なんでこうなるの? 

受任者の名簿を、署名期間中に公開して平気な鶴岡市の姿勢。


鶴岡では、10月5日より11月5日までの期間で、鶴岡の飲料水をめぐり、庄内南部広域水道導入に関する鶴岡市住民投票条例の制定を求める直接請求署名がおこなわれている。

市は、住民投票の会が10月16日に、提出した署名収集委任者名簿について、10月17日午前に鶴岡市情報公開条例に基づく開示の請求があり、その日の午後2時、請求者に対して、委任届けを部分開示した。つまり、一部を墨消しした後で名簿をコピーして請求者に渡した。

これは、10月24日、会で2度目の受任者届けをした際、万が一として確認をした際に市がその事実を明かにしたもの。24日夜、講演をおこなった今井一氏、「そんな事はこれまでの住民投票を求める直接請求署名で聞いたこともない。まったくおかしな話」といわれ、激怒。宮城保氏は、「受任者名簿が、署名期間中に公開するなんて信じられない行為。」と話し、会では対応を協議。10月26日、市あてに抗議文を提出した。


10月26日、午前11時30分。抗議文を市へ提出。

鶴岡市長 富塚陽一様

庄内南部広域水道導入に関する鶴岡市住民投票条例の制定を求める直接請求に係る署名収集委任届の部分開示の事実に対する抗議

2000年10月26日

このたび、鶴岡市では、庄内南部広域水道導入に関する鶴岡市住民投票条例の制定を求める署名収集委任届について、10月17日朝、鶴岡市情報公開条例に基づく開示の請求を受けたことに対し、10月17日午後2時、部分開示した事実がありました。

この事実は、これまで行われた全国の住民投票条例を求める直接請求署名活動において前例がなく、きわめて異例なことです。

 当該署名活動期間中に「受任者の氏名及び住所」という“特定の個人を識別できる情報”を情報公開の開示対象とした、鶴岡市のこの行為は、当該署名収集活動妨害を前提にしたものとしか考えられません。

これは、公平中立であるべき行政としてあるまじき行為と考え、ここに厳重に抗議します。鶴岡市は、速やかに先の開示を撤回し、今後、当該署名収集活動に対して、公平中立の立場を遵守されますよう、強く求めます。

鶴岡水道住民投票の会
請求代表者  酒井由美
       渡辺洋井
       桑原英夫
       草島進一


10月26日、午後、これに対して、市は、全く開示を撤回をすることはなく、午後1時、昨日、「何を公開したのか」を情報開示請求した酒井に一部墨塗りをした署名簿の写しを渡しながら、「違法性はない」と主張。その後、何の対応も私たちに示さなかったが、午後4時ぐらい、マスコミ、報道宛に次のような文書を流した。


鶴岡市情報公開条例に基づく公文書の開示について

 鶴岡市情報公開条例に基づき、庄内南部広域水道導入に関する鶴岡市住民投票条例制定の請求についての「鶴岡市条例制定請求のための署名収集委任届」の開示請求があり、これに対し部分開示としましたが、この部分開示したことに対して条例制定請求代表者から抗議がありました。
 情報公開条例は、市民等が市が保有する公文書の開示を請求する権利を定めたもので、条例に限定して規定する個人の権利利益や公共の利益の保護など一定の合理的な理由があるものを除き、請求があれば原則公開としているものです。個人に関する情報については、個人のプライバシー保護の観点から特定の個人を識別できる情報は開示しないとしていますが、職務の遂行に係る公務員個人の情報や、法令等の規定又は慣行により公にされ、又は公にすることが予定されている情報等は除外されています。
 このたび開示請求のあった「鶴岡市条例制定請求のための署名収集委任状」は、地方自治法施行令第92条第3項の規定に基づき、条例制定請求代表者から市長に届け出られたもので、同項により署名収集を委任したときは、直ちに当該地方公共団体の長及び選挙管理委員会に届け出をしなければならないとされているものです。届出の様式は地方自治法施行規則に規定されており、受任者の氏名、住所、生年月日及び委任の年月日を届け出ることとされております。
条例制定請求のための署名収集の手続き等は、地方自治法及び同法施行令に規定されており、受任者が署名を収集する場合は、署名簿に請求代表者の委任状をつづり込むこととされ(地方自治法施行令第92条第2項、地方自治法施行規則による署名簿様式)、その委任状の様式は同規則に規定されており、受任者の氏名、住所、委任の年月日は記載されるもので、受任者は、自分の住所、氏名を明らかににして市民に署名を求めることとなるものです。
 また、請求代表者は署名収集後に選挙管理委員会に署名簿を提出し、選挙管理委員会は審査して署名の有効無効を決定し、決定後は署名簿を関係人の縦覧に供されなければならないもので(地方自治法第74条の2第2項)、この場合において、選挙人名簿に登録されている者、つまり市民は全て関係人に当たるものです。
 委任届には受任者の氏名、住所、生年月日等が記載されており、これらは特定の個人を識別できる情報に該当し、情報公開条例においては一義的には開示できない情報となりますが、受任者の氏名住所は前述のように受任者が署名を求めようとする際には明らかにしている事項であり、また、署名の有効無効の決定後は縦覧に供されるもので、法令等により公にすることが予定されている情報に当たるものです。しかし、受任者の生年月日は、請求代表者から提出された受任届には記載されていますが、署名簿につづり込む委任状に記載されません。
 委任届は市が作成した文書ではありませんが、法令に基づいて届け出られた文書で、市として正式に受理し、市が保有することとなりましたので、情報公開条例の対象となる公文書にあたり、開示請求を受理し、開示不開示の決定の当たっては、公にすることが予定されていない受任者の生年月日は不開示とし、その他の条項については個人に関する情報であっても公にすることが予定されているものであるため、受任者の生年月日を除いて部分開示としたものです。

鶴岡市総務部 庶務課長 蓮池一輝


住民投票立法フォーラム、折田弁護士、他、2名の弁護士にお話をうかがったが、

折田弁護士は、「地方自治法では、市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から7日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に共さなければならない」とある。この「7日間の関係人の縦覧」というものを、「公にすることが予定されている情報」の公と過大解釈をすべきではないと示した。この市の対応は前代未聞であり、違法性を指摘している。また、特に署名期間中の情報開示の目的は、署名妨害以外にはとらえることは難しいからということを示した。

●10月27日現在、会には、まったく何の対応もせずに、単にマスコミおさえとして、マスコミに文書を提出している。いずれにしても市民に対して誠意が感じられない。

●一体市民を何だと思っているのだろう。


皆さんのコメントをお待ちしています。

stern@jca.ax.apc.org


新聞報道 PICK UP
10月27日 毎日新聞 山形版

鶴岡・水道問題で署名活動の会

受任者の公開に抗議 市は「条例に基づき開示」

庄内南部広域水道への転換の是非をめぐって、住民投票実現を目指して署名活動を実施している鶴岡市の「鶴岡水道住民投票の会」は26日、「署名を集める受任者の委任届を市が部分開示したのは、署名活動の妨害にあたる」との抗議文を富塚陽一市長に提出した。
市庶務課によると、17日に市情報公開条例に基づき受任者委任届けの公開請求があり、生年月日を除いて部分開示したという。蓮池一輝庶務課長は「受任者の氏名や住所は署名を求めようとする際には明かにしているもので、公にすることが予定されている情報だ。非開示事項には当たらず、条例に基づいて部分開示した」と説明している。
受任者の委任届の公開について、自治省行政課は「地方自治法では受任者を公表できるかどうかの規定はなく、自治体の公開条例の裁量による」と話している。
これに対して、「住民投票立法フォーラム」代表の折田泰宏弁護士は「受任者名簿は『公にすることが予想される情報』には当たらないものであるのは明確。鶴岡市の対応はおかしい」と指摘している。(佐藤敬一)


10月27日 朝日新聞 山形版

「署名集めた人」市が開示

氏名と住所103人分「請求に応じた」(記事、打ち込み中!)


10月28日、朝日新聞 山形版 ニュース追報

署名集めた人の名簿、鶴岡市が開示
反発強める市民団体

住民投票の推進派
全国組織が抗議へ
 
 鶴岡水道住民投票の会が進めている水道水源に関する住民投票条例を求める署名活動で、会が鶴岡市に提出した署名集め人(受任者)百三人分の住所、氏名を、市の情報公開条例に基づいて開示した問題が波紋を広げている。「署名活動中の開示は、署名を妨げるものだ」と住民投票の会は反発を強め、住民投票推進の全国組織が近く、鶴岡市に抗議文を出す動きもあるという。これに対し、市側は「すでに公になっている情報で、求められれば開示を拒めない」と、正規の手続きだったことを強調する。住民投票をめぐる賛成派、反対派の思惑も絡み、尾を引きそうだ。

 鶴岡水道住民投票の会が二十六日、富塚陽一市長あてに提出した抗議文は、「署名活動の最中に署名集めをしている受任者の名簿を開示するのは、市民の署名活動の妨害以外の何ものでもない」と、市の対応を厳しく批判している。だれが市に情報公開請求したかは明らかにされていないが、メンバーらは「住民投票に反対する陣営の非常識な行動に市当局が加担したのではないか」と憤る。
 住民投票の会によると、十六日に提出した百三人分に追加して二十四日、さらに百人分の受任者名簿を市に提出した。この際に「受任者名簿がほかに漏れることはないのか」と問い合わせたところ、担当課から、市民から請求があったので情報公開条例に基づいて、受任者名簿のうち「生年月日」の項目を削ったものを開示した、との回答があったという。
 住民投票の会の中心メンバーの一人は「受任者の名簿の開示を求める行為に、署名活動に圧力をかけ、妨害する以外の目的があるとは考えられない。実際に(住民投票に批判的な)保守派の市議から受任者のひとりが、『署名活動をしているのか』と聞かれたというケースもある」と言う。
 一方、市は「署名集め人の氏名などを記した委任届けは、情報公開条例の対象となる公文書にあたる。請求があれば個人の情報であっても公にすることになっているから、生年月日以外は開示することになる」という見解だ。
 市内では住民投票条例制定の署名活動を巡って、これまでに推進派、反対派の双方が地域新聞にビラを入れ市内全戸に配布するなど、市民の関心を集めている。推進派は、地下水を水源とする現行の水道のままでよいとする考えが主流だ。一方、富塚市政与党の市議会保守党会派は、これまでにビラを二回出し「鶴岡の水道は二十年前にダム水移管を全会一致で決めた。月山ダムは完成目前で、地下水での継続はあり得ない。それでも投票をするのですか?」などと訴えている。