国会は、国連パリ原則にもとづく、政府から独立した、実効性のある人権委員会の設置にむけ本格論議を!

◎ 10月18日に始まった臨時国会では、さる11月7日から、まず参議院法務委員会で人権擁護法案の実質審議が始まりました。私たちは、この審議に注目し、積極的な意見表明を行う必要があると考えて、さる10月18日に、「人権擁護法案の抜本修正に関する提言」を公表してきました。
 人権侵害を禁止し、人権侵害を受けた者を救済する制度を確立するため、人権委員会は是非とも設置する必要があります。しかし、法案が予定する人権委員会は、(1)法務省に置かれ、(2)地方人権委員会が予定されておらず、(3)公権力による人権侵害に関する救済手続が不十分で、(4)メディアによる人権侵害について委員会に強い権限を与えるなど、多くの問題を抱えています。

◎ 日本における望ましい人権委員会制度を考えるに当たり、韓国で今年初めから活動開始した国家人権委員会の存在は大きな示唆を与えてくれます。人権フォーラム21では、さる5月に韓国にNMP研究会メンバーを派遣し、韓国国家人権委員会や人権NGOを訪問し、実情調査と意見交換を行ってきました。そして、さる10月29日から31日にかけ、韓国国家人権委員会のチョン・カンジャ委員を日本に招聘し、「意見交換会」や特別報告会を東京で開催し、韓国の経験に学ぶ機会を実現してきたところです。
 金大中(キムデジュン)大統領の誕生とともに、韓国では男女差別禁止及び救済に関する法律(1999年12月)や国家人権委員会法(200年12月)などが制定されるなど、人権保障の新しい体制作りや民主化措置が次々と推進されています。韓国における国家人権委員会の設置をめぐる人権NGOを中心とする民衆の運動は、2年間に及ぶ粘り強い取り組みの中から、独立性の不十分な第1次政府案を廃案に追いやり、憲法裁判所と並ぶ独立性を担保された現在の国家人権委員会の設立を勝ち取りました。これらの韓国での市民運動の経験と韓国国家人権委員会の現状と問題点を学ぶことは、日本において政府から真に独立した人権委員会づくりをめざす私たちにとって、緊急の課題であるといえます。

◎ 国会が、韓国をはじめとする世界各国の先進例に学び、国連パリ原則にもとづく政府から独立した実効性のある人権委員会の実現にむけた本格的な論戦をおこなうよう、各方面からさらに積極的な意見表明を行おう。

→ 人権擁護法案についての国会審議状況
→ 「人権擁護法案の抜本修正に関する提言(人権フォーラム21)
→ 韓国国家人権委員会法(金東勲章訳)
→ 韓国における国家人権委員会の創設(藤本俊明)


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