生かそう憲法 守ろう9条 改憲手続き法はいらない
5.3憲法集会&1万人パレード   に参加して

 5月3日、日本国憲法が生まれて60年目の今日、東京・日比谷公園にて憲法集会が開催された。当日6000人を超える市民・労働組合・宗教者・民主団体が結集し、公会堂に入りきれない人が外の公園の地べたに座り込んで集会参加した。

 第1部は学者が2人スピーチした。
 一人目は植野妙実子さん。中央大学で憲法学の教鞭を取っておられる。植野さんは「憲法は国民が権力に対して突きつめるもの」「人権保障と権力分立がその土台」「人権保障は平和でなければできないのであって、そのための恒久平和主義」と、憲法の基本原則を分かりやすく説明した。また「自民党の改憲案は、グローバリゼーションと古い考え方が共存している」と指摘し、現在の格差社会の現実について展開した上で、「『美しい国』とは搾取する側にだけ言える言葉であって、虐げられる側のどこに『美しい国』があるか」と喝破した。
 二人目は浅井基文さん。現在、広島市立大学広島平和研究所所長の職にある。浅井さんは「憲法改正論議の本質は、自衛隊を自衛軍に昇格させ、米軍に従属させて侵略戦争をおこなうことにある」と指摘した。そして9条の本質的意味は「二度と加害者の立場に立たない」ということであり「戦勝国の立場から紛争解決の機関として作られた国連とは異なる発想であり、9条と国連主義とは異なる」と発言した。また自民党改憲案が「個人を国家に従属させようとするものである」と指摘した上で「世論調査でも9条改憲は少数派。新しい権利という人に国家観を理解させることが必要、私たちが国家観を我がものにすることが必要」と主張した。

 第2部はまずは福島みずほ社民党党首から。福島さんは自らの弁護士経験から、そして女性問題にかかわってきた立場から、憲法の重要性を主張した。婚外子差別と闘うために憲法を武器に裁判闘争を闘ったこと。また在日朝鮮人で唯一、日本軍性奴隷被害者として裁判を闘い抜いた宋神道さんの口癖である「戦争やっちゃなんねぞ」という言葉を紹介し、「人間の尊厳を完膚なきまでに蹂躙する戦争」を否定した憲法9条の重要性を語った。
 また国民投票法案の危険性(カネで憲法を買えること、教員・公務員への規制、等)について展開した後、「最短で3年2ヶ月後には憲法が変えられる。国家が国民を支配することになる」と警鐘を発した。その上で、軍事政権だった国で次々と左翼政権が生まれている事例にふれ、「マスコミが機能しない社会では、ささやき戦術しかない。身近な人、隣の人に語っていくことで、確実に社会は変えられる」と、少々悲壮感にも満ちた、しかし希望のある言葉でスピーチを締めくくった。
 最後に志位和夫共産党委員長が演壇に立った。志位さんは「小泉政権では言質を引き出しにくかったものが、安倍政権になってやりやすくなった」「安倍首相は『米軍と肩を並べて戦う』とハッキリ言ってくれた」「彼は正直だ」と、安倍の発言に即した形で展開。9条改憲こそが攻撃の要であると主張し、「肩を並べるといっても実際には並べるわけではなく従属だ、これこそ売国政治以外の何ものでもない!」と語った。そして安倍政権と靖国派(日本会議等)との一体性にふれ(閣僚18人中10人が靖国派)、戦争を支える国民を作り出すことが改憲の目的だと語った。

 その後、「銀座パレード」に出発。日比谷公園から東京駅八重洲口にほど近い常盤橋公園まで2キロほどをデモ行進した。外堀通りに並ぶ百貨店や銀行には日の丸が掲げられ、休日を楽しむ人々に溢れる銀座の中で、力強くシュプレヒコールをあげた。沿道を行き交う人には、プラカードや横断幕に見入る人たちもいた。途中右翼が街宣車や沿道から罵声を浴びせていた。
 私たちが常盤橋公園に着いたときには、最後尾はまだ日比谷公園を出発していなかったらしい。デモ隊は氏主催者発表で1万人に膨れ上がった。国民投票法案参院審議は連休明けにヤマ場を迎える。なんとか阻止するために力を尽くしたい。
(2007.5.6 D)