米英は即刻侵略と殺戮を中止せよ!
私たちは抗議する。国連憲章と国際法を蹂躙する無法行為に。
私たちは許さない。罪なきイラクの民衆と子どもたちを大量虐殺することを。
私たちは告発する。劣化ウランと大量破壊兵器、非人道兵器の実験場にすることを。
私たちは見抜いている。石油強奪と戦争特需、世界覇権のための戦争であることを。
警戒を怠るな。どさくさ紛れの有事法制の強行に。
集中しよう。小泉政権の参戦・加担をやめさせる闘いに。

2003年3月21日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局

T

(1)米英はついに侵略を開始した。戦争即時中止の闘いに立ち上がろう。
 3月20日、ついにブッシュとブレアは空爆を皮切りに侵略を開始しました。21日には地上軍が侵攻を開始しました。小泉首相は国民に何の説明もなく「支持」を表明し、これら侵略者たちの「有志連合」、つまり共犯者に加わりました。

 すでに攻撃と同時に日本全国各地で市民が抗議に立ち上がっています。予想を超える大勢の市民が街頭に出て反戦の狼煙を上げています。東京や大阪や名古屋では米大使館、米領事館にたくさんの抗議者が集まり騒然としています。人々は首相官邸や国会にも詰めかけています。米軍基地が厳戒態勢に入っている沖縄でも米領事館前で座り込みが始まりました。
 今すぐ攻撃を中止せよ!全兵力を撤兵せよ!この声を日本国中で、世界中で響かせましょう!私たちは全力を挙げてこの野蛮な侵略をやめさせるために闘います。ありとあらゆる手段を尽くして闘います。


(2)即座に抗議行動を強める全世界の反戦平和運動の波。開戦後も孤立する米英日の「有志連合」。
 世界中でイラク攻撃反対の街頭デモが巻き起こっています。パリでは高校生が「殺人者ブッシュ、ブレア」を叫びデモ行進しました。オーストラリアのメルボルンでは、攻撃開始後わずか3時間後に4万人もの人々がデモ行進に参加し市内が一時マヒ状態となりました。ドイツでも5万人の学生が首都ベルリンの中心部をデモ行進しました。抗議の波はエジプト、シリア、ヨルダン、モロッコ、リビア等中東諸国、アフリカ諸国へも広がっています。
 米国内の反戦運動も始動しました。インターナショナルANSWERはニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどでデモ行進を敢行しました。その他にも全米100以上の都市で平和行進、ロウソクデモが計画されています。アメリカの次の大行動は22日です。イギリスでも「ストップ戦争連合」が22日に大規模抗議行動を予定しています。

 開戦後も米英日の孤立はますます深まっています。シラク大統領は「重大な結果を招く」と警告を発し、ドビルパン外相は「この攻撃は合法性に欠ける」と批判しました。プーチン大統領は「国際法の代わりに弱肉強食の論理がまかり通る」と非難しました。キューバのペレス外相は「不法、不当、そして不必要な侵略行為」と糾弾しました。ドイツのフィッシャー外相は「戦争は最悪の選択肢だ」と非難しました。中国外務省は米の軍事行動即時停止を求めました。マレーシア副首相は「歴史の汚点」だと非難しました。インドネシアのメガワティ大統領も「国際法に違反する侵略行為で、国際秩序を脅かすものだ」と批判しました。等々。


(3)劣化ウラン戦争をやめよ。大量破壊兵器・非人道兵器の使用をやめよ。
 すでに空爆で一般市民の犠牲者が出ています。バスラなど激しい空爆を受けている都市は一体何が起こっているのか全く報道されていません。TV報道のないところで米英のやりたい放題の状況になっています。
 私たちは2200万人の一般市民のいのちが心配です。特に人口の過半を占める1200万人の14歳以下の子どもたちのいのちが心配です。かつて湾岸戦争でアメリア地下シェルター(防空壕)に避難していた女性や子どもたちが、公表されただけで400人の市民が虐殺されました。精密誘導兵器が狙い撃ちにしたのです。幼気で無邪気なイラクの子どもたちは3000発、4000発の人殺しハイテク兵器にどこまで耐えられるのでしょうか。心配でなりません。

 すでに米国防省は劣化ウラン弾の使用を公式に表明しました。これら多くの罪なき市民、子どもたちの上に放射能兵器が撃ち込まれるのです。ラムズフェルド国防長官は化学兵器を使用すると公言しています。燃料気化爆弾、クラスター爆弾、超大型爆弾「マザー・オブ・オール・ボムズ」等々、彼らはイラクをジュネーブ条約や人道法に反する多種多彩な非人道兵器の実験場にしようとしているのです。ブッシュやラムズフェルドは、戦争が起こる前から「フセインなどを戦犯として裁く」と公言しています。笑わせるではありませんか。「それはお前たちのことだ!」


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(4)国連憲章・国際法を真っ向から踏みにじる正真正銘の侵略行為。
 もう誰もが認めているように、この侵略は国際法に違反しそれを踏みにじるものです。国際法上軍事制裁に値する何の罪もない国家イラクを攻撃するのは、明らかな国連憲章違反、国際法違反であり、正真正銘の侵略行為です。
 イラクはアメリカやイギリスを攻撃したか。否。攻撃しようとしたか。否。脅威を与えたのか。これも否です。だから悪知恵に長けたブッシュの側近は「先制攻撃戦略」という造語を考案したのです。「今脅威がなくても、将来あり得るから叩くのだ」と。だがこんなものは新戦略でも何でもありません。単に「侵略」を言い換えたに過ぎません。何が「新しい戦争」、何が「テロとの戦い」でしょうか。私たちはこんなデマにだまされません。

 こんなことを許せば、世界はアメリカのしたい放題、無法地帯になってしまうでしょう。ブッシュの虫の居所一つで一国が破壊されたり国民が殺されたり。人類が多大な犠牲を経てやっとのことで形成してきた侵略を防ぐ国際秩序、「自衛権の乱用」を防止する国際ルールを根底からぶっ壊そうとするものなのです。


(5)米英は国連と国際社会で完全に孤立した。彼らの言う法的根拠、国連決議の裏付けは全部ウソ。
 彼らは体裁を取り繕おうと安保理決議1441を持ち出しています。しかし何が1441なのでしょうか。この決議は武力行使を全く認めていません。もしそれが根拠というなら侵略者たちは条文を示すべきです。687か?678か?バカを言ってはいけません。これはイラクがクウェートに侵攻した12年前、13年前の決議、イラクとクウェートとの間の紛争に関する決議です。ところが今回は米英のイラクに対する攻撃です。戦争の当事者も性格も全く違うではありませんか。問題のすり替えにもほどがあります。
 しかも1441が武力行使を容認するものではなかったから、また678や687では効力がないから、わざわざ米英が武力行使容認の新決議を出してきたのです。以前ので十分効力があるというのなら、1441も新決議も必要ないじゃありませんか。そしてそれはとどめを刺すように国連と国際社会から見事に拒否されました。脅し落とせると甘く見たいわゆる「ミドル6」でさえ、米英の決議を支持しませんでした。安保理で孤立し、国連加盟国全体でも孤立したのは、フランスでもドイツでもロシアでもありません。それはアメリカとイギリスなのです。


(6)国連は侵略者に恩賞を与えてはならない。
 開戦後、危険な傾向が台頭しています。国連が、侵略者にそのまま侵略をさせておいて、「戦後復興」の談合をやろうと画策しているのです。アナン事務総長とアメリカ、アメリカ・イギリスとフランス・ロシア・中国など安保理常任理事国との間で、水面下で進められていると言われます。日本も深くこのプロセスに関与していると言います。全く許せないことです。ドイツやフランスが化学戦部隊を米英に協力させるという危険な動きもあり、目が離せません。

 私たちは侵略者を処罰せず、現に今進行中の侵略・殺戮・破壊を追認するような「戦後復興」構想、「戦後復興」協議に絶対反対です。それは背信行為です。侵略者の負担軽減に役立つだけです。侵略者が国連に「戦後復興」負担を押し付けるのを認めることです。そして米英は、この「戦後復興」協議を、自分たちの主導権奪回の好機と見なすでしょう。
 そもそも国土を破壊しておいて「戦後復興」など軽々しく口にするな。そう言いたくなります。火を着けて消す。文字通りのマッチポンプではないですか。
 せっかくの「国連査察派」で形成された平和的外交的解決の道筋がねじ曲がってしまいます。フランスやロシアやドイツの妥協的で危険な動きを含めて、国際反戦平和運動はこうした国連の危険な動きを牽制し抗議と監視をし続けねばなりません。


(7)ウソとデマに塗りらたくられた戦争。「イラク国民の解放」とは侵略者の常套文句。アメリカ版「大東亜共栄圏」「八紘一宇」だ。
 今回の戦争は「ウソの戦争」と揶揄されるほどデマゴギーに満ちたものです。米英はイラク攻撃を宣言した昨年半ばから一言の真実も述べていません。

 そもそも「イラクの大量破壊兵器」は口実であって真の狙いではありませんでした。ブッシュは「最後通告」と「宣戦布告」で今回の戦争目的をはっきりと言明しました。「フセイン政権打倒」「フセインとその息子たちの首」です。彼らはこれを「レジーム・チェンジ」(政権交代)と呼んできました。しかしこれは明らかな民族自決権の蹂躙です。他国が他国特有の法的手続きで選んだ国家元首を暗殺したり転覆させることが許されるならば、強者はますます暴虐を振るうでしょうし、世界は無法地帯と化すでしょう。帝国主義列強が宗主国として君臨し植民地を支配した一世紀以上も前の時代への復古です。

 満を持してパウエルが出した「決定的証拠」はウソであったことが判明しました。国連機関UNMOVICとIAEAがそう断じました。「国連査察は失敗した」と言いますがこれも全くのウソです。うまく進んでいる国連査察を米英が「失敗させた」のです。「安保理の一部の国が拒否権の行使を表明、安保理の責任を全うしないから我々がその責任を果たす。」戦争をごり押しする米英こそが悪いのであって多数の安保理常任理事国、圧倒的多数の安保理理事国、圧倒的多数の国連加盟国が、そして何より圧倒的多数の世界の国民が戦争に反対しているのです。孤立したのはフランスではなく米英の方なのです。

 しかし何と言ってもウソの中のウソ、デマゴギーの極致は「イラク国民の解放」という歯が浮くようなスローガンです。何十万人、何百万人の犠牲者を出す恐れがあるのです。これで何が「解放」でしょうか。聞いてあきれます。死者に自由はないのです。まさに戦前・戦中の天皇制日本が「アジアの解放」を掲げて「大東亜共栄圏」「八紘一宇」のスローガンを掲げたのと全く同じです。


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(8)真の狙いは石油強奪と戦争特需、世界覇権の三位一体。
 それでは真の狙い、真の目的は何なのか?なぜフセイン打倒なのか?それはフセインがアメリカの言うことを聞かない反米政権だからです。なぜ反米政権が湾岸の中央にあるのが目障りなのか?欲しいものが手に入らないからです。そして侵略国家イスラエルに対するアラブ側の反撃の拠点になるからです。

 それはブッシュ政権の特異な権力構造、権力実態に秘密があります。今や公然の秘密なのですが。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、ライス等々、石油強奪と戦争特需で大儲けを企む石油メジャーや軍産複合体、自動車産業の経営者や番頭たち、中東に親イスラエル政権をドミノ式に打ち立てようとするイスラエル・ロビイストたち、更には世界中を対米隷属政権一色に染め上げようとする覇権主義的妄想に取り憑かれた生粋の帝国主義者たち等々。−−軍事と石油と「世界帝国」妄想の、そして虐殺・支配・破壊・金儲けだけしか頭にないその異様なごろつきどもからなる前代未聞の異常な陣容が、言い換えれば石油強奪と戦争特需と世界覇権の三位一体がブッシュ「戦争マシーン」の推進力になっているのです。


(9)21世紀を戦争の世紀にしないために。歴史的復古と反動の植民地戦争。「アメリカの世界覇権」を確立させない闘い。
 強欲にまみれた石油メジャーと軍産複合体のための戦争は、100年以上も前の帝国主義戦争、植民地戦争そのものです。私たちは、天然資源略奪のために、戦争特需を謳歌するために、好き勝手に戦争を仕掛けることなど到底許すことはできません。人類を野蛮な弱肉強食の無法世界に後戻りさせないため、歴史的反動を許さないために闘います。

 同時に忘れてならないことは、ブッシュが国連や国際秩序を攻撃し動揺させ、アメリカの言うがままになる隷属国家連合(彼らは「有志連合」と言う。30ヶ国で国連全加盟国189ヶ国のわずか16%、45ヶ国を取っても24%に過ぎない)だけで、物事を強引に推し進めようという全く新しく危険な「世界覇権」構想を突っ走っていることです。
 政権の中枢を握るネオコン(新保守主義者)たちは、明らかに「新秩序」を目指しています。ラムズフェルド国防長官は、侵略に反対し躊躇するEU諸国を「旧い欧州」と切り捨て、小さな意のままになる「属国」を集めて「新しい欧州」と名付けました。もちろん数合わせの性格が強く、米英日の孤立をごまかすための方便に過ぎません。

 ブッシュのような暴君、独裁者が横暴と暴虐の限りを尽くす世界では、その暴君自身の個性、知性や品性の欠如も決定的です。それがある国家の生存か破滅か、その国民のいのちに関わってくるからです。開戦にあたって「レッツゴー」とはしゃぐおよそ信じがたい軽さ、お菓子で死に損なう幼さ、最後通告前に愛犬とじゃれる凡庸な人間、ホワイトハウスをまるで聖書研究会の殿堂のように作り替えキリスト教極右の伝道師に帰依し自らもそうありたいと夢想する男が、従って海千山千の有象無象の石油と軍事と「ローマ帝国」再来を妄想するごろつきのような連中にとってまことに操りやすい人物が、世界最大最強の軍の最高司令官になり、まるでおもちゃ遊びのように軍事力を振り回す恐ろしさです。

 ブッシュだけではありません。ラムズフェルドはしばしば禁酒法時代のマフィア、アル・カポネの脅し文句を平気で「指針」にしていると言います。「優しい言葉だけより優しい言葉と銃を一緒に使う方が多くを手にできる。」と。信じられますか。こんな連中に私たちの世界と時代の運命を弄ばれるなんて。はらわたが煮えくり返る思いです。

 その意味で私たちの闘いは、21世紀を平和の世紀にするのか戦争の世紀にするのか、その行方を決する重要な闘いです。国連を壊し国連の外で国連の上に立つ暴君、国際法が守られない無法世界、帝国の上に立つ帝国たるアメリカが世界に君臨する世界−−私たちの闘いは、このように暴虐の限りを尽くす「アメリカの世界覇権」の確立を阻止する歴史的な闘いなのです。まだ米英日は孤立しています。覇権は確立途上であり、確立されたわけではありません。


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(10)小泉首相は「支持表明」を撤回せよ。米英「有志連合」から日本を脱落させ、戦争中止の展望を切り開こう。
 小泉首相は、「最後通告」の後にも、「宣戦布告」の後にも、ブッシュのイラク攻撃を公式に「支持する」と表明しました。これまでの曖昧な態度を翻し、本音を丸出しにしたのです。何としてもまずはこの国民の民意を踏みにじる「支持表明」を撤回させましょう。彼は平然と「世論は間違っている」と言い放ちました。今度答えるのは私たち国民の側です。支持率を10%、20%急落させることで、国民をバカにした小泉首相の暴走をストップしなければなりません。

 「支持」の根拠たるや、全く薄弱です。「1441」「678」「687」「北朝鮮」「国際協調」「その場の雰囲気」等々、ありとあらゆる口実を持ち出しますが、責任逃れと右往左往で未だにごまかし続けているのです。最後は「日米同盟」を持ち出したのですが、なぜ「日米同盟」なのか、全く説得力がありません。だってそうでしょう。フランスやドイツやロシアだってアメリカの同盟国でしょう。それでもそれらの国々は加担を拒否したのです。−−しかしここに小泉政権の最大の弱点があります。徹底的にこの急所を突くことです。

 イギリスの統一戦線組織「ストップ戦争連合」はブレア包囲の闘いを一段と強めています。強力なロビー活動で下院院内総務や数人の閣僚が辞任しました。ブレアは下院で一応の支持を獲得しましたが、今なお大揺れに揺れています。米英の侵略軍からイギリス軍が脱落すれば、ブッシュは致命的な打撃を受けるでしょう。
 日本の運動の責任は重大です。ブレアを脱落させるイギリスの闘いと連帯・呼応して、私たち日本でも小泉首相を脱落させましょう。それを通じて侵略戦争遂行に重大な打撃を与え、戦争中止の展望を切り開きましょう。


(11)再び急浮上する有事法制に警戒を怠るな。「イラク戦後復興新法」と有事法制の両法案阻止のために闘おう。
 小泉政権は、「戦後復興」をキーワードに自衛隊機や自衛艦のイラク参戦を策動しています。自民党の山崎幹事長は5月連休明けにも「イラク戦後復興新法」を国会に上程すると述べました。増税や国債発行をしてまで大々的な「戦費負担」をする考えです。ブッシュもまた「がま口」日本に膨大な戦費を負担させようと手ぐすねを引いています。私たちは「戦後復興」という名の参戦・加担を断固拒否します。戦費の出費を一切拒否します。

 小泉政権は「北朝鮮」を「支持」理由の筆頭に挙げています。それならブッシュが「イラクの次は北朝鮮をやる」と言えば日本は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を攻撃すると言いなりになるのでしょうか。こんなことを許してはなりません。
 それを裏付ける危険な動きが始まっています。政府・防衛庁は、「北朝鮮を警戒する」と称して対北朝鮮の挑発政策をエスカレートさせているのです。政府与党は「核問題」と拉致問題を騒ぎ立て、北朝鮮の「脅威」を人為的に煽ることで、世論を好戦的な方向に誘導しようとしています。「イラクが片づけば次は北朝鮮」を煽り始めているのです。

 そんな中、小泉政権は突如、有事法制の審議をごり押ししようと根回しを始めました。イラク参戦・加担をテコに、「イラク新法」と有事法制を同時並行で審議し、早ければ4月中にも衆院通過を強行する構えです。イラク戦争「支持表明」を撤回させましょう。そしてその力とエネルギーをテコに、「イラク新法」と有事法制の強行を阻止しましょう。