子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
S680700 学校災害 2004.5.2009.5. 2012.5.11更新
1968/7/1 山形県の日本大学山形高校の近野光正くん(高1)が、特別教育活動の一環である体操クラブの練習中に吊り輪の2回転宙返りに失敗。脛骨を骨折。
後遺症 脛骨を骨折。首から下が完全に麻痺する障がいを負う。
支 援 「1971/ 「近野光正君を守る会」結成。
裁 判 1970/12/ 両親が山形地裁に提訴。
光正くんは、障がいを負った体の写真を11枚撮影して、裁判資料として提出。
判 決 1977/3/30 山形地裁で一部認容の判決。

「原告光正と被告日大との法律関係は前記説明のところから明らかであるから、学校教育の場において危険をともなう場合被告日大はその在学契約に付随するものとして原告光正の生命、身体の安全を保持する義務を負うことも明白である。そこで、本件事故との関連において被告日大がどのような安全保持義務を懈怠したかを検討する。」とし、債務不履行責任を認めた。

「日大山形高校も体操部活動は国民体育大会、インター・ハイ等に代表選手を出場させることを一つの目標として行われて来たものであるが、日常の部活動については一般的な計画の樹立の見るべきものがなく、特に生徒の生命、身体の安全をそこなう虞(おそれ)のある体操種目つり輪等についての安全保護対策として精神的にも未熟で冒険心、英雄心等に駆られて自己の技術以上の技をしがちな生徒にこれを抑制させ、又本件事故当時のように国民体育大会に出場予定のレギュラー・グループの編成であったものであるから、下級生のみで編成された他のグループに対する安全配慮としては技術的にも精神的にも優れた上級生ないし他の適当な指導教師を配するか自らこれにあたる等の措置をとってこれを監督し、もって不測の事故の発生を未然に防止し生徒の生命、身体の安全を保持すべき義務があったのにかかわらず、被告日大の履行補助者である体操部指導担当教諭は前記認定のようにこれらを怠ったため、原告光正の過失と相俟って本件事故を惹起させたものといわなければならないから、被告日大は原告光正に対し安全保持義務の不履行によって生じた同人の損害を賠償する義務がある」とした。

一方、親権者と高等学校との契約関係については、「高等学校の生徒には意思能力を肯定できるのであるから、生徒と学校法人である高等学校との在学関係は、一般に該高等学校に入学する生徒自身と高等学校との間に、生徒は学校の指導に服して教育を受け、所定の授業料を納付する等の義務を負い、生徒の親権者らは生徒の当該入学契約について同意を与えているものであって、親権者らと学校法人との間には直接生徒に対する高等学校教育を受けさせることの委託関係は存しないものと解される。」として否定。

光正くんの過失7割を過失相殺。
参考資料 「学校災害ハンドブック」/喜多明人/1993.9.12草土文化、「学校事故の法律問題」その事例をめぐって/伊藤進/三省堂P60、P61、P72-73、判例時報873号P83、、「わが子に言葉なく ある学校事故の記録」/三浦孝啓著/1978.9.30/総合労働研究所



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