子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
991015 いじめ自殺 2001.1.9. 2001.12.22 2007.9.24更新
1999/10/15 大阪府堺市の堺市立商業高校の女子生徒(高1・16)が、午前8時25分頃、自宅近くマンションの10〜11階踊り場から飛び降り自殺。
遺書・他 現場と自宅に、「私をいじめた多くの方々へ 担任の先生へ おうらみします 末代までもたたってやる」などと書かれた遺書があった。
経 緯 10/14 自殺前日、女子生徒は教室で同級生らにカッターナイフを振りかざしたために、学校側が帰宅させていた。
同日夜、担任教師が家庭訪問し、両親に学校を当分休ませるよう勧めると同時に、「通信制高校を選ぶ道もある」などと話した。女子生徒は2階で会話を聞いていた。
直後の学校の対応 事件当初、同校校長は「彼女が悩んでいたことに気づかなかった点は力不足をおわびするしかないが、全校アンケートやクラス全員の聞き取り調査で、いじめはなかったと確信している」と話していた。

2000/5/10 保護者説明会において女子生徒の遺書や作文をそのまま読み上げた。
アンケート・ほか 全校生徒にアンケート調査をしたが、いじめは確認できなかった。
クラス全員に聞き取り調査を実施したが、いじめは確認できなかった。
事故報告書・ほか 両親が市に情報公開請求。
開示された事故報告書など6種類の文書でも、「いじめは確認できなかった」と書かれていた。
遺書の存在も、担任が相談を受けたことも記されていなかった。

2000/2/25 両親の指摘で、遺書の内容が報告書に書き加えられる。
調 査 学校側の調査で、体育のバレーボールの授業中に、同級生らが女子生徒をからかうようなチーム名をつけていたことが判明。
関係教員、同級生より事情聴取した結果、女子生徒の真面目さが、からかいの対象となったことがあったこと、担任にいじめを訴えていたことが判明。
担任の対応 自殺の2日前に、担任教師は女子生徒から、からかわれて悔しいという訴えを聞いていたが、深刻には受けとめなかった。
(担任への相談を目撃した生徒がいた)

事故直後、本人からの訴えを聞いていたことを否定していたが、後に調査結果が出てから、事実を認めた。
教育委員会ほかの対応 遺族の再三の訴えにも、教育委員会は事故報告書に遺書の存在や担任が相談を受けていたことが記されていないことを問題視しなかった。

2001/1/18 自殺から1年3カ月たってようやく、正式に事実を公表し、いじめを自殺の主因と認めて遺族に謝罪。

2006/ いじめ自殺が社会問題化し、再調査のなかでも「いじめによる自殺」と原因が修正される。
それまでは、原因「不明」とされていた。再調査の回答でも、市教委は担任教師の責任には触れなかった。
その後の
学校・ほかの対応
2001/1/16 学校、堺市教育委員会は、女子生徒に対するいじめの事実を認めるともに、「死を選んだことについて、学校にも責任の一端がある」ことを認め、両親に謝罪した。

2001/1/17 校長は、保護者に送付した文書の中で、「生前のA子さんは真面目で勉学意欲を持った優秀な生徒であったにもかかわらず、真面目さがからかいの対象になったことがあること、A子さんは生前担任教員に対し、からかわれて悔しい気持ちがあったことを相談していたにもかかわらず、それを深刻なものとは受け止められなかったこと、A子さんの悔しい思いが行動によって表現されたときに、学校側はA子さんの気持ちを充分に思いやることが出来ず、A子さんの行動に対する処分を第一に考えてしまった」として、「A子さんが、死を選んだことについて、学校にも責任の一端があることを認め、ご両親および亡くなられたA子さんに心からお詫びを申し上げます。」と謝罪した。
また、保護者会で、事前に遺族の同意なく、作文等を読み上げたことに対しても、配慮に欠けた行為であったと謝罪した。
学校関係者の処分 2001/3/21 堺市教育委員会は、信用失墜行為、職務専念義務違反により、校長及び担任教諭を懲戒戒告処分とした。
担任はその後、校長になる。
参考資料 2000/5/9毎日新聞、2001/1/18、2001/3/21JHC&CEBc Educational Web 、2007/5/3讀賣新聞 
 





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