[シリーズ]ブッシュと“復興利権”(その1)
ブッシュが世界中から集めた「復興資金」は誰のポケットに入るのか?
−−ブッシュ政権と癒着し、戦争と軍拡で儲けるだけではなく、占領と復興事業で暴利をむさぼる軍産複合体・政商企業・石油メジャー−−

■遠く及ばなかった「復興資金総額」。突出する日本の「資金援助」
 マドリードで10月24日に閉幕したイラク復興支援国会議で、参加各国は総額330億ドル(3兆6300億円)の拠出を表明しました。ブッシュは「会議の成功はイラク自由化のための大きな一歩」と声明を出し、パウエルは「会議は成功した。330億ドルはその証しだ」、川口外相も「日本は役割を果たせた」と、それぞれ自画自賛し会議の成果を演出して見せました。

 しかしその実態たるや、「大成功」からはほど遠いものです。
−−米国(203億ドル)と日本(50億ドル)だけで総額の4分の3を占める。つまりほとんどの援助国は「お付き合い」にとどまった。
−−とりわけ日本の50億ドルが突出した。対米占領加担の極みである。
−−フランスロシアは拠出しなかった。EU全体でも8億ドルにとどまった。
−−総額から言っても、世銀が2004年から4年間で必要とした550億ドル(約6兆円)の6割しか集まらなかった。
−−無償か有償(融資)かでも、はっきりしない部分がある。今のところ330億ドルのうち250億ドルが無償だと言うが、米議会(民主党は203億ドルの半分100億ドルを融資にするよう求めている)の出方によってはこの数字は大きく変わる。日本の50億ドルも無償はその3割の15億ドルにとどまる。
−−現在でもイラクの対外債務は1250億ドルと言う膨大な規模に達している。さらに巨額の債務がこれに付け加えられるとなれば、まさに巨大な債務奴隷国家の出現ということになる。等々。

 ところが、です。やっとのことでかき集められたこの「復興資金」は一体誰のために、何のために使われるのでしょうか。イラク民衆のためでしょうか。断じて、否です。それでは一体、このお金は誰のポケットに入るのか。今回を皮切りに、私たちはこの問題にメスを入れるシリーズを連載していこうと思います。

■復興資金の独り占めを図るブッシュ政権。復興を食い物にする軍産複合体−政商企業−石油メジャーのボロ儲け
 誰のポケットに入るのか。その最大の決め手は、これらの復興資金の管理・運営を誰が取り仕切るのかということです。米は自分が管理・運営する「イラク開発基金」に拠出すると主張し、国連や世銀には一銭も出さないと明言しました。ブッシュ政権に群がる自国の軍産複合体や政商企業、石油メジャーに発注するためです。今回の復興支援国会議で決まった国連・世銀が管理・運営する「信託基金」と明らかに対立するものです。ブッシュの目的がイラクの「復興」などにないことが、ここにも歴然と現れています。自国の独占資本をボロ儲けさせ肥え太らせることが第一義的な目的なのです。「イラク開発基金」と「信託基金」の“二重構造”は、「復興支援」をめぐる主導権争いの中心問題となって今後もくすぶり続けるでしょう。もちろんフランスやロシアの拠出拒否理由もきれい事ではありません。米英が占領支配の実権を離さない限り、資金を拠出しても、米英系の企業に流れるだけだと言うことを知っているからです。日本も対米支援と言いながら、「ひも付き」を要求しています。要するに「復興支援」とは形ばかりで、その実態はもっとドロドロとしたもの、戦争・占領・復興を食い物にする、それぞれの国々の多国籍独占企業への“くれてやり”なのです。
 ※「イラク復興基金:世銀、国連に分け管理 役割分担し支援円滑化」(毎日新聞10/18付)この記事によれば、「信託基金」は (1)世銀が巨額プロジェクト向けに管理・支出する口座(世銀ルート)と(2)国連開発計画(UNDP)が2国間支援の代行をする口座(UNDPルート)に大別されるという。しかし「信託基金」は実質的に一体誰が牛耳るのか。実はこの(1)(2)の上に「国際調整委員会」が設置される。言うまでもなく米英占領軍当局(CPA)がこの「調整委員会」の主導権を握るだろう。世銀担当者は、「信託基金」の使途については、CPAと拠出国との話し合いで決まると述べている。つまり米英が占領支配している限り、どんな形でカネを出しても、結局は米国が自分のやりたいように管理するということだ。この点から言っても、イラク復興の第一歩は、米英の占領支配の終結、イラク民衆への権力の委譲なのである。
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200310/18/20031018k0000e030064000c.html

■「占領の民営化」−−『ブッシュ政権と軍産複合体』パンフレットの続編
 私たちは、昨年10月、ブッシュ政権による対イラク戦争準備が加速していく中で、『ブッシュ政権と軍産複合体』というパンフレットをとりまとめ発行しました。その中で、ウイリアム・D・ハートゥング氏が主宰する「世界政策研究所・武器取引情報センター(WPI・ATRC)」による軍産複合体についてのまとまった詳しい報告書(2002年5月)を翻訳紹介しました。
 今回翻訳紹介するのは、同「武器取引情報センター(ATRC)」が、今年8月に出した報告です。イラク戦争とその後の占領・復興プロセスの中でボロ儲けをしている軍産複合体と政商企業を、数字を挙げて具体的に暴露したもので、昨年の報告の続編・アップデート版と言えるものです。ぜひこの機会に、パンフレットも併せてご覧下さい。
ブッシュ政権を乗っ取った核・軍産複合体。両者の関係を実証的に暴く。『ブッシュ政権と軍産複合体』[翻訳報告]『回れ右:20年にわたるアメリカの核政策のブッシュ政権による根本的転換、そこにおける兵器ロビーの役割』(世界政策研究所・武器取引情報センター ウィリアム・D・ハートゥング (2002,5)),他
※また私たちは今回のイラク戦争開戦直前に、戦争がまだ始まってもいないのに、占領支配や戦後処理でブッシュ・ファミリー企業、共和党系企業を中心に米国際開発庁が発注を行ったという事実を批判した。「ブッシュの対イラク攻撃準備と国際情勢(]])−−石油強奪と戦争特需:対イラク戦争は石油=軍事帝国アメリカの“巨大公共事業”−「石油動機説批判」「石油無関係説」のいかがわしさ−

 「占領の民営化」−−今回紹介する報告は、この的確な表現から書き出しています。ブッシュ政権と癒着する軍産複合体や政商企業は、“戦争そのもの”から暴利をむさぼるだけではなく、“占領”からも、そして上述した“復興”からも、新しい私企業の参入も含めて膨大な利潤を引き出そうとしている。米系の資本が戦争・占領・復興を食い物にしている。これを暴露するのがこの報告の狙いです。
 報告は、ボロ儲け企業の類型をしながら各章を以下のように整理しています。
−−まず第2章「戦争への助走」では、戦争前と戦争中の軍産複合体のボロ儲けを暴き、対イラク戦争の数か月前に国防総省からの大規模発注によって軍産複合体が「ビッグ・ブーム」に沸いたことを指摘しています。
−−第3章「イラクの復興再建に群がる契約」では、ハリバートンやベクテルなどの政商企業のボロ儲けを暴露しています。特に副大統領チェイニーのハリバートンの不透明な契約関係は政治問題にまでなっています。
−−第4章「防衛を超えた民営化」では、占領下で最近急速に拡大し始めた「占領の民営化」の現状を明らかにしようとしています。
−−第5章では、ブッシュが絶対に話そうとしない石油利権について触れています。中でも特筆すべきことは、三菱への石油の配分が「日本政府を引き寄せる“エサ”として議論されてきた。」と指摘されていることです。小泉政権の協力・加担、自衛隊の派遣が何のためかということを如実に示しています。
−−そして最後に第6章「結論」では、こうしたイラク戦争・占領・復興で大儲けした“死の商人”達が、来年の大統領選挙で再びブッシュを大統領に担ぐ。この汚い癒着構造を断罪しているのです。

 第2章では、ロッキードマーチン、ボーイング、レイセオン、アリアントを挙げていますが、米国防総省との契約額第3位で B-2ステルス爆撃機やAWACSシステムで有名なノースロップ・グラマンが欠けています。これについてはATRCから10月になって配信されたアップデート版にその詳しい暴露があります。2001年から2002年にペンタゴンとの契約額が52億ドルから87億ドルへと67%増えたこと、政権との重要なコネとしては空軍長官がノースロップグラマン出身者だということなどです。

2003年10月28日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局



ATRC(武器取引情報センター)
新たな数値:イラクの自由の代価とワシントンの権力
「New Numbers:The Price of Freedom in Iraq and Power in Washington」
byシーラ・ドネリー&ウイリアム・D・ハートゥング (1)
2003年8月
http://www.worldpolicy.org/projects/arms/updates/081203.html


1.序:民営化された占領

 バグダッドとペンタゴンからくる最近のニュース見出しと見出しを席巻しているいくつかの数値。
  ・147,000: イラク現地の米国地上軍部隊兵士の人数。
  ・237: 現地での地上作戦行動開始以来死んだ米軍兵士の人数。
  ・99: その内、ブッシュが連合軍の戦闘勝利を宣言した5月1日以降の人数。
  ・9: 第3歩兵師団の兵士たちが家族と別れて以来の月数。
  ・3: 彼らの帰還が遅らされた回数。
  ・39億ドル: イラクでの米軍維持に1か月当たりかかる費用としてドナルド・ラ ムズフェルドによって見積もられた額。
  ・4000億ドル: 2004会計年度分として最近議会で承認された軍事予算。

 このリストはまだまだ続く。

 このような統計数値にもかかわらず、多くの報告に欠落しているのは、リアルな詳細である。一旦、事がイラクにおいて誰が何をしているかということになると、諸事実はずっと不明瞭になる。CNNを見ている平均的なアメリカ人は、殺された兵士の、または首尾よく「見つけ出され、殺されたか、あるいは捕まえられた」イラク人の、最新情報をレポートできるかもしれない。しかし、現場が実際にどのように展開しているのかを言うことのできる平均的アメリカ人を見出すのは極度に困難だろう。戦時物資の供給をしているのは誰か、再建の任に当たっているのは誰か、それに対していくらの支払いがなされているのか、また彼らがいかにしてその仕事を得たのか、ということをどれだけのアメリカ人が知っているだろうか。

 その答えは、「軍」と断定的に答えられるほど簡単で単純なものではない。本当の詳細については、ほとんどのアメリカ人は知らない。イラク戦後のプロジェクトや要員の計画が、どのようにして、ペルシア湾の酸敗した状況から一級品のレモネードを作り出している(訳者注:紛争地域から甘い汁を吸っているという意味)アメリカの私企業から出されてきたか、ということである。

 我々の関心をバグダッドに引きつけた武器や戦車の供給から、ダムや橋あるいは港湾を再建する要員まで、若いイラク人の教育システムを改良する授業計画や鉛筆まで、アメリカの私企業が、イラクでの米国のキャンペーンを先導し戦争の財政的報酬を刈り取っている。

 私企業は、第2次湾岸戦争で前例のない役割を果たした。そして、まさにもう1つの数値−−6億8000万ドル、ベクテルグループとのイラク復興再建のプロジェクト契約−−を見ると、それら私企業がやはり前例のない役割を果たし続けるだろう。

 ベクテルとハリバートンによって引き受けられた仕事の中には、例えば水と電気システムの再建のような、必要で大切なものもある。だが、我々は、民主主義国家の国民として、我が国の政治的指導部と固く結びついているそのような私企業が、これらの仕事を任される企業として必然的なものかどうかを真剣に熟考しなければならない。米国軍の民営化は新しい論争ではない。P・W・シンガーの新刊本『企業戦士:民営軍需産業の隆盛(Corporate Warriors: The Rise of the Privatized Military Industry)』(イサカ、ニュー・ヨーク:コーネル大学出版、2003年)は、次のような疑問への深い洞察を提供している。つまり、クリントン=ゴア政権の間に追及され、ブッシュ=チェイニー政権のもとで加速された、軍の計画、訓練、建設、サービスの民営化の前例のないレベルに関して、当然問われなければならない疑問である。もしイラクにおいてこれほどまでに進んだ経験が何らかの指標であるならば、我々は、明らかに、我々の国家安全保障戦略を実行するための私企業の利用において、利潤と愛国心との間に適切なバランスを確立するには程遠いと言わねばならない。

 納税者の観点からすれば、最も重要な疑問は、「イラクの自由作戦」において最終的な勝利を確保するために我が政府が何十億ドルを私企業に支払ったのかということである。−−「勝利」が究極的に何を意味することになろうとも。

 以下は、米軍事行動の初めのころからイラクに関わり、今後何年にもわたって復興再建に関わっていく主要な私企業の明細書である。


2.戦争への助走:「衝撃と畏怖」作戦を発動させたのは誰か

 ブッシュ政権は、その主張を国連や米国議会やアメリカ国民に十分売り込むことができるようになるずっと以前に、サダムと共和国防衛隊に対する戦争を計画していた。これは、レイセオン、ボーイング、ロッキードマーチンのような会社にとっては、ビジネス上のビッグ・ブームを意味した。このビッグ・ブームと引き換えに、これら企業の武器や爆弾が数か月後にイラクに降り注いだのだ。これらの会社をブッシュ政権に結びつけている絆は、ハリバートンやベクテルのような軍需私企業と復興再建とを結びつけている絆ほど物議をかもすものではないけれども、しかし、オーバーラップしている人員をたどることによって次のことは明らかである。すなわち、軍産複合体が、冷戦時代の遺物どころではなく、ジョージ・W・ブッシュのワシントンで現に生きていて健在で繁栄しているということである。

●ロッキードマーチン
 ペンタゴンのナンバーワンの契約者ロッキードマーチンは、イラクでの軍事行動から確実に利益を得てきた。この会社の報告によれば、会社の営業の80%が米国防総省と米連邦政府の部局との間でのものである。また、この会社は、情報テクノロジー(IT)サービスとシステム統合および訓練の、米国政府への最大の提供者でもある。このようなビジネスは、ブッシュ在職期間、特に2002会計年度に戦争計画が策定されて武器への支出が算定されるにつれて、かなり大きく成長した。

  ・この会社が2002年度の防衛契約で与えられた額は170億ドル。2001年度の147億ドルからアップ。(2)
  ・2003年度第1四半期の売上は、2002年度同期の18%増で、71億ドル。
  ・最初の爆弾がバグダッドに降り注いだ2003年3月に、米国空軍はロッキードマーチンに、Paveway2. GBU-12 と GBU-16 レーザー誘導爆弾(LGB)に対する1億660万ドルの契約を与えた。それは、「引き渡し無制限、数量無制限」によって特徴づけられる 2億8,100万ドルの契約−−無制限の費用付加という法外な条件の契約−−の一部である。「スマート爆弾」(弾頭装着時)としても知られているこの爆弾の大部分は、減少していく米国海軍弾薬庫を補充するために注文された。
  ・同じ3月に、会社は、米国空軍および海兵隊が C-130J スーパーヘラクレス航空機を入手して追加配備するということで(両者あわせて既に41機所有しているのだが)、2003年から2008年までの40億ドルの複数年契約を得た。
  ・ロッキードマーチンの前副社長ブルース・ジャクソンは、ブッシュ大統領選挙運動の財政責任者だった。副大統領の配偶者リンネ・チェイニーは、ロッキードマーチンの前取締役で、半年毎のわずかな取締役会に出席するだけで会社から年12万ドルを受け取っていた。(3)
  ・ジョンストン&アソシエイツのロビイストであるクリス・ウィリアムズは、防衛産業の会社と結びつきを持つ「国家防衛政策局(the Defense Policy Board)」の9人のメンバーの1人である。彼の会社は、ロッキードマーチン、ボーイング、TRW、ノースロップグラマンを代表している。(4)

●ボーイング
 ボーイングは、情報テクノロジーから飛行機まで、またその飛行機から落とされる爆弾にまでわたる軍需物資の供給者として、ペンタゴンの第2番目の契約者である。 B-52は、朝鮮戦争のときに有名になった航空機だが、「イラクの自由作戦」でも“ワークホース(便利で耐用性のある機器)”であった。それは、「スマート爆弾」と精密誘導兵器によって現代的な科学技術水準にグレードアップされてきた。それらには、ボーイング自身によって考案されたものだけでなく、ロッキードマーチンによって製造されたものもある。実際、ボーイングのJDAMs (Joint Direct Attack Munitions) は、軍のスマート爆弾 在庫の大部分を占めている。というのは、それらは安価で効果的だからである。 22,000ドルのキットは、ほとんどどの爆弾をも精密誘導砲弾にしているのである。

  ・2002年に、ボーイングは、ペンタゴンとの契約で166億ドルを受け取った。−−2000年の120億ドル、2001年の130億ドルから増加。
  ・空軍はもともと 87,000発のJDAMキットを注文したのだが、3月の侵攻のしばらく前に、その注文を 230,000発以上に増やした。その営業価格は、3億7, 800万ドルであった。
  ・会社は最近、国防総省から97億ドルの契約を獲得した。それは、アパッチ・ヘリコプター、フンヴィーズ、ブラッドレイ戦闘車輛に加えて、陸軍の重戦車を運ぶことのできる唯一の航空機として称揚されている C-17輸送機を60機追加するものである。2003年1月に始まった実戦配備で、C-17 は、ペルシア湾の軍部隊集結地へ装備機材を絶え間なく配送するのに活躍していた。
  ・他にも最近契約したものに、SLAM-ER(Standoff Land Attack Missiles Expanded Response)120発の追加生産 6,030万ドル、韓国への F-15K航空機40機の販売と武器援助の33億ドルがある。
  ・前国家防衛政策局長リチャード・パール(現在は単に一メンバー)は、国土安全保障と国防の企業に投資しているベンチャーキャピタル会社トゥリリーム・パートナーズ・LPの経営パートナーである。その資本金 4,500万ドルの半分がボーイングからのものである。(6)
  ・2000年の選挙運動期間中にボーイングが行なった政党への献金とPAC献金150万ドルの58%が、共和党候補者に流れた。ブッシュの勝利が宣言されたとき、ボーイングは就任式に 100,000ドルを出した。

●レイセオン
 米国で第4番目に大きい防衛契約者レイセオンは、4,000をこえる武器計画に関わ ったことを誇っている。

 この防衛エレクトロニクス会社は、1991年の湾岸紛争のときにイラクのスカッドミサイルを迎撃したパトリオット防空ミサイルによって獲得された評判で最もよく知られている。1991年以来、ペンタゴンは、武器の精度を改善するために30億ドルを費やした。これは、完ぺきにはほど遠かった「砂漠の嵐」作戦の後、引き続き研究が行なわれたものである。

 レイセオンはまた、もう1つ戦闘時によく耳にするトマホーク地上攻撃ミサイルを製造している。レイセオンのウエブサイトは、その人気を病的に祝っている。「‘砂漠の嵐作戦’だけで、300以上のトマホークが使われた。1991年の‘砂漠の嵐作戦’以来 1,000以上のトマホークが発射された。」と。第2回目の湾岸戦争での武器使用見積り によれば、戦争の最初の数時間だけで800発もの発射が予見されていた。これらの2つのよく知られた武器に加えて、レイセオンは、人気のあるミサイルシステムやレーダー探査システムや爆弾を広範に製造している。イスラエル、エジプト、サウジアラビア、トルコ、韓国を含む諸国への主要な武器輸出業者として、この会社は、諸国が防衛システムを声高に叫ぶような世界政治の軍事化から二重に利益を得ていると思われる。

  ・トマホークミサイル1発のコストは、60万ドルから100万ドルの間である。
  ・2003年1月に出されたレイセオンの第4四半期営業報告は、利益の倍増を報告した。
  ・CEOダニエル・バーンハムは、ブッシュとその仲間によって設定された路線に満足し、「今日、市場は1年前に我々が考えたよりもハイレベルである」という事実に拍手喝采し、「我々は国防総省の優先事項と完ぺきに一致している」ということを自慢している。
  ・海軍は最近、DDXデストロイヤーのような将来の艦船を開発するために12億ドルの契約をした。そのためにレイセオンは、エレクトロニクスを統合している。
  ・空軍は、要求を 1,220万ドルから 8,000万ドルに引き上げた。それは、901ジェイヴリン対戦車ミサイルの分で、レイセオンとロッキードマーチンによって共同生産される。
  ・1996年以来、レイセオンは、政党への献金とPAC献金で330万ドル以上を献金してきた。それは、2002年の中間選挙キャンペーンでの主要な防衛産業契約企業の中で献金額第4位に位置する。
  ・マサチューセッツ州の民主党議員たちとの伝統的な関係にもかかわらず、レイセオンの献金は、どんどん共和党の方に傾いていき、2002年の米国議会中間選挙には共和党/民主党の比率が58%/42%にまでなった。(7)

●アリアントテクシステムズ
 ボーイング、ロッキードマーチン、レイセオンのような防衛産業の巨人たちほど知られてはいないにもかかわらず、アリアントは、イラク戦争から、そしてまたブッシュ政権の先制攻撃軍事ドクトリンのもとでこれからも行なわれるであろう「体制変革」のための戦争で、最も着実に利益を得る防衛企業であるかもしれない。アリアントテクシステムズは、軍の小火器のあらゆる砲弾を供給している。ライフルやマシンガンで使われる弾丸のすべて。そして、戦車発射の、あるいは攻撃用ヘリコプターの対戦車マシンガンから発射される、中口径砲弾のほぼ半分を供給している。戦争の戦略は変化し、航空機よりも戦車を選好したりその逆であったりするかもしれないが、兵士は常に砲弾を必要とし、戦闘時にはいっそう多くの砲弾を必要とする。アリアントの最近の売上16%増は、その収益に反映している。

  ・アリアントの売上は、2002会計年度に18億ドルから21億ドルに上昇した。16%増である。
  ・昨年、軍はアリアントに、小口径砲弾 2億6,500万発に対する 9,200万ドルの契約を与えた。顕著なものとしては、M-16ライフルのカートリッジが含まれてい る。
  ・2月に、アリアントは、アブラムズ戦車の砲弾をつくるという別な契約で 1億1,300万ドルを受け取っている。(8)


3.どさくさ紛れの乱雑を整理すれば:イラクの復興再建に群がる契約

 P・W・シンガーは、それを戦争の「サービスの側面」と呼んでいる。軍事私企業が、自由の防衛者を自称して隆盛になっている。「イラクの自由作戦」で、米国は、兵士10人に1人の軍事私企業従業員を配置した。それは、1991年「湾岸戦争」からすれば10倍の増加である。

 1994年から2002年の間に、ペンタゴンは、さまざまな悪評のある軍事私企業との間に 3,000以上の契約をとり結んだ (9)。世界的な規模の軍事私企業の契約は、年間 1,000億ドルのビジネスである。そして、テロとの戦争が「終わりなき戦争」として特徴づけられて、今後何年にもわたってそれ以上の額に上るだろう。

 多くの米国人が今では、軍事私企業ハリバートンと副大統領チェイニーとの結びつきを知っている。だが、軍産複合体の巨大企業とワシントンのエリートとの倫理的にあいまいな関係は、それだけでは終わらない。主流メディアのニュースレポートは、共和党政府と緊密な結びつきをもちイラク復興で数十億ドルを得ているもう一つの巨大企業ベクテルが果たした役割にも焦点を当ててきた。

 これらのよく知られた実例と並んで、我々は、ダインコープ、MPRI、ヴィネル、ロジコン、エアスキャンを付け加えるべきである。これらの社名も、よく知られたものになるべきである。なぜなら、その従業員たちはイラクの米軍兵士と肩を並べて汚い仕事をすることで支払いを受けているからである。その給与がかなり高いのに驚かされる。

●ハリバートン
 ハリバートンがこの戦争ではじめて評判になったのは、まさに最初の復興契約を入札なしで獲得したときである。しかもそのときは、米軍戦車がバグダッドにまだたどりついてさえいなかったのである。エンロン疑惑と、見たところいたるところにある法人企業スキャンダルの陰で、ハリバートンとその前CEOである副大統領ディック・チェイニーとの関係に、警告の赤旗が揚がったのである。

 2003年3月に、ハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)は、石油火事を管理し米国の指揮のもとで油田を安定させる主契約を与えられた。この仕事に関わる契約期間も費用も限度が設定されず無制限であった。

 ハリバートンは、石油だけですべてではない。そのイラク戦争からの利潤は、油井より奥行きが深い。以前チェイニーの会社であったハリバートンは広範なサービスを提供しており、その契約は決まってたいていの競争者を排除する私的な入札期間に行なわれる。

  ・9.11以降、ブッシュ政権は、チェイニーの以前の会社に22億ドル以上の防衛関連契約を分け与えてきた。(10)
  ・イラクの油田を確保し保護するというハリバートンの契約は、競争的入札なしに陸軍によって密かに与えられたのだが、10億ドルにのぼる価値があるだろう。(11)
  ・2002年9月から2003年4月までに、ハリバートンは、兵站物資供給から戦争捕虜収容キャンプ建設や戦車の燃料補給にまでわたるサービスを提供する防衛関連契約で、4億4,300万ドル以上を受け取った。
  ・1999年から2002年までに、ハリバートンは、政党への献金とPAC献金で 708,770ドルを献金した。その95%が共和党へ流れた。
  ・最近の「ニューズウィーク」の記事によると、「最初のブッシュ政権の国防長官チェイニーは、軍部隊駐屯都市の管理運営を行なうという陸軍の最初の私的契約をKBRに与えた。クリントン政権時代に、ハリバートンは、KBRが政府に法外な値を要求したとして解約され、その契約を失った。しかし、チェイニーが選ばれて後、KBRは陸軍のその契約を再び与えられ、10年契約でこれまでのところ 11億5,000万ドルの売上を稼いだ。」(12)
  ・チェイニーは、彼がハリバートンを去る際に行なった決定によって、今なお彼の前の会社から年間ほぼ 180,000ドルの延長報酬を受け取っている。

●ベクテル
 イラク復興のための契約は、戦争が行なわれている最中に早々と与えられたのだが、遅くとも4月半ばには、当面する入札で大賞、大当たりを獲得するのは誰かということが大問題になっていた。空港、道路、水道、電気、学校、病院などの死活的インフラを再建するために、米国国際開発庁(USAID)によって与えられる広範囲の6億ドルの復興再建契約である。

 隠された入札プロセスの後、サンフランシスコのベクテルグループが勝者であると発表された。それは、報道機関から、またベクテルとブッシュ政権との込み入った結びつきを知っている人々からの、突風のような注目の導火線となった。「ニューヨーク・タイムズ」のひとつの記事が適切に述べたように、「イラク復興の最初の主契約を狭く限られたビジネス手続きで政治的なコネをもった米国企業に与えることは、疑惑の世界へ嘆かわしいメッセージを送るものである...。ひとにぎりの米国企業に限定された競争でサンフランシスコのベクテルグループに 6億8,000万ドルにものぼる契約を与えることによって、米国は自らが遂行した戦争から利潤を得ることを追求しているという印象を増すだけである。」(13)

 ベクテルは、6億ドルあまりの契約に対する高い能力をもった競争者だと広く一般にみなされてはいるが、そのワシントンとの結びつきは、非常に込み入っていて固く織りなされたものなので、契約決定に際してどんなたぐいの圧力があったのかと想像しないなどということは、ほとんど不可能なことである。

  ・レーガン政権時の国務長官(そしてベクテルの前社長)として、1983年にジョージ・シュルツは、ドナルド・ラムズフェルドを中東和平特使として、サダム・フセインと会談するためにバグダッドへ送った。ラムズフェルドは、イラクからアカバ港までの石油パイプライン建設の入札で、この指導者(フセイン)がベクテルを支持してくれるよう求めることを指示されていた。20年後、ラムズフェルド率いる一団は、再度ベクテルを中東の中心的位置へ押し上げることのできる立場にあって、実際に彼らはそうしたのである。(14)
  ・ベクテルの副社長ジャック・シーハンは、国家防衛政策局のメンバーである。(15)
  ・イラクでの入札契約の監視者であるUSAID理事アンドリュー・ナツィオスもまた、ベクテルと親密な結びつきがある。彼は、ボストンの大規模な「ビッグ・ディッグ」建設プロセスを率いたのだが、それは、破滅を招くほどの140億ドルの無駄な事業で、米国地方自治体の公共事業の歴史上、最大の費用超過のかなりな部分を占めるものであった。ベクテルは、この「ビッグ・ディッグ」プロジェクトの主契約企業である。(16)
  ・戦争のちょうど2か月前、ブッシュ大統領は、億万長者のライレイ・ベクテル(彼のファミリー会社のおかげで世界104番目の富者)を、海外の米国企業のためにいかに市場を創出するかに関して政府に勧告する輸出諮問委員会委員に任命した。(17)
  ・1999年から2001年にベクテルは、政治的キャンペーンに130万ドルを献金した。その58%が共和党候補者のもとに流れた。

●ダインコープ
 バグダッドの陥落を祝う映像−−巨大なサダム像の倒壊と沸き起こる歓喜−−は、よりよい秩序をもたらすという希望で現存秩序を破壊したことの諸結果の、厳然たる現実にすぐに置き換えられた。略奪が横行し、多くの人が必要とする医療機器や物資が消え、はかりしれないほど貴重な美術品が博物館から盗まれた。米軍は、既に伸びきって、しかもこの地域の引き続く安定化の課題に深く関わり、どうしようもなく立ちつくした。

 何か手を打たなければならないのは明らかだった。そこで、数十億ドル規模の軍事契約会社ダインコープのことに入ろう。この会社は、あるペンタゴン高官が「ニューヨーク・タイムズ」に提供した次のような叙述にピッタリ当てはまる職員を提供している。「[国連の平和維持軍よりも]より不要な部分が取り除かれた形で権威と責任をもち、もう少し結束していて効率的なもの」(19)。 コープ・ウォッチ(Corpwatch.or)のリポーター、プラタップ・チャタ ージーは、このサービスをガードマン会社と正確に特徴づけた。ダインコープのウエブサイトは、「米国政府との契約のもとでイラク警察を再建するといういい勤め口」の広告を今でも出している。前のサービスマン、警官、看守たちが勢ぞろいしている。

  ・国務省は4月に、ダインコープに数百万から数千万ドルの契約を与えた。それは、実効ある法律の実施のための法的施設、刑務所などを設立することに関して、イラク政府にアドバイスするものである。会社は、この仕事を行なうために法律実施のアメリカ人専門家を 1,000人イラクへ派遣する必要があると見積もっている。ダインコープは、この契約の初年度分に 5,000万ドルにものぼる報酬を計上している。(20)
  ・ダインコープは、1999年から2002年の間に、総額 276,975ドルを献金し、そのうち74%を共和党に献金した。(21)
  ・ダインコープには、人権侵害と詐欺行為の疑いのある長い歴史がある。最もよく知られている実例は、氷山の一角にすぎないように見える。2人のダインコープ従業員が、ボスニアで、未成年者の性奴隷集団を運営したのだが、彼らは米国との契約のもとに現地に滞在していたのである。この犯罪を暴露した従業員は解雇され、当の2人の従業員は単に配置転換されただけだった。


4.その他の契約:防衛を越えた民営化

 米国政府は、劇的なかたちで占領軍の任務に取って代わる民間企業を雇っただけではない。アメリカの税負担者は、イラクの他の不可欠なものの専門化された再建にも支払いをしているのである。戦争とその直後の時期のコストを全体的に評価するために、以下に、諸企業が獲得した仕事の簡単な要約とともに、それらの契約をリストアップする。(22)

  ・スティーヴドーリング・サービス・オブ・アメリカ社への480万ドルは、イラク南東のウーム・カスル港の「査定と運営」に対して、USAIDによって与えられた。
  ・株式会社アブト・アソシエイツに 1,000万ドル。イラク保健省の改革と暫定的な保健サービスや物資配給で。
  ・株式会社スカイリンク・エア・アンド・ロジスティック・サポート(USA)に250万ドル。イラクの空港再開および管理運営の援助で。
  ・インタナショナル・リソースィーズ・グループ社に700万ドル。90日間の救援と再建の管理運営に対して。
  ・リサーチ・トライアングル・インスティチュート(RTI)社に790万ドル。復興再建へのイラクの市民参加の促進で。RTIは、イラク国内の行政能力を高め、地方行政とサービスについての理解を促進することにおいて、技術援助と訓練システムを提供するということになっている。
  ・株式会社クリエイティヴ・アソシエイツ・インタナショナルに1年契約で200万ドル。イラクの初等学校と中等学校の「直近の教育ニーズ」に対応することで。契約は、学校の必需品、訓練教師、生徒の勉学達成度を追跡する発展テスト法などを提供するというもの。


5.イラクの石油:復興資金

 米国は、復興再建の財源を確保するために、最近になって取り急ぎ、世界中の12社と長期石油契約を次々に結んだ。イラク国家石油マーケティング機構の米国人上級アドバイザーで巨大石油会社ロイヤルダッチシェル前取締役のフィリップ・キャロルによれば、同機構は、エクソンモビール、シェブロンテキサコ、コノコフィリップス、マラトンアンドヴァレロエナジーのような米国企業や、シェル、BP、トタール、レプソルYPFのようなヨーロッパの巨大企業、また中国企業のシノチェム、スイスに本拠を置く石油取引会社ヴィトール、日本の三菱石油などに、平均日量 725,000から 750,000バレルの石油を供給する計画である(23)。国家安全保障大統領補佐官コンドリーザ・ライスの前の会社シェブロンと並んでキャロルの前の会社がリストに上がっていて、石油契約の会社選定は全く政治的であるように見える。BPとの契約は、おそらく、フセイン政権に対する米国主導の戦争に戦闘部隊を出した英国の関与への一部払い戻しなのだろう。そして日本の契約は、占領されたイラクでの安全保障と治安維持のための人員を提供することに日本政府を引き寄せる“エサ”として議論されてきた。そしてもちろん、ロイヤルダッチシェル出身のこのワシントン政府高官は新イラク石油省の決定に拒否権を行使するのだが、その一方でイラクの破壊された石油生産施設を再建するためのカネは、コスト加算方式(cost-plus basis)でディック・チェイニーの前の会社ハリバートンへ流れるのである。


6.結論:説明責任の時

 米国主導のイラク復興再建と占領のコストが増すにつれて、ロッキードマーチン、ボーイング、レイセオン、ベクテル、ハリバートン、ダインコープのような会社の利潤が、ブッシュ政権によって舵取りがなされた契約の結果として、しっかりと増加するであろう。まさに先週の金曜日に「ニューヨーク・タイムズ」は、ハリバートンに利潤をもたらした縁故情実の別な実例を報じた(ニーラ・バナージー「ベクテルの末端組織がイラクでの仕事へと動く/既になされた取引を見てみると」2003年8月8日)。

 イラクの石油施設を再建し運営する複数年の数十億ドルにのぼるハリバートンの契約、その長期契約分を再入札すべきだという、下院議員ヘンリー・ワックスマン(民主/カリフォルニア)とライバル企業の圧力に対応して入札が行なわれたが、入札過程は、ブッシュ政権の民営化されたイラク復興の他の多くのものと同様に、見せかけのインチキであるようにみえる。新規参入入札者の手続きを経て、イラク石油産業再建契約でハリバートンと競おうとする企業と7月中旬にダラスでのまる一日の会合をもって後、陸軍工兵部隊は、入札で競うことになっている仕事の大部分である10億ドル分が実のところハリバートンの手に戻るように、新契約の明細事項をそっと改訂した。その10億ドルの入札のスケジュールは、仕事の大部分が(あるいは少なくとも契約金の大部分が)2003暦年中に発注されるように設定された。イラク石油部門再建の第2段階の入札過程では、早くとも2003年10月15日までは勝者が決まらないということを前提すれば、これは、本質的に、ハリバートンが不戦勝で第2段階の仕事の大部分を得るということを意味した。このために、第2段階の仕事での最大の潜在的競争者であったベクテルは、入札から撤退することになった。そして、次のような議論がなされた。つまり、入札の初期段階で明らかにされなかった裏口の陸軍との取引であまりにも多くの仕事が本質的にハリバートンの手にわたったので、陸軍の第2段階の契約についての真の「競争」という観念は、基本的に見せかけのインチキだったという議論である。

 もっと説明責任(アカウンタビリティ)が必要であるということは、明らかである。−−イラクの人々とアメリカの納税者の双方に対して。イラクの民営化された復興再建過程がどのように進んでいるのかについて。
 契約は、米国企業だけでなく同盟諸国の競争企業も含めた、開かれた真の競争的入札にされねばならない。仕事が、政府部門や非営利団体や非政府組織にくらべて私的企業が適切であるという決定は、議会の監視や一般公開のもとに、オープンに透明に行なわれねばならない。復興再建契約は、将来の民主的イラク政府の権限を先取りしないように、短期で利潤追求を制限したものでなければならない。それは、イラクの人々が−−ベクテルやハリバートンのような政治的ひも付き企業やワシントンの官僚たちではなく−−適切だとみなすような契約者を自ら選定して、自らの産業を建設していく権限である。
 イラクの復興再建から利益を得ている企業は、払い戻しをしたというふさわしくない外見を避けるために、2004年の大統領選と議会選挙へ向けて献金しないと誓うべきである。ふさわしくない外見というのは、ブッシュ政権によってイラクの契約を与えられた企業が、あたかも利潤のあるパーセンテージを共和党候補者にじょうごを通して戻しているかのような外見である。理想を言えば、もしブッシュ大統領がふさわしい道徳的色彩を添えたいと思うなら、イラクの復興に関わった企業からは再選キャンペーンのための献金を一切受け入れないことに同意すべきである。

 第二次大戦の真っ最中に、ミズーリー州の上院議員ハリー・トルーマンは、戦争の必需品を供給することに関わった企業による暴利と不正行為を暴露して名をあげた。イラクでの深い政治的経済的利害関係を前提すれば、この前例に比肩しうる調査が今まさに理にかなったものである。下院議員ヘンリー・ワックスマン(民主/カリフォルニア)は、下院行政改革委員会の民主党幹部としての役割にふさわしい疑問を提起し続けてきたが、次のような疑問に対する回答を掘り起こすためには、両党の著名な同僚議員が加わる必要があり、下院だけでなく上院でも行なう必要がある。ブッシュ政権とペンタゴンがこれほどまでに強力に推し進めてきた隠密裏の民営化プロセスを通じたイラク復興再建の、コスト、効率性、妥当性についての回答である。(24)


註:
(1)Ceara Donnelley was a research intern at the World Policy Institute during the summer of 2003. William D. Hartung directs the Institute's arms project.
(2)"War in Iraq: We foot the billing, Corporations make a killing," www.citizensworks.org
(3)Ibid.
(4)"Advisors of Influence: Nine Members of the Defense Policy Board Have Ties to Defense Contractors," report by the Center for Public Integrity, www.publici.org
(5)Ibid.
(6)For more details on Boeing's role in Iraq and its connections to Washington see ATRC's April 4, 2003 update.
(7)For additional information on Raytheon see ATRC's March 24, 2003 update.
(8)"Quiet, but Central, Role for Ammunition Maker," by Amy Cortese, New York Times, March 23, 2003.
(9)"Have Guns, Will Travel," by P.W. Singer, New York Times, July 21, 2003.
(10)"The World According to Halliburton," by Michael Scherer, www.motherjones.org
(11)"Fanning the Flames: Cheney's Halliburton ties," by Keith Naughton and Michael Hirsch, Newsweek, April 7, 2003.
(12)Ibid.
(13)"And the Winner is Bechtel," New York Times, April 19, 2003.
(14)"Bechtel's Friends in High Places," by Pratap Chatterjee, special to Corpwatch, April 24, 2003, www.corpwatch.org.
(15)"Advisors of Influence," www.publici.org.
(16)Chatterjee, April 24, 2003.
(17)Ibid.
(18)"Rebuilding Iraq -- The Contractors," www.opensecrets.org.
(19)"DynCorp Rent-a-Cops May Head to Post-Saddam Iraq," by Pratap Chatterjee, special to Corpwatch, April 9, 2003, www.corpwatch.org.
(20)"Rebuilding Iraq -- The Contractors," www.opensecrets.org.
(21)Ibid.
(22)All statistics provided by the USAID fact sheet on reconstruction contracts for Iraq: www.usaid.gov/press/factsheets/2003/fs030620.html.
(23)"Iraq Lines Up Long-Term Oil Deals," by Chip Cummins, Wall Street Journal, July 29, 2003, company identification provided by Agence France Presse, July 31, 2003.
(24)To see Waxman's excellent series of letters to the Army Corp of Engineers and other key Bush administration policy makers, go to the web site of the House Committee on Government Reform, www.house.gov/reform, and find the site for minority caucus.