『亜空間通信』738号(2004/02/24) 阿修羅投稿を再録

イラク写真・ヴィデオ報道や映像使用の講演は表面的一時的情緒的な危険あり要注意の憎まれ愚痴

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『亜空間通信』738号(2004/02/24)
【イラク写真・ヴィデオ報道や映像使用の講演は表面的一時的情緒的な危険あり要注意の憎まれ愚痴】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 わが主要職歴は、1961年以来の日本テレビの社員、ただし、後半は不当解雇撤回闘争で組合書記局を拠点として社内全域を徘徊、合計して「在籍27年半」となる。その全期間を通じて、テレヴィ放送の内容に批判的な言動をなしてきた。裁判所の職権和解で、一応の円満退職してからも、ヴィデオ関係の市民組織と付き合ってきた。

 だから、人並み以上に、一般市民が行う写真・ヴィデオ報道や映像使用の講演の発展には、深い興味を抱き、協力してきた。映像に関係する運動の現状にも一応の満足感を味わっている。最近は、映画館並みの巨大スクリーンに映像を映す装置が発達し、それを背景に、現地報告をする若者も増えた。

 ところが、その一面の危険性をも指摘して置かないと、片手落ちになる。映像は所詮、表面的、一時的、刹那的で、情緒的な危険があり、扇情的な効果が大きいので、要注意なのである。

 あえて、この憎まれ愚痴を叩くのには、最近の事情もある。その概略は、すでに以下に抜粋する2004年1月30日の「日記風」記事で指摘した。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/turedure-04-02.html
随時追加「編集長日記風」
木村愛二の生活と意見

2004年2月分
2004年2月10日(火曜日)
イスラエル場所違い論の『聖書アラビア起源説』共訳者で写真家の広河隆一と2度目の遭遇は疑問沸騰で電網検索の古代史迷宮入り(その2)
[中略]
「ほとんどの日本人は、パレスチナとかアラブとか言われると、あの、全共闘時代のブント系の思い上がった赤軍派の暴力、殺人を想い出す。危険だから、近寄りたくなくなる。パレスチナやイラクの人は気の毒だ。そういう連中が反戦を云々して、そこらをうろうろしている内は、日本の平和運動は、とうてい一般大衆には支持されない。パレスチナやイラクの人は救われない」
[中略] 
 テレヴィ映像の嘘の影響も大きいが、マイナー風の偽善系左翼の「向こう側の映像」と称する「憎悪商品」、「恐怖商品」を売りまくる自称平和主義者、平和売人、peacemonger、憎悪商人、hatemongerの「偽の説明の映像」も、ホロコーストの嘘の脅迫を最大の典型として、実に困ったものなのである。
[中略] 
(集会の)司会の教授は、最初に、パレスチナ報道に関して、大手メディアが伝える「戦車のこちら側」の映像だけでなく、「戦車の」向こう側」の映像云々と、集会の意義を述べた。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 私は、この「集会の意義」にも異議を唱える。

 映像は所詮、表面しか映さないのだし、私は、どちら側の映像にも出てこない「真相の深層」の方が、最も重要と心得ているから、この「集会の意義」の説明には、疑問を呈したかった。しかし、この「集会には、そういう時間の配分がなかった。

 映像報道と「映像的」講演で、「代用品」、「偽物」、「紛い物」をあてがわれた「平和愛好市民」は、その集会への参加で自分の役割を果たしたかのように錯覚し、それ以上を求めなくなるから、むしろ、かえって、危険なのである。

 以上のような映像の問題点に加えて、「被害報告」一般の有効性に関しても厳しい批判がある。

 私は、16年半の不当解雇撤回闘争の当事者であり、その間、東京地方争議団共闘会議・副議長(法廷闘争対策担当)および千代田区争議団共闘会議・議長などの位置にあった。

 その間、争議の先輩の教えと、その間の自分自身の経験に基づいて、私は、様々な争議の指導に当たっては、「被害報告はもう結構、相手の戦略とその弱点を明らかにせよ」と求めてきた。労働争議の被害の当事者が、酷い目に遭っていること、会社が酷いことは、世間周知の事実であり、それをいくら訴えても、同情を買うのがやっとのことで、勝利の展望は見えてこないのである。

 同情を買って、カンパを集めれば、飯は食えるし、活動資金も作れる。しかし、相手は巨大で、ちょっとやそっとでは交渉にも応じない。いくら焦っても「蟷螂の斧」の嘆きを繰り返すだけなのである。

 アラブ世界の被害報告にも、同じことが言える。当事者が同情を買って、カンパを集めるのは、それなりにやむを得ないと言える。しかし、被害報告の「商売」となると、これには大いに疑問がある。特に、日本赤軍のような暴力手段の系統が、いわゆる「自爆」を礼賛し兼ねない「被害の告発」で、かえって不気味さを増し、アラブ支持の世論に冷水をかぶせるのは、逆効果も甚だしいのである。

 わが季刊『真相の深層』創刊の決意は、このような状況下でのことである。パレスチナ・イラク問題での「真相の深層」の最たるものは、「ホロコーストの大嘘」である。最近の問題は「911自作自演」である。この難題に取り組まないで、逃げ惑う言論、映像、報道は、「偽の友」なのである。

以上。


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