子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
980828 体罰事件 2004.8.23 2004.8.29更新
1998/8/28 兵庫県高砂市の市立竜山中学校バレーボール部の合宿で、顧問の男性教師A(41)がスパイクミスをしたことに腹を立てて、主将の小山勝平くん(中2・16)の顔面をバレーボールで殴った結果、脳内出血を起こし植物状態に。
経 緯 1998/8/28 勝平くんは同校バレー部の首相で、京都府福知山市内で行われた合宿に参加。

練習中、勝平くんがスパイクミスをしたことに腹を立てて、顧問のA教師が左手で勝平君の後頭部を押さえ、手でバレーボールを顔面に思い切り叩きつけた。

直後から、勝平くんは頭痛を訴えたが、A教師は「使えん奴は外へ出て行け!」と勝平くんを体育館の出口付近に追い出し、放置。

30分後、勝平くんは嘔吐して倒れた状態で発見された。

救急車で病院に運ばれたが、急性硬膜下血腫(しゅ)で、意識不明・四肢麻痺の植物状態になる。

加害教師 2002/3/28 A教師は依願退職。
2002/3/29 県教委は同教師を停職6カ月とする懲戒処分を発表。同校校長(54)も監督責任を問い戒告処分。
裁 判 母親が、息子が脳内出血を起こし意識不明になったのは、顧問の男性教諭がボールで殴ったためとして、高砂市に損害賠償などを求めて、提訴。
市側の主張 法廷では市は、「教諭の行為と症状の因果関係がはっきりしない。持病があったのでは」と主張。また、バレー部顧問教諭の行為についても、体罰ではなく「指導の行き過ぎ」と主張。
裁判での証言 Aは普段から、部員がミスをするとボールで顔や側頭部を強く殴る「顔面ボール」と呼ばれる体罰をしていた。
部員の証言では、練習試合の合間のスパイク特訓でミスをした勝平くんに、少なくとも数10回、「顔面ボール」をしていたという。
裁判結果 2001/9/23 神戸地裁姫路支部の島田清次郎裁判長のもとで、和解が成立。

裁判所は、相当に厳しい暴力があったこと、教諭の暴行と小山君の症状の間に因果関係を有に認めることが出来るとした。そのうえで、
(1)高砂市が損害賠償金1億6000万円を支払うこと。
(2)再発防止に努めること。
(3)男性教諭が原告らに謝罪すること。
などを盛り込んだ和解条項に双方が合意。
その後 市は、原告らが書き換えを要望していた県教委への事故報告書については、顧問教諭がバレーボールで殴った行為を「体罰」とするなど、裁判で明らかになった事実を追加するなどの体罰報告書を新たに作成するつもりはないという。

また、寝たきり状態の勝平くんの介護の問題などについては、市は特別な支援はしない方針。

再発防止策としては、中学校での部活動の指導指針をまとめた冊子を作成。各学校に配り、職員の研修を行っていく。
参考資料 2001/9/28神戸新聞夕、2002/1/23、1/24神戸新聞、2002/3/30神戸新聞、「フライデー」2002年3月8日号、ほか



ページの先頭にもどる | 子どもに関する事件 1 にもどる | 子どもに関する事件 2 にもどる

Copyright (C) 2000 S.TAKEDA All rights reserved.