子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
900900 学校災害 2002.1.6. 2003.2.23 2003.7.21 2004.4.18 2005.5.1更新
1990/9/5 福岡県福岡市早良区の福島県立早良高校で、体育祭の練習中に「人間ピラミッド」の下敷きになり、山崎忍くん(高3・18)が全身まひの後遺症(身体障がい者1級の認定)を負った。
経 緯 9/ 体育コース1−3年の男子生徒36人が、体育の授業で8段の「人間ピラミッド」をつくる練習中、6段目にかかったところで崩れ、最下段にいた忍くんは他の生徒の下敷きになり首の骨を折った。車いすの生活を余儀なくされ、身体障がい者1級の認定を受ける。
裁 判 1991/6/12 山崎忍くんと両親が県を相手に、逸失利益ほか慰謝料、介護費用など総額約1億5000万円の損害賠償を求めて提訴。
原告の主張 原告側は、
1.危険を冒して8段の「人間ビラミッド」をつくる教育上の必要性はない。
2.過去1回も成功しておらず、学校側は危険性を十分認識していた。
3.生徒の体調や能力に配慮しなかった学校の不十分な指導が事故を招いた。
と主張。
判 決
(一審)
1993/5/11 福岡地裁判決で請求認容(実質勝訴)

牧弘裁判長は、「人間ピラミッドが大規模である時には下段の者に過重な負担がかかることになり、安全なスポーツであるとは断じがたい」「高さ5メートルに及ぶ8段のピラミッドを体育大会の種目として採用、実施するには指導教諭らが危険性に十分留意すべきだった」「ピラミッドに危険性があることを十分に認識せず、十分な練習も行わなかった」として、指導教師らの過失を認定。県側に約1億2930万円の賠償命令。
県側が控訴。
判 決
(二審)
1994/12/22 福岡高裁は、一審判決をほぼ支持し、県側に約1億1150万円の賠償命令。(日本体育学校センターからの見舞金約1750万円を減額)

鍋山健裁判長は、「本件事故は、8段のピラミッドが極めて成功が困難で、危険性のあることを十分に認識せず、これを安易に採用し、生徒らの危険回避の方法等を工夫することなく、また、ピラミッド組立てのための段階的な練習、指導をすることなく、一気に実践の組立てに入り、練習2日目で5段以上の高段を目指したことにより生じたものであり、学校長及び指導教諭らに注意義務違反がある」
として、再び学校側の注意義務違反による過失責任を認めた。
参考資料 1991/6/13西日本新聞(月刊「子ども論」1991年8月号/クレヨンハウス)、(判例時報1461)教育データランド/時事通信社、1993/5/11産経新聞・夕(月刊「子ども論」1993年7月号/クレヨンハウ)、1994/12/23西日本新聞(月刊「子ども論」1995年2月号/クレヨンハウス)



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