子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
980320 いじめ自殺 2000.9.10. 2003.3.23 2005.6.25更新
1998/3/20 千葉県成田市の市立遠山中学校の鈴木善幸くん(中2・14)が、自宅敷地内の倉庫で首吊り自殺。
遺書・他 左胸ポケットから、両親あてと、野球部あての2通の遺書が見つかる。

両親あての遺書には、
「3月19日(木)  ○○せんぱいにおどされて8万円払った。そして、あと4万円がはらえない。ぼこぼこにされるなら死んだほうがましだ。かあちゃんやとうちゃんの金はぜんぶ○○せんぱいにはらった。これいじょうはらえない。しゅうきんの1万円はかあちゃんにかえす。○○せんぱいにむりやり紙にかかられた。ぼくはもう死ぬ。」と書かれていた。

野球部あての遺書には、
「みんないろいろありがとう」と書かれていた。
経 緯 1997/9/ 別の生徒からの訴えで、卒業生数人による恐喝事件が発覚。
主犯格の無職・少年A(17)が中心になり、善幸くんらを使って在校生から現金3万円を脅し取っていた
事件が発覚した際、善幸くんが「ちくった」として暴力を加えていた
その後、手口は更に巧妙化・陰湿化。

1998/3/5 卒業生のAと在校生のB(中2・14)は、賭トランプゲームで負けた善行くんの友人の男子生徒Cくん(中2・14)に、数万円を要求。Cくんが金を持っていなかったため、善幸くんを呼び出させ、Cくんにバタフライナイフを渡して、「これで鈴木くんから金を借りろ」と命令。善行くんの顔にナイフの刃をあてて脅したが応じなかったことから、2人はCくんを殴ったり、右手にタバコの火を押しつけたりするなど10日間のけがを負わせた。
Aは借用書を作成し、Cくんに署名された。

3/16 トラブゲームの負け分や売りつけた背広代金名目で、「10万円払え、払えなかったらボコボコにしてあばら骨を折ってやる」などと脅迫。さらに、「親から一気に取って全部返せ。金なんて死んじゃえば払わなくていいんだぞ」と執拗に脅した。
善幸くん宅に、偽名を使ったグループから、多い日には1日10回以上も電話があり、呼び出しを受けていた。
犯行態様
(警察の調査)
1998/3/21 警察は善幸くんの自殺後、在籍していたクラス生徒を中心に恐喝体験などを聞き取り調査した結果、卒業生の少年を中心としたグループが数万円単位の現金を恐喝していることが発覚。
被害生徒は10人前後。グループは被害生徒の自宅に電話をしていたために事件は表面化しなかった。
被害者 善行くんは、卒業生を含む数人のグループに所属していた。
親の認知と対応 両親の財布から現金が抜き取られていたが、善幸くんが「テレビゲームのカセットを買った」などと言っていたため恐喝には気づかなかった。
警察の対応 1998/3/25 在校生を使って恐喝行為をしていた卒業生の無職・少年A(17)を恐喝未遂と傷害、強要の容疑で逮捕。男子生徒B(中2・14)を任意で取り調べ。

1998/5/8 千葉家裁で飯島敬子裁判官は、「生活費や遊興費を得るために中学の後輩を脅すなど非行態様は悪質、執拗(しつよう)」「他者の気持ちを考える力を身につけさせることで、更正を図る必要がある」として、Aを中等少年院送致の保護処分に決定。
学校の対応・ほか 1997/9/ 数人の卒業生との間でトラブルがあったため、生徒の親を呼んで、「卒業生らとのつきあいをやめるよう」に指導。
学校側は少年に注意し、警察にも届けたことで、「解決したと思っていた」と発言。一方で、生徒たちからは、「学校に話しても何もしてくれない」と不信感が出ていた。
参考資料 1998/3/20読売新聞・夕、1998/3/25読売新聞・夕、1998/3/20朝日新聞・夕、1998/3/25朝日新聞・夕(月刊「子ども論」1998年6月号/クレヨンハウス)、1998/5/9新潟日報(月刊「子ども論」1998年8月号/クレヨンハウス1998/3/20、3/21毎日新聞、1998/5/9讀賣新聞(「いじめ問題ハンドブック」/高徳忍著/つげ書房新社)



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