8/19−20 更に緊迫の度を増すナジャフ情勢
−−米の傀儡アラウィが「最後通告」。
−−米軍が大規模な空爆・砲撃を開始、戦車でアリ廟を包囲。
●米軍はナジャフでの攻撃と殺戮を今すぐ中止せよ!自衛隊は即刻撤退せよ!
●米大使館、日本政府に抗議のメール・FAXを集中しよう!


中央がイマム・アリ廟、北側は共同墓地、南側は住宅密集地
米軍は北西を走る幹線道路に非常線を張り「遮断」している。
(BBC News Onlineより)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/3582156.stm


8/19 米軍による爆撃(AP Photo/Jim MacMillan)
Common Dream News Centerサイトより
(1) 米軍は8月19日夜から20日未明にかけ、シーア派のサドル師支持者や民兵マハディ軍が立て籠もり抵抗するナジャフにあるシーア派の聖地イマム・アリ廟周辺にAC130攻撃機などで大規模な空爆を行いブラッドレー戦闘車による砲撃を開始しました。アリ廟周辺、隣接する共同墓地で炎と噴煙が立ち上がっています。
 英BBC放送によれば、これまで米軍が待機していた「非常線」を米戦車が突破してアリ廟の間近まで進軍し同廟を包囲しているといいます。19日深夜の爆撃は、今回のナジャフでの衝突が始まって以来の激しいものだったようです。
 同時に米軍は20日未明、ファルージャでも空爆を行い、これで米軍のファルージャ空爆は1週間連続したものとなりました。やりたい放題の米軍の所業、怒りを抑えることができません。

(2) 何人の犠牲者が出ているのか、現時点では全く不明です。日本のメディアは立て籠もっているのは民兵だけのようにウソ・デタラメを垂れ流していますが、多くは神聖な聖地を守ろう、米軍の蛮行は許せないという当たり前の願い・怒りを持って集まってきたシーア派の信者たちなのです。ターキッシュ・プレスというアラブ・メディアは、数千人の「人間の鎖」が立て籠もっていると報じました。つまり数千人の命がかかっているのです。

(3) 今回の大規模な空爆・砲撃は、「最後通告」を無視するサドル師に対する武力による威嚇・圧力です。米の傀儡イラク暫定政府のアラウィ首相は19日、「最後通告」を出してサドル師に一方的な武装解除、アリ廟からの無条件撤退などを求めましたが、同師派はこれを拒否しました。ダウード国務担当相は同日、「攻撃を回避するために、彼(サドル師)は数時間以内にこれらを履行しなければならない」と時間を切って警告しました。同師は、攻撃をやめ撤退すべきなのは米軍の方である、と正当な要求を突き付けて戦う姿勢を堅持しています。

 一人でも多くの知人・友人にこの許し難い米の蛮行を知らせてください。在日米国大使館、日本政府に抗議しましょう!

2004年8月20日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


イマーム・アリ廟に立てこもる信者たちChris Helgren/Reuters
Common Dream News Centerサイトより

<参考>
※米軍がナジャフ空爆繰り返す、サドル師に圧力(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040820-00000103-yom-int
※US tanks 'encircle Najaf shrine'(BBC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/3582156.stm
※米軍、ナジャフのサドル師拠点攻撃でAC130攻撃機投入(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040820-00000693-reu-int
※<イラク>アラウィ首相が最後通告 サドル師派に圧力(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040819-00000132-mai-int
※「Thousands Of Shiites To Form Human Chain In Najaf Guarding Shrine, Sadr 」AFP: 8/13/2004 by Jay Deshmukh TurkishPress.com
http://www.turkishpress.com/turkishpress/news.asp?ID=24439


<抗議先>

● アメリカ大使館

 〒107-8420 東京都港区赤坂1丁目10-5 アメリカ大使館
 駐日米国大使 ハワード・H・ベーカー駐日大使 様

 E-mail    mail-jpn@pd.state.gov
 Tel:03-3224-5000 Fax:03-3505-1862

● ホワイトハウス
 E-mail    president@whitehouse.gov

 President George W. Bush
 The White House
 1600 Pennsylvania Avenue NW
 Washington, DC 20500, USA


● 小泉首相
 〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
  首相官邸 Fax: 03-3581-3883 Tel: 03-3581-0101/03-5253-2111
  WEBサイト投稿ページ: http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html


● 川口外務大臣
 〒105-8519 東京都港区芝公園2−11−1 外務省
 外務省 E-mail: goiken@mofa.go.jp Tel: 03-3580-3311 Fax: 03-5501-8430
 WEBサイト投稿ページ: http://www3.mofa.go.jp/mofaj/mail/qa.html


● 石破防衛庁長官
 〒162-8801 東京都新宿区市谷本村町5-1 防衛庁
 Tel 03-3508-7525 FAX 03-3502-5174 Eメール info-iraq@jda.go.jp あるいは info@jda.go.jp




4月のファルージャに続き今再びナジャフで大量虐殺の危険が迫る
●米軍はナジャフでの攻撃と殺戮を今すぐ中止せよ!自衛隊は即刻撤退せよ!
●米大使館、日本政府に抗議のメール・FAXを集中しよう!


(AP Photo/Khalid Mohammed)

(1) イラク情勢が急を告げています。4月のファルージャに続き、今再びイラク中部のナジャフで米軍による大量虐殺が起ころうとしています。世界中がアテネ・オリンピックに目を奪われ、バカンスに気を取られている間に、米は一気に勝負に出ようとしているのです。米国内では大統領選挙そのものにメディアの関心が移っており、イラク現地情勢の報道が少なくなっているといいます。
 イラク中部・南部で大量殺戮が繰り広げられようとしているのです。バグダッド・サドルシティ、クート、アマラ、バスラなど、米軍とマハディ軍との衝突は中南部一帯に広がっており、ナジャフの戦いはその“天王山”なのです。米軍はこれを“最終攻撃”(final assault)と呼んでいます。

 米国の反戦グループ「荒野の声」(Voices in the Wilderness)は8月11日、「ナジャフから手を引け!」(Hands Off Najaf!)という緊急アピールを出し、全米・全世界に向けて緊急行動を呼びかけました。ナジャフの聖地イマーム・アリー廟を攻撃するなど言語道断。イスラム世界全体を敵に回し、イラク情勢を危険なまでに悪化させるものだと厳しく非難しました。
 一刻の猶予もありません。国際世論がこれを批判するのか無視するのか、その態度が問われています。ありとあらゆる手段を使って、この緊迫した事態を友人・知人に知らせましょう。在日米国大使館、日本政府に対して、「米軍はナジャフ攻撃と殺戮を中止せよ」「自衛隊を撤退させよ」等々、メールやFAXで抗議と要求をぶつけましょう!


(2) 8月12日午前(日本時間同日午後)、約2000人の海兵隊とイラク人治安部隊が攻撃ヘリと戦車などで市中心部へ突入し、イスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師とその民兵組織マハディ軍に大規模攻撃を開始しました。ニュース報道によれば、ナジャフ市一帯で黒煙が立ち上っています。米軍はすでに市中心部を制圧し、民兵が立てこもっている聖地イマーム・アリー廟に通じる道路を封鎖しました。

 今回の12日の掃討作戦開始でイラク情勢は新たな局面を迎えました。今月5日に始まった米軍とマハディ軍の戦闘では、すでに米軍発表で360人の犠牲者が出ています。イラク保健省は、11日朝からわずか24時間の間に、中部クートの約75人の死亡を含めてイラク全土で172人が死亡、643人が負傷したと伝えました。

 ナジャフに突入した米軍は、スピーカーで住民に退避を呼びかけ、数千人が避難したといいます。8月11日には、サドル師は、自分が死亡あるいは拘束されても、米軍との戦闘を継続するよう呼びかけました。マハディ軍は、アリー廟や隣接する共同墓地に陣取り徹底抗戦する構えです。英BBCによると、民兵約1000人が聖廟と墓地に孤立状態となっているといいます。このまま進めば、凄惨な衝突、否、圧倒的火力を持つ米軍による民兵への一方的攻撃、一方的殺戮が避けられません。


(3) 今回の攻撃は、7月中に行われる予定であった「イラク国民会議」が頓挫し、開催のメドも立たなくなった暫定政府と米政府が苛立ちを強め、8月5日に「停戦合意」を一方的に破ってサドル派一掃の攻撃を仕掛けたのがきっかけです。この時の米軍発表で300人と言われる大量虐殺は、事実上の「宣戦布告」と言ってもいいでしょう。

 そして米の傀儡であるアラウィ首相の承認の下、米軍が一気にサドル派を殲滅すべく、一方的な武装解除と降伏、ナジャフ市からの退去要求の後に、強引に推し進めたのです。ナジャフの治安管轄権をポーランド軍から取り上げた上で、本格的な「最終攻撃」に打って出ようとしているのです。イラクにおける真実を知らせまいとして直前にはアルジャジーラ・テレビを放送禁止処分に処し、報道の自由を葬りました。



ナジャフ攻撃に反対するデモ(12日バグダッド AFP)
(4) しかし米軍とその傀儡政権による攻撃と殺戮に対して、暫定政府内部の亀裂・対立が広がり始めました。暫定政府のジャファリ副大統領は、米軍がナジャフから撤退するよう要求しました。また米軍自身に躊躇も見られます。「イマーム・アリー廟やモスクを攻撃の対象とはしていない」というのです。アラウィ首相も「多国籍軍に同廟に入ることを許可していない」とする声明を出しました。そのまま信じることはできませんが、イラクの人口の3分の2を占めるシーア派の聖地を攻撃し破壊した時に一体何が起こるのか、恐れていることも確かです。

 イラク民衆も動き始めました。すでに11日にはナシリアで暫定政府打倒を要求する大衆行動がありました。アラウィの現地事務所に住民が押しかけたのです。首都バグダッドや南部バスラでは大規模攻撃と同じ12日、シーア派系住民がスンニ派住民と一緒に米軍の攻撃に抗議するデモ行進を行い、イラク全土で反米感情が燃え上がっています。


(5) 自衛隊が居座るサマワでも情勢が急変しています。陸上自衛隊やオランダ軍の宿営地、イラク治安当局に対する武装勢力による迫撃弾攻撃が連日のように続いているのです。これほどの攻撃の頻発は5月以来だといいます。地元警察によればナジャフ情勢に呼応した動きだと見られています。
 事態は急を要します。日本と自衛隊が、米軍や英軍、オランダ軍と共にイラク民衆のレジスタンス闘争を弾圧し大量殺戮の共犯者となるのか否か。極めて重大な状況に立ってるのです。私たちは改めて要求します。殺し殺される前に自衛隊は即時無条件に撤退すべきです。

2004年8月12日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


<参考>
※ナジャフで大規模掃討 サドル師側は徹底抗戦(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040813-00000001-kyodo-int
※ナジャフでシーア派民兵に大規模攻勢=クート空爆で75人死亡−イラク(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040812-00000210-jij-int
※イラク副大統領、多国籍軍のナジャフからの撤退要請(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040811-00000919-reu-int
※米にイラク中部指揮権移管 ポーランド軍 精鋭部隊の出動不可避に(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040810-00000030-san-int
※イラク首相がナジャフ訪問 民兵に退去要求(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040808-00000116-kyodo-int
※武器購入、攻撃準備か サマワのサドル師民兵(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040812-00000158-kyodo-int
※オランダ軍宿営地付近に迫撃弾2発=サマワと近郊で銃撃戦も−陸自被害なし(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040811-00000022-jij-int

※Iraqis protest as US plans assault on Najaf (Aljazeera )Wednesday 11 August 2004
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/8FCE7CEC-2517-41B0-B07F-1FC8462608AB.htm


※ 反戦団体 「荒野の叫び(Voices in the Wilderness)」は、イラクの人々に対する経済制裁と軍事的戦闘行為を終わらせるための米英ジョイントキャンペーン。1996年3月以来、「制裁」に公然と違反して60回以上の現地視察旅行を企画。米英の多くの人々にイラクの現実を直接目撃してもらおうと努めてきた。非暴力に徹し、すべての国のあらゆる大量破壊兵器に反対する。米政府は法律違反として懲役刑や罰金で脅しをかけ、2002年11月には、イラク視察旅行について実際に5万ドルの罰金を課してきた。イラク戦争開戦が迫ると、「イラク・ピース・チーム」を結成し、イラク現地からのレポートを送り続けてきた。わたしたちも、その一部を紹介した(「イラク・ピース・チーム(IPT)」現地リポート)。
 なお、a voice in the wilderness は、聖書の「荒れ野で叫ぶ者の声」を出典とし、一般成句として「世に入れられない改革家などの叫び」の意。]