ではないからである」

アメリカを覆うユダヤ・スパイ網

 あの9.11.テロ攻撃が起きる前から、アメリカのスパイ防止活動によって、アメリカとカナダにおいて活動していたユダヤ人たちのことはキャッチされていた。

 彼らの多くはイスラエル軍情報部に属し、あるいは直接シャロン政権につながっていた者たちである。そして、彼らは麻薬やダイヤモンドの密輸で巨大ネットワークを構築している証拠をも挙げられていた。

 いくつかのアメリカ情報筋は、当誌に次のようなことを述べたことがあった。

 アメリカ国内でエクスタシー(覚醒剤の一種)として知られる悪名高いデート・レイプ麻薬を扱う大規模なイスラエルのユダヤ人による麻薬取引作戦が進行中であること、そして、その数億ドル相当の違法薬物はオランダで生産され、カナダ経由でアメリカに送られてきていること、さらにその作戦はアメリカ全土に広げられようとしていること……加えて、イスラエルのユダヤ人麻薬ディーラーは麻薬とダイヤモンドの運ぴ屋としてハシディック派のユダヤ人を使用していること、さらには密輸ダイヤモンドのブラックマーケットにも関与していることなどだった。

 一九九八年から二○○一年初め頃までに、二百人以上のイスラエル国籍のユダヤ人が麻薬取引を含めて、ビザの違反などで逮捕され、あるいは拘留されている。

 これらの拘留者の大多数は、自分たちの通っている大学の学費を満たすために、安く芸術作品を販売していると述べていた。しかし、ある者たちはイスラエルのユダヤ人が所有するマイアミビーチの会社、クオリティー・セール・コーポレーションに雇われているおもちやの販売員であるとも言っていた。

 しかし、アメリカの情報機関が徹底的に洗った結果、その会社はイスラエル軍情報部と関係を持っていることが判明したのである。苦学しながらアメリカで学んでいるはずだったイスラエルからのユダヤ人留学生たちは、実はアメリカ政府の各機関、各施設を監視し続けていたのである。さらに、彼らはアラブ人のイスラム・テロリスト組織と思われる者たちとコンタクトを持ち続けていたことも明らかになった。

 このようなことから、CIA及び国家安全保障局は、その報告書の中で今回のイスラム・テロリストによる攻撃以前から、イスラエルのスパイ活動がアメリカにとって大いなる国家安全保障問題を呼び起こすことになると警告し続けていたのだった。

 ロサンゼルスにおいて一九九七年から二○○○年までに行われたFBIと麻薬取締局(DEA)による調査によって、イスラエルのユダヤ人スパイ事件は発覚し、当時のマスコミで大々的に報じられた。

 その調査によって、イスラエルの麻薬ギャングがアメリカ政府の電話を盗聴し、内部情報を入手し、さらにはそれをユダヤ人犯罪者に流していたことも明らかにされた。

 さらに、アメリカの情報関係調査員たちは、情報の漏えい源がアメリカの遠距離通信会社と司法省関係の政府機関の仕事を請け負った二つのイスラエル企業、アムドス社とコムバース社であることを突き止めたのだった。これらの企業はFBIとDEA双方の電話を盗聴することができた。さらに、これらの企業の多くの幹部は、イスラエル軍及びその情報機関の0Bであったことも判明している。それゆえに、この二つの企業は共にイスラエル軍情報部とつながっていたわけである。

(二年前のことを思い出して頂きたい。当時、クリントン大統領はセックス・スキャンダルの中に引き込まれていった。相手はモニカ・ルインスキーだった。二人の個人的な電話の会話はどのようにして盗聴されていたのだろうか。それを盗聴していたのはアムドス社であったことを思い出して頂きたい。このことによっても、この企業がいかにイスラエルのスパイ組織に加担していたかが明らかなのである)

 また、イスラエルのユダヤ人スパイ作戦はアメリカにあるモススク、その他のイスラム共同体をも標的にしている。

 複数の情報筋が当誌に打ち明けたのは、彼らが目標としている最終段階は何かということである。それはイスラエルとパレスチナの血みどろの戦争に関して、イスラエルがブッシュ政権及びアメリが議会からの支持を勝ち取るために、アメリカ国内でのイスラムの暴動、さらにはイスラムのテロリズムを煽動することだったという。

 はたして9.11.テロは誰が手を下したものなのだろうか。誰が考えてみても、あの十九人のイスラム・テロリストたちが四機の航空機をハイジャックしたことから起きたことは明らかである。しかし、そのバックはどうなっていたのだろうか。彼らに指示を与えた者たちのなおバックは何だったのだろうか……この世界を揺るがし、今後とも揺るがし続けていくニューヨークにおける9.11.テロの背後に、何があったのだろうか。

シャロンの戦略、パレスチナ封殺へ

 アメリカ及ぴ西側諸国がウサマ・ビンラディンのテロリスト・ネットワークヘの戦争に全力を注いでいるとき、イスラエルでは密かに対パレスチナ戦争への最終段階が決定された。

 イスラエル首相アリエル・シヤロンとユダヤ国家イスラエル、さらにはアメリカにいる熱狂的シオニスト(ユダヤ至上主義者)のユダヤ人は、パレスチナ人が求める独立への願望を完全に封殺してしまう決意を固めた。

 彼らはイスラエルがパレスチナとの「子宮戦争(人口戦争)」には絶対に勝てないことを悟っている。そのため、ヤセル・アラファトを近いうちにパレスチナ自治政府議長の座から引き下ろし、アメリカが今まで支持してきた中東和平交渉を葬り去ろうという試みを始めたのである。

 シヤロンとその一団は、数々のパレスチナによる反抗勢力、すなわちハマス、イスラム聖戦、ヒズボラ、そしてアラファト自身が率いるファタハをコントロール不能に陥らせ、パレスチナ自治政府のアラファト政権が無政府状態になることを画策し始めている。

 シャロンたちが期待していることは何か。それはパレスチナの中にある多くの派澗同士の戦いを生み出すこと、すなわち内部崩壊である。そのことによって、パレスチナ人たちが持つ忠誠心を消滅させることを願っているのである。

 そして、彼らはその結果として、パレスチナ人たちの怒りによるイスラエル国民に対するテロがいっそう増大するのを期待しているのである。

 もしこのような事態になれば、シャロンとシオニスト狂信者たちはたちまちの内に本格的にパレスチナ人攻撃を開始し、軍事力でその独立闘争を封殺するという計画である。

 シャロンとその熱狂者たちの考えでは、とにかくまずアラファトを徹底的に非難していこうというのである。イスラエルの占領地であるョルダン川西岸及びガザ地区の、ほとんど絶望状態に陥りつつあって苛立っているパレスチナ人に対して、このパレスチナ指導者は自らの政権に対する支配力と影響力をほとんど失っていると捉えているのである。

 そのため、アラファトはパレスチナ人によるイスラエルに対する自爆攻撃やデモをストップさせることができない状態であると読んでいる。

 パレスチナ人とアル・カーイダはほとんど関係がない。しかし、シヤロンはその両者を関係づけることで、パレスチナ人の独立運動をウサマ・ビンラディンのテロリスト・ネットワークが行っていることと同じであるというPRを始めたのだった。

 パレスチナ人による自爆攻撃こそは不穏で何をするかもしれないアル・カーイダのテロリストたちと同じやり方であるという宣伝を始めたのである。このようなことから、いまや占領下に置かれ、非人間的に扱われているパレスチナ人たちのアピールは、世界の多くの国々でその同情を失いつつある。今までの状況を考えると、その同情心は最低レベルにまで落ち込んでいる。

 モサドの元職員が当誌に次のように述べた。

「ビンラディンは、アラブ人たちの憎悪の焦点をイスラエル及びユダヤ人からアメリカに移すことによって、アラファトとパレスチナ人たちを大いに傷つける結果を作ってしまった……彼の壮大な夢のために、彼が負け知らずのもの(アメリカという巨大国家)と引き換えに、打ち負かすことのできる対抗者(シオニスト・イスラエル)を手放してしまったのである」

ユダヤのメガ・グループとは何か

 一方、世界ユダヤ人会議(WJC)会長のエドガー・ブロンフマンは先頃、エルサレムでスビーチを行った。そして、イスラエル国家に対してバレスチナ人と「分離する」ように提案したのであった。

 インティファーダが永続的に続いている状態であるがゆえに、いまやイスラエルはヨルダン川西岸にあって守ることが難しいユダヤ人入植地を解体し、出来るだけ早くガザなどからも撤退すべきであると述べたのだった。

 さらに、ブロンフマンは、イスラエルをバレスチナ人たちから切り離すために、その間にフェンスを設けるべきであると提案した。もちろん、そのフェンスには電流を通し、バレスチナ人がそのフェンスを越えようとする場合、警告を発し、射殺すべきとまで述べたのだった。

 引き続き、彼はそれでもなおパレスチナ人によるイスラエルへの自爆攻撃が行われるならば、そのときこそイスラエルはパレスチナそのものを壊滅させるべきであると述べたのである。

 そして、最後に彼は、以前からイスラエル国籍を持っているパレスチナ人については(彼らはすでに百万人に達している)、新しく作られたフェンスの向こうのパレスチナの地に移動するように勧告すべきであると語ったのである。

 このブロンフマンによる「分離戦略」は、シャロンとシオニスト狂信者に受け入れられつつある。それはイスラエル国民の間でも、アメリカのユダヤ人の間でも支持を広げ始めている。

 さらに、アメリカにおけるユダヤ・ロビーの中でも特にカを持つ者たち、すなわちメガ・グループと言われる者たちの主要目的になっている。

 このグループはとてつもなく裕福なメンバーである。そして、彼らも排他的なシオニストの億万長者クラブと同じようにイスラエルを取り巻く現状を読み取るようになっている。

 そのメガ・グループのメンバーとはどのような者たちだろうか。

 先にも述べたエドガー・ブロンフマンとその兄弟であるチャールズ・ブロンフマン、レオナルド・アブラムソン、マックス・フィッシヤー、ハービー・マイヤーホーフ、ステイープン・スピルバーグ、マイケル・シユタインアート、そしてローレンス・ティッシユたちである。

 このメガ・グループはアメリカ議会の共和党にも民主党にも等しい影響力を持っている。そのグループはクリントン政権以来、今に至るまで着実にホワイトハウスに強大な影響力を持つようにもなっている。彼らこそがアメリカ議会における主要な舞台裏の勢力を形成しているのである。

 かつてこのメガ・グルーブはウォール・ストリートの金融サークルにおいて強い影響力を持っていたが、近年に至ってなおTV界と映画産業界においても力を持つようになってきている。

 このようにアメリカにおける強力なパワーを持つグループからの支持を受けて、イスラエル首相シャロンは中東に対するブッシュ大統領の和平特使であるアンソニー・ジニ元海兵隊将軍のアドバイスとその活動を事実上無視し続けたわけである。

 そして、徐々にシャロンとシオニスト熱狂者たちは、アラファト及びパレスチナ人たちを壊滅させるための作戦に着手し始めている。

 今後、中東で何が起きるのだろうか。

 イスラエル政府の思惑どおりに事が運ぶのだろうか。それとも、イスラエルの高慢の結果、想像も出来ないほどの火焔が中東で燃え上がるのだろうか。

--解説--

 イスラエル首相シャロンは狂信的ユダヤ教徒である。

 今から約一年前、彼がイスラエル首相に就任した時から、中東情勢が激化していくことは予想されていた。

 シャロンは絶対に一九六七年六月以来の占領地を返すつもりはないし、パレスチナ人そのものを憎悪し続けているのである。

 シャロン内閣の観光相がパレスチナ人によって暗殺されるという事件が起きた。そのことでシャロンは激怒し、パレスチナに対する攻撃を強化していった。

 この観光相こそ、シャロンと最も気心の合った人物だったのである。

 彼はパレスチナ人をイスラエルの占領下に置いておくのではなく、その占領地からすべて隣国ヨルダンに放逐すべきであると主張していた。

 そのような人物にとっては、占領地の中で暮らすパレスチナ人たちの惨めな生清、悲惨な生活に対する同情心は一片もないのである。・

 ユダヤ教の典型的狂信者の姿である。

 いまやその友人であるシャロンがイスラエル首相である。彼は必ずパレスチナに対して総攻撃を加えようと計画している。

 このアメリカからのレポートでも述べられているように、パレスチナからの攻撃が激しくなればなるはど、パレスチナの攻撃によってイスラエル兵が殺害されればされるほど、彼にとってはチャンス到来と映っている。

 今後の中東情勢は日本人の常識的見解では理解しがたいものとなっていくだろう。

 中東問題がやがて第三次世界大戦の火種となると言われているが、それは決して誇張した言い方ではないことが次第に明らかになってきている。

***

 そのような中で二○○二年が明けた。そして一月三日、イスラエル首相シャロンにとって、その怒りを爆発させるチャンスがまたひとつ到来した。その日、イスラエル軍が紅海で武器密輸船を拿捕したのである。その船長はパレスチナ人だった。

 その密輸船の中には武器類五十トン以上が積まれていた。その中には長距離射程のカチューシャ・ロケット砲をはじめ、対戦車砲、追撃砲、対戦車地雷などが含まれていた。

 一九九三年のいわゆるオスロ合意に基づいて発足したパレスチナ自治政府には、治安維持の警察機能が認められているだけで、警察官が持てる武器も短銃や小銃などに限定されている。

 自治政府がこの武器密輸輸送に関与していたとすれば、積載されていた武器類は明確なオスロ合意違反となるのである。

 イスラエル側は今回の密輸の出発点はイランのキンシユ島であると睨んでいる。そうなればイランが関与しているということになる。一説では総額千五百万ドルにも上る大量の武器だったことから、アラファト議長自身の決済がなければ不可能であったと断定する筋もある。

 もちろん、このようなことに対しアラファト議長は武器密輸の関係者が分かれば尋間して処罰すると言明し、自らはその関与を否定し続けている。

 しかし、シャロンは武器密輸事件を受けて、バレスチナ自治政府との関係見直しを閣議で改めて検討すると表明した。イスラエル紙によると自治政府を敵と断定し、一切の関係を断絶することも選択肢の一つとして検討し始めたとのことである。

 さらに、この拿捕事件の後、一月九日、バレスチナ自治区ガザ南部に隣接するユダヤ人入植地ケレムシャローム付近で武装したパレスチナ人がイスラエル軍陣地を攻撃し、銃撃戦となった。この交戦でイスラエル軍兵士四人が死亡し、パレスチナ人二人も射殺された。

 イスラム原理主義組織ハマスは「イスラエルの侵略や殺人、海賊行為に対する報復である」との声明を出した。まざにパレスチナ自治区向けと見られた武器密輸船を摘発したことなどへの報復であったことを明らかにしたのである。

 パレスチナ人二人は警官の制服を着用し、フェンスを破ってユダヤ人入植地に潜入し、手榴弾や小銃で攻撃した。

 このことは十二月十六日、アラファト議長が武装攻撃停止を呼ぴかけて以来、自治区のパレスチナ人武装グループがイスラエルのユダヤ人入植地へ攻撃を仕掛け、イスラエル人を殺害した初めての事件だったのである。

 イスラエルは直ちに「自治政府が暴力停止に十分な措置を取っていないことの証拠である」と非難し、報復攻撃の検討を開始したのであった。

 中東情勢にとって、二○○二年は間違いなく分岐点となり、修羅場となり得る。

 以上で引用終わり。

 以上。


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