子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
860700 体罰事件 2001.10.28.新規
1986/7/ 千葉県習志野市の市立第七中学校で、男子学生(中2)が、給食の時間に数分遅れたことを理由に、担任の男性教師(34)が、正座をさせたうえ足で顔を蹴った。生徒は、前歯の神経1本がまひ、あごの骨がずれるなどで、全治5ヶ月の重傷を負った。
教師の処分 千葉地検は男性教師を傷害罪で略式起訴。7万円の罰金刑に処せられる。行政処分は口頭訓告のみ。
被害者の対応 母親は担任教師を刑事告訴。

市教育委員会に、学校の「体罰報告書」の開示を要求したが拒否される。

1989/6 情報公開制度(1988/10から実施)で公文書の閲覧が許されるようになったのを機会に、「事故報告書」を取り寄せる。(「ブライバシー情報」であることを理由に黒塗り部分あり。)

1990/1 男子生徒と母親が連名で、千葉県教育委員会あてに、体罰報告書の内容の訂正を求める「申立書」を提出(個人情報保護条例が未制定のため自己情報訂正に関わる手続き規程なし)。

県教育委員会は、無内容に等しい一片のメモを送るだけの対応で終わり、訂正を受け入れなかった。
市教育委員会の対応 市教育委員会委員長は、報告書をまとめた校長が1988/8に亡くなったことから、「事故から4年近くたち、事実上無理と判断した」と回答。
裁 判 1989/12 被害生徒は、習志野市と男性教師を相手どり、慰謝料など380万円の損害賠償を請求して提訴。
「誤った報告書で行政処分を決めたなら、その処分も誤りではないか」と主張。
裁 判 刑事裁判記録が証拠採用され、事件当時を証言した教師や男子生徒の供述調書により、報告書と証言の食い違いが明らかにされた。

事故報告書 略式起訴記録
教 師
略式起訴記録と証言
生 徒
体罰の内容 右足で顔面を1発けった 右足を振り上げてけった。
口のあたりに当たったと思う。続いて左足を半回転させ靴底の先で顔をこするようにけった。
2発けった。
けがの程度 前歯が少しずれた程度で口唇は変色もはれもない 口のあたりから、うっすらと血が出ていたのを見た。 前歯が2本奥へ引っ込んだ。当日、はれがひどく、柔らかいものを食べても血が出る状態だった。
(最終的な医師の診断)
下口唇裂傷、歯牙不完全脱臼等で加療1カ月。
事件発覚直後の処置 母親から抗議があり、謝罪して病院に行ってくれるよう頼む。 母親から抗議があり、「どうもすみませんでした」とおわびして簡単な事情を説明、「ともかく冷やしておいて下さい」と話した。
担任教師の日常的な態度 学級担任として、生活指導に大変熱心で、生徒の面倒をよくみる。 生徒をこづいたりしたことが数回ある。以前に平手で生徒をたたいた時、鼓膜が破れたことがある。生徒になんとか分かってもらおうと手を出した。 遅刻した生徒を廊下に正座させたり、頭をゴツンと殴ることがよくあった。
処 分 「事故報告書」を元に口頭訓告。 傷害罪で7万円の罰金刑。

参考資料 1990/5/1朝日新聞・夕(月刊「子ども論」1990年8月号/クレヨンハウス)、中学生が使った情報公開制度2 訂正要求がより広がることを。/野坂実/月刊「子ども論」1990年8月号/クレヨンハウス



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