鶴岡市の住民投票署名活動の際の「受任者公開事件」が愛媛にも波及!

行政の悪行の前例をつくった鶴岡市の責任は重いぞ!

朝日新聞 2002.1.21 

 住民投票求め署名集めた市民の名簿を公開 愛媛・大洲市

 愛媛県大洲市で住民投票条例の制定を求めた署名運動で、世話役として署名を集めた「受任者」の名簿が、市の情報公開条例に基づいて開示されていたことがわかった。受任者名簿の開示は異例で、名前を出された市民は「勤め先の経営者から『こうした運動は困る』と苦情を言われた。生活に影響が出る」と困惑している。市民団体も「今後の活動への圧力になる」と異議を申し立て、オンブズマン組織の四国交流会が20日、市民団体から事情を聴いた。

 署名運動は、国土交通省が計画する「山鳥坂(やまとさか)ダム」について、住民投票条例の制定を求めた。「大洲市の住民投票を実現する会」(代表世話人、奥島直道弁護士ら5人)の委任を受けた市民約1500人が受任者になり、昨年9月上旬から1カ月で1万6000人余の署名を集めたが、市議会は条例案を否決した。

 受任者名簿の公開請求は今月7日、「条例制定手続き確認のため」という理由であり、市は翌日、請求者に全員分のコピーを渡した。請求者は名乗り出ていない。

 住民投票条例の制定などを求める直接請求では、署名した人たちの名簿を7日間、有権者に縦覧するよう、地方自治法が定めている。この名簿には受任者の名前と住所が担当した分冊ごとに分かれて記載されている。これらを1冊ずつ点検してメモをとることはできるがコピーはできない。一方、受任者名簿は、受任者だけがまとめてあり、生年月日も含む。こちらは縦覧の対象ではない。

 市の担当者は「縦覧で署名簿を見れば受任者名などがわかるから、公の情報だ。市条例は個人のプライバシーの公開を禁じているが、それにはあたらない」と説明している。

 これに対し、「実現する会」は「生年月日までが明らかになり、個人が完全に特定されてしまう。受任者の名簿がコピーで市内に出回り、いやがらせを言われた人もいる。このダム問題で検討している市長解職請求の動きを封じるものだ」と反発する。17日に行政不服審査法に基づいて異議を申し立てた。

 情報公開条例による受任者名簿の開示は、00年10月に山形県鶴岡市でもあった。この時は、ダム問題をめぐる住民投票条例を求めた署名運動の受任者名簿約100人分が生年月日を除いて開示された。こうした事例について、総務省行政課は「条例で定めている自治体の運用の問題」と話している。

 直接請求運動に詳しい「住民投票立法フォーラム」(大阪市)の今井一・事務局長の話 こうした例は今のところ、大洲と鶴岡の2例だけだろう。受任者名簿は個人情報を含んでいる。公開するべきでない。もしも名簿を元に受任者への脅しや経済的な不利益などがあったらどうするのか。嫌がらせなどの被害を受けた人は思いきって告発してほしい。(08:06)


■非民主主義の悪例の前例をつくった不名誉な鶴岡市


1月21日、今朝の朝日新聞の3面にのっているが、愛媛県の大洲市で、山鳥坂ダムについての住民投票の際の受任者名簿の公開がおこなわれ、問題になっている。その前例としてうちの鶴岡市の住民投票の際の「受任者名簿公開」がとりあげられている。しかし、大洲の場合は署名活動が完全に終了してからだ。それでこんなに問題になっている。鶴岡の場合は、署名期間内に、堂々とこの名簿が「生年月日」を除いてすべて公開された。

 請求者は、自民党系の市議会会派、「平成クラブ」であった。その後、「署名期間」内に受任者の方のところに、保守系の市議から「署名に協力しているのか」などの電話や訪問があったようだ。

結局調べてみると、鶴岡のケースでは4回に分けて市民グループが名簿を提出するた
びに受任者名簿の公開がおこなわれ、結局あわせて659名の名簿が公開された。そし
て9名が受任者を辞退しているのである。

 大州の場合よりずっと「ヒドイ」極めて非民主主義的な鶴岡市の悪行は、1年をすぎて模倣されてしまった。

まねされてうれしい事例をつくるべき自治体や市議が、市民社会にとって、悪行の前例をつくってしまったことは、きわめて恥ずかしいことだと思う。

以下、鶴岡市の住民投票署名活動の際の受任者公開の顛末特集をご覧下さい。

2001.10.5〜11/5 鶴岡市住民投票直接請求署名と受任者公開。

鶴岡水道住民投票の経過



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