JR東日本宛公開質問状

盗聴法に反対する市民連絡会は、下記の公開質問状を出しました。

English

JR東日本社長 深澤祐二 様

連絡先 盗聴法する市民連絡会

2021年11月5日

私たちは、JR 東日本の利用者です。貴社が顔認証カメラシステムを導入したことに驚いています。これはプライバシー、個人情報の侵害ではないかと考え、抗議と質問状をだしましたが、ご返事がありません。やむを得ず、公開質問状を出すことにしました。この公開質問状は、既にお送りしている抗議と質問状の趣旨に踏まえたものです。私たちは、JR 東日本の誠意ある回答を強く求めます。

11月20日までにご回答をお願いします。

1、JR 東日本は、なぜ人権にかかわる顔認証カメラシステムへの市民の危惧について耳を傾けようとしないのでしょうか。貴社の指示通り、メールで 抗議と質問状を送っていてもまともな答えがかえってきません。「セキュリティ上答えられない」というメールでのご返事には愕然としました。やむを得ず、10月12日、直接 JR 東日本本社にいって担当者に面会を申し入れても、受付で取り次いでいただけませんでした。貴社は、貴社に批判的な声には対応しないというのが、社是なのでしょうか。どうしたら、担当者にお会いし、顔認証カメラシステムに対する利用者の危惧をお伝えすることができるのでしょうか。聞く耳は持たぬという姿勢を取り続けるのですか。

2、監視カメラは、防犯のために設置しているとされています。顔画像データは個人情報です。個人情報保護法では、その利用にあたっては、「本人に通知か公表」することになっていますが、JR 東日本は1000万人をこえる利用者に監視カメラの設置がわかるように、どういう形で「通知か公表」したのでしょうか。また監視カメラが、防犯を目的とするのであれば、誰もがカメラがあることがわかるような位置、場所に設置されなくてはなりませんが、そうなっていますか。

3、顔認証カメラシステムは、警察や検察から提供された「出所者」、「指名手配者」の顔画像データを登録し、それと JR 東日本のすべての利用者の顔画像データを自動照合し、一致した人物を、駅の警備員か通報された警察官が対応するというものですが、これは、利用者のプライバシーを侵害するものではないですか。JR 東日本は、「出所者」だけは、監視カメラシステムの対象から外したということですが、その理由をお聞かせください。また「指名手配者」、のちに述べる「不審者」はいまだ対象ということですが、その理由もお聞かせください。

4、この顔認証カメラシステムの対象には、「不審者」もはいっていますが、誰が「不審者」かどうかの判断するのですか。「不審者」の基準はどういうものですかですか。また、「不審者」とされた人物はデータベースに組み込まれ、その後、顔認証システムで活用されることになりますが、これは実に重大な人権侵害ではないでしょうか。当該の人物はなぜ自分が「不審者」とされたか、知ることもできないばかりか、自分が「不審者」とされた行動について弁明することもできません。一生「不審者」としてデータベースに登録され続けることになります。この点について、どうお考えですか。

5、この顔認証システムは、データベースに登録されている対象者を乗客の中から見つけた場合、その後、JR 東日本の構内などに設置されているカメラで行動を追跡することを前提としているのではないですか。これは、顔認証カメラシステムで、顔画像データだけではなく、当該対象者の行動(=位置)も摘もうとするものではないですか。

6、世界の個人情報保護法制に大きな影響を与えている EU の GDPR(一般データ保護規則)では、顔データを含む生体情報を「特別な種類のデータ」として本人の同意のない取り扱いを禁止しています。またアメリカの一部の州では、顔認証カメラを規制する法律がつくられています。世界の流れは、顔画像データの利用を規制する方向です。JR東日本は、こうした動きを承知の上で、顔認証カメラシステムの導入をしたのですか。

7、JR 東日本は、今回のシステム導入について、個人情報保護委員会と相談し、了解を得たとしていますが、これは本当のことですか。報道によれば、個人情報保護委員会は、防犯カメラの場合、通知か公表は不要との解釈を示し、JR 東日本の顔認証カメラシステムの導入を認めたということですが、貴社の同システムは防犯カメラではなく、監視カメラではないのですか。防犯カメラであれば、JR 東日本のカメラは天井などではなくもっと利用者にわかりやすい、目立つ場所に設置すべきではないですか。

8、最後に、顔認証カメラシステムが仮に東日本のいうように防犯目的であったとしてもその導入にあたっては、1000万の利用者に「通知か公表」が必要とは考えなかったのでしょうか。その理由を教えてください。日本の個人情報保護法は EU の GDPR(一般データ保護規則)と違い、個人情報の活用にあたって、本人からの同意を取ることを不要としています。そのかわり個人情報の活用にあたっては利用目的の「本人への通知か公表」が必要とされています。防犯カメラといえども、本人への「通知か公表」が必要なのです。なぜ、そうは考えることはできなかったのですか。

以上です。

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