子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
960212 いじめ報復
殺人
2003.6. 2005.6.25更新
1996/2/12 兵庫県小野市の県立吉川(よかわ)高校のTくん(高2・17)が、同級生の男子生徒A(高2・17)から殺害される。
経 緯
(Aの自供によるもの)
2/初め 高校の校舎の壁などにTくんを名指しして「先輩面するな」とスプレーで落書きがあった。

2/5 高校の自転車置き場の床面にTくんの名前を書いて「殺す」などとスプレーで落書きがあった。

Tくんのポケベルに「殺すぞ」という内容のメッセージを数回、入っていた。

数日前、Tくんは友人らに「(落書きを)書いたやつがだいたいわかった。決着をつける」などと話していた。

1996/2/12 午後10時半頃、AはTくんをポケットベルで、自宅から約400メートル離れたガソリンスタンド横の空き地に呼びだした。悪いうわさを友人らに言いふらすのをやめさせようとしたが口論となり、「うわさをもっと広めてやる」と言われて、用意していたナタやスコップ、草刈りガマでTくんの頭や顔、背中を10数カ所、切ったり、殴ったりして殺害した。

殺害後、Tくんのバイクを竹藪に隠し、凶器類を池や川に捨てた。

農業用用水路で、Tくんの遺体が発見される。  
加害者と被害者の関係 2人は小学校から同じ学校に通う幼なじみで、高校に入ってから特に親しくなった。
殺害の動機 1996/1/ 頃から仲違いし、Aは学校で一人でいることが多くなった。
Tくんが友人にAの悪口を吹聴したり、無視したりしたとして恨みに思っていたと自供。
加害者の処分 神戸地検姫路支部は、Aを殺人、窃盗、銃刀法違反容疑で神戸家裁姫路支部に送致した。
1996/4/ 神戸家裁姫路支部から、「刑事処分相当」として、神戸地検姫路支部に逆送され、起訴。
懲役5年以上10年以下を求刑。

1997/12/14 加島義正裁判長は、「動機は短絡的で自己中心的。犯行も残虐で悪質」として、懲役5年以上8年以下の判決。
争 点 公判でAは起訴事実をほぼ認めたが、弁護側は、「少年は当時、友人らに無視されて精神的な平衡を失っており、『うわさを広めてやる』と言われたことを引き金に、爆発的な興奮に陥り、心神喪失か心神耗弱状態になった」と主張。加島裁判長は、少年に責任能力を認めた。
参考資料 1996/2/26朝日新聞、3/1朝日新聞大阪版・夕刊(「いじめ問題ハンドブック」/高徳忍著/つげ書房新社)、1997/12/24讀賣新聞・大阪・夕刊(月刊「子ども論」1998年3月号/クレヨンハウス)



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