より良き日本の人権保障制度をめざし、政府から独立した国内人権機関(人権委員会)の設立を、今こそ実現しよう
― 人権フォーラム21が「人権政策提言」を11月10日に公表 ―


2000年11月15日

人権フォーラム21
代表  武者小路公秀
事務局長 山崎公士

○ わたしども人権フォーラム21では、1997年11月の結成以来、日本における広範で実効的な人権政策や人権保障システムの確立をめざして調査・研究・提言活動を行ってきました。2000年に入り、人権擁護推進審議会で諮問第2項の「人権侵害被害者の救済について」の審議が本格化するのにあわせて、本年4月から規制・救済部会のもとに作業部会を設置し、市民のサイドから見た21世紀日本の人権政策提言の骨子づくりをすすめ、さる11月10日に「人権政策提言」として取りまとめ、政府の人権擁護推進審議会や司法制度改革審議会、さらには各政党、NGOなどに政策提言を行ってまいりました。
○ 人権問題は抽象的な課題でなく、生身の人間が関わる問題である。人権侵害や差別事象をいかに解消するか、人権侵害や差別を実際に受けた者をいかに救済するかという問題の検討にあたっては、実際に人権を侵害され、差別を受けた当事者の視点を重視する必要がある。したがって、これからの人権政策や施策の検討は国家エリートだけに委ねることはできない。日常生活感覚、現場感覚をもった市民こそが、人権政策や施策づくりの過程に積極的に参画すべきである。人権フォーラム21による「人権政策提言骨子(案)」はこうした発想からまとめられた。
○ また日本の人権政策や施策を検討するうえで、日本における人権状況と人権保障制度の現状を正確に把握するとともに、世界各国の人権保障制度からも学ぶ必要がある。このため、人権フォーラム21は反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)と共同で、1998年4月に「国内人権システム国際比較プロジェクト」(National Machinery Project, 略称NMP研究会)を2年間の調査・研究プロジェクトとして発足させ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランス、インド、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカの10か国について、国内人権機関を中心に各国の国内人権システムを比較調査・研究し、その成果は、1999年7月に『世界の国内人権機関---国内人権システム国際比較プロジェクト(NMP)調査報告』(解放出版社)として刊行され、また本年12月には『国内人権機関の国際比較』(現代人文社)として公表される。日本の人権政策を検討するにあたり、人権フォーラム21はNMP研究会の国際比較調査・研究の成果を十分に参照したことはいうまでもない。
○ 人権フォーラム21の「人権政策提言骨子」は、次の12の柱からなっており、日本の人権政策のあり方全般に及んでいる。「提言」の内容は、政府から独立した国内人権機関の新設や人権に関する総合調整機能を有した官庁の新設などの行政的課題だけでなく、立法や司法の課題についても言及している。われわれは、21世紀日本の人権政策確立のためには、行政をつかさどる内閣の責務だけではなく、国会や裁判所の責務もきわめて重大であると考えているからである。
1. 人権政策の指導原理
2. 新たな人権法体系の整備
3. 政府から独立した国内人権機関の設置を
4. 人権委員会の救済機能
5. 人権委員会の政策提言機能
6. 人権委員会の教育・啓発機能
7. 人権に関する官庁の新設を
8. 人権擁護委員制度の改編を
9. 議会の人権問題審議機能の強化を
10. 裁判所における人権侵害・差別事案処理の専門化
11  国際人権法の国内実施体制の整備を
12  市民社会との協働と「人権文化」の定着を
○ 政府の人権擁護推進審議会は、早ければ11月末にも諮問第2項「人権侵害被害者の救済について」の答申案を公表し、パブリック・コメント手続きで意見募集を行う予定であると、伝えられている。21世紀を「人権の世紀」とするため、この人権フォーラム21の「人権政策提言」について、積極的に検討されることを、ここに期待するものである。
人権フォーラム21では、来る12月15日午後に第4回定期総会&シンポジウムを東京で開催し、先に公表した人権フォーラム21の「人権政策提言」と政府の人権擁護推進審議会「答申案」を対比させ、今後の日本の人権政策のあり方について、幅広い討論を行う予定である。

人権フォーラム21「人権政策提言」 <詳細
「人権政策提言」にもとづく人権救済流れ図 <詳細
人権フォーラム21「人権政策提言に関するQ&A」 <詳細


 

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