ファルージャ後のイラク情勢======
スンニ派・反米勢力の抹殺と排除、“民族分裂”“内戦”につながりかねない似非「議会選挙」強行に反対する


T.はじめに−−ファルージャ大虐殺と「選挙」強行。重大な岐路に立ったイラク情勢。政府・メディアの「イラク選挙美化論」を批判する。

(1)  米軍・傀儡政府による血生臭い虐殺と弾圧の下で、12月15日からイラクの選挙戦が始まった。投票日は来年1月30日、比例代表制で275議席の国民議会議員を選ぶとされている。そこで選出された国民議会が8月15日までに憲法草案を策定する。10月15日までにその憲法が信任投票にかけられ、制定された後、新憲法に基づいて正式政権を選出する議会選挙を12月15日までに行う。これが米占領軍が一方的に決めた政治日程だ。


選挙延期を求めるイラクの政党・組織代表者たち(IslamOnline.netより)
 しかし現在のイラクは正常な形で本来の民主選挙をやれる状況にはない。イラクの傀儡政府は国連に選挙支援要員増員を要求しているが、アナン事務総長は本格的増員を躊躇している。現在の傀儡政府に近い政党を含む17政党が、議会選延期を要望するくらいである。
 人口の約6割を占めるイスラム教シーア派だけが積極的で、統一会派「統一イラク同盟」を結成し早期実施を強く要求、優勢な選挙戦を展開をしている。しかし一時選挙名簿に名を連ねると言われた反米指導者サドル師派は結局参加しなかった。スンニ派は全体として選挙ボイコット、延期要求で足並みをそろえている。スンニ派の中でごく少数派の「イラク・イスラム党」が選挙人名簿を出したが、延期要求は取り下げていない。
※イラク、国連に選挙支援要員増員を要請(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041214-00000803-reu-int
※イラク国民議会選 スンニ派一転、名簿提出 テロ続発、1月実施は不透明(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041211-00000010-san-int
※イラクの17政党・組織、議会選延期求め要望書 治安悪化、最大6カ月(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041128-00000008-san-int
※<イラク>国民議会選の延期求める スンニ派などの40団体(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041205-00000071-mai-int

 ブッシュ政権と米占領軍、その傀儡政府は、このイラク議会選挙を力づくでごり押しし、選挙に邪魔になる者全てを軍事力と強権発動で押さえ付けにかかっている。一方では、9月、10月からスンニ派三角地帯一帯で掃討作戦を強化し、11月8日からはファルージャにおいて大虐殺と破壊を行った。他方ではクルド人地域を除くイラク全土に非常事態宣言を出し、反米・反占領闘争の政治弾圧に乗り出した。全ては「民主選挙」「自由選挙」の名において推し進められている。6千人もの国民を虐殺した軍事独裁政権下の選挙を「民主選挙」と呼んだ例など、歴史上かつて聞いたことがない。
※イラク非常事態宣言 60日間、クルド人地域除く全土(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041108-00000002-san-int


(2) 米の選挙強行はどう展開するのか。イラクの民衆と国家の将来に何をもたらすのか。イラク情勢は、国の運命を決する重大な岐路に差し掛かっている。様々な複数の展開があり得るが、大きくは2つの方向性を考えることができる。
 第一は、米政府・傀儡政府の選挙強行が矛盾と対立を激化させ、米と反米、占領と反占領、米帝国主義とイラク民族との矛盾、“民族矛盾”が前面に出る場合である。この場合は、米占領体制の崩壊が却って加速し、米軍は撤退を余儀なくされる方向に追い込まれるだろう。
 第二は、米政府・傀儡政府の強硬策がシーア派・スンニ派・クルド人の間の“民族分裂の危機”、“内戦の危機”を促進する場合である。スンニ派・反米勢力の切り捨てと抹殺による選挙強行がその可能性を急速に高めている。追い詰められたブッシュはイラクを支配し続けるためなら“民族分裂”という危険な賭けに訴えてでも選挙をやるつもりだ。

 一体どっちの方向に進むのか、予め予測することはできない。しかし、ファルージャ後の反米武装勢力の反撃は予想を超えて広がり強まっており、また選挙強行があまりにも強引なために、選挙の正当性への疑問と不満の爆発は避けられず、第一の方向に向かって進んでいるように見える。いずれにしても究極のところは、イラク民衆の反米・反占領感情がどこまで拡大するのか、民族解放闘争がどれくらい高揚するかにかかっている。選挙まで1ヶ月半、今後のイラク人民大衆の動向と意志が国の運命を決めるだろう。
※「Patrick Cockburn interview: ‘When you have an occupation, you have resistance’」Green Left Weekly http://www.greenleft.org.au/back/2004/610/610p16.htm この記事によれば、イラクの場合、歴史的に民族主義的傾向が根強いという。サドル師派の場合も、シーア派と民族主義者の2つの部分から構成されており、同派のポスターでサドル師家族の背景にイラク国旗が使われているのも意味があるという。しかもイラク人の4分の1が集中する「大バグダッド」はスンニ派地域だが、多数のシーア派、クルド人も居住しており、物理的に分断することの困難さを主張している。これまでの反米・反占領闘争が民族解放的な性格を示しているのも、筆者が言うような背景があることは間違いない。第一の方向への展開は十分ある。
※ヨルダン国王も、イラク選挙がシーア派とスンニ派の宗派間対立を招き、周辺諸国の不安定化を誘発しかねないことを懸念した。「アブドラ国王 宗派対立回避へ仲介 イラク選挙を懸念」(毎日新聞) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041213-00000005-maip-int
※「混迷深めるイラク、中東は再び火薬庫に」(酒井啓子、『エコノミスト』2004/12/14)。「米軍のファルージャ攻撃は、イラク社会分裂をもたらす」(酒井啓子、『世界』2005/1月号)。酒井氏はこの2つの論文で「イラクで微妙な共存と統一を維持してきたシーア派とスンナ派という2つの宗派が、ファッルージャ攻撃と制憲議会選挙を契機として、決定的に分裂しつつあるという悲劇的な展開の危険性が、日々強まっていると言える。」と主張している。


サドル師は、サドルシティの住民の多数の支持を得ている(IslamOnline.netより)

(3) 米が強行するデタラメな似非議会選挙は必ずや失敗する、第一の方向に進むだろう。私たちはそう考える。しかし、“民族分裂”、“内戦”の危機を過小評価してはならない。侵略者・占領者の側に立つこの日本で活動する私たちの責務は、イラクの人民大衆と連帯して、何としても第二の方向を阻止することである。
 ところが日本政府やマスコミは、選挙強行の危険性、“内戦”の危機を全く語ろうとはしない。それがどれほどイラク民衆と国の将来を破滅に陥れるかを論じず報道せず、こぞって選挙を支持し、この選挙がイラクに民主主義、民主政府を確立するためのものであるかのように美化・礼賛しているのである。「初めて自らの意思で自由に投票する」「現代イラク初の直接自由選挙」「民主国家成立の正否がかかる」等々。
 政府とマスコミは、これまでも「イラク大量破壊兵器」「フセインの脅威」で、ブッシュのデマゴギーとでっち上げを喧伝してきた。ファルージャの大虐殺を完全に無視した。これに懲りずに今度はイラクの将来を危機に陥れる選挙強行をバラ色に描いているのである。イラク民衆が血で血を洗う悲惨な“内戦”に追い詰められるかもしれないのだ。選挙結果の悲惨な将来を語らずしてそれを美化・礼賛するなど言語道断である。

 私たちは、大至急以下の課題に取り組んでいきたい。
−−選挙の強行に反対すること。米国の占領支配に屈服しないスンニ派、反米・反占領勢力を選挙と新政権から排除することに反対すること。イラク内部の選挙反対勢力と連帯して選挙を阻止すること、仮に強行されたとしても「正当性」がないことを主張し、イラク国内外の世論を結集し失敗に追い込むこと。
−−政府・マスコミによる「自由選挙」「民主選挙」なる“イラク選挙美化論”を批判すること。非常事態令と軍事独裁政権の弾圧を暴露すること。
−−引き続いて、ファルージャを初めイラク全土で繰り広げられている米軍・傀儡政府による民衆虐殺と破壊を糾弾し暴露すること。
−−何よりも米英軍、自衛隊を含む多国籍軍の撤退を勝ち取ること。



U.2大勢力−−スンニ派と反米・反占領勢力−−を排除した「選挙」に何の正当性もない。軍事占領=軍事独裁下で公正な選挙は不可能。

(1) 来るべき議会選挙は、ブッシュがアラウィと結託して新たな親米傀儡政権を樹立するための選挙、米国の石油支配と中東覇権を強化するための選挙である。米国民と国際世論をよりスマートにごまかし、国連や国際的な支援を抱き込む「大義名分」を得る選挙である。選挙の枠組み、選挙の日程、やり方から、立候補者、選挙資金、集票活動、投票行動、開票、結果発表まで、選挙過程の全てが、そして当選者と議会勢力図までの全てが米国主導で決められる。現にイラク・イスラム聖職者協会は、選挙ボイコットの理由に「選挙規約に『投票する者はアメリカの決めたことを守らなければならない』と書かれていることだ」と非難している。新たな親米政権のでっち上げ、まさに米軍支配下の究極の「不正選挙」だ。
 来るべき選挙は比例代表制である。勝利すると言われるシーア派の場合、投票者の多くはシーア派の統一会派「統一イラク同盟」に票を投じる。予め「談合」「取引」によって名簿作りの段階でシスタニ派、ダワ党だけではなく、人気のない親米派亡命者や傀儡政権を牛耳ってきた米の手先も当選することが可能になる。つまり「統一イラク同盟」の名簿が、実は米・親米亡命派・シーア派「合作」による新政権の事実上の“閣僚名簿”なのである。そしてここに米政府が選挙強行の条件が担保されたと判断した“秘密”があるのである。まさに茶番劇だ。
※「“誤報”だらけのイラク報道」(『SPA』2004/12/7号)
※「物議を醸すグループがイラク選挙情勢の裏で暗躍」(“Controversial U.S. Groups Operate Behind Scenes on Iraq Vote”The NewStandard.)http://newstandardnews.net/content/index.cfm/items/1311 この記事によれば、オルブライト前国務長官が率いる「全米国際問題民主研究所」(NDI)と、共和党のマッケインが率いる「国際共和党研究所」(IRI)の2つのグループが、イラク選挙の選挙プロセスに関与している。特にIRIはシーア派のダワ党、イラク・イスラム革命最高評議会の指南役になっている。この2グループは、全世界で親米傀儡政権作りの選挙介入のテコになっている全米民主主義基金(NED)の有力メンバーであり、NEDはこの8月にはベネズエラの国民投票に介入し反チャベス・反革命野党に肩入れしたが失敗に終わった。11月にはウクライナ選挙にも介入している。


(2) 今回の選挙はイラクの全人民が参加する選挙ではない。「公正な」ものでも、「イラク人民の代表を選ぶ」選挙でもない。米国の支配と占領に反対する2つの大きな勢力が排除されているのだ。まず第一に、排除される最大の勢力はスンニ派である。スンニ派三角地帯の民衆は武装抵抗に立ち上がっているため、大虐殺の対象、大規模な掃討作戦と大量拘束・逮捕の対象にされている。スンニ派だけではない。第二に、米英軍の占領に反対する反米・反占領の民族解放勢力、民主的進歩的政治勢力、労働組合運動も政治的弾圧、不当逮捕・拘束、虐殺・拷問の対象になっている。
 しかし、スンニ派や米軍に逆らう者全てが排除され弾圧される下で選挙をやれば、シーア派・クルド人が多数派を握るのは目に見えている。人口の25%をしめるスンニ派、さらに反米・反占領勢力全体を切り捨てることのどこが「全国民の選挙」「民主選挙」なのか。米とそれに追従する裏切り者による形だけの“似非民主選挙”、傀儡政権作りの“茶番劇”でしかない。たとえ強行したとしても何の正当性もなく、不当選挙の声が巻き起こるだろう。
※イラク聖職者の摘発強化 「弾圧」と反発拡大も(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041119-00000146-kyodo-int


(3) この選挙が不当なものであることはファルージャ住民の大量虐殺一つとっても明らかである。ファルージャ攻撃こそ米軍と傀儡政権が「全住民の参加する選挙」を放棄し、スンニ派と反米・反占領勢力を選挙から除外する政治的意志決定を行った証左である。ファルージャの住民6,000人が殺されたと言われている。「民主選挙のため」がその理由である。この前代未聞の大虐殺は、その住民が選挙に邪魔になるという理由で皆殺しにされたのだ。この一点だけで「選挙」の本質は明らかだ。
 ブッシュは12月7日、カリフォルニアの米軍基地で演説し、ファルージャ制圧作戦について「我々は敵に大きな打撃を与えた」と「成果」を強調した。「テロリストたちはイラクでの自由な選挙を遅らせ、妨害するためにあらゆる手段を取るだろうが、彼らは失敗するだろう」と述べ、選挙強行を明言した。しかしブッシュが「大きな打撃を与えた敵」とは、ファルージャ市民そのものである。彼は「ファルージャ市民を皆殺しにした」と胸を張ったのだ。
※イラク民主化で対テロ勝利 ブッシュ米大統領(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041208-00000033-kyodo-int

 小泉政権も、ファルージャ侵攻の「成功」と「治安回復」を讃えた。NHKや大手企業メディアも日本のマスコミはこぞってファルージャの大虐殺に沈黙し、容認し、礼賛さえした。ブッシュと同じごまかし、つまりファルージャ市民を「武装勢力」「外国人テロリスト」「ザルカウィ」などと決め付け、歴史上前例のないようなジェノサイドを報道せず、ジャーナリズムの責務を放棄し、前代未聞のこの戦争犯罪をただ黙って見逃したのである。

 ファルージャ攻撃はアラウィ首相の合図で始まった。自分たちの都合のいい権力を確立するためには、自国民を虐殺する命令を出して平気、このような人物のどこに公平な選挙、民主的な選挙をする資格があるというのか。ファルージャの大虐殺を行った米軍のイラクからの全面的撤退、傀儡政府の退陣なしに、選挙の時期やあり方を含めて最初から最後まで全てをイラク人民が決定することができる環境なしに、真にイラク人民を代表する選挙などできるはずがない。


(4) 政府もメディアも決して口にしないが、現在のイラクはかつて中南米を席巻した軍事政権と同様の血生臭い独裁政権である。しかも虐殺と弾圧の中心は現地の軍部ではなく米軍である。かつてのチリのピノチェット独裁政権を誰が民主政権、民主政治と呼んだであろうか。政府とメディアの情報操作は私たちを倒錯した世界に迷い込ませている。すでに述べたように、クルド地区を除くイラク全土はファルージャ攻撃以後、非常事態宣言が発令され、ブッシュとアラウィを批判する自由がない。集会・結社の自由、言論・表現の自由、民主主義と自由がないどころか、米軍・イラク軍に抵抗するものは逮捕・拘束の危険、命の危険に晒されている。
 更には報道の自由、イラク国民の知る権利が奪われている。数々の米軍の犯罪行為をあるがままに報道してきたアルジャジーラは、ファルージャ攻撃の前に追放された。現在のアラウィ政権や米軍を批判するメディアやジャーナリストは閉鎖の危機、命の危険にさらされている。メディア規制、言論統制の下で、イラク民衆は一体どのようにして選びたい候補者の政策や主張を聞くことが出来るのか。基本的人権と一般民主主義的な保障が全く欠如している中で強行される選挙は、傀儡と軍事独裁の正当化でしかない。



V.差し迫る“内戦”−−シーア派・クルド人新政権の軍事弾圧機構構築をめぐるイラク“民族分裂”の危機。

(1) 選挙によって樹立される新政府は、シーア派、クルド人と米国が国家権力を「分有」する形になるだろう。そうなれば、今度はスンニ派の武装勢力、レジスタンス運動が、裏切り者のシーア派権力、その手先となるイラク軍、イラク警察を襲撃することは不可避である。スンニ派からすれば、シーア派とクルドが米軍の助けを借りて新しい軍事弾圧機構を固めてしまえば、弾圧されるのは自分たちスンニ派だからである。だから新政権の軍事弾圧機構が確立する前に、イラク軍・イラク警察を徹底的に襲撃し殺害することがスンニ派武装勢力の当面最大の目標になる。それがイラク人民にとって最悪の災厄、“内戦”につながっていく。
※議会選めぐり亀裂表面化 シーア派と非シーア派(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041127-00000099-kyodo-int


(2) いや、すでに今回のファルージャ以降、すでに“内戦”の初期段階に突入したとの指摘すら出ている。ニューヨークタイムズは12月初め、「イラクはまだレバノンではない。だが少なくとも民族的・宗派的な戦争の初期の段階の兆候が現れている」と報道した。シーア派のアラウィ首相がファルージャ攻撃を容認した上に、クルド人とともにシーア派が多いイラク軍がファルージャ市民の虐殺に加わったこと、シーア派の保健相がファルージャへの救援運動を拒否したこと、さらに最近ではスンニ派への「報復」を目的とするシーア派独自の民兵組織さえ作り始めたこと等々、様々な兆候が現れている。
 スンニ派のレジスタンスが攻撃目標を米軍だけではなく、次第にクルド人やシーア派の多いイラク警察、イラク軍に拡大し始めていることも、宗派対立の憎悪の連鎖を生み出している。選挙でのシーア派勝利を待たずに、すでに選挙前に“内戦”の兆候がますます現実のものになっているのである。
※「イラクの大混乱は内戦の様相を呈し始めている」(Mayhem in Iraq Is Starting to Look Like a Civil War ニューヨークタイムズ2004/12/05 http://www.nytimes.com/2004/12/05/weekinreview/05wong.html


(3) “内戦”の危機が前に出れば出るほど、これまでの対立の構図−−イラク民衆と米占領軍・傀儡との対決−−は不鮮明になり複雑化する。イラク民族の分裂、宗派戦争の様相が前に出てくる。反米か親米かの対立に、シーア派・クルド人・スンニ派の宗派対立、民族対立が絡んでくる。
 幸いにもまだ最悪の事態には至っていない。しかし米軍の占領支配が長引けば長引くほど、“内戦”の危機は最悪の形態を取るだろう。イラクには国中に大量の武器がありそれぞれ住民が武装している国である。その中に全民族、全勢力の統一と協力ではなく、一部勢力、一部宗派の独裁を持ち込めばどうなるか。それぞれが武器を取って血で血を洗う激烈な内戦と無政府状態が生み出されることは避けがたい。最悪の場合、シーア派とスンニ派、どちらかの勢力が相手を徹底的に弾圧し、大量の虐殺を行ってでも圧倒的な権力を確立するか、それぞれが戦いの中で疲れ果てて自滅するか、国家としての結束を失ってバラバラに分裂するか、そのいずれかしか道はない。


(4) ブッシュがどこまで“内戦”を見通しているのかは分からない。しかしブッシュが今やろうとしている選挙強行は、多少の“内戦”はやむなしという方針である。「15万人体制」をいつまでも維持するのは不可能だが、世界最大の石油埋蔵量を有する中東地域のど真ん中イラクに数万人程度の兵力を駐留させることは必要不可欠だ。石油支配と中東覇権のためにはイラクに米軍事力を確保しなければならない。「トランスフォーメーション」の「不安定の孤」とは“石油防衛軍”のことだ。「不安定の孤」最大の基地をイラクに置きたがっていることは間違いない。親米政権と米軍基地と石油資源を確保できれば、イラクがどうなろうと構わない。否、むしろ対米依存を高めるような適度の“内戦”は歓迎すべき−−これがブッシュの本音ではないだろうか。
「対テロ戦争」、米軍再編(トランスフォーメーション)の本質は“石油の軍事的支配”(署名事務局)

 もちろんこうしたブッシュの思惑がそのまま進むとは考えられない。仮に選挙を強行できたとしても、今度は選挙結果と不正をめぐって国内の混乱は続くはずだ。何よりもスンニ派が黙っていまい。また、不当なやり方で生まれた新政権は、米占領軍の位置付け、米国との関係をめぐって内部で矛盾と対立が生じるだろう。仮に米がシスタニ派トップと「取引」「談合」を進めたとしても、米の孤立とシーア派指導部の権威失墜となるだろう。あるいは結局は米とシーア派との対立となって事態は進展していくだろう。いずれにしても一旦解き放たれた反米・反占領の民族解放のエネルギー、反米ナショナリズムの高揚を完全に封じ込めることなどできない。



W.イラク占領維持に向けた最後の選択肢:追い詰められた「消去法」としてのシーア派との「野合」。

(1) なぜブッシュは選挙を焦るのか。言うまでもなくスンニ派を切り捨てての選挙強行は多数派のシーア派に新政権の実権を一部握らせることになる。シーア派の相当部分はイランと通じている。イラクにイスラム国家を作ることにもつながる。なぜそこまでして米はシーア派と「野合」しなければならないのか。−−それは余儀なくされた選択、万策尽きた後の「消去法」に過ぎない。米政府の前には、もはやベストの選択肢は残されていないのだ。

 米政府の置かれている状況を知るには、もう一度今年の春〜夏にかけてのイラク情勢を振り返らねばならない。
−−まず米英の国際的孤立である。「大量破壊兵器」がでっち上げであることが明確になり、「戦争の大義」を失ったブッシュの多国籍軍は、離脱国が増え瓦解の道を辿り始めた。再三の米の働きかけにもかかわらず米英以外の国連安保理各国は、イラクへの「復興支援」を事実上拒否し続けている。
−−次にイラク国内の軍事情勢である。米占領軍は、今年4月のファルージャ蜂起、及び同時多発的なナジャフ蜂起の鎮圧に失敗。今年8月のナジャフでの蜂起の鎮圧にも失敗した。一方、スンニ派三角地帯では一種の「解放区」=「自治政府」が創設され、その範囲が急速に拡大していた。
−−米国内の情勢も無視できない。米大統領選が本格化する中で、民主党ケリー候補の追い上げを振り切り、米国内世論を説得するには、イラク戦争批判を封じ込め、イラク情勢が安定していること、「民主選挙」に向かって進展していることを見せつけなければならなかった。
−−治安を維持し、占領と傀儡政権を支えるためには「15万人体制」の大部隊を配備し続けるしかない。だが、それはすでに巨額の軍事費を浪費し、米国の国家財政を際限なく膨張させている。増え続ける軍事費は「双子の赤字」の爆発源として政治問題化し、歴史的な水準にまで拡大した経常収支赤字とドル危機再燃を引き起こし始めている。増え続ける戦費、財政負担を減らす必要にも迫られていた。

 行き詰まり破綻した占領体制を再建するにはどうすればいいか。ますます反米・反占領勢力の方に有利に展開していたイラクの政治軍事情勢の主導権を米軍の側に奪還するにはどうすればいいか。泥沼に入り込みつつあった軍事的財政的負担を減らすにはどうすればいいのか。−−ブッシュ政権に残された唯一の道、窮余の策、それは手に負えなくなった反米・反占領勢力、スンニ派を切り捨て、シーア派と「野合」「取引」することで、局面打開を図ることしかない。敵の敵は見方という訳だ。
 ブッシュは事ここに至っても楽観論にすがるしかない。もし選挙をやれば、シーア派に貸しができる、だから米軍の駐留を認めるだろう。「イラク化」が進む、だからイラク軍・イラク警察に治安維持を押し付けることができる。「大義名分」ができる、独仏も「復興支援」に加わらざるを得ないだろう、等々。どれもこれも根拠のない願望である。


(2) シーア派・クルド人は、ブッシュの選挙強硬方針を支持し選挙参加を決定した。三者三様の思惑と同床異夢なのだが、当面のところスンニ派武装抵抗を軍事力で粉砕し新政権から排除することで利害が一致した。
−−シーア派、特にシーア派の宗教勢力、イラク・イスラム革命最高評議会=シスタニ師派は今回の選挙を千載一遇のチャンスと考えている。米軍の助けを借りることで、従来イラクを長期に渡って支配してきたスンニ派の勢力を排除し、多数派として新政権の実権を握ろうと考えている。イスラム憲法、イスラム国家樹立が目標である。シスタニ師らは、イラク人民の利害、国家統一と民族団結の利益を裏切り、米軍の力を利用することでシーア派権力の樹立を追求している。
※「シーア派、日程通り選挙実施を要求」(毎日新聞)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041129-00000022-mai-int

−−クルド2大政党は動揺している。彼らはスンニ派政党と一緒に選挙の6ヶ月延期の要求に名前を並べたが、同時に統一名簿を作り選挙に参加する。それでも、選挙がシーア派の圧倒的な勝利に終わり、シーア派の独裁が始まり、少数派としてのクルドが孤立させられることを恐れている。
※「イラクの17政党・組織、議会選延期求め要望書 治安悪化、最大6カ月」(産経新聞)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041128-00000008-san-int



X.米軍事力の過剰展開=過小兵力の危機が限界に。「大義」なき大量虐殺の中で内部から病み腐り始めた米軍の新しい危機。

(1) イラク占領体制の瓦解を加速させている最大の要因は、軍事占領体制の根幹をなす米軍自体の危機である。
 まず最初に治安回復の展望が全く見えないことである。スンニ派三角地帯を鎮圧しようとすればするほど次から次へと火の手を拡大し、手が付けられなくなっている。文字通りの泥沼である。
−−米軍はファルージャで多数の住民、多数のレジスタンスを殺戮したにも関わらず、作戦開始後1ヶ月経った現在も粘り強い散発的な抵抗が市内で続き、完全制圧ができないでいる。「残党狩り」は収束の見込みが立たず、モグラたたきの様相を呈している。米軍はファルージャに釘付けになっており、長期にわたって包囲・封鎖を続けるしかない状況に追い込まれている。しかし、いつまでも包囲・封鎖を続けることはできない。いつかは住民を市内に帰還させざるを得ない。ファルージャをどうするか。この問題一つをとっても解決不可能な隘路にはまりこんでいる。

−−ファルージャ侵攻は米と傀儡政権への敵意と憎悪を増大させており、スンニ派三角地帯全域と首都バグダッドで武装闘争のかつてない激化を引き起こしている。ファルージャ攻撃は、全土の抵抗闘争を沈静化させたのではなく、米軍・傀儡政府の予想に反して、逆に激化・先鋭化をもたらしただけであった。その意味で完全な失敗だった。抵抗闘争の拡散・激化によって、米軍はすでにファルージャ作戦の最中から北部モスルに部隊を急遽派遣せざるを得なくなった。それでもモスルでの抵抗は収まっておらず、現在もなお連日米軍・イラク軍部隊・イラク警察などへの攻撃が続いている。
※イラクで米兵7人死亡 中西部アンバル州(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041213-00000086-kyodo-int

−−最近の特徴は首都バグダッドでの抵抗が先鋭化していることである。バグダッドの米軍と傀儡政府の中枢である「グリーンゾーン」が連日攻撃に晒されるばかりか、バグダッド空港への幹線道路さえ安全確保できず、使用できない状況にある。
※「空港道路の使用中止 在イラクの英国大使館」(共同通信)
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/operation.html?d=30kyodo2004113001000142&cat=38
※自爆テロで13人死亡 イラク、米軍管理区域(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041213-00000149-kyodo-int


バグダッド中心部で自爆テロ
イラクの首都バグダッド中心部で起きた自動車爆弾による自爆テロ現場から立ち上る煙。少なくとも7人が死亡、17人が負傷した。13日は、フセイン元大統領が米軍に拘束されてから1年に当たる(バグダッド)(AFP=時事

−−都市ゲリラ戦、市街戦による著しい兵力の消耗が限界に達しつつある。それは、選挙に向けて新たに1万2000人の増派を余儀なくされたことで明らかである。米軍は選挙に向けて「15万人体制」を敷くと発表した。これは昨年3〜4月にかけての開戦後の戦争最盛期の14万8千人さえ上回る兵力である。「戦時」以上の戦闘体制を、「占領時」にとらざるを得ないのだ。
 米軍はバグダッド進撃時には予想外のフセイン政権の自壊で、“幸運”にもバグダッド市街戦を回避することができた。ところが、1年後、1年半後、つまり今年4月のファルージャとナジャフ、8月のナジャフ、そして今回のファルージャと、占領支配下で思いも寄らぬ本格的全面的な市街戦、ゲリラ戦を、延期した形で戦わざるを得なくなっている。
※「2つのCIA報告はイラクの行方に警告を発す」(2 C.I.A. Reports Offer Warnings on Iraq's Path)ニューヨークタイムズ2004/12/07 http://www.nytimes.com/2004/12/07/international/middleeast/07intell.html?oref=login&pagewanted=print&position=
※イラク米軍15万人に増強 開戦以降最大に(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041202-00000027-san-int

−−このままでは最悪の治安状態の下での選挙となるだろう。選挙の実施のためには選挙登録、立候補者の演説、選挙のための集会、投票所の設置などが不可欠である。しかし、現状ではこれらの場所の「安全を確保する」ことは不可能である。場所の設置そのものが攻撃対象、攻撃の集中点になるからである。
 ブラヒミ国連事務総長特別顧問が「現在のような治安状況が続くようでは、期日通りに実施するのは不可能」「米国と(イラク暫定政府首相の)アラウィ氏は、敵とみなす50人を殺害することで新たな500人を抵抗運動に追いやっている」と批判したのは当然である。
 仮に選挙を強行しても反米武装闘争が収束する見込みはない。ファルージャのように、住民もろともの大虐殺を覚悟すれば、武装闘争の「拠点」は攻撃することができるかもしれない。しかし、住民の広い支持を受けたイラク全土に拡大する“人民の海”の中でのゲリラ活動、兵站と輸送部隊、移動中の部隊に対する待ち伏せ攻撃を完全に防ぐことはできない。また脆弱なイラク治安部隊・イラク警察だけでは対処できない。選挙に向けて治安の不安定は増し、武装闘争は激化するだろう。 
※治安「めちゃめちゃ」イラク選挙1月無理…ブラヒミ氏(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041205-00000113-yom-int
※「立候補者は背教者」 イラク選挙に妨害頻発(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041129-00000143-kyodo-int
※イスラム教スンニ派聖職者射殺、バグダッド北東で(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041123-00000126-reu-int


(2) 次に米軍の危機は、私たちがこれまで注目してきた「オーバーエクステンション」「伸び切り」問題と言われている過小兵力、過剰展開に集中的に出ている。米軍の軍隊としての機能・負担はすでに限界に達している。追加部隊は現に任務に就いている部隊の派遣期間を延長してようやく凌ぎ得るにすぎない。ローテーションの次の部隊はすでに2回目のイラク派遣に入り、現役部隊の兵力不足を補うために練度の低い予備役、州兵の比率が50%にも高まっている。米陸軍の兵力の3分の2が海外に派遣されており、3分の1がイラクに派遣されている。イラクの米軍部隊が本土の部隊と交代すれば、追加の部隊はどこにもいないという極めて逼迫した状況にある。米軍は兵力の限界まで伸び切っているのだ。

 米軍の過小兵力を多国籍同盟軍の補充で補完できればまだなんとかなるかもしれない。しかしその同盟軍崩壊に歯止めがかからなくなっている。米英の引き留め工作や恫喝にもかかわらず撤退が相次いでいる。12月10日現在、米軍を除いてイラクに軍隊を派遣している国はかつての35ヶ国から28ヶ国に減少した。今年は7ヶ国が軍隊を撤収させ、来年5月までに3ヶ国が撤収させる予定だ。ハンガリーでは議会で派遣延長案が否決され年内に撤退することが決まった。ポーランドは来年1月に兵員を3分の1削減する。ポルトガルも2月撤退を検討中である。自衛隊が治安を依存するオランダは国内世論の反対で3月に撤退する。米英軍の占領に協力する軍はますます減少し、新たに協力を申し出る国はどこにもない。多国籍軍の戦力縮小の面からも米軍の負担は極限にまで高まっている。
※相次ぐイラク派兵撤収と兵力削減(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2004121112868


(3) 米軍と米兵を“新しい危機”が襲い始めている。最近になってようやくまとまった姿となって表面化し始めた。
−−メディアが伝えるのは無機質な「死者数」だけである。12月7日時点で、米軍兵士の犠牲者は1288人に達した。ファルージャ攻撃のあった11月は1ヶ月だけで死者は136人となり過去最多を記録した。
−−しかしイラク戦争の特徴は「負傷者」の深刻な実態である。まず数自体が遂に2万1千人を超えた。ペンタゴンの公式発表は9765人(12月7日時点)である。戦時医療体制が確立されてきたため死者数は減少しているが負傷者、それもドイツに急送される手足切断を余儀なくされた重傷者が急増している。ここでも真実は覆い隠されている。ドイツに搬送された重傷者は米政府の公式発表やメディアからも報道規制され、負傷者、重傷者は闇から闇へと葬られているのである。
−−それだけではない。「大義」なき戦争、民間人、とりわけ女性や子どもを無差別に射撃し手当たり次第に虐殺したことによるPTSD・精神疾患が急増している。幹部クラスが自責の念にかられモラル崩壊と士気の低下に見舞われている。下級兵士の肉体的精神的加重負担は極限に達している。
−−こうした下で米兵士の間に不満が高まっている。脱走兵が5500名を超えて増え続けている。集団での命令拒否、軍務の期間が終わっても退役を許さない軍当局を相手取っての訴訟まで起こり始めている。「大義名分」の喪失と増大する任務の危険性は兵士本人だけではなく、兵士家族からの不満をも高めている。等々。

 米軍がこのままの状態で後1年持つとは考えられない。−−兵力の伸び切りと大規模な部隊配備をいつまでも続けることはできない。兵力の急速な消耗は極限に達している。かと言って追加の軍隊を送ってくれる国はない。しかし、大部隊の駐留なしにイラクで占領支配と傀儡政権を維持することはできない。この究極のジレンマから米軍は抜け出すことができなくなっているのである。ファルージャの大虐殺と選挙強行は、この歴史上かつてない“新しい米軍危機”の顕在化を一気に明るみに出した。イラク民衆が甚大な犠牲を生み出しながら今なお果敢に戦っている反米・反占領武装抵抗闘争が、世界最大最強の米軍を内部から掘り崩し追い詰めているのである。驚嘆すべき歴史的な事態が私たちの目の前で進行している。
※「イラク米軍15万人に増強 開戦以降最大に」(産経新聞) 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041202-00000027-san-int
※「米兵8人が駐留延長で提訴 ”約束違う”と」(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041207-00000034-mai-int



Z.選挙強行反対の声を上げよう。「選挙美化論」を批判しよう。“内戦”の危機が取り返しのつかない事態に至る前に米軍、自衛隊の撤退を勝ち取ろう。

(1) 最悪の事態“内戦”を避ける道はただ一つ、来年1月30日の米・傀儡政府による選挙強行を、イラク内外の世論に訴えて阻止することである。あとわずか一ヶ月半しかない。イラク民族の分裂回避、民族和解を実現するには、米占領軍、自衛隊を初め全ての外国軍を撤退させ、イラク人自身の手で全ての政治・宗教勢力の政治参加を保障する必要がある。イラク人民が真の主権を持つという国づくりの原点を保障せずして民主政治、民主政権などあり得ない。
 すでにイラクでは「イラク民族設立会議」(Iraqi National Foundation Congress)が結成され、同会議は10月末選挙ボイコットを呼び掛けた。この組織は、知識人、コミュニティ・リーダー、聖職者などからなり、著名なシーア派指導者からムスリム学者まで、幅広い人々が参加している。キリスト教徒、トルクメン系・クルド系イラク人、さらにはサダム以前のバアス主義者たちまで含んでいる。
 11月9日には「イスラム聖職者協会」(AMS)も選挙ボイコットを呼びかけた。同協会の事務局長は「聖職者グループは、誉れ高きイラクの人々に対し、ファルージャなどで、イラク人の遺体や流血の上に行われようとしている選挙をボイコットするよう呼び掛ける」と表明した。シーア派の反米急進派サドル師は12月10日、シーア派の統一会派に加わらなかったことを宣言し、「この選挙の狙いはイラク人をその宗派に分離することだ。占領に協力する政治家や世俗派に投票することは、神の教えに背くものだ」と厳しく非難した。 
※「Sadr attacks parliamentary politics」Financial Times.
http://news.ft.com/cms/c1a5b968-e1ed-11d7-81c6-0820abe49a01.html
※「益岡賢ページ」より「イラク人批判者たちが占領と選挙について声を挙げる」ダール・ジャマイル NewStandard原文 バグダード発2004年11月20日 http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/iraq041120.html
※「Dari Explains AMS Stand on Iraqi Polls」islam-online.net
http://www.islamonline.net/English/News/2004-12/10/article05.shtml


(2) 私たちもあらゆる手を尽くして、彼らイラク民衆の闘いに連帯し合流しなければならない。私たち日本の反戦運動の課題は、自衛隊撤退を早期に実現することによって米・多国籍軍に打撃を与え、米軍撤退の展望を切り開くことである。
−−“内戦”のための選挙、軍事独裁政権下での選挙、反対派を大量殺戮・大量逮捕・大量拘束した上での非民主的選挙に断固反対する。
−−米英軍、自衛隊など外国軍が全面撤退した上での、イラクの全政治勢力、全民族、全宗教勢力が参加する真に民主主義的な選挙を要求する。
−−国連が内戦をもたらす選挙に加担することに反対する。
−−マス・メディアの「イラク選挙美化論」に反対する。
−−日本政府の「選挙支援」に反対する。自衛隊のイラク派遣延長に反対し直ちに撤退させることを要求する。

2004年12月16日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局