子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
911210 体罰事件 2002.12.23.新規
1991/12/10 大阪府箕面市の市立萱野東小学校で、5年生の担任の女性教師(35)が、クラス内で見つかったラブレターの字が似ているとして、女子児童(小5・11)を詰問。児童が「違うことは死んでも証明できる」と否定すると、「あんたに決まっている」と言って、頬と頭を十数回殴った。
経 緯 12/10 朝、下駄箱のなかから、ラブレターめいた手紙が見つかった。

昼過ぎ、担任の女性教師が、女子児童を職員室横の会議室に呼んで、「字が似ている」と詰問。女児が「違うことは死んでも証明できる」と否定すると、「あんたに決まっている」と言って、平手打ちで、頬を2回、拳で頭を3回殴った。
その後、同室に女子児童を1時間近く放置。

放課後、「犯人捜しをする」として、女子児童を数人、教室に残し、この女子児童の交換日記の筆跡を他の児童の前で検査。「あんたの字を丸文字にしたら似ている」として、午後4時半頃から約30分間に頬と頭を十数回殴った。

女子児童が、「家で心配するから連絡させてほしい」と教師に頼んだが聞き入れなかった。

午後5時15分頃、心配した母親が学校に迎えにきて、ようやく帰宅を許す。
教師は母親に説明らしい説明をはしなかった。

女子児童は頬に約1週間の打撲傷。
親の対応 児童の両親は学校に抗議するとともに、箕面署に被害届を提出。
参考資料 1991/12/11朝日新聞・大阪・夕刊(「月刊子ども論」1992年2月号)
TAKEDA私見 なぜ、ラブレターが見つかったからといって、犯人探しがなされなければならなかったのだろうか。いじめの手紙ならまだしも、ラブレターのどこがいけないというのだろう。日本で、いかに子どもたちの意見表明権が何の疑問もなく大人たちに奪われているかを象徴している。これは、指導というレベルのものではなく、女性教師の価値観の単なる押しつけでしかない。

しかも、窃盗事件でさえ、犯人捜しをする場合には、子どもたちの人権に充分配慮しなければならないというのに、あまりに安易に決めつけを行っている。筆跡鑑定などは専門家の仕事で、教師とはいえ、けっして断定できるものではない。

女子児童は、「違うことは死んでも証明できる」と否定している。その後、1時間もたった1人で会議室に放置している。この間に、思い詰めた児童が自殺してしまうことは充分に考えられる。そうなったら、どう責任をとるつもりだろう。

そういうことにすら考えがいかず、さらに犯人捜しに執着する。一旦自分が言い出したことに対して、違っていてはメンツが立たないと最後まで非を認めることなく突っ走ったとしか思えない。
子どもの交換日記を本人の許可なく勝手に見る、他の児童にも勝手に見せるという行為もりつばなプライバシーの侵害だ。しかも、「あんたの字を丸文字にしたら似ている」と言われれば、どれだけの人間が該当するだろう。児童には反論のしようもない。ほんとうのことを言っても殴られる、児童に逃げ場はない。

根拠もなく、長時間にわたって拘束され、殴られる。まして小学校の5年生の女の子だ。家でもおそらく、親からでさえ叩かれたことなどないだろう。否定しているにもかかわらず、いきなり暴力にさらされる。どれほど恐かったことか。しかも、親と連絡をとることさえ許されない。これは拷問であり、犯罪行為に等しい。

学校の外であればけっして許されない行為を、学校側は「数回殴ったことは本人も認めている。指導の中で冷静さを失っていきすぎた面があり、両親に謝罪した」などと話している。謝罪したのだからもういいだろうといわんばかりだ。あまりに軽く考えすぎている。

学校で、しかも教師にこのような目にあわされて、女子児童の心にどれほどの傷が残っただろう。学校は恐いところ、大人は恐いものになったに違いない。教師は敵であり、信頼できない。この先、何かあってもけっして、教師に相談はできないだろう。そしてさらに、そんな加害者側の大人をひたすらかばい立てしようとする大人社会。

この教師がこのまま許されて、その授業を受け続けなければならなかったとしたら、たとえ謝罪をされたからといって、女子児童にとっての毎日は拷問にも等しい。そのことを学校や教育委員会はどう考えるのだろう。



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