子どもたちに関する事件【事例】



注 :学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ事件を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
920616 体罰事件 2005.6.5新規
1992/6/16 長崎県壱岐の県立壱岐高校で、校内で開かれたセミナーハウスの合宿中に女子生徒の部屋に他の男子生徒と一緒にいた男子生徒Aくん(高1・15)が、担任(37)にこぶしで顔を殴られ、副担任(49)に平手で約10回殴られた。同生徒はあごを3針縫い、歯を数本折るけがをした。
8日後、自宅風呂場で急性心不全を起こして死亡。
経 緯 6/15 校内で開かれたセミナーハウスの合宿にAくんは参加。
6/16 女子生徒の部屋に他の男子生徒と一緒にいるところを見つかり、担任(37)にこぶしで顔を殴られた。さらに、副担任(49)に平手で約10回殴られた。Aくんはあごを3針縫い、歯を数本折るけがをした。

6/17 翌日、病院で手当を受けて登校していた。
6/24 8日後、自宅風呂場で急性心不全を起こして死亡。
被害生徒 Aくんには、てんかんの持病があった。
事故報告書 発生当時、校長は県教委に提出するために作成した「傷病発生調査」で、けがの理由を「転んでけがをした」とAくん自身に虚偽の記載をさせた。
学校・ほかの対応 殴った事実は認めたが、死因との因果関係はないとする。
被害者の親の対応 1992/7/ 長崎地方法務局壱岐支局人権擁護委員会に、人権救済の申し立て。
1992/8/ 担任教師2人を傷害致死罪で告訴。
1993/1/ 両親は、「息子は体罰が原因で死亡した」として、県と教師2人に総額6600万円の損害賠償を求めて提訴
裁 判 1 長崎県警壱岐署は、生徒の脳の断層写真鑑定などから、「体罰と死因の因果関係はない」との意見書をつけた。教師2人を傷害致死の容疑で、書類送検。副担任だけが暴行罪で起訴された。
1993/6/15 刑事裁判で、副担任に、罰金15万円の判決。
裁 判 2 1995/10/17 長崎地裁で、一部認容。県に慰謝料など総額90万4300円の支払い命令。
判決要旨 江口寛志裁判長は、「(生徒は)規律違反を犯し、高校入学以来初めて教師から体罰を受けたことに基づく精神的重圧があった」と、体罰によるストレスが生徒のてんかん発作を誘発し、死因の心不全を招いた可能性にも言及したが、「全面的に否定することはできないものの(体罰とてんかん発作の)両者の間に因果関係があるとの確信も抱くことができない」として、死亡と体罰に因果関係を否定。直接の死因となった心不全は、てんかんによるものとした。
そのうえで、教師2人の暴行は、「学校教育法に禁じられている体罰に当たり、傷害との間に因果関係がある」とした。
参考資料 1993/1/8西日本・夕(月刊「子ども論1993年3月号/クレヨンハウス)、1995/10/17西日本新聞(月刊「子ども論1993年12月号/クレヨンハウス)



ページの先頭にもどる | 子どもに関する事件 1 にもどる | 子どもに関する事件 2 にもどる

Copyright (C) 2000 S.TAKEDA All rights reserved.