子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
650900 体罰事件 2002.12.23.新規
1965/9/ 群馬県高崎市立の小学校で、体育の授業中に教師が姿勢が悪いとして、男子児童(小4)の頭頂部を竹製の教鞭で強く1回殴った。この体罰をきっかけに先天性とみられる動静脈瘤奇形が破裂してくも膜下出血を起こす。
経 緯 1965/9 体育の授業中に男子児童たちが騒ぎ始めた。静かにしろと注意した教師は、床に腰を下ろしていたBくん(小4)の姿勢が悪いとして、持っていた竹製の教鞭(長さ55センチ、太さ約1センチ)で頭頂部を強く1回殴った。
Bくんの頭頂部には、直径2、3センチ、高さ5ミリくらいのこぶができた。

母親がBくんのこぶに塗り薬を塗ったところ、翌日の夜にはこぶは消えてなくなった。

翌々日の授業中、Bくんは気分が悪くなり、保健室でしばらく休養する。
Bくんが頭痛を訴えるので検温したところ、体温が37度あり、両眼が充血していた。
養護教諭は薬を飲ませ、帰宅させる。
帰宅後、Bくんは気分がよくなったと言って、ソロバン塾に出かけたが、満員だと言って、すぐに自宅に戻ってきた。トイレに立った直後、激しい頭痛を訴える。
15分後には嘔吐を5回繰り返し、小児科医の往診を求めた。

翌日、再び激しい頭痛を繰り返し、意識を失ったりした。
脳膜の刺激症状があると診断した小児科医が、Bくんの背中から脊髄液を採取したところ、鮮血が認められ、脳内で出血している疑いがあると、大学病院に入院。

Bくんはくも膜下出血と診断され、2カ月入院。症状が軽くなったので退院する。

その後も頭痛などの症状が現れ、Bくんは大学病院などに約20回ほど通院。
体育の授業を見学する以外は普通に通学。

小学校6年生の夏休み、少年野球の応援中に、再びくも膜下出血があり、意識不明になり病院に運ばれる。

精密検査の結果、ものが離れてふたつに見える複視症状などがあり、右脳の大脳腫動脈領域に、先天性と見られるウズラ卵大の動静脈瘤が発見される。
教師のその後 責任を感じた教師が自殺。
裁 判 1968/9 Bくんの家族は、教師の体罰によりくも膜下出血になったことを理由として、教師を雇った高崎市に監督が責任あると主張して、約500万円の損害賠償を求めて民事裁判を提訴。
被告側の主張 高崎市は、Bくんには先天的な特異体質があった結果、くも膜下出血が発生したもので、教師の体罰とは関係がないとした。
判 決 1972/9 原告勝訴。市にBくんへ108万円の支払いを命ずる判決。

教師の体罰が原因となって、脳動静脈奇形が破裂してくも膜下出血になったもので、頭への殴打がなければ、第1回目の出血はなかったと判断。両者の間に因果関係を認めた。
参考資料 「いじめなんかはねかえせ!ルネスいじめかけこみ館からの報告」/谷澤忠彦著/1996.8.1ティーツー出版



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