原則5


5 ビジネス界が児童労働の効果的な廃止を促進するよう、事務総長は求めた。

なぜビジネス界は関心を持つべきか?
この原則は何を意味するか?
ビジネス界に何ができるか?
ビジネス界はどのような基準を参照することができるか?

なぜビジネス界は関心を持つべきか?
児童労働は、未熟練で無資格の労働者を大量に生み、労働力としての技術を将来向上させることを妨げる。初等教育を終えていない子どもは、識字能力を向上させることができない恐れがあり、仕事を得るのに必要とされる技術を身につけることができず、現代経済の発展に貢献することはできない。

児童労働をすることで企業の評判は傷つくことになる。とりわけ、国境を越える取引(transnational supply and service chains)においては、子どもの経済的搾取は、たとえ提携先によるものとしても、企業のブランド・イメージを傷つけ、利潤と株価に大きな悪影響を与える。

この原則は何を意味するか?
・児童労働は、子どもから、その個性と尊厳を奪うことになる。とりわけ問題なのは、子どもが低賃金または無報酬で長時間働くことである。彼(女)らはしばしば健康上、身体上、精神上の成長に害を及ぼす状況下にあり、教育の機会を奪われ、家族からも引き離されることもあろう。
・子どもを経済的搾取から保護することは、教育の機会を妨げ、健康や福祉(well-being)を害するような労働から、子どもを保護することにもなる。
・雇用または労働の最低許容年齢は、原則として、義務教育が終了する年齢以下であってはならず、かつ、いかなる場合であっても15歳以下であってはならない。また、危険労働を含む悪条件のもとでの児童労働を18歳以下の子どもに行わせることを禁ずる。
・危険な種類の労働または雇用、奴隷、賦役(debt bondage)、児童買春、武力紛争のための強制雇用、不正行為への子どもの利用といった最も悪劣な形態の児童労働を、18歳以下のあらゆる人に関して、撤廃することを優先事項とする。

ビジネス界に何ができるか?
 児童労働の原因と結果を理解することは児童労働に対抗するための第一歩である。それは子どもの必要(ニーズ)のみならずその家族の必要をも考慮するような一連の包括的な介入を要する。職場と地域社会が連携して活動することにより、労働から解き放たれた子どもは支援措置および施設を利用できるようになる。

 職場において
・国内の労働法および規則が定める最低年齢規定を遵守し、かつ国内法では不十分な場合には国際基準を考慮すること。
・採用手続における年齢確認のための十分な仕組みを設けること。
・法定労働年齢未満の子どもが職場にいた場合、子どもとその家族に対する十分なサービスと生活代替策を提供するとともに、職場から子ども引き離す措置をとること。そうした方策には、子どもを学校に登録することや、その親その他の法定労働年齢以上の兄姉などに対して収入獲得のための代替策を提供することなどが挙げられる。
・児童労働と闘うために、下請業者、納入業者その他のビジネス界に影響力を行使すること。
・児童労働を発見し、審査するメカニズムを開発し、実施すること。
・成人労働者が、その子どもに仕事をさせなくてもいいように、安定した雇用と相当な賃金および労働条件とを得られるよう確保すること。

 地域社会の活動において
・各産業組織や中小企業によるガイドラインの作成を支援すること。
・労働に従事する子どもに対しては教育、職業訓練およびカウンセリング計画を、そうした子どもを持つ親に対しては技能訓練計画を、それぞれ策定し、支援すること。
・危険な強制労働から解き放たれた子どものため健康栄養補給計画に着手するよう奨励し、支援し、かつ、子どもの職業病および栄養失調をなくすよう医療ケアを提供すること。
・児童労働についての問題意識を喚起し、それに抗する活動をとるようビジネス界や社会一般に働きかけること。

ビジネス界はどのような基準を参照することができるか?
 グローバル・コンパクトの労働原則は、1998年に国際労働機関(ILO)が採択した「労働の基本原則及び権利に関するILO宣言」
(ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work)に依拠している。ILOは、政府およびビジネス界(雇用者組織と労働組合)から構成されている唯一の国連機関である。それゆえ、このILO宣言は、グローバル・コンパクトの労働原則が世界中で促進されかつ保護される必要があるという労働関係者間の普遍的な合意を表している。すべての国は、その関連する条約を批准したか否かにかかわらず、このグローバル・コンパクトの労働原則を「誠実に尊重し、促進しかつ実現する」義務をおう。ILOは、グローバル・コンパクトを通して、ビジネス社会を支援するため努力する。

児童労働に関するツールおよび資源
児童労働を禁止する国内法

人権フォーラム21事務局(試訳)


 
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