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新社会人になる学生はパワハラにそなえよう!

 
卒業後の労働条件

みなさんは現在大学で学ぶ学生ですが、 近い将来ほぼビジネスパーソンになります。 そのなかでパワハラに遭遇・直面する可能性は高いと思います。

現代社会は「いじめいやがらせ(パワハラ)社会」と言っても過言ではありません。 覚悟をもって社会に出てほしいと思います。
「人間の尊厳」を持って生きることは大変なことです。
「労働者予備軍」であるみなさんは同時に「パワハラ予備軍」でもあるのです。
つまり「パワハラの現状とその解決」は他人事でない自分の問題と言えるのです。

パワハラの現状

労働組合の中央組織連合が2017年11月に実施した「ハラスメントと暴力に関する調査」によると、5割を超える人が職場にハラスメントがあると回答しています。
同じく連合が翌2018年7月に行なったハラスメント調査では、過去3年間でパワハラが民間企業で60%、公務職場で47%、セクハラは民間企業で38%、公務職場で23%との結果が出ています。
また医労連では、青年の3人に1人がハラスメントとの調査があります。
さらに都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめいやがらせ」の相談は年々増加、2012年度以降現在にいたっても、相談内容でトップです。
それにとどまらず、「いじめいやがらせ」は毎年増加傾向にあり、それは官民問わず労働相談機関(厚生労働省、都道府県、労働組合、労働相談センター)で共通しています。

またセクハラー「#me too」運動(「私も」を意味する英語にハッシュタグ(#)ミートゥー)は2017年10月に、ハリウッド有名プロデューサーのセクハラ報道にある女優のTwitterからはじまりましたが、2018年は「#me too」運動など性暴力やセクハラ告発の動きが世界的に拡がりました。

近年、雇用均等室への均等法の相談の約半数がセクハラの相談といわれています。
また、あるサイトの調査では、妊娠してからマタハラを受けたと感じた女性は3人に1人、そのうちの22.8%が退職勧奨を受けたと言われています

パワハラの具体的事例

(1)NPO法人労働相談センター、東部労組の相談事例と特徴

シリーズ「労働相談」報告(2019年1月~9月)

○セクハラ
事務所では女性は私一人なのですが、やましい物がないかとロッカーを開けてチェックさせられます。男性社員みんなの前で生理用品や着替えをみられるのはとても恥ずかしいです。その上休憩時間がもらえません。昼食時間も30分あるかないかです。まともに食事もできません。

○暴力職場
女性労働者。バールで頭を殴られ血だらけにされたり、バーナーの火を押し付けられたり、「顔がキモイ」と言われたり、とてもひどいパワハラを受けています。

○パワハラ
学生アルバイト。店舗の店長のパワハラが目に余ります。きつい叱り方をし、人格否定の罵声も浴びせてきます。わからない事で尋ねると「めいどくさいな」とか「人間的に無理かも」とか嫌味を言います。

○辞めさせてくれない
運送会社。数ヶ月も前に退職の意思を告げたのですが、会社の決まりで「半年前に申し入れるとなっているから」と言われますが、私は見たことも勿論サインしたこともありません。

○セクハラではないか
女性パート。ある男性上司から「若いんだから、眼鏡のフレームの色をもっと明るい色に替えろ」と言われました。他のパートさんを「男としゃべるのが必死」と陰口します。男性しかいない職場で、じゃー誰と話すの?という感じです。こういう時はどうしたらいいのでしょうか。

○「パワハラを証明してみろ」と逆切れされそう
取締役のパワハラに耐えきれず、退職を決意しました。退職理由は「取締役のパワハラが原因」と言うつもりですが、それを言うと「それならパワハラを証明してみろ」と逆切れされそうな会社です。

○減給の脅し
事あるごとに「減給するぞ」と脅されています。自分で言うのもおかしいですが、自分は仕事をしっかりやり結果もそれなりにだしています。勤務態度も遅刻も欠勤もせず真面目にやっています。それなのに、ろくな昇給もないばかりか、上司は、ことあるごとに「減給するぞ」と脅してきます。

○「ネットで会社の情報をもらした」とぬれ衣
「ネットで会社の情報をもらした」と社長から責めたてられています。全く身に覚えのない罪です。私はやっていないと幾ら否定しても信じてもらえません。

○パワハラ
上司から年中「いらん」「やめろ」「辞表を持ってこい」と言われています。昼食時間も「一人で仕事をやっていろ」と昼食も取らされず働かされた時もあります。これはパワハラです。どうしたら止められますか。

○「キモイ」「臭い」と言われる
女性。職場では上司や同僚から、通りすがりに「キモい」「臭い」と執拗に言われます。私は朝晩2回シャワーして出勤しています。こんないじめに本当に参っています。

○労働基準監督署に行ったら、パワハラが始まった
就業規則の設置を求めて労働基準監督署に行ったとたんに、会社の態度が一変し、ひどいパワハラが始まった。

○無視
就職したとたんに、勤務経験が一番長い先輩から無視が始まりました。朝夕の挨拶もしてくれず、仕事上のこちらの質問に答えてくれません。入ったばかりなので親しい友人もおらず相談する人もいません。

○職場での体罰
入社以来、指導の名の下に度々体罰を受けています。後ろから蹴られ、殴られ、スパナや鉄の缶をぶつけられます。いつも怯えながら労働しています。どう対処していけばいいでしょうか。

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○ 社長の度重なる暴言
従業員10人足らずの小企業。社長が社員に向かって「きちがい」「バカ」「馬鹿 野郎」と年中怒鳴り散らす。ついには土下座まで要求する。根も葉もなく一方的に「お前は新入社員と寝た」とでっち上げ始末書の提出を要求する。出さないと解雇されるので仕方なく始末書を書く。その上残業代は一円も出さない。

○外国人差別
我が社は外国籍の方が多く、彼らは人種差別を受けています。工場長は「外国人だから仕事が出来ない」「外国人だから清掃時間は給料に含まない」等発言し、堂々と外国人労働者にタダ働きをさせています。

○仕事中にラインで陰口を言い合う職場
上司は、気に入った部下とグループを作って、仕事中にラインでやり取りをして部下の陰口・悪口を言っては喜んでいます。

○毎日ののしり怒鳴る課長
ある課長が、特定の人たちにすぐに怒鳴りちらし罵ります。近くで聞いていても気分が悪くなります。例えば、ある人がミスをすると、「ここは障害者は雇ってない!」とか、「おい!さる!何度もやってんなよ!何度言ったらいいんだよ!ああ、猿だから覚えられねぇか!ばーかばーか」とののしります。こんなのは、日常茶飯事です。なんとかしたいので、秘かに録音しても大丈夫ですか。

○辞めさせてくれない
退職届を出したら「恩を仇で返すのか」と恐喝まがいなことを言われています。どうすればいいか困っています。

○「馬鹿」「無能」「クソ死ね」
中途採用された食品工場で、「経験者なのにこんなこともわからないのか?」「馬鹿」「無能」「クソ死ね」等々の暴言を吐かれます。

○ 陰湿な職場でのいじめ
職場の男性との根も葉もない交際のうわさが流されてから、無視や落書きや靴箱の靴が無くなるなど、次々と陰湿ないじめが始まりました。上司に相談したら「お前の日頃の行いが悪いから」と言われました。

○体臭がくさいとパワハラ
私の友人の女性社員が、ひとりの上司から体臭がくさいと嫌がらせを受けています。「スメハラ」「加齢臭」と書いてある文書を彼女の作業服に貼りつけてきたりしてきます。彼女は決して臭くありません。

○バイト先でセクハラ
私の友人(高校生)がバイト先でセクハラを受けました。又、本人は何もしていないのに正社員の方からおしりをグーパンチで殴られました。抗議したら睨んできました。防犯カメラで撮れない場所でされたと言っています。

○嫌がらせで重労働
職場で上司とトラブルがあり、翌日嫌がらせで、いつもは二人でやる重量16キロ、雨で濡れ通常より木製パレットの積み下ろしを9時間連続でやらされました。
最後には腰の筋が切れて現在通院中です。

○パワハラで同僚が2年連続で自殺
社内のパワハラで2年連続の自殺者。本部長からターゲットにされた営業マンはただ罵倒され続け、出社出来ず、うつ病になり、自殺となりました。ご遺族は真実を知りませんが、社員はみんな知っています。みんな見て見ぬ振りです。2年連続の事態です。胸が痛み、この度メールしました。

○副店長のセクハラ
副店長が女性スタッフに無理やり関係を強要するなどセクハラを続け、その女性スタッフは精神的に追い詰められ辞めてしまいました。女性スタッフや複数の社員から本部のパワハラ・セクハラ相談窓口に相談をしていますが、まるで対応をしてくれません。

○祖母の納骨で有給休暇を取ると「常識がない。恥知らず」と罵倒する上司
上司は「アホ」「お前はなにもできないから実家暮らしで家でもなにもしないだろう」「生活自体に問題があるんだろう」と罵倒してきます。祖母の納骨の際、有給を取ると「常識ない。恥知らず」と言われました。また、「おまえはいらない」となんども言ってきます。これってパワハラに当たりますか。

○金融機関のパワハラ
金融機関です。サービス残業は当たり前、ノルマもやりきれない程与えられる職場です。支店長から男性職員に「いつまでにどのくらい絶対にやれ、全員にやらせろ」というような指令が出て、言われた男性職員は、私たち女性職員に「あと3日で必ず実績を上げるように」などと追い詰めてきて、「今日は目処がついてから帰って」というような、やるまで帰らせない的な指示を出し、私たちは泣く泣く残業。その上残業代はカットされ全額は払ってきません。

○上司のモラハラ
一人の上司から嫌われています。彼は人の陰口悪口を言い触らすだけで、直接にはやってはこないのですが、彼の部署や仲の良い人たちから冷たい態度を続けられています。最低限の挨拶だけで一切の会話もありません。業績を上げている私へのねたみかもしれませんが、胃にポリープも出来、このままでは精神的、肉体的に参ってしまいます。

○暴力で辞めさせない
長年勤めていますが、一円の残業代もなく毎日11時間を超える労働時間を強いられています。有給休暇もありません。社員全員が同じ状況です。退職を申し込んだ一人の同僚は、社長から暴力を振るわれ、いまだ辞められません。

(2)パワハラ相談の特徴
〇労働相談当事者の特徴
労働相談をしてこられる当事者には次のような特徴が多いです。
「自分の受けているのはパワハラに当たるのか」 「自分のわがままではないのか」 「自分が悪いのだが」 「円満に辞めたい」

○「自己責任論」にたいしては、
2018.4財務事務次官セクハラ事件を受けて発表した新聞労連女性集会アピールで、「『私に非があったのかもしれない』と自分を責めるのはもうやめよう」と訴えている。
また、ILO条約案の考え方として、「ハラスメントは雇用や人生まで奪う権利侵害」と断罪しています。

○パワハラ防止(パワハラ防止法、パワハラ禁止ILO条約制定)の法的整備はごく最近のことで、まだまだ周知されていません。
パワハラ相談を受けていると、「私のケースはパワハラ、セクハラに該当するのか」の質問が多いです。
これらの質問に対しては、あえて「あなたがおかしいと感じたら、すべてパワハラ、セクハラになります」と返答しています。
肝心なのは、「私に非があったのかもしれない」と自分を責めるのはもうやめよう、ということです。

パワハラでの法規制

パワハラの定義
○労働施策総合推進法30条2第1項において、パワハラは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者就業環境が害されること」と定義されています。

厚生労働省が定義している「職場のパワーハラスメント」の6つの類型

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)、
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)、
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)、(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)、
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)、

◆ 類型別の代表的な相談内容
1)身体的な攻撃
建築業の仕事をしており、仕事中に社長から注意をされた際、1回目は頭を角材で叩かれ出血する怪我を負い、2回目は蹴られて転倒し顔の眉の辺りに怪我を負った。

2)精神的な攻撃
①製造業の入社10年目の正社員。会社で持ち込み禁止の携帯電話を同僚が平然と使っているので、私が携帯電話を使用したところ、上司は全従業員に自分が携帯を持ち込んだことを叱責する内容のメールを流した。
また、製品を破損して始末書を書いたところ、上司から「今後は自分で得意先に謝りに行け、損害も自分で払え」という文書を回され、不安で眠れなくなった。
同期の者は全員昇級しており、後輩も昇級していくのに、自分は部署を転々と異動させられるだけで全く昇級がない。

②建築業で派遣社員。持病を抱えており休憩から職場に戻ると所長から「査定に響くぞ」「どうなるか分からない」といった発言を受け、朝礼で話すことが出来なくなったり、足が震えるなどの症状が出るようになった。その後、不眠になり体重も5kg減少し、一時は自殺を考えるようになりメンタルクリニックに通院するようになった。
③医療機関で働いている。室長から患者さんの前で「役に立たない」などと酷い言葉を浴びせられ、患者さんからの信頼を無くされた。パワハラの影響で薬の量が増えた。他の男性社員もストレスによる脱毛で悩んでいる。

3)人間関係からの切り離し
①金属部品工場に勤務中の派遣社員。毎日配属される部署が変わるのに仕事のやり方を教えてもらえない。派遣元に相談したところ派遣先に伝えてくれたが、職場の上司からの扱いはもっと酷くなった。
休み明けの場合、前日にどんな作業をしたか分からないのに、上司は「昨日の続きをしろ」というだけで仕事内容を教えてくれない。仕方なく前々日の仕事の続きをすると上司から「何を勝手にしているんだ」と怒られる。

②医療機関の正職員の理学療法士。勤務してまだ1年半なのに上司の主任と副主任は仕事をちゃんと教えてくれない。仕事でミスをすると主任と副主任の2人から責め立てられる。
労働局に事情を相談したところ、労働局が院長へ指導を行ってくれたが、逆に院長から「君はセラピストに向いていない」と言われ、退職に追い込まれた。

③部長以下の3人が、1年前から口をきいてくれなくなった。向かいの机に座っているのに、連絡などもメモを机の上に置いたり、メールで伝えるようになった。他の部署の人にも色々と言いふらしているようで、挨拶をしても挨拶が返ってこなかったり、部外の人たちの態度が変わってきたように思う。

4)過大な要求
医療事務のパート職員。上司から勤務時間内では到底処理することができない量の資料整理を指示された。パソコンが不得手なため休日出勤して対応しても処理しきれず、上司から「仕事ができないならもっと早く出勤するように」と言われ、その後は無視されるようになった。体調を崩してしまったので診療内科に行くと適応障害と診断された。

5)過小な要求、
介護事業所の正社員。採用時の契約では介護サービス責任者として採用されることになっていたのに、自分より後に入った職員が自分が就くはずだった介護サービス責任者になった。その後、「正社員としての仕事ができていない」と嫌がらせをされるようになり、別の施設に異動することとなった。

6)個の侵害
介護事業所の正社員。自分のより前から勤務している年上のパート職員から、「なんで正社員なんや」、「夫がいるのに稼ぎすぎ」などの暴言を吐かれる。

ハラスメント防止法が成立(2019年5月29日)

○2019年5月29日、参議院本会議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決され、同法が成立しました(施行時期は、早ければ大企業が2020年4月、中小企業が2022年4月と報じられています)。
この法律は、下記のニュースにもあるように、我が国で初めてパワーハラスメントについて規定し、その防止をするための措置を講じる義務を企業に課したものです(セクハラについても新たな規制を課しています)。

・企業にパワハラ防止を義務化へ、違反なら社名公表も
・ハラスメント規制法成立 パワハラも対策義務化
・罰則なし 線引き難しく パワハラ防止義務化 改正法成立

この条文は重要で、まず、法律で初めてパワハラを定義しています。
●キーワードとしては
「職場において行われる」
「優越的な関係を背景とした言動」
「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」
です。なお、こうした「措置」をとることを企業に義務付けることを「措置義務」といい、規制としては、措置さえとれば義務を果たしたことになるので、ややぬるい種類になりますが、こうした措置を取らせることも十分に意味はあります。

【組合費】入会金2,000円(初回のみ)、月額組合費1,000円(できるだけ年12,000円、半年6,000円の一括払いでお願いします)
*詳細は「加入方法とその後の流れ」を参照してください。/加入申込書