「G7広島サミットを問う市民のつどい」へのメッセージ

「G7広島サミットを問う市民のつどい」へのメッセージ

 ウクライナのサポリージャ原発付近では最近、再び爆撃の強化が懸念され、IAEAが事故の危険を警告しています。昨年8月に広島を訪れた国連のグテーレス事務総長は、ロシアのウクライナ侵攻以来、核兵器使用の脅威に加え、原発が軍事攻撃目標となって核惨事を起こすリスクにも警鐘を鳴らしました。ところが、核保有国は核兵器の「近代化」に多額を投じる核武装の強化を続けています。また、フランスと日本の政府はとりわけ、実現可能性がほとんどない新型原子炉の製造・開発を含む「原発回帰」政策を、市民に開かれた真に民主的で十分な公開討論や議会でのまともな討議も経ずに決定し、ごり押しで進めています。

 私たち市民は今、気候変動による地球と人類、生物多様性の危機に直面すると同時に、グローバル化したネオリベラル資本主義がもたらす貧富の差の拡大、環境破壊、金融・食糧・農業危機などの弊害を、日常の生活難をとおして実感しています。強国と一部の超富裕層、グローバル巨大企業の利益の追求を図り進めるG7諸国は、これら種々の危機や困難、戦争の危険を拡大させている元凶ですが、そのことを認め、人類・生物全体の共有財産を守って、より平等に享受できるような抜本的な政策の変革をする意思がG7の為政者たちにないことは、これまでの半世紀が示しています。

 G7サミットとはつまり、彼らが自由や民主主義、ジェンダー平等やマイノリティの人権、気候変動対策のためのエネルギー移行、核軍縮などに取り組んでいると見せかけるだけのプロパガンダ行事なのです。広島の人々はとりわけ、被爆地を心ない為政者たちの政治的・経済的思惑に使われて、怒りと屈辱を感じていることでしょう。この欺瞞・不正に対して抗議する市民の皆さんに、フランスの市民団体「よそものネット・フランス」(ヨーロッパと北アメリカ在住の日本人が中心となって立ち上げた脱原発・反核ネットワーク「よそものネット」の一員です)から、賛同と連帯のエールを送ります。みんなが人間らしく生きられて、生き物と地球を守れるもう一つの世界が可能で必要なことを、日本から力強く発信してください。

追伸:フランスのマクロン政権は去る3月、全労組と市民の8割以上が反対する年金改革法案を反民主主義的なやり方で強行採択しました。この半世紀で最大と言われる市民運動の声に耳を傾けず、反対する市民の集会やデモ、アクションを警察・治安部隊による度を超えた不当な武力行使で弾圧しています。その反民主主義的な権力の濫用について内外の人権機関が警告し、欧米諸国のメディアでもフランスの政体の強権性が問題にされているほどです。

 フランスの市民は、たとえ政府のやり方が合法的であろうとも、市民運動を無視するのは不当であるとして、抗議と抵抗(レジスタンス)を続けています。大統領、首相、大臣、与党議員が式典や視察、訪問などで赴く場所に集まり、鍋を叩いて「辞任!」「改革撤回!」と叫ぶため、大統領以下閣僚たちは、治安部隊の大げさな護衛なしにはどこへも行けなくなっています。日本では鍋叩きやブーイングから逃れられると油断しているでしょうから、日本政府とスクラムを組んで原発回帰を進めるマクロン大統領に向けて、鍋叩きアクションなど工夫してみてください。

    よそものネット・フランス(パリ)